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閑話
〈閑話〉サマニアンズ 8
~トンガ視点~
メキモモの町に到着して直ぐにヴィオが誘拐された事を手紙で知った。
数日休むつもりだったけど、武器も日々の修繕で然程傷んでいなかった為、翌日には山へ向かった。
かなり詳細な場所を聞いていた事もあり、然程時間をかけずに対象を発見、番だったアヤクマララは雄が3メートル越え、雌は5メートル近い大きさだった。
だが雌は卵を産んだ直後だったようで動きに俊敏さはなく、雌を護るために狂暴化していた雄もオトマンの拘束魔法で動きを抑えられた事で即座に首を切断して討伐が完了した。
山に入って半日足らずで巨大蛇二匹を持って帰ってきた僕たちは、文句なしで金ランクにランクアップした。武器の修繕に数日かかったが、蛇の解体にも時間がかかったから丁度良かったかもしれない。
準備が整い、僕たちがいたメキモモから南下する事3日、国境の町ボーランからケストネル公爵領地に入った。
公爵領に入って最初の町で手紙の確認をしようと思ったら、まさかの相手がそこにいた。
「サブマス!?」
「やっと来ましたね」
「え、誰?」
「あの人がアスラン様だよ。サマニア村のサブマス!」
「ええっ? なんでその人がここに?」
腰まである白髪はひとつに纏められており、どう見ても冒険者装備に身を包んでいるサブマス。
怜悧な表情は周辺から恐れを抱かせるものの、ヴィオと魔法の事を話す時にはその表情が崩れることを知っている。
そういえばサブマスをタキさんに引き継いで、ヴィオと冒険の旅に出るとか言ってたけど、それでここに?
「あなた達を待っていたのですよ。メネクセスに入ってしまえばすれ違う可能性もありましたが、この町には必ず来るだろうことが分かっていましたからね」
そう言われてギルドの会議室を借りて話を聞くことにした。
サブマスの知らせはとても嬉しい内容だったけど、驚きと、ヴィオだなぁという感想が皆の口から出て来たよね。なんだかここ数日間ピリピリしていた雰囲気が一気に霧散した感じ。
「あ~~~~、ヴィオは目の前にいなくても、俺たちを驚かせる天才だな」
「子供達が見たのは本物のドラゴンだったって事なんだね」
「つーか、他の大陸があったんだな」
「そこで勇者に会ったって、勇者って神国の王様になった人じゃなかったの? これって真実を知っても大丈夫なやつ?」
「まあけど、ヴィオと連絡が取れる手段は見つかったって事だろ? 俺達がそっちに行けるかどうかは分からねえけど、とりあえず勇者がいるなら安全は確保されてるって事だ」
「まあそうですね。まずはインランをヴィオさんのお父上の元へ届ける。その上でどうにかその大陸に行く方法を考えようと思います」
サブマスは別の大陸に行くつもりなんだね。
僕も行ってみたいけど……、いや、まずは目の前の事から片付けよう。
サブマスという最強魔法使いが仲間になり、まずはドゥーア先生のところへ行くことになった。
先生宅で前回見せてもらった大きな馬車を借りることが出来たので、それに乗ってサマニア村へ。ネリアとサブマスが馬に回復魔法をかけ、僕たちで馬車を浮かせて追い風をしていた事もあり、あの距離を一週間かからずに移動できるとか驚きだよね。
サマニア村に到着したのは火の二か月目、憔悴しきっている女を馬車に乗せて直ぐに王都方面へ、彼女が全て正直に証言してくれているし、影が持っていた荷物と、ゲドゥという奴の荷物も引き上げて調べ済。
影たちの荷物はマジックバッグだった事もあり、まあ続々と悪事の証拠が出てきた。
これはフィルさん達にとっても喜ばしい証拠かもね。
まさか自宅ではなく動き回る影に証拠品を持って歩かせるなんて、考えもしないだろうから。
だとすれば使用者制限をかけていないというのは大失敗だけど、ああそうか、使用者制限をかけたら何かあった時に回収できなくなるからかけてなかったんだね。今回はそれに助けられた感じだね。
ドゥーア先生からはこの馬車でメネクセスに行っていいと言われている。
馬はサマニア村に到着した時点で、プレーサマ辺境伯閣下から魔馬を二頭お借りできたので、移動速度はさらに上がっている。
川船でフォンタナの港町まで直接下り、フォンタナから海船に乗り換える。風の季節の前に移動できたことで三週間の船旅は終了した。
僕たちがニライハートの港町に到着した時に届いた手紙には、例の侯爵率いる討伐隊により、怪鳥の討伐は終了。怪我人多数のため、王都帰還予定日は月末か来月のはじめになるだろうという事だった。
「金ランク試験対象の魔鳥だよね? 騎士団って大したことないの? 冒険者も集結させて対処したんでしょう? それで怪我人多数って……」
「魔鳥は地に足を付けている相手よりは難しいと言えますね。ただ、冒険者の実力がサマニア村基準で考えるのはいけませんよ。あそこは魔境ですからね、私もあの村に行ってやっと楽に生きることが出来たのですから」
サブマスの呟きに頷いているのは〔土竜の盾〕のメンバーたち。
いや、確かに僕たちも空を飛ぶ相手は苦手だけどさ、だけど攻撃しに下りてくることはあるだろうし、影の拘束だったら飛んでたって使えるんだから落とせるよね?
