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第2章 ギースの塔
第35話 戦争の序曲
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◆絶体絶命の状況
「クソッ……! 何が起きてる……!?」
俺の肩と腹に走る衝撃と鋭い痛み。
鎧越しにも分かる、強烈な打撃感。
周囲を見渡せば――血の海だった。
「ぐっ……!!」
エリウスは左肩と右腿を撃ち抜かれ、膝をついている。
エニスは腹部を押さえ、苦悶の表情を浮かべながら地面に倒れ込んでいた。
彼女の指の隙間から、止めどなく赤い血が溢れ出す。
――何が起こった?
気づけば、俺とライオスだけが立っていた。
だが、俺の鎧にも無数の凹みがある。
"あいつら"の攻撃が、何か硬質の金属弾を放ってくる武器であることは分かった。
鎧を貫くほどの威力……魔法の類ではない。
――だが、考える時間はない。
最優先すべきは、仲間の救出だ。
「ライオス! 俺たちが盾になる! 二人を守るぞ!!」
「おう!」
俺とライオスは即座に前に出て、エリウスとエニスを庇うように防御態勢を取る。
だが、その間も、耳をつんざくような轟音が響き渡っていた。
"ダダダダダダ!!"
空間を切り裂くような鋭い音。
それは魔法でも剣戟でもなく、"兵器"の音だった。
目の前の地面が抉られ、建物の壁が削り取られる。
俺たちが少しでも遅れていれば、今ごろ肉塊になっていた。
「クソッ……こんな武器、聞いたこともねぇ……!!」
俺は歯を食いしばり、エニスに叫ぶ。
「エニス! 傷は塞げるか!?」
「うぅ……まだ……なんとか……!」
エニスは震える手でポーチから赤い液体の入った小瓶を取り出し、一本を自らの口に流し込む。
その瞬間、腹部の傷口が僅かに収縮し、血の流れが減っていった。
「エリウスにも……!」
エリウスもまた、一本のポーションを喉に流し込まれ、荒い息を吐く。
「……すまん、助かった……」
だが、このままではいずれ全滅する。
俺はすぐに状況を整理する。
(このまま撃たれ続ければ、持たない……!)
「すぐに建物の影に隠れるぞ!」
「了解!!」
俺とライオスが盾となり、エニスとエリウスを庇いながら近くのビルの裏へと退避する。
耳をつんざくような轟音が続く中、俺たちは必死で身を隠した。
目の前の壁が次々と砕け、まるで都市全体が戦場と化したかのようだった。
◆白骨の兵士たち
「隊長、無事でありますか?」
部下の声に、私はゆっくりと振り向いた。
8人の兵士たち。
彼らは全員、迷彩服を纏い、ヘルメットを被っている。
……だが、その顔は。
"白骨"。
生気のない頭蓋骨に、空洞の眼窩。
黒く深い虚無の奥で、紅い光が静かに揺らめいていた。
私は"死者"であり、兵士たちもまた"死者"だった。
彼らはかつて生きていた者たち。
我が主の命により、"この領域を守護する存在"として蘇った亡霊部隊――「第159小隊」。
私たちの目的は、ただ一つ。
――侵入者の排除。
私は先程の戦闘を思い出す。
"矢"が飛んできた。
普通の兵士なら即死だっただろう。
だが、この白骨の身体ではただのかすり傷に過ぎない。
「敵は奇襲を仕掛けてきた。これは、開戦の狼煙である」
私は静かに言い放つ。
「――第159小隊、戦闘態勢。」
「はっ!」
兵士たちが一斉に敬礼し、銃を構える。
……久しぶりだな、この感覚。
私は二千年前の戦場を思い出す。
砲撃と銃声が鳴り響く中、敵を屠り、土地を奪う。
血と泥にまみれ、死を刻む戦場。
それが――私の生きる場所だった。
だが、今まで我が主は"敵"を与えてくれなかった。
……それが、ついに終わる。
「戦争が始まる――」
◆死の命令
「総員――撃て!!!」
私の号令が響き渡る。
銃撃が解き放たれ、閃光と衝撃が戦場を満たす。
敵はたった4人。
鎧と剣、斧、ボウガンを持つ旧時代の戦士ども。
そんな装備で、この第159小隊に勝てるとでも思っているのか?
笑止。
俺の弾丸は、赤髪の魔導士の女の腹を貫いた。
盗賊風の男の右腕も撃ち抜いた。
赤い血飛沫が舞い、2人の体が倒れる。
「あぁ……たまらない……!」
戦争が始まる。
戦場こそが、私の"生きる場所"。
だが、思わぬ誤算が一つあった。
――鎧を着た2人の男。
こいつらは銃撃を耐えた。
……なるほど。
鉄の鎧が、銃弾を弾いたのか。
「ふむ……もう少し、距離を詰める必要がありそうだな」
敵は負傷者を抱えながら、ビルの影に逃げ込んだ。
――ならば、徹底的に追い詰めるまで。
「全軍に告ぐ!」
私の地獄の号令が響き渡る。
「我が主の領土に侵入者が発生した!」
「全戦力を持って、敵を排除せよ!」
都市に、再び銃撃音が響き渡る。
二千年ぶりの戦争が、今始まる――。
「クソッ……! 何が起きてる……!?」
俺の肩と腹に走る衝撃と鋭い痛み。
鎧越しにも分かる、強烈な打撃感。
周囲を見渡せば――血の海だった。
「ぐっ……!!」
エリウスは左肩と右腿を撃ち抜かれ、膝をついている。
エニスは腹部を押さえ、苦悶の表情を浮かべながら地面に倒れ込んでいた。
彼女の指の隙間から、止めどなく赤い血が溢れ出す。
――何が起こった?
