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ヌワカロールの哲学
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その夜、侯爵が寝室に入ってきたとき、ジュリエッタは起きていた。おずおずとベッドに近寄ってくる侯爵にジュリエッタはベッドの端に寄った。
ジュリエッタが口を開こうとすると、侯爵から先に言ってきた。
「わかっている。あなたには指一本触れない」
(気を遣ってもらっているのかもしれないけど、なんだか、傷ついちゃうわね)
ジュリエッタが黙り込んでいると侯爵はベッドに入ってきた。ジュリエッタは背中を向けて言った。
「バルベリはとても豊かだわ」
「俺もそう思う。俺がここに来たときから、ここは作物が豊かだった」
「伯爵さまの経営手腕は確かだわ」
「俺もそう思う。それに、いつの間にか、豚がとても増えている」
「あなたはいつここに来たの?」
「侵攻が起きたとき」
侵攻が起きたのは10年前のことだから、侯爵は19歳だったはずだ。
「そのときから王国軍にいたの?」
「もう連隊長くらいだったかな」
「何歳のときに軍に志願したの?」
「12歳のとき。継母と気が合わずに家を出た」
「お父さまは守ってくれなかったの?」
「俺は嫡子でも何でもなかったから知らないふりだ」
「嫡子?」
「父は田舎の男爵だ」
「やはり貴族の生まれだったのね」
ジュリエッタは侯爵の育ちの良さには気づいていた。家を出て生きていくのに身分は役に立たない。平民として生きてきたのだろう。
「公爵令嬢にとっては男爵も平民も同じだろう」
「そんな風に見えたかしら」
(私は傲慢に見えているのかしら、そうね、そうに違いないわね。侯爵を元平民と馬鹿にしていたし)
「それは俺の一方的な引け目だ」
ジュリエッタは不意に惨めな気持ちになった。
(私よりもあなたのほうがずっと胸を張れる。あなたは戦争に勝った。あなたには功績がある。でも、私には何もない。私から公爵令嬢を取ったら何も残らないわ)
ジュリエッタはわかっていた。公爵令嬢であることくらいしか誇れるものがないことを。だから、平民を馬鹿にし、生まれにすがってきた。
そして、自分を飾り立てないと気が済まなかった。
王都を出て、バルベリに向かい、領地巡りをするうちに、自分がどんなに弱くちっぽけな存在かを目の当たりにしてきた。
バルベリで生き生きと働いている人々に比べて、ジュリエッタは非力で無価値だ。それどころか人々の上でのさばっている害悪だ。
何もできないのに贅沢することで自信をつけてきた。贅沢しても満足できなかったのは、結局、それは虚飾だから。本当は貧相な人間のままだから。
(侯爵と私は違う。侯爵は素晴らしいのに、私は何もない)
ジュリエッタが自分を侯爵と比べて惨めに感じてしまうのは、侯爵に見合う人間になりたい、と思う心の裏返しであることを、そのときのジュリエッタは気づいていなかった。
***
朝食を終えた頃、複数のひづめの音が城に近づくのが聞こえてきた。
ファビオが側近を引き連れて帰ってきた音だった。
侯爵とジュリエッタは応接室に向かった。二人を見ると、ファビオは立ち上がった。
「閣下、夫人、領地巡りはいかがでしたか」
「バルベリは素晴らしく豊かだ。河川の整備も素晴らしく行き届いている」
「食べ物もとてもおいしいですわ」
ジュリエッタがにこやかに話しかけるのを見て、ファビオはほっとしたような顔を向けてきた。
「それなら今後も、家令として私にすべてを任せてもらうことを考えていただけますか」
「ええ、伯爵さまにお任せするのが、領民にも侯爵さまにも良いことだと思います」
「では、これまで通りに」
そう言うファビオをジュリエッタは遮った。
「しかし、あなたの不誠実は見逃すことができません」
ファビオは身構えるような顔つきになった。
「何のことでしょう」
ジュリエッタはエセルの描いた絵を見せた。豚がカブを食べている絵だ。
「ここでは農業上の改革が起きているようね」
「はっ……?」
「農業改革よ、いいえ、農業革命だわ」
