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1.波紋を描く、異色の水滴
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そういうワケで、いつもより遅く戻ったものだから元々酷かった扱いがより酷くなった。もっと怒られた。もっともっと業務が増えた。彼奴らはもっともっともっと仕事に手をつける時間が減った。
今世がこんな酷いなら来世は金持ちの所の猫にでもなれるだろうか。
決して混ざることのない談笑をBGMに1枚、2枚とA4サイズの紙を手に取り眺めて打ち込んでいく。その談笑がどんどん小さくなろうとも、明かりが消えていこうとも、紫ヶ崎だけは変わらずそのままだ。
まるでそれは元々そうであったかのようなしっくり具合で。
これが正しくて、己のあるべき姿なのだと錯覚する。けれどその麻痺は疲れ果てた身体には寧ろ甘い蜂蜜のようだった。
だって異常だと認識してしまうと途端に苦しくなるから。
100人中99人が可笑しいと声を上げるようなことだって、たった1人の己が可笑しくないと鈍いままでいれば…その認識は曲げない方が幸せだ。
日が沈む。夜が更ける。朝日が顔を出す。
ああそういえば今日は休みだったか。
何日ぶりか分からない休日のことを思い出し、ふと手を止める。時刻は朝の6時すぎ。今なら誰ともすれ違わずに帰宅できるだろうか。少しだけ、静かな場所で眠れるだろうか。
パソコンをシャットダウンし、書類をカバンに詰め込み席を立つ。やっぱり家は恋しい。
AM06:23。机上に置かれたデジタル時計にはそう映し出されていた。
「お疲れ様でした」
タイムカードをパソコンに繋がれた機械へ翳すと、そんな無機質な声が聞こえた。抑揚もクソもない冷たい女性の声。このシステム以外で最後にお疲れ様などと言われたのはいつだったか、と考えながら帰路に着く。
いつも通りの道を辿って着いたボロアパートがもう懐かしい。
5日くらいは家に帰れてなかったからな…
"衛生"とかいう言葉は何処かに置いてきた人として終わってる歴長めのベテラン人未満、帰宅。鞄を投げて己の身も投げるようにソファーへ横になる。
スーツはヨレヨレ、頭はボサボサ、顔は酷い隅と浮き出た頬骨で化け物みたいだ。
休み…やすみ、といえば?したいこと…したいこと、なんて…
「あったっけ…」
あったはずなんだろう。きっと。でももう思い出せない。思い出せたところでできると思ってない、し。思い出すこと自体疲れる。
寝よう。
風呂もご飯も何もかもまだだ。でも寝かせて。それだけでいい。
もう、なにもしたくない
購入してから随分と経った草臥れたソファーの上で目を閉じる。意識が沈んでいくのはすぐだった。
今世がこんな酷いなら来世は金持ちの所の猫にでもなれるだろうか。
決して混ざることのない談笑をBGMに1枚、2枚とA4サイズの紙を手に取り眺めて打ち込んでいく。その談笑がどんどん小さくなろうとも、明かりが消えていこうとも、紫ヶ崎だけは変わらずそのままだ。
まるでそれは元々そうであったかのようなしっくり具合で。
これが正しくて、己のあるべき姿なのだと錯覚する。けれどその麻痺は疲れ果てた身体には寧ろ甘い蜂蜜のようだった。
だって異常だと認識してしまうと途端に苦しくなるから。
100人中99人が可笑しいと声を上げるようなことだって、たった1人の己が可笑しくないと鈍いままでいれば…その認識は曲げない方が幸せだ。
日が沈む。夜が更ける。朝日が顔を出す。
ああそういえば今日は休みだったか。
何日ぶりか分からない休日のことを思い出し、ふと手を止める。時刻は朝の6時すぎ。今なら誰ともすれ違わずに帰宅できるだろうか。少しだけ、静かな場所で眠れるだろうか。
パソコンをシャットダウンし、書類をカバンに詰め込み席を立つ。やっぱり家は恋しい。
AM06:23。机上に置かれたデジタル時計にはそう映し出されていた。
「お疲れ様でした」
タイムカードをパソコンに繋がれた機械へ翳すと、そんな無機質な声が聞こえた。抑揚もクソもない冷たい女性の声。このシステム以外で最後にお疲れ様などと言われたのはいつだったか、と考えながら帰路に着く。
いつも通りの道を辿って着いたボロアパートがもう懐かしい。
5日くらいは家に帰れてなかったからな…
"衛生"とかいう言葉は何処かに置いてきた人として終わってる歴長めのベテラン人未満、帰宅。鞄を投げて己の身も投げるようにソファーへ横になる。
スーツはヨレヨレ、頭はボサボサ、顔は酷い隅と浮き出た頬骨で化け物みたいだ。
休み…やすみ、といえば?したいこと…したいこと、なんて…
「あったっけ…」
あったはずなんだろう。きっと。でももう思い出せない。思い出せたところでできると思ってない、し。思い出すこと自体疲れる。
寝よう。
風呂もご飯も何もかもまだだ。でも寝かせて。それだけでいい。
もう、なにもしたくない
購入してから随分と経った草臥れたソファーの上で目を閉じる。意識が沈んでいくのはすぐだった。
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