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エセルのお絵かき
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ジュリエッタが起きれば、振動で侯爵も目が覚めたようだった。
侯爵は飛び起きると状況を確認するように周囲を見回した。その鋭い目つきは、戦場暮らしの習慣が残っているようだった。
侯爵はジュリエッタを見て、たちまちいつもの穏やかさを取り戻し、声をかけてきた。
「ジュリエッタ、おはよう」
「お、おはようございます」
「よく眠れた?」
「ええ、それはとてもよく。そんなことより、どうしてあなたが私のベッドにいるの?」
「夫人が俺たちにって貸してくれたから」
(あっ、まあそうよね。普通なら夫婦は同じ部屋に通すわよね)
侯爵の目がジュリエッタのネグリジェの胸元に向き、それから背けられた。
ジュリエッタは手で胸を隠した。生地は薄く透けている。
後ろを向いた侯爵の耳が赤く染まっている。それを見て、ジュリエッタも熱がカーッと高まった。それに気づいて、ジュリエッタは動揺する。
(この浮気男を意識するなんて。それにしても、同じベッドにいるのに、侯爵は手を出さないでくれたんだわ)
自分の体に何も起きていないことを感じ取って、胸を撫でおろす。しかし、次に込み上げたものは悔しさだった。
(同じベッドにいるのに何もしないなんて)
そして、悔しさは、惨めさへと転じた。
(侯爵は私が好みではないものね、だって、可愛いタイプが好きなんだもの。シャルロットのように)
久しぶりにシャルロットを思い出して、ジュリエッタは自分が傷ついていることを自覚した。
(私には魅力がないんだわ………)
ぼんやりと自分の手を見つめるジュリエッタに、服を着込んだらしい侯爵の声が聞こえてきた。
「どうぞ、ごゆっくり」
そう言い残すとそそくさと出て行った。入れ替わりにハンナが入ってくる。
ハンナはジュリエッタの顔を見るなり、(ちっ!)と内心で舌打ちするのがわかった。
「ハンナ、今、舌打ちしたでしょ……」
「ええ、しました。お二人が首尾よく行きませんでしたことに盛大に舌打ちしました」
「だから、私は侯爵さまと離婚するつもりだって言ってるでしょう」
「あら、それは昨日、撤回したのだと思いました。許す、とおっしゃったから」
分身のようなハンナでもジュリエッタの真意をわかってくれていないらしい。
「姫さま、侯爵さまは本当に姫さまを大切にしてらっしゃいます。姫さまをそれはそれは気遣っていらっしゃいます。愛人なんて、勘違いに決まっています」
「勘違いではないわ、王都に戻ればわかるわ」
ハンナは恨めし気にジュリエッタを見た。
「(侯爵さまは姫さまを押し倒してくれればよかったですのに)」
「(声に出さずとも私にはわかるんだから)」
「(侯爵さまの意気地なし)」
「(意気地がないんじゃないのよ、気が乗らないのよ、私とは)」
「(姫さまはご自分がどれほど侯爵さまに我慢を強いているかわかってないんですわ)」
「(ハンナのわからず屋)」
「(わからず屋は姫さまです)」
ジュリエッタとハンナの目と目での口喧嘩は、「うふふっ」という可愛い声で中断された。見れば、エセルがドアから顔を出していた。
***
しばらくの間、ヌワカロール城に滞在することになった。
「侯爵さま、私に乗馬を教えてくださいませ」
侯爵はついにその日が来たか、とばかりに嫌そうな顔をした。
「どうしても教えないとダメ?」
「はい」
「落馬したら死ぬこともある」
「わかっております」
「城に戻ったらポニーを飼おう」
「今日! ここで! 教えてくださいませ!」
「……わかった」
かくしてジュリエッタは乗馬を習うことになった。教えるとなれば侯爵は鐙の調節の仕方から教えてきた。そして、腹を蹴れば動くことを教えた。しかし。
「はいっ」
声を上げながら腹を蹴るも、馬は少しも動かない。
(え、何で?)
