18 / 45
この可愛さには勝てないよな
しおりを挟む
「目的は果たしたから帰るぞ。日が落ちきる前に屋敷に着きたい」
「また飛ぶんですか?」
「そうだ。つかまっていろ」
風魔術で自分とシャノンの体を浮かせる。
それから来た道を、行きよりは緩やかなスピードで進み始めた。
屋敷に着いたのは、外がだんだんと暗くなる夕暮れどきだった。空にはすでに星が瞬いている。
屋敷の入り口から中へ入ると、使用人が話しかけてきた。
「フィーロ様がお夕食も食べずにお部屋から出てこられないのです」
「なに?……わかった」
シャノンと共にフィーロの部屋へ急ぐ。
食べることが大好きなフィーロが夕食を食べないという緊急事態に、二人は焦りを感じていた。
部屋の前につくと一度深呼吸してから扉をノックした。
「フィーロ、いるか?」
声をかけると、中から人が動く音が聞こえてきた。
「フィーロ様……」
シャノンと心配そうに声をかける。しばらくすると、扉がゆっくり開いて頬を膨らませて瞳を潤ませているフィーロが顔を出した。
拗ねている。明らかに拗ねまくっている。
「僕だけおいてけぼりにして二人で角狼の巣に行くなんて……僕は邪魔ですか?足手まといなんですね。それに待っているあいだすごく心配でした」
「フィーロすまなかった。だが決して足手まといだと思っていたから置いていったんじゃないんだ」
時間もなかったし、あわよくばシャノンとルーカスの関係が進展したらいいと思っていたから連れて行っただけだ。
それにフィーロを連れて行って怪我でもさせたらそれこそ一生後悔してしまう。
「泣いたのか?目が赤い」
「な、泣いてなんかいません」
「そうか。心配をかけたから、埋め合わせをさせてくれないか。一緒に街へ買い物に行こう」
「……僕と二人で行ってくれるなら……。シャノンは今日、お兄様を独り占めしたから次は僕が独り占めします」
なんて可愛いことを言うんだ。
正確には独り占めなどされていないが、それを指摘するのは野暮だろう。
「わかった。二人で行こう。なんでも好きなものを買ってやる」
「っ、嬉しいです!」
元気を取り戻したフィーロはニコニコと笑みを浮かべている。
シャノンと二人で目配せすると「一緒に夕食を食べよう」と誘う。
大きくうなずいたフィーロが部屋から出てくれた。それに安心して、三人で食堂へ向かう。
「シャノンも一緒に食べようよ」
「僕は使用人なのでお二人とは一緒に食べることはできないんです」
「そんなの関係ないよ。ね、いいでしょ?」
シャノンの手を取ったフィーロが上目遣いにお願いする。シャノンのほうが少し背が高いため効果は抜群だったようだ。
フィーロの可愛さに悶ているシャノンに、その気持ちはわかるぞと同意してやりたい。
「シャノンも一緒に食べればいいだろう。俺が許可する」
「……ありがとうございます」
微笑むシャノンはすごく幸せそうに見えた。
「また飛ぶんですか?」
「そうだ。つかまっていろ」
風魔術で自分とシャノンの体を浮かせる。
それから来た道を、行きよりは緩やかなスピードで進み始めた。
屋敷に着いたのは、外がだんだんと暗くなる夕暮れどきだった。空にはすでに星が瞬いている。
屋敷の入り口から中へ入ると、使用人が話しかけてきた。
「フィーロ様がお夕食も食べずにお部屋から出てこられないのです」
「なに?……わかった」
シャノンと共にフィーロの部屋へ急ぐ。
食べることが大好きなフィーロが夕食を食べないという緊急事態に、二人は焦りを感じていた。
部屋の前につくと一度深呼吸してから扉をノックした。
「フィーロ、いるか?」
声をかけると、中から人が動く音が聞こえてきた。
「フィーロ様……」
シャノンと心配そうに声をかける。しばらくすると、扉がゆっくり開いて頬を膨らませて瞳を潤ませているフィーロが顔を出した。
拗ねている。明らかに拗ねまくっている。
「僕だけおいてけぼりにして二人で角狼の巣に行くなんて……僕は邪魔ですか?足手まといなんですね。それに待っているあいだすごく心配でした」
「フィーロすまなかった。だが決して足手まといだと思っていたから置いていったんじゃないんだ」
時間もなかったし、あわよくばシャノンとルーカスの関係が進展したらいいと思っていたから連れて行っただけだ。
それにフィーロを連れて行って怪我でもさせたらそれこそ一生後悔してしまう。
「泣いたのか?目が赤い」
