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改稿前
十二話「リーゼロッテは船内で大人気」
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※設定の一部を変更しました。
アンドヴァラナウトの指輪の効果を魔力量を十倍に出来ると書いたのですが、百倍に変更しました。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「押さないで順番だよ!」
「横入りするな! ちゃんと並べ!」
「オレの足の怪我を見てくれ!」
「わたしの腰痛も……!」
「わしの魚の目の治療も頼む!」
甲板で魚に襲われた船員さんを治療したのが話題になり、人が押し寄せてきました。
船員さんに部屋を用意してもらい、そこが急仕立て治療院に早変わり。
デリーさんとゲレさんが押し寄せる患者の整理をしてくださってます。
皆さん事情を聞くと、ハルシュタイン国の聖女を頼って海を越えて大金を払って治療してもらったが効果がなかった。
貧しくて怪我をしていても治療院に行けない、というものでした。
元最高聖女として、今まで聖女としての役目を他の聖女に押し付けてきた責任を感じます。
お金と時間をかけてハルシュタイン国に来てくださったのに、治療の効果がなかったなんて……やはり昨日まで聖女をしていた身としては放っておけません。
そして皆さんの口から多く上がる名前が「ミラ」なのです。姉として、妹が不完全な治療を施した人たちを放置できません。
「おいそこっ! 割り込むなって言ってるだろ!」
二十人ほど治療した頃、デリーさんが声を荒げました。廊下で騒いでる人がいるみたいです。
「そうは言っても聖女様の魔力にだって限りがあるだろ? 俺は飾り職人なのに火傷して指が動かないんだ! なんとかしてくれ!」
「そんなこと言ったらあたしの娘は顔に大きな切り傷があるんだよ! まだ十歳なのに! これじゃ嫁に行けないよ!」
「わしの腕の骨折を治すのが先じゃ!!」
治療の順番を巡って争っているようです。
デリーさんとゲレさんが順番を守るように言っていますが、あまり効果はないようです。
「あの、一日千人までなら治療できます、だから順番を守るように言っていただけますか?」
「一日千人……!」
廊下の騒ぎがおさまり静かになった。
「今日中に治療できなかった方は、明日治療します。だから争わないでください」
船がブルーメ大陸につくまでは数日かかる。その間に全ての人を治療できるはず。
「そ……そういうことなら」
「順番を守らないとな……」
「おじいさんお先にどうぞ」
「これはすまんのう」
先程まで順番を争っていた乗客たちが、順番を守り出した。お年寄りに順番を譲るものまでいる。
「皆さんが理解してくれてよかった」
皆がルールを守ってくださったので、ホッと胸をなで下ろす。
「リーゼロッテあんたそんなに魔力量が高かったのかい?」
「最大・回復《ベッセルング》が使えるだけでもすげぇのに、一日千人治療できるとか……規格外だな」
デリーさんとゲレさんが私を見て呆然としていました。
他の聖女の方は一日に何人ぐらい治療していたのでしょうか?
王宮の奥で一人ひっそりと暮していて、他の聖女と接点がなかったのでよく分かりません。
デリーさんは大げさですね、私が最大・回復《ベッセルング》を習得したのは七歳のときです。きっと王宮に仕える聖女ならほとんどの人が使えたはず。
陛下は「リーゼロッテの魔力量が多い」とおっしゃって褒めてくださいましたが、それでも人の十倍から三十倍ぐらいでしょう。
だからアンドヴァラナウトを装備して、魔力量が百倍になった妹に国中に結界を張る仕事を任せて、国を出ることが出来たのですから。
アンドヴァラナウトの指輪の効果を魔力量を十倍に出来ると書いたのですが、百倍に変更しました。
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「押さないで順番だよ!」
「横入りするな! ちゃんと並べ!」
「オレの足の怪我を見てくれ!」
「わたしの腰痛も……!」
「わしの魚の目の治療も頼む!」
甲板で魚に襲われた船員さんを治療したのが話題になり、人が押し寄せてきました。
船員さんに部屋を用意してもらい、そこが急仕立て治療院に早変わり。
デリーさんとゲレさんが押し寄せる患者の整理をしてくださってます。
皆さん事情を聞くと、ハルシュタイン国の聖女を頼って海を越えて大金を払って治療してもらったが効果がなかった。
貧しくて怪我をしていても治療院に行けない、というものでした。
元最高聖女として、今まで聖女としての役目を他の聖女に押し付けてきた責任を感じます。
お金と時間をかけてハルシュタイン国に来てくださったのに、治療の効果がなかったなんて……やはり昨日まで聖女をしていた身としては放っておけません。
そして皆さんの口から多く上がる名前が「ミラ」なのです。姉として、妹が不完全な治療を施した人たちを放置できません。
「おいそこっ! 割り込むなって言ってるだろ!」
二十人ほど治療した頃、デリーさんが声を荒げました。廊下で騒いでる人がいるみたいです。
「そうは言っても聖女様の魔力にだって限りがあるだろ? 俺は飾り職人なのに火傷して指が動かないんだ! なんとかしてくれ!」
「そんなこと言ったらあたしの娘は顔に大きな切り傷があるんだよ! まだ十歳なのに! これじゃ嫁に行けないよ!」
「わしの腕の骨折を治すのが先じゃ!!」
治療の順番を巡って争っているようです。
デリーさんとゲレさんが順番を守るように言っていますが、あまり効果はないようです。
「あの、一日千人までなら治療できます、だから順番を守るように言っていただけますか?」
「一日千人……!」
廊下の騒ぎがおさまり静かになった。
「今日中に治療できなかった方は、明日治療します。だから争わないでください」
船がブルーメ大陸につくまでは数日かかる。その間に全ての人を治療できるはず。
「そ……そういうことなら」
「順番を守らないとな……」
「おじいさんお先にどうぞ」
「これはすまんのう」
先程まで順番を争っていた乗客たちが、順番を守り出した。お年寄りに順番を譲るものまでいる。
「皆さんが理解してくれてよかった」
皆がルールを守ってくださったので、ホッと胸をなで下ろす。
「リーゼロッテあんたそんなに魔力量が高かったのかい?」
「最大・回復《ベッセルング》が使えるだけでもすげぇのに、一日千人治療できるとか……規格外だな」
デリーさんとゲレさんが私を見て呆然としていました。
他の聖女の方は一日に何人ぐらい治療していたのでしょうか?
王宮の奥で一人ひっそりと暮していて、他の聖女と接点がなかったのでよく分かりません。
デリーさんは大げさですね、私が最大・回復《ベッセルング》を習得したのは七歳のときです。きっと王宮に仕える聖女ならほとんどの人が使えたはず。
陛下は「リーゼロッテの魔力量が多い」とおっしゃって褒めてくださいましたが、それでも人の十倍から三十倍ぐらいでしょう。
だからアンドヴァラナウトを装備して、魔力量が百倍になった妹に国中に結界を張る仕事を任せて、国を出ることが出来たのですから。
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