「はいやっ、えいっ、行きなさい、進みなさいっ」
馬の綱を引く侯爵が鞭を打てばやっと、とぼとぼと数歩進むも、すぐに止まってしまう。
「おかしいな、馬が全然動こうとしないね」
侯爵は首をかしげる。
馬の上で進んでもいないのに汗びっしょりとなるジュリエッタ。どうしてもジュリエッタでは馬は動きそうにない。ついに音を上げた。
「やはり、私の脚力では無理なんだわ。もう少し鍛えてからにするわ」
「そうだね、その方が良いかもしれない」
「馬ってとても難しいものなのね。もっと簡単なものかと思ってたわ」
「乗馬は大の男でもとても大変だからね」
侯爵は神妙な顔をして言ってきた。
いったん乗馬を諦めたジュリエッタは、セシル夫人が書斎を案内してくれたために、本を借りることにした。壁一面の棚には、所狭しと本が並んでいる。
ファビオの勤勉さが書物を見るだけで伝わってきた。
「エセルのお父さまは読書家なのね」
ジュリエッタにくっついているエセルに訊いてみた。
「お父さまはどのあたりの本を読んでいるのかしら」
「さあ、エシェル、わからないの」
夫人が案内してくれたということは、ジュリエッタに見られて困るものが置いてあるとは思えない。それでも、何かを探ろうと、ジュリエッタは本棚を眺めた。
「おとうしゃま、エシェルにおはなしをつくってくれるの」
「どんなお話なの?」
「えっと、えっとね。みんなで畑をね、つくるの。そして、むぎがいっぱいできるの。それからね、みんな幸せになるの」
「まあ、素敵なお話ね」
「そのはなしではね、豚も牛も幸せなの。みんな冬になっても死ななくてすむの」
(ファンタジーのようね。ファビオは夢想家なのかしら)
農家では多くの家畜を冬が来る前に出荷してしまうか、殺して加工してしまわなければならない。冬になると飼料が足らなくなるからだ。
越冬できる家畜はごくわずかだ。
「あのね、みんな、おなかいっぱいなら、ケンカがおきないの」
それは食べ物に釣られてしまうジュリエッタにもよく理解できる。食べ物は人の機嫌を良くする。
「だから、畑がいちばん、だいじなの」
(それがファビオの哲学なのかしら)
ファビオは素晴らしい領地経営の才がある。領民は豊かに暮らしている。正直、レオナルダ領の領民よりも、ずっとずっと良い生活をしている。
(残念ながら私に領地経営に口を出す余地はないわね、ファビオを公爵家にも招聘したいくらいだわ。でも、それと横領とは別のこと)
農家の暮らしぶりを見れば、領民からの収入は一億ゴールドでは済まない。その倍はあるだろう。ファビオは不正を行っているに違いなかった。
***
その午後、セシル夫人が刺繍に誘ってきた。あいにくジュリエッタは刺繍が苦手だが、手持無沙汰なために、夫人に応じた。
セシルは笑みを浮かべながら言ってきた。
「ジュリエッタさま、私、王都でジュリエッタさまをお見かけしたことがございますの」
「まあ、そうでしたの」
「一年ほど前かしら。劇場で、ご令嬢とご一緒でした。ジュリエッタさまは、それはそれは注目を浴びておられましたわ。遠目にもお美しくて優雅で輝いておりました」
隣のハンナが鼻高々とし始めた。
おそらくマリーと一緒だったのだろう。というか、一緒にいる令嬢に心当たりがあるのはマリーだけだ。
(王都ではいつもこれみよがしに着飾っていたんだもの、歩くクリスマスツリーみたいだったはずだわ)
「そのときのジュリエッタさまは近寄りがたいほど華やかでした」
「そうね、王都では随分、派手に見えていたでしょうね」
(アクセサリーで自分を飾り立てていないと、落ち着かなかったわね)
「でも、今のジュリエッタさまも素敵ですわ。健康的で明るくて」
その日のジュリエッタはアクセサリーも控えめだ。
ハンナがうんうん、と鼻高々にうなずいている。
そこにエセルが絵を見せに来た。
「まあ、エセル、これはなにを描いているの?」
「これはジュリエッタしゃまなの。これは、マロングラッセ。これはハンナしゃまなの、これもマロングラッセ」
二人の周りには動物のようなものもたくさん描かれていた。
「森でピクニックをしているのね」
「うん」
「これは豚さんね、豚さんもマロングラッセが好きなの?」
豚が食べているマロングラッセには色が塗ってなかった。
「ううん、豚さんは、カブを食べるの」
(カブ……?)
ジュリエッタがセシルを見れば、ほほ笑んで愛娘を見ていた。
侯爵は飛び起きると状況を確認するように周囲を見回した。その鋭い目つきは、戦場暮らしの習慣が残っているようだった。
侯爵はジュリエッタを見て、たちまちいつもの穏やかさを取り戻し、声をかけてきた。
「ジュリエッタ、おはよう」
「お、おはようございます」
「よく眠れた?」
「ええ、それはとてもよく。そんなことより、どうしてあなたが私のベッドにいるの?」
「夫人が俺たちにって貸してくれたから」
(あっ、まあそうよね。普通なら夫婦は同じ部屋に通すわよね)
侯爵の目がジュリエッタのネグリジェの胸元に向き、それから背けられた。
ジュリエッタは手で胸を隠した。生地は薄く透けている。
後ろを向いた侯爵の耳が赤く染まっている。それを見て、ジュリエッタも熱がカーッと高まった。それに気づいて、ジュリエッタは動揺する。
(この浮気男を意識するなんて。それにしても、同じベッドにいるのに、侯爵は手を出さないでくれたんだわ)
自分の体に何も起きていないことを感じ取って、胸を撫でおろす。しかし、次に込み上げたものは悔しさだった。
(同じベッドにいるのに何もしないなんて)
そして、悔しさは、惨めさへと転じた。
(侯爵は私が好みではないものね、だって、可愛いタイプが好きなんだもの。シャルロットのように)
久しぶりにシャルロットを思い出して、ジュリエッタは自分が傷ついていることを自覚した。
(私には魅力がないんだわ………)
ぼんやりと自分の手を見つめるジュリエッタに、服を着込んだらしい侯爵の声が聞こえてきた。
「どうぞ、ごゆっくり」
そう言い残すとそそくさと出て行った。入れ替わりにハンナが入ってくる。
ハンナはジュリエッタの顔を見るなり、(ちっ!)と内心で舌打ちするのがわかった。
「ハンナ、今、舌打ちしたでしょ……」
「ええ、しました。お二人が首尾よく行きませんでしたことに盛大に舌打ちしました」
「だから、私は侯爵さまと離婚するつもりだって言ってるでしょう」
「あら、それは昨日、撤回したのだと思いました。許す、とおっしゃったから」
分身のようなハンナでもジュリエッタの真意をわかってくれていないらしい。
「姫さま、侯爵さまは本当に姫さまを大切にしてらっしゃいます。姫さまをそれはそれは気遣っていらっしゃいます。愛人なんて、勘違いに決まっています」
「勘違いではないわ、王都に戻ればわかるわ」
ハンナは恨めし気にジュリエッタを見た。
「(侯爵さまは姫さまを押し倒してくれればよかったですのに)」
「(声に出さずとも私にはわかるんだから)」
「(侯爵さまの意気地なし)」
「(意気地がないんじゃないのよ、気が乗らないのよ、私とは)」
「(姫さまはご自分がどれほど侯爵さまに我慢を強いているかわかってないんですわ)」
「(ハンナのわからず屋)」
「(わからず屋は姫さまです)」
ジュリエッタとハンナの目と目での口喧嘩は、「うふふっ」という可愛い声で中断された。見れば、エセルがドアから顔を出していた。
***
しばらくの間、ヌワカロール城に滞在することになった。
「侯爵さま、私に乗馬を教えてくださいませ」
侯爵はついにその日が来たか、とばかりに嫌そうな顔をした。
「どうしても教えないとダメ?」
「はい」
「落馬したら死ぬこともある」
「わかっております」
「城に戻ったらポニーを飼おう」
「今日! ここで! 教えてくださいませ!」
「……わかった」
かくしてジュリエッタは乗馬を習うことになった。教えるとなれば侯爵は鐙の調節の仕方から教えてきた。そして、腹を蹴れば動くことを教えた。しかし。
「はいっ」
声を上げながら腹を蹴るも、馬は少しも動かない。
(え、何で?)
「はいやっ、えいっ、行きなさい、進みなさいっ」
馬の綱を引く侯爵が鞭を打てばやっと、とぼとぼと数歩進むも、すぐに止まってしまう。
「おかしいな、馬が全然動こうとしないね」
侯爵は首をかしげる。
馬の上で進んでもいないのに汗びっしょりとなるジュリエッタ。どうしてもジュリエッタでは馬は動きそうにない。ついに音を上げた。
「やはり、私の脚力では無理なんだわ。もう少し鍛えてからにするわ」
「そうだね、その方が良いかもしれない」
「馬ってとても難しいものなのね。もっと簡単なものかと思ってたわ」
「乗馬は大の男でもとても大変だからね」
侯爵は神妙な顔をして言ってきた。
いったん乗馬を諦めたジュリエッタは、セシル夫人が書斎を案内してくれたために、本を借りることにした。壁一面の棚には、所狭しと本が並んでいる。
ファビオの勤勉さが書物を見るだけで伝わってきた。
「エセルのお父さまは読書家なのね」
ジュリエッタにくっついているエセルに訊いてみた。
「お父さまはどのあたりの本を読んでいるのかしら」
「さあ、エシェル、わからないの」
夫人が案内してくれたということは、ジュリエッタに見られて困るものが置いてあるとは思えない。それでも、何かを探ろうと、ジュリエッタは本棚を眺めた。
「おとうしゃま、エシェルにおはなしをつくってくれるの」
「どんなお話なの?」
「えっと、えっとね。みんなで畑をね、つくるの。そして、むぎがいっぱいできるの。それからね、みんな幸せになるの」
「まあ、素敵なお話ね」
「そのはなしではね、豚も牛も幸せなの。みんな冬になっても死ななくてすむの」
(ファンタジーのようね。ファビオは夢想家なのかしら)
農家では多くの家畜を冬が来る前に出荷してしまうか、殺して加工してしまわなければならない。冬になると飼料が足らなくなるからだ。
越冬できる家畜はごくわずかだ。
「あのね、みんな、おなかいっぱいなら、ケンカがおきないの」
それは食べ物に釣られてしまうジュリエッタにもよく理解できる。食べ物は人の機嫌を良くする。
「だから、畑がいちばん、だいじなの」
(それがファビオの哲学なのかしら)
ファビオは素晴らしい領地経営の才がある。領民は豊かに暮らしている。正直、レオナルダ領の領民よりも、ずっとずっと良い生活をしている。
(残念ながら私に領地経営に口を出す余地はないわね、ファビオを公爵家にも招聘したいくらいだわ。でも、それと横領とは別のこと)
農家の暮らしぶりを見れば、領民からの収入は一億ゴールドでは済まない。その倍はあるだろう。ファビオは不正を行っているに違いなかった。
***
その午後、セシル夫人が刺繍に誘ってきた。あいにくジュリエッタは刺繍が苦手だが、手持無沙汰なために、夫人に応じた。
セシルは笑みを浮かべながら言ってきた。
「ジュリエッタさま、私、王都でジュリエッタさまをお見かけしたことがございますの」
「まあ、そうでしたの」
「一年ほど前かしら。劇場で、ご令嬢とご一緒でした。ジュリエッタさまは、それはそれは注目を浴びておられましたわ。遠目にもお美しくて優雅で輝いておりました」
隣のハンナが鼻高々とし始めた。
おそらくマリーと一緒だったのだろう。というか、一緒にいる令嬢に心当たりがあるのはマリーだけだ。
(王都ではいつもこれみよがしに着飾っていたんだもの、歩くクリスマスツリーみたいだったはずだわ)
「そのときのジュリエッタさまは近寄りがたいほど華やかでした」
「そうね、王都では随分、派手に見えていたでしょうね」
(アクセサリーで自分を飾り立てていないと、落ち着かなかったわね)
「でも、今のジュリエッタさまも素敵ですわ。健康的で明るくて」
その日のジュリエッタはアクセサリーも控えめだ。
ハンナがうんうん、と鼻高々にうなずいている。
そこにエセルが絵を見せに来た。
「まあ、エセル、これはなにを描いているの?」
「これはジュリエッタしゃまなの。これは、マロングラッセ。これはハンナしゃまなの、これもマロングラッセ」
二人の周りには動物のようなものもたくさん描かれていた。
「森でピクニックをしているのね」
「うん」
「これは豚さんね、豚さんもマロングラッセが好きなの?」
豚が食べているマロングラッセには色が塗ってなかった。
「ううん、豚さんは、カブを食べるの」
(カブ……?)
ジュリエッタがセシルを見れば、ほほ笑んで愛娘を見ていた。
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