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改稿前
13話「港町」
しおりを挟む船に乗って六日目の早朝、無事にブルーメ大陸のルーデンドルフ帝国に着くことが出来ました。
船員さんと乗客の皆さんに何度も「ありがとうございます」と言われ、頭を下げられました。
なんだか心の奥がこそばゆいです。いいことをするとこんな気持になるのですね。
船員さんと乗客を合わせても千人もいなかったので、忙しかったのは二日間だけで残りの日数はのんびりと船旅を楽しむことができました。
船員さんが船で一番豪華な部屋に無料で泊めて下さり、ご飯もただにしてくださいました。
初日に釣りをしていた船員さんを助けただけなのに、船員さんたちはとても親切にしてくださいました。
そういえば船長さんの顔の古い切り傷を治したり、船員さんの腕や足の不調を治療したりしましたね。豪華な部屋はそのお礼だったのでしょうか?
船員さんや乗船客の中には私のことを「聖女様」や「女神様」と呼ぶ方がいらして、気恥ずかしくなりました。私はもう聖女ではないですし、女神だなんて恐れ多いです。
船員さんたちと乗客のみなさんがお金を出し合って、馬車を借りてくださいました。
二頭建ての立派な馬車です。
帝都まで歩いていくつもりだったので、助かりました。
それからパンやチーズやジュースなどのお土産もたくさんも頂いてしまいました。
この旅を始めてから、心のきれいな人ばかりに出合います。
「すまないねえ、あたしたちまで乗せてもらって」
「いえ行く方向が同じですし、私この国のこと何も知らないのでデリーさんとゲレさんに一緒に来ていただけると助かります」
港町から帝都までは馬車で半日ほどかかるそうです。
私はブルーメ大陸のこともルーデンドルフ帝国の事を何も知らない。なのでこの国に詳しいデリーさんとゲレさんが一緒に来てくれて心強い。
「オレたちは帝都にある自宅に帰るだけなんだか、リーゼロッテは何しに帝都に行くんだ?」
「帝都に知り合いがいるんです、手紙を貰ったので会いに行こうかと」
「あら、やだ恋人!」
ゲレさんが目をキラキラさせて見つめてくる。
「えっ……?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「いえ、ただの友達です」
アルドリック様は仲の良かったお友達です、恋人だなんて言ったらアルドリック様がお気を悪くしてしまいます。
でもなんでしょう? アルドリック様を【恋人】と言われたとき、胸がドキドキしました……? 気のせいでしょうか?
「リーゼロッテの恋人か~~。軟弱な男だったり女をとっかえ引っ変えしてるクズだったら、一発殴ってやんねぇとな!」
デリーさんが物騒なことをおっしゃり指をポキポキとならしています。
「そうだね、だめ男だったら真人間に更生してやらないとね。どうにもならないようなカス男だったら別の男を紹介してあげるよ。あたしはこう見えて騎士や文官に知り合いが多いんだよ」
ゲレさんが口に手を当て「ふふふ」と楽しげに笑っています。
なぜかアルドリック様が私の恋人と言うことになってしまいました。
アルドリック様をお二人に合わせて大丈夫でしょうか?
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