「ははっ、革命、そんな大それたことが起きてるってことですか、こんな辺鄙な場所で」
ファビオは高らかに笑った。どこか嬉しそうだった。そして、ジュリエッタを見返してきた。
ファビオは、しばらくジュリエッタと対峙したのち、観念したような、どこかさっぱりとした顔つきになった。
「夫人、では、ここで何を見たのかお教えください」
「バルベリ領の一農家当たりの家畜保有数は、見たところ、少なく見積もっても、私の実家のレオナルダ領の農家の5倍はあるわ。どうしてそれほど多くの家畜を養うことができるのか。ここではほかのどの領地にもない新しい輪作が行われているからだわ」
畑に毎年同じ作物を植えれば土が枯れてしまう。そのために、通常、小麦、大麦、休耕地、と3年のサイクルで輪作する。
しかし、バルベリでは、その輪作にカブを加えたのだ。バルベリ人はカブを主食にしているわけでもないのに。
そして、休耕地にはわざわざシロツメクサを育てている。
「カブとシロツメクサが農業革命の正体です」
ファビオはますますさっぱりしたような顔になっていく。どこか愉快気だ。ジュリエッタは説明を続ける。
「家畜の多くは飼料がなくなる冬までには処分してしまわなければなりません。農家は泣く泣く家畜を処分する。けれども、バルベリではこれから冬を迎えるというのに家畜を処分する準備もしていない。シロツメクサとカブを家畜の飼料にしているからだわ。シロツメクサは冬も茂るし、カブは冬の作物。この二つで家畜は冬を超えられる。これは革命的なことだわ」
『豚も牛も幸せなの。みんな冬になっても死ななくてすむの』
エセルはこのことを言っていたのだ。
ファビオはしばらくの間、ジュリエッタを見返して黙っていたが、やがて笑みを浮かべた。
「夫人の言う通りです。シロツメクサで牛が、カブで豚が冬を越せます。それらは飼料になるだけじゃありません。カブは根が深く、畑を深く耕します。そして、マメ科の植物であるシロツメクサは、作物が育つのに必要な栄養を土壌に多く残す。おかげで麦の育ちはおよそ倍になった。ここでは理想的な輪作が行われています」
「あなたがそれを思いついたの?」
「四輪作は私の代からですが、私だけじゃありません、父も、その父も、ずっと農作の研究してきました。そして、今もまだ改良を模索しています。畑は一番大事ですから」
ジュリエッタはファビオを眺めた。
『畑が、いちばん、大事なの』
ファビオの哲学は、ヌワカロールの哲学だった。
「素晴らしいわ……。本当に素晴らしい……」
ジュリエッタは思わず、ファビオを褒め称えた。
「夫人の農業革命との言葉が、どれほど私に嬉しかったか。農家は豊かになりました。肉なんて農家が口にできるものではなかった。それが今では、毎週のように彼らはそれを食べ、そして、丈夫になり、子どもたちも健やかに育つ。農家の生活に革命を起こせたのなら、私は嬉しい」
ファビオにつけた騎士からの報告では、ジュリエッタらが領地巡りをしている間、ファビオはバルベリの邸宅で、家令としての執務を行っているだけだった。
おそらく、領地巡りをすると聞いたときには、自分も同行して何らかの細工でもするつもりだったのだろう。
しかし、ファビオは、領地に細工することはなかった。ありのままを隠すことなく、ジュリエッタに見せた。ありのままを見せれば、出来高をごまかしていることが露見するかもしれないというのに。
それは、まさかジュリエッタが何も気づかないと高をくくっていたか、あるいは、自分の起こした恐るべき革命を見せつけたかったのか。
とにかく、ファビオはありのままを隠すことなく見せた。
「これだけ豊かであれば、税収は数億ゴールドはあるわ。なのに、どうして、侯爵さまの収入は一億二千万なのかしら」
ファビオは不敵に笑った。
「私は閣下の忠実なしもべ。閣下に常に忠誠を誓っております。不正などは一切ございません」
ファビオは不正をしているに違いなかったが、そう言い切った。
ジュリエッタが口を開こうとすると、侯爵から先に言ってきた。
「わかっている。あなたには指一本触れない」
(気を遣ってもらっているのかもしれないけど、なんだか、傷ついちゃうわね)
