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16歳(2回目)
10、アドの街の為に戦うつもりがなくとも家族に危険が迫れば
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◆
このアドの街へのトロール転移事件の黒幕の狙いはアドの街を破壊する事だ。
住民の虐殺はついでで、本命は豪商ジョイロを逮捕した警備隊の兵舎や第1王子派の執政官が居る官庁だった。
本当はペラペラと口を割って総てを台無しにしてくれたジョイロを殺害したかったが、あの男は王都シケンラの王宮に居る国王のリチャードがその証言を耳にした時点で騎士団の精鋭が派遣されて王都シケンラに移送されていたので手が出せない。
お陰で腹いせにアドの街の住民と官庁と警備隊の兵舎が狙われていた。
警備隊の兵舎に転送されたトロールは全部で3匹だ。1匹は運悪く警備隊の建造物に着地し、トロールの重さに耐え兼ねた建造物が崩壊。大惨事となっていた。
今夜が夏祭りなのも災いした。
運良く休みの取れた警備隊員は当然、夏祭りに繰り出しており、勤務中の警備隊も治安出動の為に殆どが祭りの警備に出払っていたのだから。
警備隊の兵舎にはごく少数の隊員しか残っていなかった。
その少数はトロールに戦いを挑み、救援が到着する前に敗死する事となったのだった。
◆
トロール転移事件の実行犯を捕縛した王室親衛隊は「任務達成だな、ほな」とアドの街を見捨てて帰る事はせず、4人は捕縛した2名の身柄の番として残り、他の4人1チームがトロールの撃破に出向いた。
アドの街では冒険者や地方財閥のゼルフ商会の傭兵団、それに剣役経験者の勇士が武器を手に「ぐああ」「ぎゃあ」と被害を出しながらもどうにか足止め、または撃破していた。
そこに王室親衛隊の登場だ。別に一騎当千ではなかったが、それでも魔玉(魔石の上位)が嵌め込まれた武具からして強力だ。トロールを1匹ずつ撃破していった。
王室親衛隊やアドの街の勇士が駆け付ける前に警備隊の兵舎を襲ったトロール3匹は戻ってきた警備隊200人が必死に戦って撃破し、どうにか面目を保っていた。
もし手助けなどされた日には一生酒場で笑い話の肴にされるので。
それでも被害は甚大で100人以上が戦死したのだった。
そして、
◇
アドの街の東の城門前広場にカーター達は居た。肩に父親のディーを担ぎ、周囲には妻のアン、母親のアリッサ、妹のジェニーが居る。
カーター達だけではなく城門前広場に逃げてきた祭りに参加していた群衆が500人以上居て、その全員が不安そうだ。
不安に思うのは当然の心理だ。安全だ、と思っていた城壁の内側にモンスターが現れたのだから。
だが、その中でカーターはと言えば、アドの街が惨劇に見舞われた事で御機嫌で油断すれば鼻歌を歌いそうだったので意識的に我慢していた。
もっと破壊しろ。住民を殺しまくれ。
1回目の負け犬人生の苦節でそんな事を思うくらい性格がねじくり曲がっていたのだった。
「怖いわ、カーター」
「大丈夫だよ、アン」
チュ、チュッと何度もキスをしてアンを勇気付けているとお年頃の妹のジェニーが、
「ちょっとお兄ちゃん? 義姉さんが好きだからって私の前では止めてよね。お兄ちゃんがキスしているところなんて見たくないから」
「悪かったよ」
そう謝罪しながらも1回目の守れなかった人生の記憶があるカーターは「絶対に母親と妹は守る」と強く誓ったのだった。
「おいおい、嘘だろ」
東の城門前広場に居る中年男がそう絶望の声を出し「何事だ」と見れば、直線の表通りからトロール1匹がドシン、ドシンとカーター達がいる東の城門前広場に接近しているのが見えた。
「城門を開けてよ。死にたくないんだからっ!」
「城壁の上に居る兵士。下りてきて戦えっ!」
「そうだそうだ」
「戦う気がないなら、せめてオレ達にその武器をくれ」
トロールの接近に城門前広場の群衆が騒ぎ出す中、
(チッ、こっちに来るなよな。向こうで住民を殺せばいいものを)
担いでいた父親のディーを下ろしたカーターは、
「仕方ない」
トロールの接近すら許さず、右手に雷撃を溜めてトロールに放ったのだった。
強烈な雷撃を浴びた遠くにいるトロールはその一撃で、ぐんんのおおおおお、との断末魔を上げてドシンッと前のめりに倒れたのだった。
「へっ?」
「凄い」
「マジでか」
東の城門前広場でトロールの接近に絶望していた群衆達がカーターを見て、
