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本編
無自覚爆弾
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落ち着きを取り戻した爺さんが尋ねる。
「それで、カカオニブからどんなレシピを練っているのだ?」
「練る。まさしくそれです!」
爺さんが難しい顔をする。別に難しいことではない。
「カカオニブを食べた時に何か感じませんでしたか?」
「カフィのようなほろ苦さに……木の実のような油も感じる」
「そうです! 油です。カカオニブには意外と油があると感じました。これを湯煎で磨り潰しながら練れば、ペースト状になるかなと。そこからきっと別物ができると考えたのです」
「ふむ……苦いダマを作ってどうするのだ?」
苦いダマって言い方……カカオマスです! カカオマス!
「そこからは作ることが出来たら教えます」
「ふむ。お主にもきちんと構想があったのだな」
「いつもちゃんと考えていますが……」
「突拍子もないことを毎回やっているように見えるがな」
私は前世の記憶のチートで生きているから……そう思われても仕方ないかもしれない。前世の記憶がなかったら、カカオニブをチョコレートという美味しい物に進化させることはできなかった。
オーレリア王女はブルガル王国では、飲み物にカカオニブを入れると言っていた。なので、この世界ではいわゆるココア辺りまでは進んでいるのではないかと思う。だが、見聞きする感じ、私の知るチョコレートにはまだ辿り着いていないと思う。そうだとしたら革新的なレシピになると思うけど……カカオの販売権がブルガルの王族にある以上、これの取り扱いについては悩ましい。
爺さんもそのことは分かっているみたいだが、チョコレートのレシピが完成してから対策を考えると言われた。
「それで、ブルガルの王女殿下から他に何か情報は得られたのか?」
「他に……」
レオさんがハニートラップされそうって情報はあるけど、これは爺さんにいろいろ質問タイムを食らいそうなので共有できない。言葉の壁の話とか……爺さんにマルチリンガルのことなんて知られた日には私の馬車馬コースが決定しそうだ。
「なんだ。何かあるのか」
「他には特になかったと思います。ギルド長は、王太子殿下とどのようなお話をされたのですか?」
「う、うむ。特に何か特別な話はなかったな……」
爺さんが視線を逸らしながら言う。怪しい……
あのレオさんと話をして、何もなかったなんてことがあるのだろうか。レオさんから解放された時に見せた爺さんの安堵した表情は逃がさなかった。爺さんも私と同じで共有できない会話だったのだろう。
「お互い大変でしたね」
「ほぼお主のせいだがな」
「ギルド長を先に誘ったのは王太子殿下です。私はそれに便乗しただけです」
爺さんが睨む中、口角を上げながら言う。事実、オーレリア王女に誘われなかったとしても、自国の王太子様の誘いなど断ることは爺さんも私もできなかった。爺さんはどの道、レオさんの相手をする運命だったのだ。
爺さんが首を鳴らしながら言う。
「ああ、そうだ……王太子殿下から夕食に誘われている。日にちは未定だが、アジュール滞在中という話だったので近日中であろう」
「そうなんですね。ギルド長も大変ですね」
「お主、何を他人事のように言っている。お主も来るようにと、念を押されたぞ」
「え? どうして私まで……」
「お主、自分の行動を胸に手を当てて考えれば分かるであろう」
胸に手を当てて考えてみたけど……そこまでレオさんに夕食に誘われる要素なんかあったかな?
首を傾げていたら、爺さんの大きなため息が聞こえた。
「無自覚爆弾が……」
爺さんの独り言は聞こえなかった。
「それで、カカオニブからどんなレシピを練っているのだ?」
「練る。まさしくそれです!」
爺さんが難しい顔をする。別に難しいことではない。
「カカオニブを食べた時に何か感じませんでしたか?」
「カフィのようなほろ苦さに……木の実のような油も感じる」
「そうです! 油です。カカオニブには意外と油があると感じました。これを湯煎で磨り潰しながら練れば、ペースト状になるかなと。そこからきっと別物ができると考えたのです」
「ふむ……苦いダマを作ってどうするのだ?」
苦いダマって言い方……カカオマスです! カカオマス!
「そこからは作ることが出来たら教えます」
「ふむ。お主にもきちんと構想があったのだな」
「いつもちゃんと考えていますが……」
「突拍子もないことを毎回やっているように見えるがな」
私は前世の記憶のチートで生きているから……そう思われても仕方ないかもしれない。前世の記憶がなかったら、カカオニブをチョコレートという美味しい物に進化させることはできなかった。
オーレリア王女はブルガル王国では、飲み物にカカオニブを入れると言っていた。なので、この世界ではいわゆるココア辺りまでは進んでいるのではないかと思う。だが、見聞きする感じ、私の知るチョコレートにはまだ辿り着いていないと思う。そうだとしたら革新的なレシピになると思うけど……カカオの販売権がブルガルの王族にある以上、これの取り扱いについては悩ましい。
爺さんもそのことは分かっているみたいだが、チョコレートのレシピが完成してから対策を考えると言われた。
「それで、ブルガルの王女殿下から他に何か情報は得られたのか?」
「他に……」
レオさんがハニートラップされそうって情報はあるけど、これは爺さんにいろいろ質問タイムを食らいそうなので共有できない。言葉の壁の話とか……爺さんにマルチリンガルのことなんて知られた日には私の馬車馬コースが決定しそうだ。
「なんだ。何かあるのか」
「他には特になかったと思います。ギルド長は、王太子殿下とどのようなお話をされたのですか?」
「う、うむ。特に何か特別な話はなかったな……」
爺さんが視線を逸らしながら言う。怪しい……
あのレオさんと話をして、何もなかったなんてことがあるのだろうか。レオさんから解放された時に見せた爺さんの安堵した表情は逃がさなかった。爺さんも私と同じで共有できない会話だったのだろう。
「お互い大変でしたね」
「ほぼお主のせいだがな」
「ギルド長を先に誘ったのは王太子殿下です。私はそれに便乗しただけです」
爺さんが睨む中、口角を上げながら言う。事実、オーレリア王女に誘われなかったとしても、自国の王太子様の誘いなど断ることは爺さんも私もできなかった。爺さんはどの道、レオさんの相手をする運命だったのだ。
爺さんが首を鳴らしながら言う。
「ああ、そうだ……王太子殿下から夕食に誘われている。日にちは未定だが、アジュール滞在中という話だったので近日中であろう」
「そうなんですね。ギルド長も大変ですね」
「お主、何を他人事のように言っている。お主も来るようにと、念を押されたぞ」
「え? どうして私まで……」
「お主、自分の行動を胸に手を当てて考えれば分かるであろう」
胸に手を当てて考えてみたけど……そこまでレオさんに夕食に誘われる要素なんかあったかな?
首を傾げていたら、爺さんの大きなため息が聞こえた。
「無自覚爆弾が……」
爺さんの独り言は聞こえなかった。
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