弟を溺愛していたら、破滅ルートを引き連れてくる攻めに溺愛されちゃった話

天宮叶

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この可愛さには勝てないよな

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「目的は果たしたから帰るぞ。日が落ちきる前に屋敷に着きたい」

「また飛ぶんですか?」

「そうだ。つかまっていろ」

 風魔術で自分とシャノンの体を浮かせる。
 それから来た道を、行きよりは緩やかなスピードで進み始めた。
 屋敷に着いたのは、外がだんだんと暗くなる夕暮れどきだった。空にはすでに星が瞬いている。
 屋敷の入り口から中へ入ると、使用人が話しかけてきた。

「フィーロ様がお夕食も食べずにお部屋から出てこられないのです」

「なに?……わかった」

 シャノンと共にフィーロの部屋へ急ぐ。
 食べることが大好きなフィーロが夕食を食べないという緊急事態に、二人は焦りを感じていた。
 部屋の前につくと一度深呼吸してから扉をノックした。

「フィーロ、いるか?」 

 声をかけると、中から人が動く音が聞こえてきた。

「フィーロ様……」

 シャノンと心配そうに声をかける。しばらくすると、扉がゆっくり開いて頬を膨らませて瞳を潤ませているフィーロが顔を出した。
 拗ねている。明らかに拗ねまくっている。

「僕だけおいてけぼりにして二人で角狼の巣に行くなんて……僕は邪魔ですか?足手まといなんですね。それに待っているあいだすごく心配でした」

「フィーロすまなかった。だが決して足手まといだと思っていたから置いていったんじゃないんだ」

 時間もなかったし、あわよくばシャノンとルーカスの関係が進展したらいいと思っていたから連れて行っただけだ。
 それにフィーロを連れて行って怪我でもさせたらそれこそ一生後悔してしまう。

「泣いたのか?目が赤い」

「な、泣いてなんかいません」

「そうか。心配をかけたから、埋め合わせをさせてくれないか。一緒に街へ買い物に行こう」

「……僕と二人で行ってくれるなら……。シャノンは今日、お兄様を独り占めしたから次は僕が独り占めします」

 なんて可愛いことを言うんだ。
 正確には独り占めなどされていないが、それを指摘するのは野暮だろう。

「わかった。二人で行こう。なんでも好きなものを買ってやる」

「っ、嬉しいです!」

 元気を取り戻したフィーロはニコニコと笑みを浮かべている。
 シャノンと二人で目配せすると「一緒に夕食を食べよう」と誘う。
 大きくうなずいたフィーロが部屋から出てくれた。それに安心して、三人で食堂へ向かう。

「シャノンも一緒に食べようよ」

「僕は使用人なのでお二人とは一緒に食べることはできないんです」

「そんなの関係ないよ。ね、いいでしょ?」

 シャノンの手を取ったフィーロが上目遣いにお願いする。シャノンのほうが少し背が高いため効果は抜群だったようだ。
 フィーロの可愛さに悶ているシャノンに、その気持ちはわかるぞと同意してやりたい。

「シャノンも一緒に食べればいいだろう。俺が許可する」

「……ありがとうございます」

 微笑むシャノンはすごく幸せそうに見えた。
 










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