「おおお、アンちゃん、凄えなっ!」
「助かったわ、ありがとう」
「これ食べていいよ」
褒め称えたのだった。
褒められて満更でもないカーターは、
「ど、どうも」
1回目の後半が丸々負け犬人生だったので称賛される事に慣れてなく恐縮するように軽く会釈したのだった。
◆
東の城門の方角で強烈な雷撃がバチバチバチッと発生したのを受け、
「おい、今の」
「ああ、凄い術者が居るぞ、魔術師か?」
「確認に向かいます?」
「いや、ラスト1匹を倒すのが先だろ」
王室親衛隊は雷撃を放った術者ではなくアドの街に居る最後の1匹のトロールの許へと向かい、難なく撃破したのだった。
◆
このアドの街の夏祭りの夜のトロール襲撃は、
民衆の死者、2427人。
民衆の重傷者、391人。
民衆の軽傷者(ポーションやヒールで全快する負傷)、3315人。
警備隊の死傷者、311人。
冒険者の死傷者、104人。
数日後の発表で甚大な被害を齎した事が判明した。
尚、この騒動の原因は他国の工作との憶測が広がったが実際のところは不明である。
不明なのはアイン王国が真相を握り潰して闇に葬ったからだ。
真相が醜聞過ぎて発表出来なかったのだ。
何せ、第2王子ジョナサンが「王位継承争いに敗北寸前の劣勢の腹いせに失脚の原因となったアドの街を攻撃させた」のがこのトロール転移事件の真相なのだから。
王族が怒り任せに無関係な自国の国民を大量虐殺したなんて、そんな事実を発表したら最後、アイン王家の威信が根本から揺らぐ事になる。
アイン王国の王家の治世を守る為には絶対にこの真相を握り潰さなければならなかった。
と同時に、元凶を排除しないとまた似たようなバカをやる可能性がある。
◆
なので、アドの街でトロール転移事件が起こった同夜、
シケンラ王宮の第2王子ジョナサンの寝室では国王リチャードの密命(ジョナサンは行動を監視されていた)を受けた暗部担当の侍従2人が寝っているジョナサンを押さえ、
「な、何だ、貴様らは?」
気配に気付いて目覚めたジョナサンの口に3人目の侍従が毒薬を流し込み、
「ゲボッ・・・余を誰と心得る。アイン王国の・・・ゴボッ・・・」
侍従3人が見守る中、寝室のベッドで押さえ付けられた第2王子ジョナサンは毒を飲まされて無念だったのか凄い形相で死亡したのだった。
無論、翌日のアイン王国政府の発表は「原因不明の病魔を得て第2王子ジョナサン病死」となっていたのだが。
このアドの街へのトロール転移事件の黒幕の狙いはアドの街を破壊する事だ。
住民の虐殺はついでで、本命は豪商ジョイロを逮捕した警備隊の兵舎や第1王子派の執政官が居る官庁だった。
本当はペラペラと口を割って総てを台無しにしてくれたジョイロを殺害したかったが、あの男は王都シケンラの王宮に居る国王のリチャードがその証言を耳にした時点で騎士団の精鋭が派遣されて王都シケンラに移送されていたので手が出せない。
お陰で腹いせにアドの街の住民と官庁と警備隊の兵舎が狙われていた。
警備隊の兵舎に転送されたトロールは全部で3匹だ。1匹は運悪く警備隊の建造物に着地し、トロールの重さに耐え兼ねた建造物が崩壊。大惨事となっていた。
今夜が夏祭りなのも災いした。
運良く休みの取れた警備隊員は当然、夏祭りに繰り出しており、勤務中の警備隊も治安出動の為に殆どが祭りの警備に出払っていたのだから。
警備隊の兵舎にはごく少数の隊員しか残っていなかった。
その少数はトロールに戦いを挑み、救援が到着する前に敗死する事となったのだった。
◆
トロール転移事件の実行犯を捕縛した王室親衛隊は「任務達成だな、ほな」とアドの街を見捨てて帰る事はせず、4人は捕縛した2名の身柄の番として残り、他の4人1チームがトロールの撃破に出向いた。
アドの街では冒険者や地方財閥のゼルフ商会の傭兵団、それに剣役経験者の勇士が武器を手に「ぐああ」「ぎゃあ」と被害を出しながらもどうにか足止め、または撃破していた。
そこに王室親衛隊の登場だ。別に一騎当千ではなかったが、それでも魔玉(魔石の上位)が嵌め込まれた武具からして強力だ。トロールを1匹ずつ撃破していった。
王室親衛隊やアドの街の勇士が駆け付ける前に警備隊の兵舎を襲ったトロール3匹は戻ってきた警備隊200人が必死に戦って撃破し、どうにか面目を保っていた。
もし手助けなどされた日には一生酒場で笑い話の肴にされるので。
それでも被害は甚大で100人以上が戦死したのだった。
そして、
◇
