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閑話
〈閑話〉メネクセス王国 28
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~国王 ファイルヒェン視点~
「陛下、ヘイジョーからの緊急を知らせる手紙が届いておりました」
約三か月前、ガルデニア侯爵を呼び出し、娘への付きまとい行為をしている奴らについて聞き取り調査を行った。最初はのらりくらりと躱していたが、あの商業ギルドの偽装カードと手紙を見せたことで顔色を変えた。離宮に出入りしていた影のうち一人は捕縛して地下牢に繋いでいる。それを見せたことでようやく認めた。
『確かにその手紙の差出人は我が侯爵家に仕える部下の様です。きっと陛下のご息女を発見し、陛下の元へお連れしなければという使命感から動いたのでしょう。共にいる冒険者が陛下の知人とは知らず、きっと連れ去りをされているとでも勘違いしたのでしょう。直ぐに帰国するように申し付け致します』
そう宣言したため直ぐに連絡を取らせ、その後は余計な動きが出来ないように騎士団長としての仕事を含め、城への立ち入りを禁止とし、私の護衛だった側近を監視役に付けた状態で自宅謹慎処分とした。
国内の情勢が少しずつ落ち着いてきたので、兄達が亡くなったクーデター、流行病について調べ始めているのだが、どうも処刑されたラフターラだけが黒幕ではない事が分かってきた。
俺の中では今回謹慎させているガルデニアがかなり怪しいと踏んでいる為、今回の謹慎と影の捕縛によって捜査が進展すると考えていた。
ガルデニア侯爵領地での調査は終了した。かなり黒に近いグレーの証拠が見つかっているものの、あとは王都の屋敷の調査をしたい、そんな時にヘイジョーからの手紙が届いたのだ。
《ヴィオが誘拐された。誘拐の実行犯はアイリス襲撃に携わっていたスチーラーズという冒険者三名だと判明、そのうち一名だけが生存、聞き取り調査にも素直に応じている為詳細は近日中に送る。
実行犯に命令していたのはガルデニアの影二名と、別行動していたスチーラーズのサブリーダーだったそうだ。その三名は死亡しているのが確認されている。
遺体発見地点はレスミドーレ山脈の奥地、捜索に入ったサマニア村の奴らによると、周辺には白金ランクでも厳しい魔獣の遺骸が大量に落ちていたとの事。アルク殿はどうやらヴィオの救出に向かって魔獣にやられたらしい、遺体が発見されている。
影たちは皇国から結界魔道具を盗んでいたらしく、遺体発見現場には魔獣が入れない状態だったようだ。だが、ヴィオの姿は跡形もなく、現在行方を調査中との事。
それから、これは不確定要素だが――誘拐事件から数日後の早朝、レスミドーレ山脈からドラゴンが飛び立つのをサマニア村の子供達が数名見たらしい。その背中に人らしきものが座っているのも見えたというから、もしかしたら……、いや、これは俺の願望かもしれない》
グシャ!
思わず手紙を握りつぶしてしまったが、いや、冷静になれ。
「フィル、落ち着け。こんな時こそまずは冷静になれ」
「まずは状況を整理しよう」
国内貴族というかガルデニアを調べるにあたって、自分が信用できる人が少ないことに気付いた。そこで学生時代に同じ下宿で生活したヨルクとクラリスに声をかけた。
二人は俺が国王になっていた事に顎が外れる程驚いていたけれど、事情を説明すればすぐに納得してくれた。クラリスの父親であるプラネルト辺境伯には、娘を危険な目に合わせる可能性があると伝えたものの、王国民として陛下の手足となるのは当然の事と言われてしまった。
俺の側近としてついてくれていた護衛騎士は、今ガルデニア侯爵の監視役として動けないでいる。その為ギルドへの定期的な手紙の確認作業などはヨルクにお願いしていたのだ。
手紙が届いた時点でクラリスが室内の者たちを下がらせてくれていた事もあり、前回アイリスの事を聞かされた時よりは冷静になれているのだろう。
「この手紙によれば、フィルの子供が攫われたのは先週って事だな。あの村の連中が本気で探して山にいなかったんなら、そこにいない可能性は高いだろうな」
