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閑話
〈閑話〉山の外
しおりを挟む~学び舎講師 虎獣人エデル視点~
村で祭りが開催されたのは今日の夕方の事、大人も子供も楽しそうにはしゃいでいた。孫たちも珍しい甘味に大喜びしていたのは、つい数時間前の事だ。
俺は孫たちを連れて帰るのに酒は飲まなかった。息子らが久しぶりの友人と楽し気に酒を酌み交わしていたからというのもある。
だからこそ素面でいられた。
だからこそ直ぐに動くことが出来た。
アルクは酒に酔っていた筈なのに、かなり動けていた方だと思う。
攫われかけた子供たちを助けたところで、今回の襲撃犯かもしれない奴らの狙いがヴィオだったかもしれないと気付いた時には遅かった。
広場に向かった時、真っ青な顔をしたマコールからヴィオとアルクの事を聞いてすぐに駆けつけた。
東門を出たところで目を閉じてジッと何かを考えこんだ後、直ぐに山に向かって走り出した。ギルマスたちから聞いていた無属性の索敵をしていたんだろう。俺はまだ精度が低いが、これはもっと習練すべきだな。
解毒剤を飲んで回復したアルクは早かった。まるでヴィオが辿った道が見えているかのように迷いなく走るので、俺はその後を追いかけるだけしか出来なかった。
途中で連中の仲間の一人が倒れていた。アルクの怒りは凄まじく、その怒気だけで女は震えて喋ることが出来ないでいた。聞き取りをしなければ話にならないため、アルクにはヴィオを追いかけるように勧める。姿が見えなくなったところで話を聞こう。
「どういうことだ?」
「あ……ごめん、ごめんなさい……ごめんなさいあぁぁぁぁぁ!」
俺だって怒りでどうにかなりそうだ。泣き伏せる目の前の女の長い髪を掴み上げて上を向かせる。
「お前が泣いてどうにかなる話か? とにかく何があってヴィオをどうしたのかだけ話せ」
「あ、あ、あ……」
噛み殺してやろうか……、いや、ダメだ、冷静になれ。何の為にアルクを先に行かせたんだ。ゆっくり話を聞けばクソみたいな話だった。
《スチーラーズの女を発見、ホーンラビットの森からほど近い場所だ。こいつは後から話を聞く必要がまだあるから殺さないように、とりあえず誰か迎えを寄こしてくれ。アルクは山に向かった、俺も追いかける》
村長とエリアのばーさんに伝達魔法を送る。ばーさんは今ギルドに詰めている筈だからすぐに動いてくれるはずだ。
《アルクは山に向かった、何処まで潜るか分からんが人手が欲しい》
こっちはマコールに向けて飛ばす。破落戸を地下牢に入れた後は、動けるやつで向かってくれるだろう。もう姿が見えなくなっているアルクを追いかけて山に向かって走る。
しばらく走ったところで佇むアルクを発見した。足元にはスチーラーズの男が2人、既に息絶えたところのようだ。
「あいつの話によれば、ヴィオには火事だと告げて逃げる準備をさせたところで眠り草を混ぜたジュースを飲ませたらしい」
女から聞いた情報を伝えれば、静かに頷き山をジッと見つめている。
「ずっと付け狙われておった奴らが黒幕じゃ、そいつらは皇国から盗んできた魔獣除けの魔道具を持っとるらしい。それで魔獣を避けながら国境を越えるつもりなんじゃろう。道具の効果がどれくらいか分からんし、もし効果が切れたらヴィオが危険じゃ」
そのまま山に向かうアルクに並走するがどこまで行く気だ?
赤い印がついた木が見えてきたところでアルクを止める。
「おい! アルクこの先は流石に危険だ!」
「止めんでくれ! この先にヴィオの反応があるんじゃ。エデルさん、あんたは麓で待機してくれ。
儂はヴィオを迎えに行ってくる。例の魔道具で魔獣が抑えられとるんが本当じゃったら、もしかしたらこっちに流れ出てくるかもしれん」
アルク曰く、もう大分近いはずだという。
だが既に大型の魔獣が集まり始めている気配がビンビンする。こんな中、しかも夜に行くなんて自殺行為すぎる。
だがこいつはもう止まらないだろう。
アルクが言う通り本当に皇国の魔道具なんだとしたら、それに押し出される魔獣が村の方に出てくる可能性はある。
「アルク、死ぬなよ。ヴィオを連れて帰ってこい」
「わかっとる、後は頼んだ」
胸元を少し掴んで直ぐに森の奥に消えて行った。
最近よく見るあの仕草、ヴィオが初めての魔道具として長寿のお守りを作ってくれたと嬉しそうに教えてくれた。
そうだな、愛娘のお守りがあるんだ、絶対に帰ってくるよな。
このままここにいては危険すぎるから、一旦山の麓迄戻って伝達魔法を送る。
《アルクは山の奥に入った。ヴィオを攫った連中はギルマスたちから発表されていたメネクセス王国関係者だ。スチーラーズのはぐれも1人絡んでる。
相手は皇国から盗んだ魔獣除けの魔道具を使って山に逃げ込んだ。アルクからは魔道具の影響で魔獣が山の下に下りてくる可能性を告げられている。可能性は低くないと思う、スタンピードが起きる可能性を考えて各自行動を開始してほしい》
先程と同じ、村長とエリアのばーさんに伝達を送る。
山の中からはアクルがヴィオを呼ぶ声が小さく聞こえてくる。
頼む、早く見つかってくれ!
