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第五話 何で明が攻めてくるんじゃい!?
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正史と違い朝鮮の役がなく全国の内政に力を注いでいる。
平和な毎日により秀吉のストレスも少なく、認知症の症状も見受けられなかった。
五大老、五奉行の分担制は上手くいき、着々と権力の地盤固めはできていたが……
史実通り秀吉の推し進める検地などに反発する者が増えていく。
そして、ある日、
「明と朝鮮が同盟し、攻めてくるやと!?」
石田三成が不機嫌になる秀吉に頭を下げながら言う。
「はい、島津や宇喜多の重臣たちにも明からの書状が届いたと……」
明は豊臣家に対して反発しそうな家臣や大名たちに密書を送っていた。
彼は何より豊臣政権を舐めていた。
天下統一を果たしたとは言え、群雄割拠の時代が直前まであり、まだまだ日本は烏合の衆であると。
そして、彼らは女真族と朝鮮の力を恐れ、彼らの勢いを削ぐためにも日本に攻め込もうとしていたのであった。
「殿下、どう致しますか?」
石田三成は冷や汗をかきながら、秀吉に対応を尋ねる。
「やるしかないやろ」
秀吉は怒りを通り越した感情で冷静に三成に戦争の準備に入ることを告げる。
半兵衛はそんな秀吉に臆することなく言う。
「かのような事態を招いた原因は私にあります。腹を切って責任を……」
「アホか? お主の言ってることは100回中99回正しいわ。そんな配下の首を斬るアホがどこにおる? 此度はたまたまじゃ」
秀吉は半兵衛の存在の尊さを知っている。
多少のミスは見ないフリできる。
しかし、これは実質的にミスではない。
戦況に関しては史実の朝鮮の役よりも圧倒的に有利なのは間違いない。
朝鮮や女真族は積極的ではなく士気が低い。
しかも、日本は海に面している。
9月の台風の季節に誘き寄せれば、大損害を与えられる。
そして、明は日本の現状を把握していない。
現在は太閤検地により、税制が統一されており、且つ身分統制もされているので、家臣レベルが高く、今の状況で反乱を起こしても上の身分の人間の承認なしで足軽動員ができない。
それ故に明側の誘いに乗る武将はいない。
しかも、朝鮮出兵の時間を内政に当てられているので国力が段違いなのである。
秀吉はイスパニアの武器商人と会って、すぐに最新兵器であるキャノン砲を輸入させた。
総大将は宇喜多秀家、彼の補佐には立花宗茂、島津豊久、毛利秀包、島左近という布陣。
しかも、秀吉も対馬に現れて指揮や後方支援に加わると言う。
「殿下、申し訳ございません」
三成が頭を下げる。
彼が悪いというわけではないが、当時の秀吉は超がつく程の短気。
「おみゃあが、ちゃんと明の動きを見んかったからじゃろうが!」
と言われると覚悟していたが……
「誰も予想できんかったからしゃーねぇわ。三成は全国回って検地方法広めてくれとるしよ。ようやっとるで」
ーー半兵衛殿に釘を刺されたようだ。
そう、秀吉は竹中半兵衛、秀長、浅野長政の意見は受け付けており、全員から三成を褒めろと言われていた。
そんな中、
「殿下ー! 殿下ー! これは何でございますか!?」
無邪気な声……毛利秀包である。
彼は毛利元就の子であるが、秀吉と北政所に育てられており、秀吉は父親のようなもの。
大きな黒曜石のような大きな瞳をした彼が興味深く最新式の武器について尋ねる。
「おー秀包か! 殿下とかいらん。お主はワシの息子みたいなもんや。父上でええぞ!」
「じゃあ、父上! これ何ですのん?」
童顔の美男子・秀包は銃や大砲に興味津々である。
「これはよぉ、イスパニアから買ったキャノン砲やき。よし、戦終わったら全部、秀包にやるわ! 大切にせぇよ」
「きゃあ! 父ちゃん大好き!」
「ったく、無邪気な声する思うたら秀包かい? 元気やの」
立花宗茂と長宗我部信親がやってきた。
この世界線では信親も生きており、元親もまだまだ健在である。
秀包は宗茂と信親に無邪気にキャノン砲を自慢する。
その姿を秀吉と元親は微笑ましく見つめている。
「元親よぉ、若いってええな」
「左様にございますな……」
秀包は三成も呼び、四人で仲良く雑談していた。
「秀包はワシ、信親は秀長、宗茂は小六……三成はそれに当たるんがおらんが、若い時を思い出すわ。元親もやろ?」
「はい、戦前ではありますが……何故か幸せにございます」
秀吉は信親たちを我が子を見るかのように優しく見つめながら言う。
「実はな。あの四人と秀家を家康の位置を継がせて、直江兼続も含めて6人で国を任せようと思うとる……ええか?」
「さ、左様にございますか?」
秀吉は笑顔を崩さずにさらに言う。
「至極、当然や。申し分ないで」
元親は嬉しくなり、涙を流しながら喜ぶ。
「元親、堅苦しい話は終わりや。一緒に飲まんか? 一緒に子どものこと語らんか?」
竹中半兵衛は仙石秀久のことを信用しておらず、直接部隊を率いて出陣した。
それ故に無謀な戦いはなく、信親は戸次川での戦いを生き抜いていたのだ。
竹中半兵衛は疑問に感じていた。
ーーなぜ、明が対立していた女真族や朝鮮と手を組んでいる? 明の財政状況は悪いはずだ。裏に誰かいるのか?
