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第2章 ギースの塔
第38話 子供部屋の神
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◆子供部屋の神
そこは、まるで異世界のような部屋だった。
初めは白かったのであろう広大な壁には、所狭しとカラフルなクレヨンで落書きがされている。
それは一つの物語のように、時間の流れと共に描かれた記録だった。
美しい宇宙と星々の誕生。
続くのは緑豊かな森、青々と広がる草原、空を舞う鳥たち――
だが、それはやがて虫や動物の絵へと変わり、次第に人々の営みが増えていく。
そこには美しい町で暮らす人々、畑を耕し、海で漁をする人々が幸せそうに描かれていた。
しかし、その幸福な絵の雰囲気は突如として変貌する。
巨大な建造物が林立し、機械が空を覆い尽くす近未来都市。
その先に待っていたのは、銃を手に戦う兵士たち。
ミサイルが降り注ぎ、爆撃機が街を業火に包む。
黒煙と赤い炎の中で逃げ惑う人々。
そして、最期――巨大な閃光が世界を覆い尽くす。
終焉の絵。
まるで、全てを支配するかのように、その爆発の絵が部屋の最も広い壁に堂々と描かれていた。
天井にはオレンジ色の大きな球体が吊るされていた。
まるで太陽のように優しい光を放ち、その周囲を惑星の模型がゆっくりと回っている。
黄緑色の床には、様々な玩具が散乱していた。
ロボットのプラモデル、怪獣フィギュア、積み木の城、クレヨンで落書きされた絵本、そして、山のように積まれた人形やぬいぐるみ。
そのどれもが、遊んでいる最中に飽きてしまったかのように、無造作に放置されていた。
まるで、それらは「ただの道具」でしかないかのように。
――その夢のような子供部屋の片隅。
そこに、一人の少年がポツンと座っていた。
少年の髪は驚くほど白く、その肌も透き通るような白さを持っていた。
まるでアルビノのような儚い美しさを宿しながらも、燃え盛るような朱い瞳が、神秘的な光を湛えている。
彼の前には、幾百ものモニターを繋ぎ合わせたような巨大なスクリーンが設置されていた。
その朱い瞳は、じっとそのモニターの一つを見つめていた。
そこに映し出されているのは――
血を流し倒れる人間たちと、それを囲む無数の髑髏の兵士たち。
そして、少年の隣には、人形が四体、無造作に転がっていた。
一つは右腕が欠け、一つは両足を失っている。
それらを囲むように、整然と並べられた兵士のフィギュアと戦車のプラモデルがあった。
まるで、これも「遊び飽きた玩具」の一つであるかのように。
「……あ~あ、もう終わりか。やはり人間は脆弱だ。」
少年はまだ声変わりもしていない、透き通った中性的な声で呟いた。
まるで感情のこもっていない、退屈を紛らわせるための独り言のようだった。
「次は、もう少しハンデを増やしてあげてもいいかな?」
そう言いながら、少年は別のモニターに視線を移した。
そこには――
巨大な熊の魔物に襲われながらも、一撃でその心臓を貫く黒髪の男の姿が映し出されていた。
熊の胸に風穴が空き、血飛沫を噴き出しながら崩れ落ちる。
その光景を見た少年は、目を細め、嫌悪に満ちた表情を浮かべた。
「……気味が悪い。」
少年は顎に手を当て、黒髪の男の姿をじっくりと観察する。
「キラーベアも倒されたか……いったい何者だろう?」
その朱い瞳が、鋭さを増す。
「それに……この異様なオーラ……少なくとも、この世界の存在ではないな。」
「ゲートも開いていないのに、一体どうやって入り込んだ?」
――異物。
彼の世界に、神の管理外の存在が紛れ込んだ。
だが、少年はやがて微笑んだ。
「まあいい。何者であれ、無断で**“この世界”**に侵入し、僕の所有物に手を出した報いは受けてもらうよ。」
モニターに映る黒髪の男をじっと見つめる。
「そろそろ、僕の超越者と出会う頃だろう?」
朱い瞳が僅かに細まり、喜悦に満ちた光を宿した。
「彼は僕が創った最強の戦士……彼の戦いを見れるのは、少し……楽しみだ。」
