神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第2章 ギースの塔

第34話 未踏の都市

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◆未知の都市

 
500段目の階段を登りきった瞬間、俺たちは息をのんだ。

目の前には――

まるで別世界のような都市が広がっていた。

そこは今までの塔のフロアとは明らかに違った。

「……これは、本当に塔の中なのか?」

盗賊風の装束に身を包んだエリウスが、目を細めながら呟いた。

目の前に広がるのは、異様なほど整備された広大な道だった。
石畳ではなく、まるでガラスのように滑らかで硬質な黒い地面。
その上には、白や黄色の線が引かれ、まるで道の区画を示すような規則性を持っていた。

俺たちは慎重に足を踏み入れる。
石畳とは違い、まるで金属の上を歩いているような奇妙な感触があった。

「……何だよ、この建物……」

ルークが驚きの声を上げた。

見上げれば、山のように高い四角柱の建造物が無数に並んでいた。
壁のほとんどは透明な素材でできており、まるで巨大な水晶の塔のように輝いている。
だが、それはただの装飾ではなかった。

ガラス張りの奥には明らかに「部屋」と思われる空間が広がっている。
机、椅子、本棚のようなもの……しかし、どの部屋にも人の気配がない。

「すげぇな……こんな建築物、人間に作れるのか?」

俺は無意識に呟いた。

だが、最大の違和感は――

「……誰もいない」

エニスが低く呟いた。

都市には道も、建物も、明かりすら灯っている。
まるで、ついさっきまで人が暮らしていたかのように整然としている。
しかし――

人の姿が一人も見当たらない。

完全な静寂が支配していた。

「……不気味すぎる」

エリウスが警戒心を露わにし、ボウガンを構えた。

◆未踏の地

 
「ヒュー! こりゃあ、すげえや!」

興奮した声を上げたのはルークだった。
彼は黒い舗装の上を足で軽く蹴り、地面の感触を確かめる。

「おい、ルーク! もう少し距離を取れ! 俺が先に安全を確認する!」

エリウスが鋭い声で制した。
獅子の尾のルールでは、エリウスの指示は絶対だ。

「分かったよ。相変わらず堅いな、エリウスは」

ルークは不満げに口を尖らせたが、それでも素直に従った。

エニスがふと指差す。

「ねえ、あれ見て。ドレスが飾られてる」

俺たちは視線を向ける。
巨大なガラス張りの建物の中に、人間大の人形が並んでいた。
美しいドレスをまとい、まるで本物の人間のような精巧さだ。

「……人形? いや、待て……」

よく見ると、“人形”のはずなのに、ほんのわずかに微動しているように見えた。

いや、気のせいか……?

俺は軽く頭を振り、考えを振り払う。

◆異変

 
「……止まれ! 誰かいるぞ!」

突然、エリウスが手を上げて制止の合図を出した。

「なんだ? 魔物か?」

俺はエリウスの隣にしゃがみ込み、視線の先を見た。

そこには――

**8人の”兵士”**が立っていた。

全員、グリーンの迷彩服に身を包み、顔のほとんどが黒いマスクで覆われている。
肩からは、見たこともない黒い筒のようなものを抱えていた。



「うーん、他の冒険者パーティーかな?」

「馬鹿を言うな! ここは501階だぞ? 人類未踏の地に、俺たち以外の人間がいるはずがない!」

エリウスの言葉に、俺もようやく異変に気づいた。

……奴らは、本当に”人間”なのか?

「戦闘態勢を取れ」

エリウスがボウガンを構える。

俺とライオスは剣と斧を握りしめ、エニスは魔力を纏った。

◆開戦

 
エリウスが矢を放つ。

一本の矢が一直線に飛び、兵士のヘルメットに突き刺さる。

ドサリと倒れる兵士。

「やったか?」

だが――

倒れた兵士は、ゆっくりと立ち上がった。

「な……!?」

エリウスがもう一本の矢を放つが、敵はまるで”痛み”を感じていないかのように動き続ける。

次の瞬間――

“カシャッ”

兵士たちが一斉に武器を構えた。

「……なにをするつもりだ?」

俺が呟いた瞬間――

“ダダダダダダ!!”

雷鳴のような音が響き、俺の肩と腹に衝撃が走る。

視界が跳ねる。
地面が迫る。
呼吸が苦しい。

“血”が飛び散る。

「ぐっ……!?」

後ろを振り返ると――

エリウスが肩を撃ち抜かれ、エニスが腹を押さえて倒れている。

そして――

ライオスが、咆哮を上げながら敵に突進した。

「このクソ共がぁぁぁ!!!」

巨大な戦斧が兵士の頭を砕く――

だが、倒れた兵士は――

“笑っていた”。

「……なっ!?」

“機械のような”無機質な声が響いた。

「対象確認。排除継続。」

これは――戦争だ。
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