気づけば、俺とライオスだけが立っていた。
だが、俺の鎧にも無数の凹みがある。
"あいつら"の攻撃が、何か硬質の金属弾を放ってくる武器であることは分かった。
鎧を貫くほどの威力……魔法の類ではない。
――だが、考える時間はない。
最優先すべきは、仲間の救出だ。
「ライオス! 俺たちが盾になる! 二人を守るぞ!!」
「おう!」
俺とライオスは即座に前に出て、エリウスとエニスを庇うように防御態勢を取る。
だが、その間も、耳をつんざくような轟音が響き渡っていた。
"ダダダダダダ!!"
空間を切り裂くような鋭い音。
それは魔法でも剣戟でもなく、"兵器"の音だった。
目の前の地面が抉られ、建物の壁が削り取られる。
俺たちが少しでも遅れていれば、今ごろ肉塊になっていた。
「クソッ……こんな武器、聞いたこともねぇ……!!」
俺は歯を食いしばり、エニスに叫ぶ。
「エニス! 傷は塞げるか!?」
「うぅ……まだ……なんとか……!」
エニスは震える手でポーチから赤い液体の入った小瓶を取り出し、一本を自らの口に流し込む。
その瞬間、腹部の傷口が僅かに収縮し、血の流れが減っていった。
「エリウスにも……!」
エリウスもまた、一本のポーションを喉に流し込まれ、荒い息を吐く。
「……すまん、助かった……」
だが、このままではいずれ全滅する。
俺はすぐに状況を整理する。
(このまま撃たれ続ければ、持たない……!)
「すぐに建物の影に隠れるぞ!」
「了解!!」
俺とライオスが盾となり、エニスとエリウスを庇いながら近くのビルの裏へと退避する。
耳をつんざくような轟音が続く中、俺たちは必死で身を隠した。
目の前の壁が次々と砕け、まるで都市全体が戦場と化したかのようだった。
◆白骨の兵士たち
「隊長、無事でありますか?」
部下の声に、私はゆっくりと振り向いた。
8人の兵士たち。
彼らは全員、迷彩服を纏い、ヘルメットを被っている。
……だが、その顔は。
"白骨"。
生気のない頭蓋骨に、空洞の眼窩。
黒く深い虚無の奥で、紅い光が静かに揺らめいていた。
私は"死者"であり、兵士たちもまた"死者"だった。
彼らはかつて生きていた者たち。
我が主の命により、"この領域を守護する存在"として蘇った亡霊部隊――「第159小隊」。
私たちの目的は、ただ一つ。
――侵入者の排除。
私は先程の戦闘を思い出す。
"矢"が飛んできた。
普通の兵士なら即死だっただろう。
だが、この白骨の身体ではただのかすり傷に過ぎない。
「敵は奇襲を仕掛けてきた。これは、開戦の狼煙である」
私は静かに言い放つ。
「――第159小隊、戦闘態勢。」
「はっ!」
兵士たちが一斉に敬礼し、銃を構える。
……久しぶりだな、この感覚。
私は二千年前の戦場を思い出す。
砲撃と銃声が鳴り響く中、敵を屠り、土地を奪う。
血と泥にまみれ、死を刻む戦場。
それが――私の生きる場所だった。
だが、今まで我が主は"敵"を与えてくれなかった。
……それが、ついに終わる。
「戦争が始まる――」
◆死の命令
「総員――撃て!!!」
私の号令が響き渡る。
銃撃が解き放たれ、閃光と衝撃が戦場を満たす。
敵はたった4人。
鎧と剣、斧、ボウガンを持つ旧時代の戦士ども。
そんな装備で、この第159小隊に勝てるとでも思っているのか?
笑止。
俺の弾丸は、赤髪の魔導士の女の腹を貫いた。
盗賊風の男の右腕も撃ち抜いた。
赤い血飛沫が舞い、2人の体が倒れる。
「あぁ……たまらない……!」
戦争が始まる。
戦場こそが、私の"生きる場所"。
だが、思わぬ誤算が一つあった。
――鎧を着た2人の男。
こいつらは銃撃を耐えた。
……なるほど。
鉄の鎧が、銃弾を弾いたのか。
「ふむ……もう少し、距離を詰める必要がありそうだな」
敵は負傷者を抱えながら、ビルの影に逃げ込んだ。
――ならば、徹底的に追い詰めるまで。
「全軍に告ぐ!」
私の地獄の号令が響き渡る。
「我が主の領土に侵入者が発生した!」
「全戦力を持って、敵を排除せよ!」
都市に、再び銃撃音が響き渡る。
二千年ぶりの戦争が、今始まる――。
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