ジュリエッタが黙り込んでいると侯爵はベッドに入ってきた。ジュリエッタは背中を向けて言った。
「バルベリはとても豊かだわ」
「俺もそう思う。俺がここに来たときから、ここは作物が豊かだった」
「伯爵さまの経営手腕は確かだわ」
「俺もそう思う。それに、いつの間にか、豚がとても増えている」
「あなたはいつここに来たの?」
「侵攻が起きたとき」
侵攻が起きたのは10年前のことだから、侯爵は19歳だったはずだ。
「そのときから王国軍にいたの?」
「もう連隊長くらいだったかな」
「何歳のときに軍に志願したの?」
「12歳のとき。継母と気が合わずに家を出た」
「お父さまは守ってくれなかったの?」
「俺は嫡子でも何でもなかったから知らないふりだ」
「嫡子?」
「父は田舎の男爵だ」
「やはり貴族の生まれだったのね」
ジュリエッタは侯爵の育ちの良さには気づいていた。家を出て生きていくのに身分は役に立たない。平民として生きてきたのだろう。
「公爵令嬢にとっては男爵も平民も同じだろう」
「そんな風に見えたかしら」
(私は傲慢に見えているのかしら、そうね、そうに違いないわね。侯爵を元平民と馬鹿にしていたし)
「それは俺の一方的な引け目だ」
ジュリエッタは不意に惨めな気持ちになった。
(私よりもあなたのほうがずっと胸を張れる。あなたは戦争に勝った。あなたには功績がある。でも、私には何もない。私から公爵令嬢を取ったら何も残らないわ)
ジュリエッタはわかっていた。公爵令嬢であることくらいしか誇れるものがないことを。だから、平民を馬鹿にし、生まれにすがってきた。
そして、自分を飾り立てないと気が済まなかった。
王都を出て、バルベリに向かい、領地巡りをするうちに、自分がどんなに弱くちっぽけな存在かを目の当たりにしてきた。
バルベリで生き生きと働いている人々に比べて、ジュリエッタは非力で無価値だ。それどころか人々の上でのさばっている害悪だ。
何もできないのに贅沢することで自信をつけてきた。贅沢しても満足できなかったのは、結局、それは虚飾だから。本当は貧相な人間のままだから。
(侯爵と私は違う。侯爵は素晴らしいのに、私は何もない)
ジュリエッタが自分を侯爵と比べて惨めに感じてしまうのは、侯爵に見合う人間になりたい、と思う心の裏返しであることを、そのときのジュリエッタは気づいていなかった。
***
朝食を終えた頃、複数のひづめの音が城に近づくのが聞こえてきた。
ファビオが側近を引き連れて帰ってきた音だった。
侯爵とジュリエッタは応接室に向かった。二人を見ると、ファビオは立ち上がった。
「閣下、夫人、領地巡りはいかがでしたか」
「バルベリは素晴らしく豊かだ。河川の整備も素晴らしく行き届いている」
「食べ物もとてもおいしいですわ」
ジュリエッタがにこやかに話しかけるのを見て、ファビオはほっとしたような顔を向けてきた。
「それなら今後も、家令として私にすべてを任せてもらうことを考えていただけますか」
「ええ、伯爵さまにお任せするのが、領民にも侯爵さまにも良いことだと思います」
「では、これまで通りに」
そう言うファビオをジュリエッタは遮った。
「しかし、あなたの不誠実は見逃すことができません」
ファビオは身構えるような顔つきになった。
「何のことでしょう」
ジュリエッタはエセルの描いた絵を見せた。豚がカブを食べている絵だ。
「ここでは農業上の改革が起きているようね」
「はっ……?」
「農業改革よ、いいえ、農業革命だわ」
「ははっ、革命、そんな大それたことが起きてるってことですか、こんな辺鄙な場所で」
ファビオは高らかに笑った。どこか嬉しそうだった。そして、ジュリエッタを見返してきた。
ファビオは、しばらくジュリエッタと対峙したのち、観念したような、どこかさっぱりとした顔つきになった。
「夫人、では、ここで何を見たのかお教えください」
「バルベリ領の一農家当たりの家畜保有数は、見たところ、少なく見積もっても、私の実家のレオナルダ領の農家の5倍はあるわ。どうしてそれほど多くの家畜を養うことができるのか。ここではほかのどの領地にもない新しい輪作が行われているからだわ」
畑に毎年同じ作物を植えれば土が枯れてしまう。そのために、通常、小麦、大麦、休耕地、と3年のサイクルで輪作する。
