6 / 9
本編
新しい恋のはじまり※
しおりを挟む
青色だった世界に夜が訪れると、水の精霊に豊穣の願いと感謝がこめられた無数のランターンに灯がともされる。
「灯りをつけるよ」
エドの言葉に笑顔でうなずく。
今は幼馴染ではなく恋人同士になれたエドと一緒にいることが、とても嬉しくてしあわせで浮かれてしまっている。
ランターンは一人で放つことができないーー二人で大きなランターンの中心にある小さなろうそくを燃やし、ランターンにガスがたっぷりたまるまで待たなくてはならない。
このランターンがきれいな形にふくらむまで、ゆらめく火をじっと見つめ、かがみこんでランターンを持っているエドを窺えば甘さがとけたような紫色の瞳に見つめられていた。
恋人になってはじめて一緒にする共同作業に胸がくすぐったくなるのに愛おしい時間が過ぎていく。
「そろそろ、カウントダウンがはじまるな」
カウントダウンの声が聞こえてきて、エドと一緒に数えていく。
「三、二、一…………っ!」
二人でタイミングをあわせてランターンを放つと、ふわりふわりと夜空を舞いあがっていく。二人で持っていた大きなランターンがどんどん空へ上がっていくと、手のひらくらいに小さくなっている。
さまざまな色のランターンがやわらかな光で幻想的に夜空を彩り、そのうつくしさにエドと私は魅入っていた。
「きれい……」
感嘆の声がもれてしまうと、エドが「そうだな」と応えてくれる。
その優しい声にエドを見つめれば、夜空をおだやかな光で彩るランターンの中でやわらかな笑顔を浮かべていて、その笑顔を見たらなぜか涙腺がゆるんでしまう。
「泣き虫ーー」
エドの言葉で大きな身体にすっぽり抱きしめられていた。
あやすように背中をさする大きな手のひらの温度がゆっくり広がっていき、エドが大きな身体を屈ませると片手で私の顔を持ち上げた。
エドの端正な顔が近づいて、こつんと額をあわせるから心臓が大きく跳ね上がり、かすかにゆれたハイビスカスのイヤリングが音を立てた。
「ハイビスカスの花言葉、知ってるか?」
ささやくような甘い声に、首をわずかに横にふる。
「ハイビスカスの花言葉は『新しい恋』ーー俺がはじめに覚えた花言葉なんだぞ」
愛おしそうな瞳にまっすぐに見つめられれば、鼓動はうるさいくらい早鐘をうっていく。
熱い指が私の頬を愛おしそうになぞり紫色の瞳と見つめあえば、こみ上げる想いが抑えられなくて言葉がこぼれてしまう。
「エド、好き……」
「俺もーー」
ゆっくり近づいてくるエドにまぶたをとじれば甘いキスが落ちてきて、ハイビスカスのイヤリングがゆれれば、耳元でしゃらりと新しい恋がはじまる音を甘やかにならしていたーー。
おしまい
「灯りをつけるよ」
エドの言葉に笑顔でうなずく。
今は幼馴染ではなく恋人同士になれたエドと一緒にいることが、とても嬉しくてしあわせで浮かれてしまっている。
ランターンは一人で放つことができないーー二人で大きなランターンの中心にある小さなろうそくを燃やし、ランターンにガスがたっぷりたまるまで待たなくてはならない。
このランターンがきれいな形にふくらむまで、ゆらめく火をじっと見つめ、かがみこんでランターンを持っているエドを窺えば甘さがとけたような紫色の瞳に見つめられていた。
恋人になってはじめて一緒にする共同作業に胸がくすぐったくなるのに愛おしい時間が過ぎていく。
「そろそろ、カウントダウンがはじまるな」
カウントダウンの声が聞こえてきて、エドと一緒に数えていく。
「三、二、一…………っ!」
二人でタイミングをあわせてランターンを放つと、ふわりふわりと夜空を舞いあがっていく。二人で持っていた大きなランターンがどんどん空へ上がっていくと、手のひらくらいに小さくなっている。
さまざまな色のランターンがやわらかな光で幻想的に夜空を彩り、そのうつくしさにエドと私は魅入っていた。
「きれい……」
感嘆の声がもれてしまうと、エドが「そうだな」と応えてくれる。
その優しい声にエドを見つめれば、夜空をおだやかな光で彩るランターンの中でやわらかな笑顔を浮かべていて、その笑顔を見たらなぜか涙腺がゆるんでしまう。
「泣き虫ーー」
エドの言葉で大きな身体にすっぽり抱きしめられていた。
あやすように背中をさする大きな手のひらの温度がゆっくり広がっていき、エドが大きな身体を屈ませると片手で私の顔を持ち上げた。
エドの端正な顔が近づいて、こつんと額をあわせるから心臓が大きく跳ね上がり、かすかにゆれたハイビスカスのイヤリングが音を立てた。
「ハイビスカスの花言葉、知ってるか?」
ささやくような甘い声に、首をわずかに横にふる。
「ハイビスカスの花言葉は『新しい恋』ーー俺がはじめに覚えた花言葉なんだぞ」
愛おしそうな瞳にまっすぐに見つめられれば、鼓動はうるさいくらい早鐘をうっていく。
熱い指が私の頬を愛おしそうになぞり紫色の瞳と見つめあえば、こみ上げる想いが抑えられなくて言葉がこぼれてしまう。
「エド、好き……」
「俺もーー」
ゆっくり近づいてくるエドにまぶたをとじれば甘いキスが落ちてきて、ハイビスカスのイヤリングがゆれれば、耳元でしゃらりと新しい恋がはじまる音を甘やかにならしていたーー。
おしまい
32
あなたにおすすめの小説
旦那様は、転生後は王子様でした
編端みどり
恋愛
近所でも有名なおしどり夫婦だった私達は、死ぬ時まで一緒でした。生まれ変わっても一緒になろうなんて言ったけど、今世は貴族ですって。しかも、タチの悪い両親に王子の婚約者になれと言われました。なれなかったら替え玉と交換して捨てるって言われましたわ。
まだ12歳ですから、捨てられると生きていけません。泣く泣くお茶会に行ったら、王子様は元夫でした。
時折チートな行動をして暴走する元夫を嗜めながら、自身もチートな事に気が付かない公爵令嬢のドタバタした日常は、周りを巻き込んで大事になっていき……。
え?! わたくし破滅するの?!
