神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第2章 ギースの塔

第37話 赤鬼の最期

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◆鉄の雹と狂戦士の咆哮
 耳を劈くような連続した銃撃音が、ビル群の谷間に反響する。
 一瞬遅れて、全身をハンマーで殴られたような衝撃が走る。
 鉄の雹が降り注ぐかのように、銃弾の雨がライオスの全身を打ちつけた。

 ガキン!ガキン!ガキン!

 鎧に当たる度に、赤い火花が散る。
 弾痕が無数に刻まれていくが、それでもライオスは止まらなかった。

 いや、止まるという思考が無かった。

 今のライオスの脳内は、**「殺す」**という単純な衝動だけで埋め尽くされていた。
 狂戦士化による戦闘力の増幅。
 通常時の3倍の速度で移動し、敵陣へと突進する。

 ――100メートルの距離を、たった2秒で駆け抜けた。

 そのまま最も近い敵に斧を振り下ろす。

 ズバァァァァァン!!!!

 骨と肉が砕ける音が響き渡る。
 次々と敵が四散し、倒れていく。
 ライオスの狂戦士化した斬撃は、まるで風の刃のように敵を切り裂いた。

 だが、敵は怯まなかった。

 倒れた仲間を顧みることもなく、髑髏の兵士たちは機械のように冷徹に銃の引き金を引き続けた。

◆炸裂するロケット砲
 兵士の一人が、巨大な筒状の武器を担ぎ上げた。

 ロケットランチャー――。

 狙いを定めると、迷いなく引き金を引く。

 バシュッ!!

 ロケット弾が空を切り裂き、轟音と共にライオスの背後に着弾。

 ドガァァァァァン!!!!

 爆炎が吹き荒れ、半径30メートルの大地が吹き飛んだ。
 爆風が敵味方を巻き込み、髑髏の兵士たちも灰燼に帰す。

◆隊長の嘲笑
「カッカッカ!!!直撃したぞ!」

 髑髏の隊長は、顎の骨をカチカチと鳴らしながら、満足げに笑う。

「我らの最新兵器、超高威力ロケット砲《MDS多目的ランチャー》は、戦車すら一撃で粉砕する。まともに喰らって無事でいられる者などいない。実にあっけない最後だったな!」

「やったでありますね、隊長!」

 兵士の一人が笑いながら頬骨を掻く。

「まさか銃弾が効かないとは驚きましたが、あんな化け物じみた奴がいるとは……」

「カッカッカ!蛮族はゴキブリのようにしぶといからな!焼却するに限るわ!」

「そうでありますね。しかし……隊長? なぜ我々と同じ軍服を着ているので?」

「バカもん!私だけ目立つ格好をしていたら、スナイパーに狙われるではないか!」

「なるほどであります! でもさっき隊長、矢で狙撃されてましたね!」

「やかましいわ!」

パコン!

 骨同士がぶつかる軽快な音が響く。

◆炎の鬼神、復活
 「ガアアアアアアアア!!!!!」

 突如、爆炎の中から――

 赤黒い鎧に包まれた鬼の顔が浮かび上がる。



 ――生きている。

 ライオスの着る鎧、《スルト》。
 それは、300階の守護者「炎の巨人」から奪った鎧。

 「炎耐性」「炎の化身化」「狂戦士化」――3つの強力な能力を秘めている。

 鎧の効果により、爆炎のダメージは皆無。
 炎の化身となり、全身に灼熱の魔力を纏う。

「な、何!? あれを喰らって無事でいるなんて……」

 隊長の顎の骨が外れそうになるほど驚愕する。

 ライオスは咆哮しながら、再び戦場へ突進。
 炎を纏った斧風が暴風のように周囲を焼き尽くした。

◆戦車隊、出撃
「ど、どうするでありますか、隊長!?」

「……仕方あるまい。T-960を出撃させろ!」

「は!了解であります!」

 兵士が敬礼し、迅速に後方へ走る。

「カッカッカ……歩兵相手に、これを使うとはな!」

 隊長の眼窩が怪しく光る。

 直後――

 ドドドドドドド!!!!

 地響きを立てながら、戦場の角から巨大な戦車が姿を現した。

 戦車隊――。

 巨大な砲塔を備え、分厚い装甲を持つ鉄の獣。
 計5台が次々と出撃する。

◆決着
「戦車隊! ファイアー!!」

 隊長の号令が響いた。

 次の瞬間――

 ドカァァァァン!!!

 巨大な砲弾がライオスの右肩に直撃。
 鎧がひしゃげ、砲弾が弾けるように爆発する。

 爆風が大地を抉り、黒煙が立ち込めた。
 ライオスの身体は吹き飛ばされ、100メートル以上転がる。

 血が――流れていた。

 ライオスの右腕が消えていた。

「ヴ……ヴガアアアアアアア!!!」

 獣のような咆哮を上げ、ライオスは立ち上がろうとする。

 だが――

 膝が崩れ落ちた。

 狂戦士化の影響も切れ、全身に痛みと疲労が戻ってくる。
 愛用のバトルアックスも、どこかへ飛ばされていた。

「……カハッ……ここまでか……。チクショウ……さすがに、痛てぇな……」

 血を吐きながら呟く。

 その時――

 「プシュッ!!」

 何かが発射される音。

 瞬間、ライオスの鎧に無数の針付きワイヤーが絡みついた。

「……な、なんだこれは……!? ……ぐっ……アアアアアア!!!!」

 ライオスの身体に高圧電流が流れる。
 全身が痙攣し、意識が白く塗りつぶされる。

◆赤鬼、捕縛
「カッカッカ!!! 骨のある奴だったが、これで終わりだ!」

 隊長は下品に笑う。

「さぁ、こいつを拷問室へ運べ!」

「は! 了解であります!」

 髑髏の兵士たちが、倒れたライオスを引きずっていく。

 赤鬼の最期。
 戦場に響くのは、兵士たちの冷笑と、燃え残る瓦礫の音だけだった――。
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