【完結】「第一王子に婚約破棄されましたが平気です。私を大切にしてくださる男爵様に一途に愛されて幸せに暮らしますので」

まほりろ

文字の大きさ
18 / 22

18話「二人で参加する初めてのパーティ」

しおりを挟む
――レーア・カイテル視点――


――四カ月後――


私とミハエル様が婚約して半年が経ちました。

公爵家のご飯が美味しかったのか、お母様がミハエル様のご飯に何か混ぜたからなのかは分かりませんが、ミハエル様の身長はすくすくと伸びています。

出会ったころ、私と同じぐらいの背丈だったミハエル様は、私の身長を追い抜き、今では私を見下ろせるほど大きくなられた。

家庭教師の元で猛勉強している甲斐があり、会話も以前より理知的なものになった。

マナーの特訓をしているからか、立ち居振る舞いが以前にくらべ格段に洗練されています。





「レーアちゃんと~、ミハエルくんに、パーティの招待状が届いているわ~。
パーティが開催されるのは一カ月後」

ミハエル様とのお茶会のあと、応接室に来るように言われた。

ミハエル様と共に応接室に入ると、仏頂面でミハエル様を睨むお父様と、ニコニコ笑顔で出迎えてくださるお母様がいらっしゃいました。

「ミハエルくんの教育の途中だし~、断ろうかしら~」

「私は行きたいです! 
ミハエル様を婚約者として紹介したいです」

パーティならミハエル様とずっと一緒にいられますし、ミハエル様とダンスも踊れます。

「ミハエルくんはどう? 
勉強が忙しいなら断ってもいいのよ~?」

ミハエル様の手を握り、パーティに行きたいわ~~という念を送る。

「僕は、レーア様が行きたいとおっしゃるのなら一緒に行きたいです」

「あら~、じゃあ出席することに決まりね~」

ミハエル様と一緒に参加する初めてのパーティ。

気合を入れて準備しなくては!

「お母様、私ミハエル様とお揃いの衣装が着たいわ」

「あら~、いいわね~」

「パパもレーアちゃんとお揃いの衣装がいいな」

「お父様はお母様とお揃いの衣装を着てください」

「冷たい、レーアちゃんは冷たいよ。
ママ~、レーアちゃんの反抗期かな?」 

「あら~、この年頃ならこのくらいの反応は~、普通ですよ~」 

「レーア様、実は僕はパーティ用のジュストコールを一着しか持ってなくて……。
男爵家には新しいジュストコールを作る予算はないんです。
ですから、レーア様とお揃いの衣装は……」

ミハエル様が悲しげなお顔をなされた。

「お金の心配はいりません。
先月男爵領に出現した、キングトロルを五十、六十匹ほど倒してきたので、今私の懐は暖かいのです」

「えっ?
男爵家の領地にキングトロルが出現したんですか?
それをレーア様がお一人で退治されたんですか?」

「私はそう遠くない未来、男爵家に嫁ぐ身。
婚約者の領地を守るのは当然ですわ」

私は胸を張って答えた。

「…………」

もしかしてミハエル様にドン引かれた?

キングトロルを一人で倒したなんて、はしたないと思われたかしら?

それとも、凶暴な女だと思われたかしら?

「レーア様」

ミハエル様に手を握られた。

「はい」

「お怪我はありませんでしたか?」

「はい?」

「これからは、お一人でキングトロルを退治するなんて無茶はなさらないでください」

「ミハエル様は、キングトロルを一人で倒した私が恐ろしくはありませんの?」

「いいえ、全く。
レーア様がドラゴンやキメラをお一人で倒しても、僕はレーア様を恐ろしいとは思いません」

「ミハエル様」

胸がキューーーーンと音を立てる。

「これからはレーア様の支えになれるよう、僕も剣術を習おうと思います」

「まあ、素敵。
では私が稽古を……」

「ハハハ、レーアちゃん。
剣術の稽古はわしがするよ。
なんたってわしは『剣神』のスキル持ちだからね」

お父様はニコニコと笑っているのに、額には無数の青筋を立てていた。

お父様の前でミハエル様とイチャイチャしたのは失敗でしたわ。

「ミハエルくん、今日からわしがビシバシ! びしばし! びっしばっし! しごくから覚悟してね」

「お父様にビシバシしごかれたらミハエル様が死んでしまいますわ」

「大丈夫です、レーア様。
僕はやります!
レーア様を守れる男になりたいんです!」

「ミハエル様……!」

私の胸がキュンキュンっ音を立てる。

「ミハエルくんが~、死なないように~、私がパパを監視するから大丈夫よ~」

お母様が見張ってくれるなら、ミハエル様が命を落とすことはありませんね。

「ところでミハエル様、ダンスのレッスンは進んでいまして?」

パーティではミハエル様と三曲は踊りたいわ。

「それが……あまり。
頑張ってはいるのですが……」

「でしたら、ミハエル様のダンスのレッスンは私がします!」

「レーア様が?」

「私ダンスは得意なのです」

ダンスの練習にかこつけてミハエル様とイチャイチャできますわ。

「パパは反対!
若い男女が、密室で体をくっつけるなんて良くないよ!」

お父様が反対の声を上げた。

「なら~、ダンスはママが教えるわ~。
ものすっごく厳しいダンスの先生を呼んで~、ミハエルくんをビシビシきたえるわ~」

お母様は普段はおっとりしているが、ダンスに関しては厳しいのよね。

「ミハエル様。
剣術の特訓とダンスの練習を一緒にやるのは大変ではありませんか?
やはり次のパーティは欠席……」

「レーア様、心配して下さりありがとうございます!
でも僕は剣術とダンスの練習どちらも受けます!
公爵令嬢で完璧な淑女で高嶺の花のレーア様と結婚するには、これぐらいの試練を、難なく乗り越えられなくてはいけないんです!」