――それは、まるで自分の大切な玩具が、新しいおもちゃを壊す瞬間を楽しみにしている子供のように。
少年は、静かに、嗤った。
そこは、まるで異世界のような部屋だった。
初めは白かったのであろう広大な壁には、所狭しとカラフルなクレヨンで落書きがされている。
それは一つの物語のように、時間の流れと共に描かれた記録だった。
美しい宇宙と星々の誕生。
続くのは緑豊かな森、青々と広がる草原、空を舞う鳥たち――
だが、それはやがて虫や動物の絵へと変わり、次第に人々の営みが増えていく。
そこには美しい町で暮らす人々、畑を耕し、海で漁をする人々が幸せそうに描かれていた。
しかし、その幸福な絵の雰囲気は突如として変貌する。
巨大な建造物が林立し、機械が空を覆い尽くす近未来都市。
その先に待っていたのは、銃を手に戦う兵士たち。
ミサイルが降り注ぎ、爆撃機が街を業火に包む。
黒煙と赤い炎の中で逃げ惑う人々。
そして、最期――巨大な閃光が世界を覆い尽くす。
終焉の絵。
まるで、全てを支配するかのように、その爆発の絵が部屋の最も広い壁に堂々と描かれていた。
天井にはオレンジ色の大きな球体が吊るされていた。
まるで太陽のように優しい光を放ち、その周囲を惑星の模型がゆっくりと回っている。
黄緑色の床には、様々な玩具が散乱していた。
ロボットのプラモデル、怪獣フィギュア、積み木の城、クレヨンで落書きされた絵本、そして、山のように積まれた人形やぬいぐるみ。
そのどれもが、遊んでいる最中に飽きてしまったかのように、無造作に放置されていた。
まるで、それらは「ただの道具」でしかないかのように。
――その夢のような子供部屋の片隅。
そこに、一人の少年がポツンと座っていた。
少年の髪は驚くほど白く、その肌も透き通るような白さを持っていた。
まるでアルビノのような儚い美しさを宿しながらも、燃え盛るような朱い瞳が、神秘的な光を湛えている。
彼の前には、幾百ものモニターを繋ぎ合わせたような巨大なスクリーンが設置されていた。
その朱い瞳は、じっとそのモニターの一つを見つめていた。
そこに映し出されているのは――
血を流し倒れる人間たちと、それを囲む無数の髑髏の兵士たち。
そして、少年の隣には、人形が四体、無造作に転がっていた。
一つは右腕が欠け、一つは両足を失っている。
それらを囲むように、整然と並べられた兵士のフィギュアと戦車のプラモデルがあった。
まるで、これも「遊び飽きた玩具」の一つであるかのように。
「……あ~あ、もう終わりか。やはり人間は脆弱だ。」
少年はまだ声変わりもしていない、透き通った中性的な声で呟いた。
まるで感情のこもっていない、退屈を紛らわせるための独り言のようだった。
「次は、もう少しハンデを増やしてあげてもいいかな?」
そう言いながら、少年は別のモニターに視線を移した。
そこには――
巨大な熊の魔物に襲われながらも、一撃でその心臓を貫く黒髪の男の姿が映し出されていた。
熊の胸に風穴が空き、血飛沫を噴き出しながら崩れ落ちる。
その光景を見た少年は、目を細め、嫌悪に満ちた表情を浮かべた。
「……気味が悪い。」
少年は顎に手を当て、黒髪の男の姿をじっくりと観察する。
「キラーベアも倒されたか……いったい何者だろう?」
その朱い瞳が、鋭さを増す。
「それに……この異様なオーラ……少なくとも、この世界の存在ではないな。」
「ゲートも開いていないのに、一体どうやって入り込んだ?」
――異物。
彼の世界に、神の管理外の存在が紛れ込んだ。
だが、少年はやがて微笑んだ。
「まあいい。何者であれ、無断で**“この世界”**に侵入し、僕の所有物に手を出した報いは受けてもらうよ。」
モニターに映る黒髪の男をじっと見つめる。
「そろそろ、僕の超越者と出会う頃だろう?」
朱い瞳が僅かに細まり、喜悦に満ちた光を宿した。
「彼は僕が創った最強の戦士……彼の戦いを見れるのは、少し……楽しみだ。」
――それは、まるで自分の大切な玩具が、新しいおもちゃを壊す瞬間を楽しみにしている子供のように。
少年は、静かに、嗤った。
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