「そうね、ドラゴンに関しては見間違いの可能性もあるけど、何らかの飛翔生物によって避難した可能性は捨てられないわ」
二人が俺の頭の上で話し合っているのを聞いて、だんだん冷静になってくる。同級生ということもあり、他の側近達がいないところではこうして昔の呼び方をしてくれる。そのお陰もあって気持ちが落ち着いてきた。
「まずは皇国の聖結界魔道具についても確認が必要ね、アイリスさんが持っていたペンダントの事もあるし、年明けに行くのでしょう?」
「ああ、その予定だ」
「だったら、この聞き取り調査に応じている奴をこっちに連れてこさせるついでに、その魔道具も持って来させればいいんじゃないか?」
「そういえば〔土竜の盾〕と〔サマニアンズ〕はメキモモに行くんじゃなかったかしら? それならケストネル公爵領地の国境まで近いじゃない、彼らに証言者の護衛依頼を出しましょう」
「あ! そういえばギルドに緊急調査依頼が出てたぞ」
二人から意見が色々出てくる。冒険者の動きを理解しているから話が早い。
ここで待機していた側近達を呼び戻し、父もこちらへ来てもらえるように呼び出してもらった。
帝王教育をシュクラーンとロデドロンに教えてもらっているが、辺境伯でも領地経営学などを学んでいたという二人は非常に吸収が早いと言っていた。年明けにはシュクラーンも魔導学園に留学予定だし、父も孫達と過ごせる時間を大切にしているようだ。
お陰で俺との関係も徐々に修復されつつある。あの時に手放す事を決めたのはラフターラの事があったから仕方が無いにしろ、もっと気にかけておくべきだったと。手紙の返信がないことにもっと疑問を持つべきだったと、お互いに話し合うことで知らなかった事実も判明してきているのだ。
父、リオネル(アーゴナスの父)、アーゴナスも含めて今後の相談をした。
ヴィオの生死確認をしたいところではあるが、これは俺個人の事なので一旦後にしておく。
まずは誘拐犯の生き残りであるインランという女の身柄をメネクセスへ連行し、こちらでも聞き取り調査を行う。
その為にはガルデニア侯爵の邪魔が入ると困るため、奴を王都から物理的に離す必要がある。これに関してはギルドに緊急調査依頼が出ていた、レッドナイフの目撃情報の調査確認を騎士団に出す事とした。
レッドナイフは金ランクランクアップ試験の魔獣である。
今〔土竜の盾〕たちが向かっている場所にいる巨大蛇と、この怪鳥の二種がメネクセス王国での金ランク試験対象の魔獣だ。
レッドナイフは非常に危険な魔鳥であり、見つけた場合は銀ランク上級以上のパーティーへ討伐依頼が出る。それが見つかった場合は近辺の山などは入山禁止となるし、周辺の町や村も出来るだけ日中の外出をしないように警報が出るのだ。何故ならレッドナイフはその鋭い鉤爪で女子供くらいなら連れ去ってしまうことができるからだ。
調査依頼も危険なため、本当にレッドナイフなのかの確認は騎士団が出ることが多い。今回発見情報があったのは、トルマーレ辺境伯の南部、ウルダ国との国境でもあるウランダ山脈だ。
港から王都に来るだろう護送車とも接触する可能性は低いし、往復にはそれなりに時間もかかる。念のため祖父の、前トルマーレ辺境伯とトルマーレ騎士団によって、ガルデニア侯爵が不穏な動きをしないかの確認もしてもらうこととなった。
〔土竜の盾〕と〔サマニアンズ〕には金ランク試験を受けてもらうのは続行で、その上でランクが上がった時点で俺からの指名依頼として、女の護送依頼を出す事にした。リズモーニに行けばプレーサマ辺境伯とドゥーア侯爵からの指名依頼が入るはずだ。そうすれば彼らに余計な貴族からの手出しは出来なくなる。
そして王都から離したガルデニア侯爵邸の家宅調査に入る。
俺の、いや、トルマーレ辺境伯に届くことのなかった手紙の行方、ミュゼット妃が昔飲んでいた不妊成分が入った紅茶の入手経路の確認。父が国王をしていた時代にあった貴族の不審死に関する詳細など。
この家宅捜査で見つかればいいと思うが、これに関しては父とリオネルが自分達の手で必ず暴くと言っているので任せようと思う。