「いやいや、トンガ君? 影っていうのは地面に出来るものだよ? だから飛んでいる相手に使うなんて無理なんだよ?」
「え? けどヴィオは出来てたぞ? 飛んでると腹っ側は陰になってるから、そこの影を使えば羽ごとグルグル巻きに出来るから、闇魔法があれば鳥は敵じゃないって……。あれ? これもあれか?」
「くっくっくっく、流石ヴィオさんですね。そんな使い方を考える人は早々いないと思いますよ。でも確かに、影は身体のどこにでもできますよね。ふふっ、ああ早くヴィオさんにお会いしたいですねぇ」
ルンガの台詞に驚いて固まっているのは、闇魔法を使えるオトマンだ。僕もあれは闇魔法が使える人なら誰でも使える魔法なんだと思ってたよ。
王都でインランを引き渡した後、しばらくそのまま王都で待機することになった。フィルさんからの呼び出しがあるかもしれないし、侯爵がどうなるかも見届けたいからね。
☆☆☆お知らせとご報告☆☆☆
この度、第18回ファンタジー小説大賞にて【ヒロイン賞】を受賞いたしました°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
これも皆様が読んでくださっているお陰でございます(´Д⊂ヽウエン
筋肉幼女ではなく、可愛い主人公なんて言ってもらえて、ヴィオも非常に喜んでおります( *´艸`)
これからも執筆を頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします♪
メキモモの町に到着して直ぐにヴィオが誘拐された事を手紙で知った。
数日休むつもりだったけど、武器も日々の修繕で然程傷んでいなかった為、翌日には山へ向かった。
かなり詳細な場所を聞いていた事もあり、然程時間をかけずに対象を発見、番だったアヤクマララは雄が3メートル越え、雌は5メートル近い大きさだった。
だが雌は卵を産んだ直後だったようで動きに俊敏さはなく、雌を護るために狂暴化していた雄もオトマンの拘束魔法で動きを抑えられた事で即座に首を切断して討伐が完了した。
山に入って半日足らずで巨大蛇二匹を持って帰ってきた僕たちは、文句なしで金ランクにランクアップした。武器の修繕に数日かかったが、蛇の解体にも時間がかかったから丁度良かったかもしれない。
準備が整い、僕たちがいたメキモモから南下する事3日、国境の町ボーランからケストネル公爵領地に入った。
公爵領に入って最初の町で手紙の確認をしようと思ったら、まさかの相手がそこにいた。
「サブマス!?」
「やっと来ましたね」
「え、誰?」
「あの人がアスラン様だよ。サマニア村のサブマス!」
「ええっ? なんでその人がここに?」
腰まである白髪はひとつに纏められており、どう見ても冒険者装備に身を包んでいるサブマス。
怜悧な表情は周辺から恐れを抱かせるものの、ヴィオと魔法の事を話す時にはその表情が崩れることを知っている。
そういえばサブマスをタキさんに引き継いで、ヴィオと冒険の旅に出るとか言ってたけど、それでここに?
