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ウミユ遺跡ダンジョン 後半
第366話 ウミユ その33
しおりを挟む聖水を纏わせた武器による攻撃は 効果抜群だった。
ただ、長剣とかだと毎回聖水をかけるのも面倒なので、矢筒に入れるのと、聖水入りの革袋を剣帯替わりにできる短剣がその対象になったんだけどね。
私の聖魔法もおかげさまで上達したんだよね。
夜の敵でしか練習が出来ないので 午前中に採集、移動をして 昼食後長めのお昼寝。
15時ごろから移動を再開して 野営地に到着する頃には 少しずつアンテッドが増え始めるうように動く。
夕食後に完全夜型となった相手に色々お試しをしながら聖魔法を特訓するという毎日を過ごしたおかげだね。。
25階以降の夜にはスケルトンの上位種スカルウォーリア(戦士)、スカルウィザード(魔法使い)、スカルアーチャー(弓矢)も出るようになった。
これは日中に出てくるゴブリンも同じで、ゴブリンナイト以外にゴブリンアーチャー、ゴブリンシーフ、セージゴブリンなどが出てくるようになった。
ゴブリンナイトは結構アホだったけど、職業名が付いているほか三種は中々厄介だった。
ゴブリンアーチャーは 木の上から狙撃をしてくるやつで、結構な飛距離で狙ってくる。索敵が無ければかなり危険な相手。
ゴブリンシーフはその名の通り 荷物や小物などを盗んでくる。
ただ、私たちは全員がマジックバックだから盗めなかったようだけど、普通の鞄とか ポケットに小銭を入れてたりすると盗まれるらしい。
私もこのシーフが出始めてからは 短剣を鞄に収納して、鞭と魔法だけで戦うことにしたんだよね。
そしてセージゴブリンは メイジの上位種、セージはかなり知能が高く明らかにゴブリンたちへゴブリン語で指示を出していた。
そしてセージゴブリンがいる時はコイツがリーダーとして指揮を執る。
だからメイジとの違いに気付けたけど、見た目はメイジと同じようにマントと杖だから 油断してやられる人がいるのは仕方がないと思った。
会ったセージは 二属性を使えたようで 使う属性はバラバラだった。
ドロップアイテムは 魔石は確実で 武器は時々。シーフは魔石しか落とさない。
セージは時々杖を落とすらしく、この杖は高額で取引できるんだって。ゴブリンが使ってた魔道具の杖はちょっと興味があるね。
「ねえ ヴィオの鞭ってさ 魔力で作ってるんだよね?
だったら 聖魔法の魔力で鞭を作ったら アンテッドにも効果があるのかな」
な、なんですと!?
お昼寝が終わって 最後の移動をしようとしているところで トンガお兄ちゃんからの爆弾発言。
全く考えてなかったけどそうだよね。
武器に聖水振り撒くよりも効果的じゃない?
ただ、聖魔力を形どるのってどうしようかな……。
「普通の鞭みたいな紐は作れねえの? 」
紐、作れると思う。その場合は 何で作ったら効果的かな。蔦みたいな感じ?木魔法の上から聖魔法を纏わせる?
鞭でダブルの魔力って使った事ないけど出来るかな?
「あれだ、魔力は想像力だってヴィオはいつも言ってんだろ?