しかし、バルベリでは、その輪作にカブを加えたのだ。バルベリ人はカブを主食にしているわけでもないのに。
そして、休耕地にはわざわざシロツメクサを育てている。
「カブとシロツメクサが農業革命の正体です」
ファビオはますますさっぱりしたような顔になっていく。どこか愉快気だ。ジュリエッタは説明を続ける。
「家畜の多くは飼料がなくなる冬までには処分してしまわなければなりません。農家は泣く泣く家畜を処分する。けれども、バルベリではこれから冬を迎えるというのに家畜を処分する準備もしていない。シロツメクサとカブを家畜の飼料にしているからだわ。シロツメクサは冬も茂るし、カブは冬の作物。この二つで家畜は冬を超えられる。これは革命的なことだわ」
『豚も牛も幸せなの。みんな冬になっても死ななくてすむの』
エセルはこのことを言っていたのだ。
ファビオはしばらくの間、ジュリエッタを見返して黙っていたが、やがて笑みを浮かべた。
「夫人の言う通りです。シロツメクサで牛が、カブで豚が冬を越せます。それらは飼料になるだけじゃありません。カブは根が深く、畑を深く耕します。そして、マメ科の植物であるシロツメクサは、作物が育つのに必要な栄養を土壌に多く残す。おかげで麦の育ちはおよそ倍になった。ここでは理想的な輪作が行われています」
「あなたがそれを思いついたの?」
「四輪作は私の代からですが、私だけじゃありません、父も、その父も、ずっと農作の研究してきました。そして、今もまだ改良を模索しています。畑は一番大事ですから」
ジュリエッタはファビオを眺めた。
『畑が、いちばん、大事なの』
ファビオの哲学は、ヌワカロールの哲学だった。
「素晴らしいわ……。本当に素晴らしい……」
ジュリエッタは思わず、ファビオを褒め称えた。
「夫人の農業革命との言葉が、どれほど私に嬉しかったか。農家は豊かになりました。肉なんて農家が口にできるものではなかった。それが今では、毎週のように彼らはそれを食べ、そして、丈夫になり、子どもたちも健やかに育つ。農家の生活に革命を起こせたのなら、私は嬉しい」
ファビオにつけた騎士からの報告では、ジュリエッタらが領地巡りをしている間、ファビオはバルベリの邸宅で、家令としての執務を行っているだけだった。
おそらく、領地巡りをすると聞いたときには、自分も同行して何らかの細工でもするつもりだったのだろう。
しかし、ファビオは、領地に細工することはなかった。ありのままを隠すことなく、ジュリエッタに見せた。ありのままを見せれば、出来高をごまかしていることが露見するかもしれないというのに。
それは、まさかジュリエッタが何も気づかないと高をくくっていたか、あるいは、自分の起こした恐るべき革命を見せつけたかったのか。
とにかく、ファビオはありのままを隠すことなく見せた。
「これだけ豊かであれば、税収は数億ゴールドはあるわ。なのに、どうして、侯爵さまの収入は一億二千万なのかしら」
ファビオは不敵に笑った。
「私は閣下の忠実なしもべ。閣下に常に忠誠を誓っております。不正などは一切ございません」
ファビオは不正をしているに違いなかったが、そう言い切った。
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読む前にご確認いただけると助かります。
1)西洋の貴族社会をベースにした世界観ではあるものの、あくまでファンタジーです
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そのため一時的に『皇太子』と『王太子』が混在しております。
よろしくお願いいたします。
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誤字を教えてくださる方、ありがとうございます。
読み返してから投稿しているのですが、見落としていることがあるのでとても助かります。
アルファポリス第18回恋愛小説大賞 奨励賞受賞
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