神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第2章 ギースの塔

第26話 闇の中の漆黒の騎士

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◆闇の中の漆黒の騎士

 薄暗い石造りの回廊が続いていた。
 回廊の幅は50メートルほど。奥へと真っ直ぐに伸びる石畳。
 赤茶けた壁には一定間隔に松明が灯り、消えない炎がゆらめいている。

 その静寂を破るかのように、カツカツと甲高い足音が響く。
 その足音は金属音を伴いながら、徐々に近づいてくる。

 闇の中から、ぬらりと姿を現したのは――漆黒の全身鎧を纏った巨躯だった。
 その身の丈は3メートル近く、まるで鋼鉄の巨人。
 右手には赤い幾何学模様が刻まれた巨大な両刃剣。
 左手には青い模様が浮かび上がる双剣。
 それぞれの刃渡りは、彼の身長と同じほどの長さ。

 常人では持ち上げることすら困難なはずの剣を、まるで羽のように軽々と操る異形。
 さらに、その背には――漆黒の翼。



「やあ、超越者オーバーロード……僕の城に妙な侵入者が入ったみたいなんだけど。排除してくれるかい?」

 闇の奥から響く、少年のような声。

「御意」

 漆黒の騎士は、深く頷くと、回廊の奥へと歩き出した。
 その姿が闇の中へ消えると、静寂が戻る。

◆ギースの塔350階・闘技場

 階段を登り終えると、目の前に広がるのは巨大な闘技場だった。
 直径500メートルもある石の円盤。
 その周囲には、観客席のような石造りの階段が築かれている。

 まるで古代ローマのコロセウムのような光景に、思わず感嘆する。

「ヒュー! こいつはすげぇや!」

 金髪の男――ルークが歓声を上げる。
 彼は、ギースの塔で手に入れたミスリル製の鎧を纏い、背中には魔剣【不死必殺イモータル・キラー】を背負っている。

 その隣、短く刈り揃えた黒髪のエリウスが、表情を険しくする。

「……闘技場ってのが、気に食わねぇな。何か仕掛けがある」

 斥候役であるエリウスが呟くと、身の丈2メートルを超える巨漢の戦士、ライオスが豪快に笑った。

「ガハハハ! 何が出てくるか楽しみじゃねぇか!」

 だが、冷静な声がそれを制する。

「……浮かれすぎよ、ライオス。ここは350階、何が出てもおかしくない」

 黒のローブを纏った赤髪の魔導士エニスが、険しい表情で言った。

◆闘技場に潜む脅威

検知ディテクション

 エリウスが短く呪文を唱えると、彼の目に青い魔力が宿る。

(魔力感知と壁の透視……か)

 ルークは静かに見守る。

「……壁の向こうに、強力な魔力反応あり」

 エリウスが右手を上げ、パーティーに静止の合図を出す。

 その瞬間――

 ガコン……ガコン……!

 轟音とともに、闘技場の反対側の石壁がゆっくりと開かれた。
 土煙が舞う暗闇の向こうから――

 「グオオオオオオオ!!!」

 震えるような雄叫びとともに、巨大な影が現れる。

◆ミノタウロスとの戦闘

 ――30メートル級のミノタウロス。

 通常の10倍以上の巨躯。
 両手には巨大な両刃斧。
 全身はオリハルコンの鎧で覆われている。



「ッ!? ミノタウロスの上位種……!」

 エニスが鋭く叫ぶ。

 ミノタウロスの目がギラリと光り、突然、足元の地面を踏み砕く。
 「ドゴォン!!!」

 地響きと共に、衝撃波が広がり、砂埃が巻き上がった。

「来るぞ!!」

 ルークが叫んだ瞬間、ミノタウロスが超高速の突進を仕掛けてきた。
 巨体からは想像もつかない速度。

「ガハハ!! 迎え撃つぜぇ!!」

 ライオスがバトルアックスを構え、全力で振り下ろす。

「ガキィィィィィン!!!」

 刹那、ミノタウロスの両刃斧とライオスの斧が衝突し、凄まじい衝撃波が闘技場を吹き飛ばした。

 エリウスが素早くミノタウロスの死角に回り込み、**【連撃ラッシュ・スラッシュ】**を発動。
 無数の剣閃がミノタウロスの鎧に刻まれる。

「このまま押し切るぞ!」

 ルークが魔剣を輝かせ、**【不死斬りイモータル・バニッシュ】**を発動。

「ズバァン!!!」

 閃光のごとき一閃が、ミノタウロスの頸椎を断ち切った。
 巨体がグラリと傾き――

 ドォォォォン!!

 ミノタウロスは、地響きを立てて倒れた。

「……やったか?」

 全員が警戒する中、ミノタウロスは動かない。

 ――討伐、成功。

◆新たな脅威

 ミノタウロスの死体が静かに消滅し、空気が張り詰める。

「……終わったか?」

 ルークが剣を収めようとした瞬間――

 「グオオオオオオオオオ!!!!!」

 突如として、背後の暗闇から響く咆哮。

 その咆哮は、先程のミノタウロスとは比べ物にならないほどの圧。

 視線を向けると――

 漆黒の翼を広げた巨影が姿を現した。

「……ドラゴン!?」

 それは――

 《血竜(ブラッドドラゴン)》

 350階、本当の試練が始まる――。
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