秀吉に対して侵略戦争を促していた人間たちがいるのかもしれない。
半兵衛は疑念を感じて調査を開始した。
やがて、豊臣秀次や黒田如水もやってき て、本格的な戦が始まろうとしていた。
平和な毎日により秀吉のストレスも少なく、認知症の症状も見受けられなかった。
五大老、五奉行の分担制は上手くいき、着々と権力の地盤固めはできていたが……
史実通り秀吉の推し進める検地などに反発する者が増えていく。
そして、ある日、
「明と朝鮮が同盟し、攻めてくるやと!?」
石田三成が不機嫌になる秀吉に頭を下げながら言う。
「はい、島津や宇喜多の重臣たちにも明からの書状が届いたと……」
明は豊臣家に対して反発しそうな家臣や大名たちに密書を送っていた。
彼は何より豊臣政権を舐めていた。
天下統一を果たしたとは言え、群雄割拠の時代が直前まであり、まだまだ日本は烏合の衆であると。
そして、彼らは女真族と朝鮮の力を恐れ、彼らの勢いを削ぐためにも日本に攻め込もうとしていたのであった。
「殿下、どう致しますか?」
石田三成は冷や汗をかきながら、秀吉に対応を尋ねる。
「やるしかないやろ」
秀吉は怒りを通り越した感情で冷静に三成に戦争の準備に入ることを告げる。
半兵衛はそんな秀吉に臆することなく言う。
「かのような事態を招いた原因は私にあります。腹を切って責任を……」
「アホか? お主の言ってることは100回中99回正しいわ。そんな配下の首を斬るアホがどこにおる? 此度はたまたまじゃ」
秀吉は半兵衛の存在の尊さを知っている。
多少のミスは見ないフリできる。
しかし、これは実質的にミスではない。
戦況に関しては史実の朝鮮の役よりも圧倒的に有利なのは間違いない。
朝鮮や女真族は積極的ではなく士気が低い。
しかも、日本は海に面している。
9月の台風の季節に誘き寄せれば、大損害を与えられる。
そして、明は日本の現状を把握していない。
現在は太閤検地により、税制が統一されており、且つ身分統制もされているので、家臣レベルが高く、今の状況で反乱を起こしても上の身分の人間の承認なしで足軽動員ができない。
それ故に明側の誘いに乗る武将はいない。
しかも、朝鮮出兵の時間を内政に当てられているので国力が段違いなのである。
秀吉はイスパニアの武器商人と会って、すぐに最新兵器であるキャノン砲を輸入させた。
総大将は宇喜多秀家、彼の補佐には立花宗茂、島津豊久、毛利秀包、島左近という布陣。
しかも、秀吉も対馬に現れて指揮や後方支援に加わると言う。
「殿下、申し訳ございません」
三成が頭を下げる。
彼が悪いというわけではないが、当時の秀吉は超がつく程の短気。
「おみゃあが、ちゃんと明の動きを見んかったからじゃろうが!」
と言われると覚悟していたが……
「誰も予想できんかったからしゃーねぇわ。三成は全国回って検地方法広めてくれとるしよ。ようやっとるで」
ーー半兵衛殿に釘を刺されたようだ。
そう、秀吉は竹中半兵衛、秀長、浅野長政の意見は受け付けており、全員から三成を褒めろと言われていた。
そんな中、
「殿下ー! 殿下ー! これは何でございますか!?」
無邪気な声……毛利秀包である。
彼は毛利元就の子であるが、秀吉と北政所に育てられており、秀吉は父親のようなもの。
大きな黒曜石のような大きな瞳をした彼が興味深く最新式の武器について尋ねる。
「おー秀包か! 殿下とかいらん。お主はワシの息子みたいなもんや。父上でええぞ!」
「じゃあ、父上! これ何ですのん?」
童顔の美男子・秀包は銃や大砲に興味津々である。
「これはよぉ、イスパニアから買ったキャノン砲やき。よし、戦終わったら全部、秀包にやるわ! 大切にせぇよ」
「きゃあ! 父ちゃん大好き!」
「ったく、無邪気な声する思うたら秀包かい? 元気やの」
立花宗茂と長宗我部信親がやってきた。
この世界線では信親も生きており、元親もまだまだ健在である。
秀包は宗茂と信親に無邪気にキャノン砲を自慢する。
その姿を秀吉と元親は微笑ましく見つめている。
「元親よぉ、若いってええな」
「左様にございますな……」
秀包は三成も呼び、四人で仲良く雑談していた。
「秀包はワシ、信親は秀長、宗茂は小六……三成はそれに当たるんがおらんが、若い時を思い出すわ。元親もやろ?」
「はい、戦前ではありますが……何故か幸せにございます」
秀吉は信親たちを我が子を見るかのように優しく見つめながら言う。
「実はな。あの四人と秀家を家康の位置を継がせて、直江兼続も含めて6人で国を任せようと思うとる……ええか?」
「さ、左様にございますか?」
秀吉は笑顔を崩さずにさらに言う。
「至極、当然や。申し分ないで」
元親は嬉しくなり、涙を流しながら喜ぶ。
「元親、堅苦しい話は終わりや。一緒に飲まんか? 一緒に子どものこと語らんか?」
竹中半兵衛は仙石秀久のことを信用しておらず、直接部隊を率いて出陣した。
それ故に無謀な戦いはなく、信親は戸次川での戦いを生き抜いていたのだ。
竹中半兵衛は疑問に感じていた。
ーーなぜ、明が対立していた女真族や朝鮮と手を組んでいる? 明の財政状況は悪いはずだ。裏に誰かいるのか?
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