《辺境伯閣下とギルド本部には連絡済み、銀の中級以下は村の警戒、銀の上級以上は山に向かわせてる。あんたは山に入るんじゃないよ》
エリアのばーさんからの伝達が届くのと同じくらいで、遠くにマコールとキリト親子が見えてきた。ギレンとアランも来たようだな。
《辺境伯閣下からは破落戸共の取り調べのために騎士団を派遣してもらった。ギルドの魔馬四頭引きで来るからあと数時間で到着するだろうさ。
あと……、閣下は数名の騎士を連れて山に向かうとさ》
「は?」
「伝達魔法か、なんだって?」
少しずつ人が集まりつつあるが まだ森の動きは無い。
エリアのばーさんから届いた内容をマコールに伝えたら顔が引きつっていた。まあそういう反応になるだろうな。あ~、くそっ、こんな時にギルマスが居たら対応してもらうのに、ギルマス会議とはタイミングが悪すぎる!
20人ほどが集まって、皆が真剣に山を見つめている。10分だったか、1時間だったか、凄く長いようで、短かったのかもしれない。そんな時だった。
GUOOOOOOOO
GYAAAAAAAAA
「「「な、なんだ!?」」」
山の奥からとてつもない叫び声が上がり、森が震えた。
「来るかもしれないぞ! 皆戦闘準備を!」
「「「「応‼」」」」
断末魔とでもいうのか、そんな声が聞こえた直後、ドドドドドという音とともにボア、ピッグ、ウルフ、ラビット、ベアー、モンキー、ドレイクなどの魔獣が飛び出してくる。もっと強大な相手が出てくると思っていたが、もしかしたらそいつらはこの後かもしれない。
「ヒュージは俺が預かる!」
「ベア系は俺が拘束するから仕留めてくれ」
「ウルフはグレーまでしかいねーな、この時間ならブラックの方が多いはずだろ?」
皆も喋る余裕がある程度で、数は多いが討伐には全く問題がない。まあ実力でいけば金ランクの中級以上の連中ばかりだ、この程度なら問題ないだろう。
だがすぐに大型魔獣が出てくる可能性は皆も考えているので油断はしていない。
そう思った次の瞬間だった。
「うわっ!」
「なんだ!? 眩しい!」
「閃光か!?」
目の前の山の一角が真っ白になるくらいの強い光が辺り一帯を包んだ。
「な、なんだったんだ?」
皆が騒めくが、俺も一体何が起きたのか全く分からん。
先程まで感じていた森の騒めきも無くなった。
「アルクとヴィオは大丈夫なのか……?」
誰かがボソリと呟いた言葉に返す声は無い。
「森が静かだ、今ならいけるんじゃないか?」
「いや、嵐の前の静けさとも言うだろう。逆に危険かもしれない。行くなら日が昇ってからだ」
俺が行こうとしたら止められてしまった。
確かに夜の森は普段以上に危険な事を思えば朝の方が良いかもしれないが、あれだけのことがあったのに、まだ2人が戻ってこないのも気になる。
ただ、マコールからも魔道具があるならその中で過ごした方が2人は危険が無いだろうと説得されてしまった。確かに、そこまで向かう俺たちの方が危険かもしれないな。
夜の間に訪れた辺境伯閣下には村にお戻りいただいた。
アルクとヴィオとは顔見知りだという事で今回は駆けつけてくれたらしいが、貴族を動かす7歳児とは恐れ入るものだ。
「ではこれから 山の捜索を行う。これから向かうのはレッドラインを越えた先だ。俺たちが行くことで、昨日同様魔獣が出てくる可能性は否定できない為、ここで待機する者達も欲しい。奥地はどれだけ危険か分からない。行けるものだけで行こうと思う」
「俺は行くぜ」
「俺もだ」
「俺はここで待機しておく」
「俺は……」
奥に行くのは俺、マコール、アランの3人になった。
キリトも手をあげたが、マコールが駄目だと断った。ココアを残して何かあったらどうすると。他のメンバーも子供が成人していない奴らが多いから、俺たちだけで行くことにした。
「随分静かすぎないか?」
「ああ、不気味だな」
昨日アルクと別れたところを過ぎたが、太陽の光が薄っすら差し込む森の中は裏山の浅いところと変わらないくらい静かで、まるで普通の森だった。
いつものようにピリピリと刺すような魔力を全く感じない。
山の麓から1時間ほどだろうか、草木の倒れ方でアルクが通っただろう道を進めば 信じられない光景が広がっていた。
「おい……」
「こ、これは……」
「なにがあった……?」
無数の魔獣の遺骸が落ちていたが、何か見えない壁があるかのように何体かは積み上がっていた。このままこれを置いておく危険性を考え、其々のマジックバックへ収納していく。
ただ、何かに貫かれたような傷が無数にあるため、素材として使えるかと言えばかなり難しいかもしれない。ギルドで鑑定してもらえばいいか。
正に山のようなそれらを収納していけば、魔獣が入れなかったであろう場所にナニカがあるのが見えた。
「っっっ!アルク‼」
大きな木の洞に凭れ掛るようにソレはあった。
顔の右側、右肩から下、左足は全部、右足も膝から下は見当たらない。
残っている部分も傷が多く、服もビリビリになっている。
胸元に銀色のギルドタグ、三つの穴が開いており、林檎の赤いお守りがあることで間違いなくアルクなのだろうことが分かる。
「――っかやろう、生きて、生きて戻ってくるって約束したじゃねえか」
「……アルク? おいっ、アルク! おいっ!」
「アルク? お前、なんで…………」
俺の声に駆け寄ってきたマコールとアランもアルクの変わり果てた姿を見て、その場で膝をついてしまった。あの魔獣たちにやられたのだろうか、確かにあの数のあの魔獣と対峙したのであれば、流石にそうなっても仕方がないのかもしれない。いや、そう考えれば逆によく肉体が残っていたと言えるかもしれない。
だけど、何故あの場所ではなくここに?
そうだ、ヴィオは?
アルクがいるならヴィオはどうなった?
「ヴィオ!」
その場で声を張り上げるが声は帰ってこない。気配察知をしてみても俺たち以外の魔力は無い。
「おい、こいつらが例の奴らか?」
マコールの声にそちらを見れば、血みどろで穴だらけの男が死んでいた。何にこれだけ串刺しにされたのか分からないが、ランス系の魔法だろうか。
「こっちの穴にもいるぞ」
アランの声に駆け付ければ、穴の中でこれまた穴だらけの女が死んでいた。
土魔法で持ち上げて2人を並べるが、3人いるという話ではなかっただろうか。
「3人いるという話だったんだが」
という事で、手分けして残りの1人を探す。もしかしたらそいつがヴィオを連れ去っている可能性もあるからな。
やはり今居るこの場所には魔獣が入れなかったのだろう。よく見て回れば、昨日魔獣が集まっていただろう周囲は踏み荒らされており、ギルドの訓練場程の広さの範囲だけが全く荒らされていなかった。
2人が男を探している間に俺は例の魔道具を探すことにした。多分この守られている場所の中心部だろう場所を割り出して、そこに行けば土にめり込んだ背負袋があった。それを取り出してみれば荷物の一番上に魔道具らしいものがあった。
そして袋の一部が焦げており、その汚れを確認すれば血液だという事が分かった。その場所をよく見れば土も焦げており、肉片らしきものが飛び散っている事が分かった。
「【クリーン】」
その辺りに洗浄魔法をかければキラリと光るギルドタグが落ちていた。
「アラン、マコール、見つかったぞ」
2人を呼び寄せてギルドタグを見せる。
「スチーラーズ、ゲドゥ? スチーラーズっつったらあいつらだよな? 仲間か?」
「ああ、ヴィオの母ちゃんを暗殺したパーティーだったらしいぞ。あの3人はその混乱に乗じて逃げてリズモーニに来たってとこだろうな。その辺はあの女から聞かねえと分からねえが、これでヴィオを攫った3人は見つかったって事だ」
「で、そのヴィオは?」
アランに聞かれるが、その答えは誰も持っていないだろう。
確実に分かるのは、この3人を魔法で仕留めたのがヴィオだという事、アルクをここに連れてきたのも多分そうだろう。だが、その本人の姿はどこにも見当たらない。
ヴィオ、お前何処に行ったんだよ。
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