「な、泣いてなんかいません」
「そうか。心配をかけたから、埋め合わせをさせてくれないか。一緒に街へ買い物に行こう」
「……僕と二人で行ってくれるなら……。シャノンは今日、お兄様を独り占めしたから次は僕が独り占めします」
なんて可愛いことを言うんだ。
正確には独り占めなどされていないが、それを指摘するのは野暮だろう。
「わかった。二人で行こう。なんでも好きなものを買ってやる」
「っ、嬉しいです!」
元気を取り戻したフィーロはニコニコと笑みを浮かべている。
シャノンと二人で目配せすると「一緒に夕食を食べよう」と誘う。
大きくうなずいたフィーロが部屋から出てくれた。それに安心して、三人で食堂へ向かう。
「シャノンも一緒に食べようよ」
「僕は使用人なのでお二人とは一緒に食べることはできないんです」
「そんなの関係ないよ。ね、いいでしょ?」
シャノンの手を取ったフィーロが上目遣いにお願いする。シャノンのほうが少し背が高いため効果は抜群だったようだ。
フィーロの可愛さに悶ているシャノンに、その気持ちはわかるぞと同意してやりたい。
「シャノンも一緒に食べればいいだろう。俺が許可する」
「……ありがとうございます」
微笑むシャノンはすごく幸せそうに見えた。
978
あなたにおすすめの小説
悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る
桜城 寧
BL
処刑された記憶とともに、BLゲームに登場する悪役会計に転生したことに気付く。処刑されないために、チャラ男としての仮面を被り、生徒会長に媚び売ったり、どうにか能力を駆使したりして生きてたら、色々な人に構われる話。
白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです
まんまる
BL
フレア王国の第3王子シルティ(18歳.Ω)は、王宮騎士団の団長を務める、キーファ侯爵家現当主のアリウス(29歳.α)に、ずっと片想いをしている。
そんなシルティは、Ωの成人王族の務めとして、自分は隣国のαの王族に輿入れするのだろうと、人生を半ば諦めていた。
だが、ある日突然、父である国王から、アリウスとの婚姻を勧められる。
二つ返事でアリウスとの婚姻を受けたシルティだったが、何もできない自分の事を、アリウスは迷惑に思っていないだろうかと心配になる。
─が、そんなシルティの心配をよそに、アリウスは天にも登る気持ち(無表情)で、いそいそと婚姻の準備を進めていた。
受けを好きすぎて、発情期にしか触れる事ができない攻めと、発情期の記憶が一切ない受けのお話です。
拗らせ両片想いの大人の恋(?)
オメガバースの設定をお借りしています。ぼんやり設定です。
Rシーンは※つけます。
1話1,000~2,000字程度です。
悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
従者は知らない間に外堀を埋められていた
SEKISUI
BL
新作ゲーム胸にルンルン気分で家に帰る途中事故にあってそのゲームの中転生してしまったOL
転生先は悪役令息の従者でした
でも内容は宣伝で流れたプロモーション程度しか知りません
だから知らんけど精神で人生歩みます
冤罪で追放された悪役令息、北の辺境で幸せを掴む~恐ろしいと噂の銀狼将軍に嫁いだら、極上の溺愛とモフモフなスローライフが始まりました~
水凪しおん
BL
「君は、俺の宝だ」
無実の罪を着せられ、婚約破棄の末に極寒の辺境へ追放された公爵令息ジュリアン。
彼を待ち受けていたのは、「北の食人狼」と恐れられる将軍グリーグとの政略結婚だった。
死を覚悟したジュリアンだったが、出会った将軍は、噂とは真逆の不器用で心優しいアルファで……?
前世の記憶を持つジュリアンは、現代知識と魔法でボロボロの要塞を快適リフォーム!
手作りスープで将軍の胃袋を掴み、特産品開発で街を救い、気づけば冷徹将軍から規格外の溺愛を受けることに。
一方、ジュリアンを捨てた王都では、破滅の足音が近づいていて――。
冤罪追放から始まる、銀狼将軍との幸せいっぱいな溺愛スローライフ、ここに開幕!
【オメガバース/ハッピーエンド/ざまぁあり/子育て/スパダリ】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる