神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第2章 ギースの塔

第27話 血竜

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ズシン……ズシン……ズシン……

扉の奥から響く、地響きのような足音。
ただの重量感ではない。何か異質な気配を伴っていた。

「今度は、何だってんだ?」
ライオスは顎鬚を撫でながら、薄闇の奥を睨む。

次の瞬間――闇の奥から、それは現れた。

漆黒の棘状の鱗に覆われた巨大な身体。
その鱗の隙間から浮かび上がる血管のような赤紫の模様。
鋭く巨大な爪。牙の並ぶ凶悪な口。
長く太い尾は、周囲を薙ぎ払うために存在しているかのようだった。

何より、その翼――天を覆い隠すほどの漆黒の翼が、圧倒的な威圧感を放っていた。



血竜ブラッドドラゴン……ッ!?」
エニスが険しい表情で叫ぶ。

「皆、気を付けて! あいつに近づくと血液を吸い取られるわよ!」

エリウスが短く舌打ちをする。

「クソッ、めんどくせぇ……」

血竜(ブラッドドラゴン)――それは伝説級の魔物。
古文書に記された存在ではあるが、実際に出会った者はほぼ皆無。
50メートルを超える巨体、棘のような鱗、そして近づく者の血を根こそぎ奪う能力。
その巨体は実際には60メートル以上あり、赤黒く血走った瞳が俺たちを射抜いている。

「ゴアアアアア!!!!」

血竜が咆哮を上げた瞬間――

シュッ――ッ!

一本の矢が、血竜の左目に突き刺さった。

放ったのはエリウスだった。
彼はボーガンを構えながら、冷静に次弾を装填する。

「遠距離なら問題ないんだろ?」

ニヤリと笑うエリウス。しかし――

「クッソ、硬いな……!」

次の矢は、血竜の鱗に弾かれた。
その瞬間、怒り狂った血竜がエリウスへ突進する。

透明化インビジブル!」

エリウスの姿が一瞬で消えた。
目標を見失った血竜は、次なる標的――ライオスへと向かう。

「クソが……! 俺を狙いやがったか!」

ライオスはバトルアックスを構えるが――速い。

「ッ――!」

間に合わない。

血竜の頭突きがライオスを直撃した。

ドンッ!!!

ライオスは20メートル以上吹き飛ばされ、鎧が砕ける。
鋭い鱗に切り裂かれ、全身に深い傷が刻まれた。

「ガハァ……!! クソッ……効いたぜ……!」

それでも立ち上がるライオス。だが――

血が、流れ出すと同時に吸い取られていく。

「ライオス! **血液吸収ブラッドドレイン**よ! 距離を取って!」

エニスが警告するが、すでにライオスの血は血竜の口へと吸い込まれ始めていた。

「チッ……!」

ライオスは悔しそうに舌打ちしながら後退するが、すでに膝をつくほどの出血。

そこへ追い討ちをかけるように、血竜が突進する。

「させるかッ!!!」

俺は血竜とライオスの間に立ち、剣を構える。

迫る巨大な爪。まともに受ければ即死――

だが、俺は肉体の力だけで止めようとは思っていない。

肉体強化ストレングス武器強化アームス!」

全身が金色に輝き、力が漲る。
背負っていた魔剣【不死必殺イモータル・キラー】が、赤黒く光を帯びた。

「剣の錆になりやがれ……!」

俺は懐に潜り込み、下段から上段へ魔剣を振り上げる。

ズバァン!!!

魔剣の刃は、血竜の右腕を深く抉った。
鋼のような鱗すら貫き、肉を裂き、骨を断つ。

「ゴアアアアアアア!!!」

血竜が苦痛に満ちた叫びを上げる。

だが、俺は止まらない。

――次の一撃で、飛べなくする。

重力に従いながら落下しつつ、魔剣を翼の付け根へ振り下ろす。

ズシンッ!!!

血竜の片翼が地面に落ちた。

「ゴアアアアアアア!!!!!」

血竜が怒り狂い、最後の力を振り絞って襲いかかる――

「エニス、援護を頼む!」

俺は即座に叫ぶ。

エニスは頷き、魔法を詠唱する。

「地獄より生まれし業火よ、敵を討ち滅ぼさん――地獄炎焦ヘルフレイム!」

血竜の真下に、業火の魔法陣が展開される。

ゴォォォォォォォ!!!

業火が天を焦がし、血竜を丸ごと包み込んだ。

「ゴアアアアアアアアアア!!!!!」

凄まじい絶叫とともに、血竜はもがく。

しかし――

逃れることなく、炎の中で焼かれ、そして静かに命を失った。

辺りには、肉の焼ける嫌な臭いが漂っている。

勝った――!

「よっしゃあ! 今日は、ドラゴンのステーキが食えるな!!!」

俺はガッツポーズをした。

「でも、こいつライオスの血を吸ったんでしょ? ……ちょっとキツイわね」

エニスが冷ややかに言う。

「俺は食うぜ……! 血が足りねぇ! 何でもいいから肉が食いてぇ!」

ライオスが獣のような笑みを浮かべる。

エリウスは、懐からナイフを取り出しながら冷静に言った。

「その前に、剥ぎ取れる物は全て取る。 こいつの鱗は高く売れる……扉の奥に上に繋がる階段があった。 今日はここで泊まる」

「ルーク、食えそうな肉を切り取って、飯の支度をしてくれ」

「オッケー! 任せとけ!」

俺は笑顔で剣を収め、血竜の肉を切り始めた。

350階、クリアだ。

次は……さらに深層へ――
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