アドの街の東の城門前広場にカーター達は居た。肩に父親のディーを担ぎ、周囲には妻のアン、母親のアリッサ、妹のジェニーが居る。
カーター達だけではなく城門前広場に逃げてきた祭りに参加していた群衆が500人以上居て、その全員が不安そうだ。
不安に思うのは当然の心理だ。安全だ、と思っていた城壁の内側にモンスターが現れたのだから。
だが、その中でカーターはと言えば、アドの街が惨劇に見舞われた事で御機嫌で油断すれば鼻歌を歌いそうだったので意識的に我慢していた。
もっと破壊しろ。住民を殺しまくれ。
1回目の負け犬人生の苦節でそんな事を思うくらい性格がねじくり曲がっていたのだった。
「怖いわ、カーター」
「大丈夫だよ、アン」
チュ、チュッと何度もキスをしてアンを勇気付けているとお年頃の妹のジェニーが、
「ちょっとお兄ちゃん? 義姉さんが好きだからって私の前では止めてよね。お兄ちゃんがキスしているところなんて見たくないから」
「悪かったよ」
そう謝罪しながらも1回目の守れなかった人生の記憶があるカーターは「絶対に母親と妹は守る」と強く誓ったのだった。
「おいおい、嘘だろ」
東の城門前広場に居る中年男がそう絶望の声を出し「何事だ」と見れば、直線の表通りからトロール1匹がドシン、ドシンとカーター達がいる東の城門前広場に接近しているのが見えた。
「城門を開けてよ。死にたくないんだからっ!」
「城壁の上に居る兵士。下りてきて戦えっ!」
「そうだそうだ」
「戦う気がないなら、せめてオレ達にその武器をくれ」
トロールの接近に城門前広場の群衆が騒ぎ出す中、
(チッ、こっちに来るなよな。向こうで住民を殺せばいいものを)
担いでいた父親のディーを下ろしたカーターは、
「仕方ない」
トロールの接近すら許さず、右手に雷撃を溜めてトロールに放ったのだった。
強烈な雷撃を浴びた遠くにいるトロールはその一撃で、ぐんんのおおおおお、との断末魔を上げてドシンッと前のめりに倒れたのだった。
「へっ?」
「凄い」
「マジでか」
東の城門前広場でトロールの接近に絶望していた群衆達がカーターを見て、
「おおお、アンちゃん、凄えなっ!」
「助かったわ、ありがとう」
「これ食べていいよ」
褒め称えたのだった。
褒められて満更でもないカーターは、
「ど、どうも」
1回目の後半が丸々負け犬人生だったので称賛される事に慣れてなく恐縮するように軽く会釈したのだった。
◆
東の城門の方角で強烈な雷撃がバチバチバチッと発生したのを受け、
「おい、今の」
「ああ、凄い術者が居るぞ、魔術師か?」
「確認に向かいます?」
「いや、ラスト1匹を倒すのが先だろ」
王室親衛隊は雷撃を放った術者ではなくアドの街に居る最後の1匹のトロールの許へと向かい、難なく撃破したのだった。
◆
このアドの街の夏祭りの夜のトロール襲撃は、
民衆の死者、2427人。
民衆の重傷者、391人。
民衆の軽傷者(ポーションやヒールで全快する負傷)、3315人。
警備隊の死傷者、311人。
冒険者の死傷者、104人。
数日後の発表で甚大な被害を齎した事が判明した。
尚、この騒動の原因は他国の工作との憶測が広がったが実際のところは不明である。
不明なのはアイン王国が真相を握り潰して闇に葬ったからだ。
真相が醜聞過ぎて発表出来なかったのだ。
何せ、第2王子ジョナサンが「王位継承争いに敗北寸前の劣勢の腹いせに失脚の原因となったアドの街を攻撃させた」のがこのトロール転移事件の真相なのだから。
王族が怒り任せに無関係な自国の国民を大量虐殺したなんて、そんな事実を発表したら最後、アイン王家の威信が根本から揺らぐ事になる。
アイン王国の王家の治世を守る為には絶対にこの真相を握り潰さなければならなかった。
と同時に、元凶を排除しないとまた似たようなバカをやる可能性がある。
◆
なので、アドの街でトロール転移事件が起こった同夜、
シケンラ王宮の第2王子ジョナサンの寝室では国王リチャードの密命(ジョナサンは行動を監視されていた)を受けた暗部担当の侍従2人が寝っているジョナサンを押さえ、
「な、何だ、貴様らは?」
気配に気付いて目覚めたジョナサンの口に3人目の侍従が毒薬を流し込み、
「ゲボッ・・・余を誰と心得る。アイン王国の・・・ゴボッ・・・」
侍従3人が見守る中、寝室のベッドで押さえ付けられた第2王子ジョナサンは毒を飲まされて無念だったのか凄い形相で死亡したのだった。
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