【完結】「第一王子に婚約破棄されましたが平気です。私を大切にしてくださる男爵様に一途に愛されて幸せに暮らしますので」

まほりろ

文字の大きさ
15 / 22

15話「大好きです!」

しおりを挟む


――ミハエル・オーベルト視点――


「レーア様は傷物なんかじゃありません!レーア様はずっと僕の憧れで……!
女神のように尊い人で……!
だけど、僕はしがない地方の貧乏男爵で……僕と公爵家の令嬢であるレーア様では釣り合いが……」

握った手からレーア様のぬくもりが伝わってくる。

心臓がバクバク言ってる口から心臓が飛び出してしまいそうだ。

「私は身分など気にしません。
私はミハエル様を愛しております。
ミハエル様も私が好き。
愛し合うもの同士が結婚するのは自然の流れではないのですか?
それとも……昨日、私の手を好きといったのは嘘だったのですか?」

レーア様が涙で潤んだ瞳で僕を見る。

どうしよう!

レーア様を泣かせてしまった!

「嘘ではありません!
僕はレーア様が好きです!!
大好きです!!」

はっ……!

言ってしまった!

レーア様の目を見て好きだと言ってしまった……!

恥ずかしいよ!

恥ずかしくて死んじゃうよ……!

手で顔を覆いたいけど、レーア様に両手を握られているから、それもできないよ~~!

このときの僕の顔はりんごよりも真っ赤だったと思う。

「では、私との結婚を了承してくださるのですね?」

「はい、喜んで」

好きな人に手を握られて、目の前でにっこりと笑われたら、嫌だなんて言えるはずがない。

「やりましたわ! 
チェイ!
今度こそミハエル様の了承を確実にいただきましたわ!」

「私も聞きましたよお嬢様!
録音もばっちりです!
今度こそ絶対に言い逃れなどさせません!」

レーア様とチェイさんが手を取り合ってはしゃいでいる。

「よかったね、レーアちゃん。
わしもこれでようやく肩の荷が落ろせるよ」

髭を生やしたダンディーな紳士が現れた。

えっ? この人どこから現れたの??

というかどちら様ですか??

「お父様、どうしてこちらに?」

レーア様はダンディーな紳士を『お父様』と呼んだ。

ということは……このお方が剣歯虎サーベルタイガーすら一撃で殺すと噂されているカイテル公爵っっ!!

国王陛下が一目もに二目も三目も置いているという……あの有名なカイテル公爵っっ!!

「レーアちゃんのことが心配だから、見に来ちゃった」

カイテル公爵の口から『来ちゃった』という言葉が出るとは思わなかった。

カイテル公爵、可愛らしく言ったつもりなのでしょうが、全然可愛くないですよ。

「ついて来ないでと言ったのに……」

「レーアちゃん、冷たい」

カイテル公爵が瞳をうるうるさせる。

えっと……カイテル公爵って、こういうキャラなの?

僕が抱いていたイメージとちょっと違うな。

一つだけ分かったのは、カイテル公爵は親ばかだってこと。

しかも子離れできてないタイプの親ばかだ。

「チェイだってついてきているじゃないか」

「チェイは私のメイドなので、ついて来るなとは言えませんわ。
カイテル公爵家の当主であるお父様はべつです。
先触れもなくお父様がいらしたら、オーベルト男爵家の方々は驚いてしまいます。
ミハエル様もきっとご迷惑だと思っておりますわ」

レーア様、僕に話を振らないでください。

「ほう……そうか、オーベルト男爵の迷惑ね」

カイテル公爵が僕を見る。

その目は鷹が獲物を狩るときの目と同じだった。

「オーベルト男爵、いや義理の息子になるのだからミハエルくんと呼ばせてもらおう。
構わないかね?」

「ど、どうぞ……!」

今の僕は蛇に睨まれたカエル、嫌なんて言えるわけがない! 

「ミハエルくんは義理の父になるわしが、突然訪ねてきたら迷惑かね?
わしがここにいるのが邪魔だというのかね?」

カイテル公爵が殺気を含んだ目で僕を見据えた。

「ま、まさか……!
そそそそそそそそそそ、そんなことはありませんよ!
オーベルト男爵家にようこそ……お義父様!」
 
「はぁっ?
誰が『お義父様』だって?」

『お義父様』と呼んだ瞬間、カイテル公爵の目から殺人光線が出た!

振り向くと僕の後ろにあったガゼボの柱が溶けていた!

「すみません!
ようこそおいでくださいました!
カイテル公爵」

僕は慌てて言い直した。

「ほら~~、ミハエルくんもこう言ってわしを歓迎してくれてるじゃないか~~」

カイテル公爵は眉間に寄ったしわを瞬時に消して、ニコニコ笑顔でレーア様の方を向いた。

この人、変わり身が早いな。

「大勢で押しかけてすみませんね~~。オーベルト男爵~~」

カイテル公爵の後ろから、品のいいご婦人が現れた。

この方もどこから現れたんだろう??