聖魔力ってのを糸状にして考えてさ それを編み込んで鞭にするとかできねえの?」
ルンガお兄ちゃんが 私の鞭の持ち手部分を指さして言う。確かにここは皮を編み込んでるよね。
こんな感じで聖魔力を編み込んだ紐を作ればいいのか。
なんと、聖魔力に形がないと決めつけてたから考え付けなかったけど、形がないからこそ自由だって事だね。
「お兄ちゃんたち 凄いね! 考えてなかったけどそれならできると思う。見ててね」
鞭に自分の中の白い魔力を流し込む。
糸よりは鞭だから皮が良いね、ミサンガみたいに皮を編み込むイメージで、うん 形が明確にイメージ出来たら早いね。白っぽい皮状の編み込みがスルスルと伸びていく。
グリップも白いから 一本のオーダーメイドされた鞭に見える。
普段通りに手首を振れば 鞭は自由に蛇のように動いて地を叩く。
「うん、効果があるかは実験次第だけど 行けると思う」
明日はラスボス戦だからね、今日は29階の最後のセフティーゾーンまで行く予定なのだ。
ゴブリンたちが団体で来ても 木々が邪魔して あちらも陣形が組めない。アーチャーと蛇対策の為に 私はもっぱら木の上走行をしています。
とりあえず木の上では魔法での討伐を、【索敵】範囲にアーチャーが見えた時点で【エアショット】で撃ち抜き、ゴブリン軍団が見えたらシーフとセージを上から狙い撃ち。
それだけでも お兄ちゃんたちの討伐が楽になるという事なので 積極的にやってます。
「ヴィオ、そろそろ日が落ちてくるから下りておいで」
夜になると ゴブリン集団は巣に戻るのか居なくなる。オークは昼夜関係ないんだけど ゴブリンは夕方になるともう見ない。
地上では夜にもゴブリンはいたから、ここでは夜にアーチャーの狙撃とか洒落にならんというダンジョン様のお気遣いかもしれないけどね。
宵闇茸の傘がほんわり光り始めれば 夜の始まりだ。
時々群生しているときもあり、その光が冒険者たちの焚火だと思って迷い込む人もいるらしい。幻覚の粉を振り撒くことで森から出られなくなり 魔獣の餌食になる旅人も 少なくはないとのこと。
茸は地味に怖いのが多いです。
もちろん美味しく食べられるのも多いんだけど、麻痺、毒、睡眠、幻覚、視界不良などなど、色んな粉を振り撒く奴らが多い。そして その体自体を粘液が覆っていることも多く、たいてい炎症、火傷、爛れ、毒などの症状を齎すのだ。
知らない茸には近づかない! これは地球と変わらないかもだね。
まあ鑑定眼鏡で調べればいいし、怪しい奴は【ファイアボール】で攻撃してみる。キラキラエフェクトが出れば魔草で、でなければ普通の植物って事だ。
「お、ヴィオ ブラックが来るぞ、行くか?」
「うん、鞭でやってみる」
音もなく駆けてきた黒い毛皮の狼は集団戦を得意とする賢い狼だ。
毛皮と皮膚は硬く、軟弱な剣ではその身体を傷付けることは出来ない。木々をジグザグと縫うようにして走ってくるのは三匹。
とりあえず鞭の性能確認だから 二匹は通り抜ける木から蔦魔法で絡めとる。
残りの一匹が飛び上がったところで 白い鞭を振るう。
ズシャ
胴体真っ二つに切断出来たけど、そういえばこの鞭では狼如き問題なく斬れるんだよね。これは聖属性とか関係ないかもしれないよ?
断ち切るように攻撃したのが駄目だったのかもしれないと思い、暴れるせいで蔦に絡みつかれてどうしようも無くなっている狼の元へ。
どうしようかな。
先程よりは力を入れず 首に鞭を巻き付けるように絡ませるだけにしてみよう。
スルン スパン
「「「え!?」」」
やった私以外も驚くのは仕方ない。
鞭が絡みついた途端、その首が落ちたのだから。
「これは聖属性の鞭だったから攻撃になったってことかな」
「そうだろうね……。これはスケルトンが楽しみだね」
ウキウキしている3人組、いや、お父さんもちょっと距離が近くなっているから楽しみにしているな?
少年心を忘れない大人たち、嫌いじゃないです。
まあスケルトンに関しては皆さんの予想通り スパンですよ。
元々骨だけで肉がない相手ですしね、どうもスケルトンという種族自体の上位種がボーン種らしいんだけど、そっちは鎧とか身に着けているらしい。
スケルトンたちは骨剥き出しに 武器って感じです。
ああ、メイジに関しては他と同じでマントを羽織ってますよ。気になったので下から風を当ててマントをめくれば 骨でした。
ルンガお兄ちゃんはトンファーを 聖水を溜めた革袋に入れることにしたらしく 聖水塗れの棒でぶん殴り、クルトさんは聖水塗れの短剣で切り裂き、トンガお兄ちゃんは柄杓で聖水をぶちまけてました。
不思議なことに聖水を浴びたスケルトンは カタカタと震えたかと思えば 骨がバラバラと崩れ落ち その後エフェクトがでて討伐完了となる。
殴打、斬りつけに関しては 中央の核に当たった時点でエフェクトが出るので 全く違うのだ。
私の白い鞭は 聖水攻撃に似ている。ただし 当たったところから外れていくので 腕に当たれば 上腕骨が肩から外れ、肋骨がバラバラと落ちていき、背骨がだるま落しのようになったところで立っていられなくなって崩れ落ちるって感じです。
「身のあるアンテッドでも調べたいけど、この感じだと使えそうだよね」
全員が同意したところで 最後のセフティーゾーンに到着した。
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