「あなた達を待っていたのですよ。メネクセスに入ってしまえばすれ違う可能性もありましたが、この町には必ず来るだろうことが分かっていましたからね」
そう言われてギルドの会議室を借りて話を聞くことにした。
サブマスの知らせはとても嬉しい内容だったけど、驚きと、ヴィオだなぁという感想が皆の口から出て来たよね。なんだかここ数日間ピリピリしていた雰囲気が一気に霧散した感じ。
「あ~~~~、ヴィオは目の前にいなくても、俺たちを驚かせる天才だな」
「子供達が見たのは本物のドラゴンだったって事なんだね」
「つーか、他の大陸があったんだな」
「そこで勇者に会ったって、勇者って神国の王様になった人じゃなかったの? これって真実を知っても大丈夫なやつ?」
「まあけど、ヴィオと連絡が取れる手段は見つかったって事だろ? 俺達がそっちに行けるかどうかは分からねえけど、とりあえず勇者がいるなら安全は確保されてるって事だ」
「まあそうですね。まずはインランをヴィオさんのお父上の元へ届ける。その上でどうにかその大陸に行く方法を考えようと思います」
サブマスは別の大陸に行くつもりなんだね。
僕も行ってみたいけど……、いや、まずは目の前の事から片付けよう。
サブマスという最強魔法使いが仲間になり、まずはドゥーア先生のところへ行くことになった。
先生宅で前回見せてもらった大きな馬車を借りることが出来たので、それに乗ってサマニア村へ。ネリアとサブマスが馬に回復魔法をかけ、僕たちで馬車を浮かせて追い風をしていた事もあり、あの距離を一週間かからずに移動できるとか驚きだよね。
サマニア村に到着したのは火の二か月目、憔悴しきっている女を馬車に乗せて直ぐに王都方面へ、彼女が全て正直に証言してくれているし、影が持っていた荷物と、ゲドゥという奴の荷物も引き上げて調べ済。
影たちの荷物はマジックバッグだった事もあり、まあ続々と悪事の証拠が出てきた。
これはフィルさん達にとっても喜ばしい証拠かもね。
まさか自宅ではなく動き回る影に証拠品を持って歩かせるなんて、考えもしないだろうから。
だとすれば使用者制限をかけていないというのは大失敗だけど、ああそうか、使用者制限をかけたら何かあった時に回収できなくなるからかけてなかったんだね。今回はそれに助けられた感じだね。
ドゥーア先生からはこの馬車でメネクセスに行っていいと言われている。
馬はサマニア村に到着した時点で、プレーサマ辺境伯閣下から魔馬を二頭お借りできたので、移動速度はさらに上がっている。
川船でフォンタナの港町まで直接下り、フォンタナから海船に乗り換える。風の季節の前に移動できたことで三週間の船旅は終了した。
僕たちがニライハートの港町に到着した時に届いた手紙には、例の侯爵率いる討伐隊により、怪鳥の討伐は終了。怪我人多数のため、王都帰還予定日は月末か来月のはじめになるだろうという事だった。
「金ランク試験対象の魔鳥だよね? 騎士団って大したことないの? 冒険者も集結させて対処したんでしょう? それで怪我人多数って……」
「魔鳥は地に足を付けている相手よりは難しいと言えますね。ただ、冒険者の実力がサマニア村基準で考えるのはいけませんよ。あそこは魔境ですからね、私もあの村に行ってやっと楽に生きることが出来たのですから」
サブマスの呟きに頷いているのは〔土竜の盾〕のメンバーたち。
いや、確かに僕たちも空を飛ぶ相手は苦手だけどさ、だけど攻撃しに下りてくることはあるだろうし、影の拘束だったら飛んでたって使えるんだから落とせるよね?
「いやいや、トンガ君? 影っていうのは地面に出来るものだよ? だから飛んでいる相手に使うなんて無理なんだよ?」
「え? けどヴィオは出来てたぞ? 飛んでると腹っ側は陰になってるから、そこの影を使えば羽ごとグルグル巻きに出来るから、闇魔法があれば鳥は敵じゃないって……。あれ? これもあれか?」
「くっくっくっく、流石ヴィオさんですね。そんな使い方を考える人は早々いないと思いますよ。でも確かに、影は身体のどこにでもできますよね。ふふっ、ああ早くヴィオさんにお会いしたいですねぇ」
ルンガの台詞に驚いて固まっているのは、闇魔法を使えるオトマンだ。僕もあれは闇魔法が使える人なら誰でも使える魔法なんだと思ってたよ。
王都でインランを引き渡した後、しばらくそのまま王都で待機することになった。フィルさんからの呼び出しがあるかもしれないし、侯爵がどうなるかも見届けたいからね。
☆☆☆お知らせとご報告☆☆☆
この度、第18回ファンタジー小説大賞にて【ヒロイン賞】を受賞いたしました°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
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