やるべきことが見つかったお陰で闇に染まらずに済んでいる。
ヴィオ、必ず見つけ出すから、どうか無事でいてくれ。
「陛下、ヘイジョーからの緊急を知らせる手紙が届いておりました」
約三か月前、ガルデニア侯爵を呼び出し、娘への付きまとい行為をしている奴らについて聞き取り調査を行った。最初はのらりくらりと躱していたが、あの商業ギルドの偽装カードと手紙を見せたことで顔色を変えた。離宮に出入りしていた影のうち一人は捕縛して地下牢に繋いでいる。それを見せたことでようやく認めた。
『確かにその手紙の差出人は我が侯爵家に仕える部下の様です。きっと陛下のご息女を発見し、陛下の元へお連れしなければという使命感から動いたのでしょう。共にいる冒険者が陛下の知人とは知らず、きっと連れ去りをされているとでも勘違いしたのでしょう。直ぐに帰国するように申し付け致します』
そう宣言したため直ぐに連絡を取らせ、その後は余計な動きが出来ないように騎士団長としての仕事を含め、城への立ち入りを禁止とし、私の護衛だった側近を監視役に付けた状態で自宅謹慎処分とした。
国内の情勢が少しずつ落ち着いてきたので、兄達が亡くなったクーデター、流行病について調べ始めているのだが、どうも処刑されたラフターラだけが黒幕ではない事が分かってきた。
俺の中では今回謹慎させているガルデニアがかなり怪しいと踏んでいる為、今回の謹慎と影の捕縛によって捜査が進展すると考えていた。
ガルデニア侯爵領地での調査は終了した。かなり黒に近いグレーの証拠が見つかっているものの、あとは王都の屋敷の調査をしたい、そんな時にヘイジョーからの手紙が届いたのだ。
《ヴィオが誘拐された。誘拐の実行犯はアイリス襲撃に携わっていたスチーラーズという冒険者三名だと判明、そのうち一名だけが生存、聞き取り調査にも素直に応じている為詳細は近日中に送る。
実行犯に命令していたのはガルデニアの影二名と、別行動していたスチーラーズのサブリーダーだったそうだ。その三名は死亡しているのが確認されている。
遺体発見地点はレスミドーレ山脈の奥地、捜索に入ったサマニア村の奴らによると、周辺には白金ランクでも厳しい魔獣の遺骸が大量に落ちていたとの事。アルク殿はどうやらヴィオの救出に向かって魔獣にやられたらしい、遺体が発見されている。
影たちは皇国から結界魔道具を盗んでいたらしく、遺体発見現場には魔獣が入れない状態だったようだ。だが、ヴィオの姿は跡形もなく、現在行方を調査中との事。
それから、これは不確定要素だが――誘拐事件から数日後の早朝、レスミドーレ山脈からドラゴンが飛び立つのをサマニア村の子供達が数名見たらしい。その背中に人らしきものが座っているのも見えたというから、もしかしたら……、いや、これは俺の願望かもしれない》
グシャ!
思わず手紙を握りつぶしてしまったが、いや、冷静になれ。
「フィル、落ち着け。こんな時こそまずは冷静になれ」
「まずは状況を整理しよう」
国内貴族というかガルデニアを調べるにあたって、自分が信用できる人が少ないことに気付いた。そこで学生時代に同じ下宿で生活したヨルクとクラリスに声をかけた。
二人は俺が国王になっていた事に顎が外れる程驚いていたけれど、事情を説明すればすぐに納得してくれた。クラリスの父親であるプラネルト辺境伯には、娘を危険な目に合わせる可能性があると伝えたものの、王国民として陛下の手足となるのは当然の事と言われてしまった。
俺の側近としてついてくれていた護衛騎士は、今ガルデニア侯爵の監視役として動けないでいる。その為ギルドへの定期的な手紙の確認作業などはヨルクにお願いしていたのだ。
手紙が届いた時点でクラリスが室内の者たちを下がらせてくれていた事もあり、前回アイリスの事を聞かされた時よりは冷静になれているのだろう。
「この手紙によれば、フィルの子供が攫われたのは先週って事だな。あの村の連中が本気で探して山にいなかったんなら、そこにいない可能性は高いだろうな」
「そうね、ドラゴンに関しては見間違いの可能性もあるけど、何らかの飛翔生物によって避難した可能性は捨てられないわ」