すごく綺麗な人だな、どことなくレーア様に似てる。

「お母様まで、いらしていたの?」

「だって~、パパが暴走しないかママ心配で~~」

美しいご婦人はカイテル公爵夫人だった。

「私もミハエルくんて呼んでもいいかしら?」 

「どうぞ」

「ミハエルくん、ごめんなさい。
主人が迷惑をかけてしまって~。
怖くなかったかしら~?」

「大丈夫です」

おっとりしているように見えて、結構な力持ちさんなんだな。

「ほら、あなたも謝って~」

「ママ、わしは悪くないよ!」

カイテル公爵夫人は、カイテル公爵の首根っこを掴み、無理やり頭を下げさせた。

「ごめんなさいね~。
主人はまだ子離れが出来ていないのよ~。
特に娘のレーアのことは目の中に入れても痛くないくらい可愛いがっているから、時々暴走しちゃって~」

「はぁ……」

「私のことはお義母様って呼んでね」

「はい、お義母様」

「わしのことは絶対に『お義父様』とは呼ばないように!」

カイテル公爵に睨まれた。

「もうあなたったら~、ミハエルくんが萎縮しちゃうじゃない~」

お義母様がカイテル公爵の耳を引っ張った。

「いたたたた!
痛いよママ!」

なんとなくカイテル公爵家の力関係がわかったような気がする。 


☆☆☆☆☆
しおりを挟む
感想 113

あなたにおすすめの小説

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

「失礼いたしますわ」と唇を噛む悪役令嬢は、破滅という結末から外れた?

パリパリかぷちーの
恋愛
「失礼いたしますわ」――断罪の広場で令嬢が告げたのは、たった一言の沈黙だった。 侯爵令嬢レオノーラ=ヴァン=エーデルハイトは、“涙の聖女”によって悪役とされ、王太子に婚約を破棄され、すべてを失った。だが彼女は泣かない。反論しない。赦しも求めない。ただ静かに、矛盾なき言葉と香りの力で、歪められた真実と制度の綻びに向き合っていく。 「誰にも属さず、誰も裁かず、それでもわたくしは、生きてまいりますわ」 これは、断罪劇という筋書きを拒んだ“悪役令嬢”が、沈黙と香りで“未来”という舞台を歩んだ、静かなる反抗と再生の物語。

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

【完結】婚約破棄された悪役令嬢ですが、魔法薬の勉強をはじめたら留学先の皇子に求婚されました

楠結衣
恋愛
公爵令嬢のアイリーンは、婚約者である第一王子から婚約破棄を言い渡される。 王子の腕にすがる男爵令嬢への嫌がらせを謝罪するように求められるも、身に覚えのない謝罪はできないと断る。その態度に腹を立てた王子から国外追放を命じられてしまった。 アイリーンは、王子と婚約がなくなったことで諦めていた魔法薬師になる夢を叶えることを決意。 薬草の聖地と呼ばれる薬草大国へ、魔法薬の勉強をするために向う。 魔法薬の勉強をする日々は、とても充実していた。そこで出会ったレオナード王太子の優しくて甘い態度に心惹かれていくアイリーン。 ところが、アイリーンの前に再び第一王子が現れ、アイリーンの心は激しく動揺するのだった。 婚約破棄され、諦めていた魔法薬師の夢に向かって頑張るアイリーンが、彼女を心から愛する優しいドラゴン獣人である王太子と愛を育むハッピーエンドストーリーです。

もてあそんでくれたお礼に、貴方に最高の餞別を。婚約者さまと、どうかお幸せに。まぁ、幸せになれるものなら......ね?

当麻月菜
恋愛
次期当主になるべく、領地にて父親から仕事を学んでいた伯爵令息フレデリックは、ちょっとした出来心で領民の娘イルアに手を出した。 ただそれは、結婚するまでの繋ぎという、身体目的の軽い気持ちで。 対して領民の娘イルアは、本気だった。 もちろんイルアは、フレデリックとの間に身分差という越えられない壁があるのはわかっていた。そして、その時が来たら綺麗に幕を下ろそうと決めていた。 けれど、二人の関係の幕引きはあまりに酷いものだった。 誠意の欠片もないフレデリックの態度に、立ち直れないほど心に傷を受けたイルアは、彼に復讐することを誓った。 弄ばれた女が、捨てた男にとって最後で最高の女性でいられるための、本気の復讐劇。

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

婚約破棄だ!と言われ実家に帰ったら、最推しに餌付けされます

黒猫かの
恋愛
王国の第一王子クレイスから、衆人環視の中 で婚約破棄を言い渡されたローゼン侯爵令嬢ノエル。

始まりはよくある婚約破棄のように

喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」 学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。 ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。 第一章「婚約者編」 第二章「お見合い編(過去)」 第三章「結婚編」 第四章「出産・育児編」 第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始

処理中です...