ミハエル様、婚約したばかりの頃は頼りなかったのに、こんなにご立派になられて……。

ミハエル様の凛々ししさに、見惚れてしまいました。

「分かりました。
絶対に死なないでくださいね!」

「レーア様と結婚して、子供を作って、その子が成長して結婚して子供を作るまでは死ねません!」

ミハエル様と私の子供、その子と伴侶が作った孫……素敵な響きですわ。

「パパはレーアちゃんとミハエルくんの子作りを認めないよ!」

「あら~? 
じゃあパパは孫の顔を見れなくてもいいのね~?」

「それはいやーー!
孫の顔は見たいーー!」

「なら~、レーアちゃんとミハエルくんの子作りを認めてあげないとね~。
その前に結婚が先ね~」

お父様は、「孫の顔は見たいけど、レーアちゃんをお嫁に出すのは嫌~~」と呟いていた。

ミハエル様は子作りを具体的に想像してしまったようで、お顔の色が真っ赤でした。








――一カ月後――


「えっ……?
ミハエル様……ですの?」

一カ月振りにお会いしたミハエル様は、体格がしっかりとされ、強い剣士だけがまとうオーラを放っていた。

目は穏やかなのに、強者の風格を醸し出している。

「あまりにたくましくなられたので、思わず見惚れてしまいましたわ」

そう言って、ミハエル様の手を握ると、ミハエル様のお顔が朱色に染まった。

うぶなところは変わっていなくて、ほっとしました。

「レーア様に釣り合う男になりたくて、カイテル公爵との特訓に耐えました」

「何も持っていない時からミハエル様はかっこよかったですよ。
私の為に、元第一王子に立ち向かってくれたのですから」

「でもあのあと気を失ってしまいました。
僕はもっと強くなって、全ての者からレーア様を守れる男になりたいのです!」

「まあ、素敵!
頼もしいわ!」

ミハエル様に惚れ直してしまいました。

その後、私はミハエル様の瞳の色の黒のドレスを纏いました。

ミハエル様は私の瞳の色の緑のジュストコールを纏い、会場に向かう馬車に乗りました。

フランツ・クラウゼにデザインさせた、お揃いの衣装です。

ミハエル様と参加する初めてのパーティ。

今からとても楽しみです。



しおりを挟む
感想 113

あなたにおすすめの小説

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

「失礼いたしますわ」と唇を噛む悪役令嬢は、破滅という結末から外れた?

パリパリかぷちーの
恋愛
「失礼いたしますわ」――断罪の広場で令嬢が告げたのは、たった一言の沈黙だった。 侯爵令嬢レオノーラ=ヴァン=エーデルハイトは、“涙の聖女”によって悪役とされ、王太子に婚約を破棄され、すべてを失った。だが彼女は泣かない。反論しない。赦しも求めない。ただ静かに、矛盾なき言葉と香りの力で、歪められた真実と制度の綻びに向き合っていく。 「誰にも属さず、誰も裁かず、それでもわたくしは、生きてまいりますわ」 これは、断罪劇という筋書きを拒んだ“悪役令嬢”が、沈黙と香りで“未来”という舞台を歩んだ、静かなる反抗と再生の物語。

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

【完結】婚約破棄された悪役令嬢ですが、魔法薬の勉強をはじめたら留学先の皇子に求婚されました

楠結衣
恋愛
公爵令嬢のアイリーンは、婚約者である第一王子から婚約破棄を言い渡される。 王子の腕にすがる男爵令嬢への嫌がらせを謝罪するように求められるも、身に覚えのない謝罪はできないと断る。その態度に腹を立てた王子から国外追放を命じられてしまった。 アイリーンは、王子と婚約がなくなったことで諦めていた魔法薬師になる夢を叶えることを決意。 薬草の聖地と呼ばれる薬草大国へ、魔法薬の勉強をするために向う。 魔法薬の勉強をする日々は、とても充実していた。そこで出会ったレオナード王太子の優しくて甘い態度に心惹かれていくアイリーン。 ところが、アイリーンの前に再び第一王子が現れ、アイリーンの心は激しく動揺するのだった。 婚約破棄され、諦めていた魔法薬師の夢に向かって頑張るアイリーンが、彼女を心から愛する優しいドラゴン獣人である王太子と愛を育むハッピーエンドストーリーです。

もてあそんでくれたお礼に、貴方に最高の餞別を。婚約者さまと、どうかお幸せに。まぁ、幸せになれるものなら......ね?

当麻月菜
恋愛
次期当主になるべく、領地にて父親から仕事を学んでいた伯爵令息フレデリックは、ちょっとした出来心で領民の娘イルアに手を出した。 ただそれは、結婚するまでの繋ぎという、身体目的の軽い気持ちで。 対して領民の娘イルアは、本気だった。 もちろんイルアは、フレデリックとの間に身分差という越えられない壁があるのはわかっていた。そして、その時が来たら綺麗に幕を下ろそうと決めていた。 けれど、二人の関係の幕引きはあまりに酷いものだった。 誠意の欠片もないフレデリックの態度に、立ち直れないほど心に傷を受けたイルアは、彼に復讐することを誓った。 弄ばれた女が、捨てた男にとって最後で最高の女性でいられるための、本気の復讐劇。

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

婚約破棄だ!と言われ実家に帰ったら、最推しに餌付けされます

黒猫かの
恋愛
王国の第一王子クレイスから、衆人環視の中 で婚約破棄を言い渡されたローゼン侯爵令嬢ノエル。

始まりはよくある婚約破棄のように

喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」 学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。 ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。 第一章「婚約者編」 第二章「お見合い編(過去)」 第三章「結婚編」 第四章「出産・育児編」 第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始

処理中です...