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27 DNA検査 蘭視点
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優斗から話があるっていうから何かと思ったら、呆れた。
私に断りもなく、聖斗のDNA検査をしてたらしい。
「俺の子じゃなかった。どういうことだ?」と言われ、ぎくっとしたけど、私は頭をフル回転して演技を始めた。
私は顔を覆って、床にへたり込んだ。
「私だって、嘘であってほしかった……!」
「お前、よくも抜け抜けと!」
怒る優斗を遮るように私は叫んだ。
「あの夜、私、襲われたの!!!」
怒り顔だった優斗が、一瞬「え?」と、真顔になった。
私はぐしゃぐしゃに泣きながら、作り話を続けた。
「お酒を飲みすぎて、足をすりむいた日があったでしょう?」
優斗は記憶を探るように目を泳がせた。
「もしかして、沙耶が泊まりがけの用事で家にいなかった日、蘭が俺の部屋に来た時のことか?」
しめた。
私は優斗が話に引き込まれ始めたのを感じ取った。
「そう……あの日、あなたがなかなかあの女と別れてくれないからむしゃくしゃして、つい飲みすぎて。そしたら、あなたの部屋に向かう途中、知らない男に暗い空き家に連れ込まれて……」
私は、わっと泣いた。
「ごめんなさい!言えなかったの!!!怖くて怖くて……聖斗ができたときだって、きっと優斗の子だって、自分に何度も言い聞かせて……」
嘘だけど。
ほんとは同時に付き合ってた彼氏のどちらかだわ。
口が裂けても言わないけどね。
優斗はさっきまでの怒りの勢いがおさまり、私を同情するような表情に変わっていた。
「私が悪かったの。あの時、正直に優斗に話して警察に行けばよかったのよ。離婚するなら受け入れる。全部私が悪いんだもの。聖斗は私が責任を持って育てるわ。だって、今まで我が子として愛してきたんだから」
優斗はしばらく無言だった。
何かに迷っているような感じがした。
もう一押し、必要ね。
私はとっておきの切り札を優斗に明かすことにした。
「これ見て」
私はバッグから分厚い封筒を取り出し、優斗に中身を見せた。
「えっ!!!」
優斗は今日一番の驚きの表情を見せた。
封筒から、200万円の札束が顔を覗かせている。
「どうしたんだよ、そんな大金!?」
「実はね」
私は理由を語り始めた。
「天岸さんに偶然会って、聖斗が病気で海外での手術金がいるって泣き付いたら、あっさりこれくれたの。私と聖斗の分。少しでも足しにしてって」
「お前、そんな嘘──」
優斗は呆気に取られてるみたいだけど、いい金づるができたのに、バカね。
「私、すごいでしょ?天岸さんとのパイプがあれば、これからも資金援助してくれるかもしれないわ」
私の言葉に優斗はまだ迷ってる風だったけど、とうとう重い口を開いた。
「襲われたこと、今まで知らなくてごめん……ふたりでこれからのこと、ちゃんと考えよう」
そう言って、優斗は久しぶりに私を抱きしめてくれた。
私に断りもなく、聖斗のDNA検査をしてたらしい。
「俺の子じゃなかった。どういうことだ?」と言われ、ぎくっとしたけど、私は頭をフル回転して演技を始めた。
私は顔を覆って、床にへたり込んだ。
「私だって、嘘であってほしかった……!」
「お前、よくも抜け抜けと!」
怒る優斗を遮るように私は叫んだ。
「あの夜、私、襲われたの!!!」
怒り顔だった優斗が、一瞬「え?」と、真顔になった。
私はぐしゃぐしゃに泣きながら、作り話を続けた。
「お酒を飲みすぎて、足をすりむいた日があったでしょう?」
優斗は記憶を探るように目を泳がせた。
「もしかして、沙耶が泊まりがけの用事で家にいなかった日、蘭が俺の部屋に来た時のことか?」
しめた。
私は優斗が話に引き込まれ始めたのを感じ取った。
「そう……あの日、あなたがなかなかあの女と別れてくれないからむしゃくしゃして、つい飲みすぎて。そしたら、あなたの部屋に向かう途中、知らない男に暗い空き家に連れ込まれて……」
私は、わっと泣いた。
「ごめんなさい!言えなかったの!!!怖くて怖くて……聖斗ができたときだって、きっと優斗の子だって、自分に何度も言い聞かせて……」
嘘だけど。
ほんとは同時に付き合ってた彼氏のどちらかだわ。
口が裂けても言わないけどね。
優斗はさっきまでの怒りの勢いがおさまり、私を同情するような表情に変わっていた。
「私が悪かったの。あの時、正直に優斗に話して警察に行けばよかったのよ。離婚するなら受け入れる。全部私が悪いんだもの。聖斗は私が責任を持って育てるわ。だって、今まで我が子として愛してきたんだから」
優斗はしばらく無言だった。
何かに迷っているような感じがした。
もう一押し、必要ね。
私はとっておきの切り札を優斗に明かすことにした。
「これ見て」
私はバッグから分厚い封筒を取り出し、優斗に中身を見せた。
「えっ!!!」
優斗は今日一番の驚きの表情を見せた。
封筒から、200万円の札束が顔を覗かせている。
「どうしたんだよ、そんな大金!?」
「実はね」
私は理由を語り始めた。
「天岸さんに偶然会って、聖斗が病気で海外での手術金がいるって泣き付いたら、あっさりこれくれたの。私と聖斗の分。少しでも足しにしてって」
「お前、そんな嘘──」
優斗は呆気に取られてるみたいだけど、いい金づるができたのに、バカね。
「私、すごいでしょ?天岸さんとのパイプがあれば、これからも資金援助してくれるかもしれないわ」
私の言葉に優斗はまだ迷ってる風だったけど、とうとう重い口を開いた。
「襲われたこと、今まで知らなくてごめん……ふたりでこれからのこと、ちゃんと考えよう」
そう言って、優斗は久しぶりに私を抱きしめてくれた。
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