運命の恋に落ちた最強魔術師、の娘はクズな父親を許さない

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7 王女殿下と木精編

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 その質問をしたのは、特任チームの話し合いが終わった後。

 王太子殿下に連れられて、殿下の執務室に移動してからだった。

 特任チームの会議での私の役割は、魔導公として王族として参加しているんだぞ、という体裁。
 王太子殿下と魔導公が参加することでチームとして箔がつく、らしい。よく分からないけど。

 特任チームのメンバーにも、王太子殿下と魔導公が参加する会議に出席した、発言した、という事実が実績としてカウントされるそうだ。意味が分からないけど。

 ともかく、そんな場であれこれ質問したいことを自由に聞くわけにもいかないので、私は耐えた。耐えに耐えた。

 お披露目会の日程と段取りまで詰め終わって、後は各部署に持ち帰っての作業となる段階まで進め、会議は終わりとなる。

「貴族の会議だと、ここからが長くて大変なんだが」

 となんだか何かを説明したがっている王太子殿下を、

「高位貴族の会議は頼まれても絶対に出ないから。そんな情報いらないから。無理やり出させたら、グレイに泣きつくから」

 と言って黙らせて、さっさと退出。

 執務室に移動する途中で(無理やり)聞かされた話では、会議が終わった後に貴族たちが一人一人、殿下のところへ挨拶に来るらしい。

 それで、会議が終わってもさっさと帰れないんだとか。

 なんだそれ。

 やっぱり、私は絶対に出ないでおこう。

 どうしてもの場合はグレイに相談だ。出るにしろ出ないにしろ、グレイがなんとかしてくれる。たぶん、物理で。

 そう考えていると、やはり人の心が読めるのか、王太子殿下から言われてしまった。

「グレイアドに泣きつくのはやめた方がいい。自分の力でどうにかすることを覚えないとな」

「つまり、私が物理でどうにかしろと」

 物理か。これは難問だわ。身体を鍛えるところから始めないとな。

 王太子殿下が「物理から離れてくれ」と言ってたような気がしなくもないけど。

 グレイにばかり頼るのは良くないことは、私も理解している。
 だから、私も少しは物理力を向上させよう。そう、心に誓った。




「いや」

 突然だけど、王太子殿下の執務室に戻ってすぐの言葉がこれ。

 私の質問に対する回答だ。

 お披露目会で、私=鎮圧のセラもお披露目されるのか、に対する回答は否定だった。

「それなら、お披露目会に私が参加しなくても」

 面倒くさそうな物は極力避けたい。面倒くさそうな場も同様。わざわざ自分から面倒くさそうなところに飛び込む必要はない。

 ところが、王太子殿下の回答には続きがあった。

「お披露目はしないが、三聖の主として参加になるから」

 うん、そんな話は聞いてない。
 さきほどの話し合いでもまったく出ていない話だ。

「え? 冗談ですよね?」

「私が冗談を言う人間に見えるか?」

「見えません」

「なら、そういうことだ」

 澄まして言う王太子殿下。

 そちらが澄ましてそんなことを言うのなら、こちらも迎え撃つのみ。


 バーーーン


 と、王太子殿下の机を両手で叩き、鼻息も荒くして、私は喋り立てた。

「グレイに事前に言ってあるんですよね? ああ見えて、グレイ、細かいことにうるさいんですよ! とっても! 私、グレイに怒られたくないので!」

 しばしの沈黙。

 うん、これはグレイに言ってないヤツだ。なんなら、黙ったままにしておこうと思ったヤツ。

 グレイはああ見えて、細かいことにうるさいし、あらゆる手段をもって私の動向を把握している。

 黙って済む話ではない。バレた時の方がダメージが大きいということを、思い知った方がいい。

 ここまで考えて、殿下の方もこの最重要事項に思い至ったようで、ようやく表情が動いた。マズいなぁ、困ったなぁ、ではなく、嫌だなぁという顔。

 もちろん、あからさまに表情を変えてはいない。表情豊かだけれど、考えを表情から読み取らせる人ではないから。

 同じ三聖の主だからか、曲がりなりにも私も金眼持ちだからか、なんとなく感情の予測がついたのだ。

 殿下はしばらくの沈黙の後、重い口を開いた。

「今回のお披露目は、あくまでも、魔導具のお披露目となる」

 私の剣幕におされてか、澄まし顔にも亀裂が入っている。

 魔導具のお披露目、だから、私もお披露目される側として参加しろということなのか。もちろん、私はセラフィアスを顕現させるつもりはないけど。

 とはいえ、魔導具のお披露目とは。

「アクアが、きちんとした契約をしていないからですか?」

「仮契約である以上、主も仮初めの主となる。ならば、五強の主としてお披露目は出来ないだろう?」

 ですよねー

 ただ、問題は別のところにある。

「本人は納得しますかね」

「しなくても、その予定だ」

 フォセル嬢は、アクアの主になったと思いこんでいるからね。ここが今回のお披露目の面倒なところ。うん。

「仮契約のアクアが指示に従いますかね」

「だから、万が一の時のために、三聖と三聖の主が参加するんだよ」

「はぁ」

 なんか嫌な予感がする。

「残念ながら、万が一の時の戦闘要員としては、スローナスもケルビウスも役に立たない」


 ゾクッ


 嫌な予感、当たりだ。

「スローナスもケルビウスも、役に立たないということは、ありませんよね?」

 この言い方だと、三聖すべてを集めるつもりだ。

 三聖が公式に公の場に姿を現すのは、滅多にない。というか、今代で三聖の主が全員揃ってからは一度もない。

 よく集まっているじゃないかって?

 それはまぁ、公の場でないところでの話。魔術大会だって、公式に公の場に出ているのは王太子殿下のみだし。

「セラとセラフィアスの前では、役立たずも同じだろう。だから、よろしく頼んだ。ルベラス魔導公殿」

 あぁ、私が公式に参加するって、鎮圧要員ということなんだ…………

 と、なんとはなしに、理解してしまったのであった。
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