二人が俺の頭の上で話し合っているのを聞いて、だんだん冷静になってくる。同級生ということもあり、他の側近達がいないところではこうして昔の呼び方をしてくれる。そのお陰もあって気持ちが落ち着いてきた。
「まずは皇国の聖結界魔道具についても確認が必要ね、アイリスさんが持っていたペンダントの事もあるし、年明けに行くのでしょう?」
「ああ、その予定だ」
「だったら、この聞き取り調査に応じている奴をこっちに連れてこさせるついでに、その魔道具も持って来させればいいんじゃないか?」
「そういえば〔土竜の盾〕と〔サマニアンズ〕はメキモモに行くんじゃなかったかしら? それならケストネル公爵領地の国境まで近いじゃない、彼らに証言者の護衛依頼を出しましょう」
「あ! そういえばギルドに緊急調査依頼が出てたぞ」
二人から意見が色々出てくる。冒険者の動きを理解しているから話が早い。
ここで待機していた側近達を呼び戻し、父もこちらへ来てもらえるように呼び出してもらった。
帝王教育をシュクラーンとロデドロンに教えてもらっているが、辺境伯でも領地経営学などを学んでいたという二人は非常に吸収が早いと言っていた。年明けにはシュクラーンも魔導学園に留学予定だし、父も孫達と過ごせる時間を大切にしているようだ。
お陰で俺との関係も徐々に修復されつつある。あの時に手放す事を決めたのはラフターラの事があったから仕方が無いにしろ、もっと気にかけておくべきだったと。手紙の返信がないことにもっと疑問を持つべきだったと、お互いに話し合うことで知らなかった事実も判明してきているのだ。
父、リオネル(アーゴナスの父)、アーゴナスも含めて今後の相談をした。
ヴィオの生死確認をしたいところではあるが、これは俺個人の事なので一旦後にしておく。
まずは誘拐犯の生き残りであるインランという女の身柄をメネクセスへ連行し、こちらでも聞き取り調査を行う。
その為にはガルデニア侯爵の邪魔が入ると困るため、奴を王都から物理的に離す必要がある。これに関してはギルドに緊急調査依頼が出ていた、レッドナイフの目撃情報の調査確認を騎士団に出す事とした。
レッドナイフは金ランクランクアップ試験の魔獣である。
今〔土竜の盾〕たちが向かっている場所にいる巨大蛇と、この怪鳥の二種がメネクセス王国での金ランク試験対象の魔獣だ。
レッドナイフは非常に危険な魔鳥であり、見つけた場合は銀ランク上級以上のパーティーへ討伐依頼が出る。それが見つかった場合は近辺の山などは入山禁止となるし、周辺の町や村も出来るだけ日中の外出をしないように警報が出るのだ。何故ならレッドナイフはその鋭い鉤爪で女子供くらいなら連れ去ってしまうことができるからだ。
調査依頼も危険なため、本当にレッドナイフなのかの確認は騎士団が出ることが多い。今回発見情報があったのは、トルマーレ辺境伯の南部、ウルダ国との国境でもあるウランダ山脈だ。
港から王都に来るだろう護送車とも接触する可能性は低いし、往復にはそれなりに時間もかかる。念のため祖父の、前トルマーレ辺境伯とトルマーレ騎士団によって、ガルデニア侯爵が不穏な動きをしないかの確認もしてもらうこととなった。
〔土竜の盾〕と〔サマニアンズ〕には金ランク試験を受けてもらうのは続行で、その上でランクが上がった時点で俺からの指名依頼として、女の護送依頼を出す事にした。リズモーニに行けばプレーサマ辺境伯とドゥーア侯爵からの指名依頼が入るはずだ。そうすれば彼らに余計な貴族からの手出しは出来なくなる。
そして王都から離したガルデニア侯爵邸の家宅調査に入る。
俺の、いや、トルマーレ辺境伯に届くことのなかった手紙の行方、ミュゼット妃が昔飲んでいた不妊成分が入った紅茶の入手経路の確認。父が国王をしていた時代にあった貴族の不審死に関する詳細など。
この家宅捜査で見つかればいいと思うが、これに関しては父とリオネルが自分達の手で必ず暴くと言っているので任せようと思う。
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