しばらく不定期更新です。時間できたら毎日更新しますのでよろしくお願いします。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
愛のない婚約かと、ずっと思っていた。
華南
恋愛
幼い頃から、愛のない婚約かとずっと思っていた。
婚約解消を言い出した私の言葉に、彼が豹変するまでは……。
8/11、第2部スタートしました。
小説家になろう様にも投稿しています。
寵愛バトル外伝~ソフィアの恋の悩み~
高橋 カノン
恋愛
✳︎そんなに長くはならない予定です。
ソフィアは離婚も成立している。そしてティモシーとも両想いになれた。何の障害もない二人だけど、何だかんだ言っても、現状から何も変化がない。
そんな時、ティモシーが留学していたテルビス共和国の魔法技術学院で、助手を務めてくれた二人が訪ねて来た。まだ若い二人の女子。ソフィアは今まで知らないティムを見たようで、もやもやしてしまう。しかも、一人はティモシーに恋してるみたい。
何しろ政略結婚のルートしか知らないので、ソフィアにとっては初めての恋。手練れのビアンカやローレンに励まされ、一歩前進したいところです。
煤かぶり姫は光の貴公子の溺愛が罰ゲームだと知っている。
朝霧心惺
恋愛
「ベルティア・ローレル。僕の恋人になってくれないかい?」
煌めく猫っ毛の金髪に太陽の瞳、光の貴公子の名を欲しいがままにするエドワード・ルードバーグ公爵令息の告白。
普通の令嬢ならば、嬉しさのあまり失神してしまうかもしれない状況に、告白された令嬢、ベルティア・ローレルは無表情のままぴくりとも頬を動かさない。
何故なら———、
(罰ゲームで告白なんて、最低の極みね)
黄金の髪こそが美しいという貴族の価値観の中で、煤を被ったような漆黒の髪を持つベルティアには、『煤かぶり姫』という蔑称がある。
そして、それは罰ゲーム結果の恋人に選ばれるほどに、貴族にとっては酷い見た目であるらしい。
3年間にも及ぶ学園生活も終盤に迫ったこの日告白されたベルティア、実家は伯爵家といえども辺境であり、長年の凶作続きにより没落寸前。
もちろん、実家は公爵家に反抗できるほどの力など持ち合わせていない。
目立つ事が大嫌いでありながらも渋々受け入れた恋人生活、けれど、彼の罰ゲームはただ付き合うだけでは終わらず、加速していく溺愛、溺愛、溺愛………!!
甘すぎる苦しみが、ベルティアを苦しめる。
「どうして僕の愛を疑うんだっ!!」
(疑うも何も、そもそもこの恋人ごっこはあなたへの罰ゲームでしょ!?)
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―
喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。
そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。
二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。
最初は手紙も返ってきていたのに、
いつからか音信不通に。
あんなにうっとうしいほど構ってきた男が――
なぜ突然、私を無視するの?
不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、
突然ルイスが帰還した。
ボロボロの身体。
そして隣には――見知らぬ女。
勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、
私の中で何かが壊れた。
混乱、絶望、そして……再起。
すがりつく女は、みっともないだけ。
私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。
「私を簡単に捨てられるとでも?
――君が望んでも、離さない」
呪いを自ら解き放ち、
彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。
すれ違い、誤解、呪い、執着、
そして狂おしいほどの愛――
二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。
過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。10~15話前後の短編五編+番外編のお話です。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。 ※R7.10/13お気に入り登録700を超えておりました(泣)多大なる感謝を込めて一話お届けいたします。 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.10/30に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。 ※R7.12/8お気に入り登録800超えです!ありがとうございます(泣)一話書いてみましたので、ぜひ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
