1,391 / 2,962
第三世代
新編 穏やかな表情
しおりを挟む
新暦〇〇三四年三月十日
正直、地味で変わり映えしない毎日が続く。興味もない人間がそんなのを見せられたら、確かに苦痛にもなるだろう。でも俺はそんな赤の他人の苦痛よりも、自分の家族の心情を優先する。絵的に派手なイベントで麗の気持ちを強引に切り替えさせようとも思わない。
普通のフィクションならそれで上手くいくんだろうが、現実ではそんなものが上手くいく保証はどこにもない。で、上手くいかなかった時には、
『どうして分かってくれないんだ!?』
とキレるんだろう? はっきり言ってそんなもの、やられた方としては迷惑以外の何物でもないだろうな。自分が望んでもないやり方をされて、『これで立ち直れ!』とか強要されるなんて、意味が分からない。そのデリカシーのなさが不快なんだとなんで分からないのかが分からない。
そうして俺達は、丁寧に麗に接し、陽と和のフォローも丁寧に行った。
その一方、新の方はどうしているかと言うと、少し寂しそうにしている時もありつつ、同時に、麗に煩わされることがなくなったのが良かったのか、すごく穏やかな表情をしているのが、あんずやますらおのカメラに捉えられていた。
やっぱり、新にとっては麗の気持ちは負担だったんだな。
とは言え、麗のことが嫌いというわけじゃないのも確かだろう。普通なら成長と共に親にじゃれつくのが収まっていくはずが別の意味で滅茶苦茶じゃれつかれるようになって、しかもそれがいつ終わるとも知れないという状態だったことで、さすがに疲れてしまったんだろう。
あくまで子供として仲間として麗にじゃれつかれている間は、迷惑そうにはしていなかった。麗が新を雄と見做して気持ちを向けるようになってきてからだ。新が戸惑った様子を見せだしたのは。
そう。麗が<子供>だった間は良かったんだ。成長すれば自然と離れていくから。なのに、離れていくどころか熱烈なアピールをするようになったんだもんな。無理もないのか。
俺達の集落で暮らしていた時にも、基本的には自分のことは自分でしていた新は、アカトキツユ村に移ってからも、これといってあんずとますらおを煩わせることもなかった。あんずとますらおの家の片隅を自分の寝床にして休み、朝になれば勝手に自分で食事をしに行って、パパニアンが虫除けのために塗り、白い毛を維持するのにも役立っている木の実を塗って手入れをするのも自分でやる。ただそれについては、手が届かない部分については、あんずに手伝ってもらったりもしているが、まあそれくらいはな。
正直、地味で変わり映えしない毎日が続く。興味もない人間がそんなのを見せられたら、確かに苦痛にもなるだろう。でも俺はそんな赤の他人の苦痛よりも、自分の家族の心情を優先する。絵的に派手なイベントで麗の気持ちを強引に切り替えさせようとも思わない。
普通のフィクションならそれで上手くいくんだろうが、現実ではそんなものが上手くいく保証はどこにもない。で、上手くいかなかった時には、
『どうして分かってくれないんだ!?』
とキレるんだろう? はっきり言ってそんなもの、やられた方としては迷惑以外の何物でもないだろうな。自分が望んでもないやり方をされて、『これで立ち直れ!』とか強要されるなんて、意味が分からない。そのデリカシーのなさが不快なんだとなんで分からないのかが分からない。
そうして俺達は、丁寧に麗に接し、陽と和のフォローも丁寧に行った。
その一方、新の方はどうしているかと言うと、少し寂しそうにしている時もありつつ、同時に、麗に煩わされることがなくなったのが良かったのか、すごく穏やかな表情をしているのが、あんずやますらおのカメラに捉えられていた。
やっぱり、新にとっては麗の気持ちは負担だったんだな。
とは言え、麗のことが嫌いというわけじゃないのも確かだろう。普通なら成長と共に親にじゃれつくのが収まっていくはずが別の意味で滅茶苦茶じゃれつかれるようになって、しかもそれがいつ終わるとも知れないという状態だったことで、さすがに疲れてしまったんだろう。
あくまで子供として仲間として麗にじゃれつかれている間は、迷惑そうにはしていなかった。麗が新を雄と見做して気持ちを向けるようになってきてからだ。新が戸惑った様子を見せだしたのは。
そう。麗が<子供>だった間は良かったんだ。成長すれば自然と離れていくから。なのに、離れていくどころか熱烈なアピールをするようになったんだもんな。無理もないのか。
俺達の集落で暮らしていた時にも、基本的には自分のことは自分でしていた新は、アカトキツユ村に移ってからも、これといってあんずとますらおを煩わせることもなかった。あんずとますらおの家の片隅を自分の寝床にして休み、朝になれば勝手に自分で食事をしに行って、パパニアンが虫除けのために塗り、白い毛を維持するのにも役立っている木の実を塗って手入れをするのも自分でやる。ただそれについては、手が届かない部分については、あんずに手伝ってもらったりもしているが、まあそれくらいはな。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる