41 / 51
お披露目②
しおりを挟む
「デューク様、アルビー様になにか言うことはないんですか?」
見かねたアルベルトさんが助け舟を出してくれた。
「……一緒に来い」
「えっ、デュ、デューク様!?」
手を取られ、そのまま食堂を連れ出されてしまった。早足に廊下を突き進むデューク様の背を見つめながら、やはり不快な思いをさせてしまったのではないだろうか?と不安が募る。
角を曲がった先の部屋へ連れ込まれると、扉が鈍い音を立てて閉じた。初めて足を踏み入れたその部屋は、装飾品がほとんど置かれていないシンプル場所だった。それでもこの部屋がデューク様の部屋だとわかったのは、彼と同じ香りが部屋に残っているからだ。
「……僕、不快な思いをさせてしまいましたか?変だったでしょうか……」
手を繋いだままこちらを向いてくれないデューク様に思いきって尋ねた。似合わないと言われてしまったら悲しい。けれどデューク様の反応だけで気持ちを察することはできない。
「っ、それは可愛すぎるだろ」
「へ!?わぁっ!」
突然振り返ったデューク様が、感極まったように言葉を発しながら力強く抱きしめてきた。デューク様の胸の中にすっぽりと閉じ込められてしまった僕の肩に、彼が額を押し付けてくる。
「あの……デューク様、僕変じゃないですか?」
「可愛すぎるし綺麗すぎるからダメだ」
「ダメですか?」
「ダメだダメだ!他のやつに見せたくなくて連れてきちまった。反則って言葉知ってるか?」
顔を上げたデューク様の目尻がほんのりと赤く染まっていて表情も緩んでいる。それなのに少しだけ不機嫌そうにも見えた。
「似合ってますか?」
「……似合ってる」
「良かった……。婚約披露パーティーの日にデューク様の隣に堂々と立てるような自分になりたいって思ったんです。だからアリアに手伝ってもらって、見た目から変えていこうとしてみたんですけど」
一生懸命に気持ちを伝える。デューク様のように完璧に仕事をこなすことは難しい。それでも出来ることから少しずつ学んでいきたいと思っている。見た目を変えることで、いい兄を演じていた頃の自分自身を捨て去ることができた気がする。
だから僕はもう立ち止まらないし、振り返らない。
「アルビーと結婚できた俺は幸せ者だって本気で思う。そうやって努力しようとする姿が俺には眩しく見えるし、尊敬している」
「デューク様が僕のことを尊敬?」
「あぁ、尊敬しあえる夫婦ってのはいいものだな」
二カッと太陽が照るように笑ってくれるデューク様に、僕も満開の笑顔を返した。
デューク様の言葉が嬉しくて自然と笑顔になってしまう。尊敬する人にそんなふうに言ってもらえることが夢のようで、現実みを感じられない。
けれどふわふわと漂ってくる彼の香りが鼻腔を通っていくと、これが夢ではないのだと自覚できた。
「今すぐアルビーの全部がほしい」
艶のある低音で囁かれて心臓が跳ね上がったデューク様に身も心もすべてを捧げる想像をしてしまい、鼓動が信じられないほどに早鐘を打ち始める。
見かねたアルベルトさんが助け舟を出してくれた。
「……一緒に来い」
「えっ、デュ、デューク様!?」
手を取られ、そのまま食堂を連れ出されてしまった。早足に廊下を突き進むデューク様の背を見つめながら、やはり不快な思いをさせてしまったのではないだろうか?と不安が募る。
角を曲がった先の部屋へ連れ込まれると、扉が鈍い音を立てて閉じた。初めて足を踏み入れたその部屋は、装飾品がほとんど置かれていないシンプル場所だった。それでもこの部屋がデューク様の部屋だとわかったのは、彼と同じ香りが部屋に残っているからだ。
「……僕、不快な思いをさせてしまいましたか?変だったでしょうか……」
手を繋いだままこちらを向いてくれないデューク様に思いきって尋ねた。似合わないと言われてしまったら悲しい。けれどデューク様の反応だけで気持ちを察することはできない。
「っ、それは可愛すぎるだろ」
「へ!?わぁっ!」
突然振り返ったデューク様が、感極まったように言葉を発しながら力強く抱きしめてきた。デューク様の胸の中にすっぽりと閉じ込められてしまった僕の肩に、彼が額を押し付けてくる。
「あの……デューク様、僕変じゃないですか?」
「可愛すぎるし綺麗すぎるからダメだ」
「ダメですか?」
「ダメだダメだ!他のやつに見せたくなくて連れてきちまった。反則って言葉知ってるか?」
顔を上げたデューク様の目尻がほんのりと赤く染まっていて表情も緩んでいる。それなのに少しだけ不機嫌そうにも見えた。
「似合ってますか?」
「……似合ってる」
「良かった……。婚約披露パーティーの日にデューク様の隣に堂々と立てるような自分になりたいって思ったんです。だからアリアに手伝ってもらって、見た目から変えていこうとしてみたんですけど」
一生懸命に気持ちを伝える。デューク様のように完璧に仕事をこなすことは難しい。それでも出来ることから少しずつ学んでいきたいと思っている。見た目を変えることで、いい兄を演じていた頃の自分自身を捨て去ることができた気がする。
だから僕はもう立ち止まらないし、振り返らない。
「アルビーと結婚できた俺は幸せ者だって本気で思う。そうやって努力しようとする姿が俺には眩しく見えるし、尊敬している」
「デューク様が僕のことを尊敬?」
「あぁ、尊敬しあえる夫婦ってのはいいものだな」
二カッと太陽が照るように笑ってくれるデューク様に、僕も満開の笑顔を返した。
デューク様の言葉が嬉しくて自然と笑顔になってしまう。尊敬する人にそんなふうに言ってもらえることが夢のようで、現実みを感じられない。
けれどふわふわと漂ってくる彼の香りが鼻腔を通っていくと、これが夢ではないのだと自覚できた。
「今すぐアルビーの全部がほしい」
艶のある低音で囁かれて心臓が跳ね上がったデューク様に身も心もすべてを捧げる想像をしてしまい、鼓動が信じられないほどに早鐘を打ち始める。
306
あなたにおすすめの小説
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/01/23 19:00 アルファポリス版限定SS公開予定
累計で6300♡いいねと累計ポイント285000突破の御礼SSになります
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する
竜鳴躍
BL
ミリオン=フィッシュ(旧姓:バード)はフィッシュ伯爵家のお飾り嫁で、オメガだけど冴えない男の子。と、いうことになっている。だが実家の義母さえ知らない。夫も知らない。彼が陛下から信頼も厚い美貌の勇者であることを。
幼い頃に死別した両親。乗っ取られた家。幼馴染の王子様と彼を狙う従妹。
白い結婚で離縁を狙いながら、実は転生者の主人公は今日も勇者稼業で自分のお財布を豊かにしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる