彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。

佐藤 美奈

文字の大きさ
25 / 39

25

しおりを挟む
「私とホークの婚約を祝福してくれた人達全員に、あなたと妹が不適切な関係を結んでいることを告白して謝罪してきてください」
「えっ?それはちょっと……恥ずかしいな」

あなたの可能な限りの誠意を見せてほしい。彼女は意を決した面持ちで彼に言いました。

最初彼は到底無理だろうと感じる。自分達が不名誉な思いをすることになって、生きづらい世の中になる。情けないことに頭の中が真っ白になった。

「それが原因で婚約破棄になったことをきちんと伝えてね。それと謝罪にはフランソワと二人で行くこと。それが絶対条件よ」
「分かった。フランソワは僕が説得しよう!」
「頑張ってね。応援してるわ。兄と妹の許されぬ恋を詳しく話すのよ」
「それじゃイブリン僕は今から行ってくる」

無理難題な条件ですが彼は受け入れました。妹は兄に骨抜きにされてるから、説得したら喜んで聞き入れるでしょう。

結婚式の出席者は勿論の事、他にも学園時代の友人に数えきれない。頭の中がお花畑の彼に心底呆れてしまいます。

愛する彼女から慈愛に満ち溢れた笑顔に励ましの言葉をもらい、彼は胸がキュンとときめいて大手を振って嬉しそうな顔で駆け出していきました。


「やり直すわけないじゃない……みんなに謝った後には恥知らずの馬鹿二人が魂の抜けたようになってるのかしら?」

なんて彼は愚かなの?お話にならない間抜けな男。彼女は元から彼を許すつもりは毛ほどもない。これは今まで彼と妹に苦汁を飲まされ、日々屈辱を味わって苦しい思いをしていた彼女なりの復讐。

これから彼は各々への謝罪行脚に一生懸命に取り組んで、彼女と復縁して結婚という実現することがない夢を追い求めるのです。

例え彼が全ての人達に謝罪を終えたとしても、何かと理由を付ければいいのです。彼が気がつくまで一生手の平の上で踊らせてやる。


「お兄様……正気ですか?」
「僕は頭も規則正しく動いているし本気で言ってる!」

これから謝罪行脚に同行してくれ?妹は兄の気持ちが信じられなくなった。自分達が肩身が狭い思いをすることになるし、何より恥ずかしい。

「その約束を守ればお兄様はあの女と結ばれることが出来るのですか?」
「フランソワ!僕が愛している一番大事な存在のイブリンのことをと呼ぶのはやめろ!」
「お兄様……ごめんなさい」
「今度イブリンを見下すような発言をしたら容赦ないと思え!」
「承知いたしました」
「それから大至急出かける準備をしろ!」
「はい」

妹は何気なく口を開いたが兄から烈火のごとく怒鳴り散らされ、意志を失った人形みたいな妹は従順な態度で兄に平謝り。

(お兄様に叱られたの初めてかもしれない……でも悪くないわ)

妹は新たな感情が芽生える。

彼女を軽んじることは二度と許さんと厳しく警告されて、さっさと支度を整えろと理不尽に命令されます。進むも地獄退くも地獄で兄と妹は謝罪行脚に向かう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。 しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。 そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。 このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。 しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。 妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。 それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。 それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。 彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。 だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。 そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。

【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて
恋愛
【本編完結】私の婚約者は、妹に会うために家に訪れる。 【楽しい旅行】続きです。

妹ばかりを贔屓し溺愛する婚約者にウンザリなので、わたしも辺境の大公様と婚約しちゃいます

新世界のウサギさん
恋愛
わたし、リエナは今日婚約者であるローウェンとデートをする予定だった。 ところが、いつになっても彼が現れる気配は無く、待ちぼうけを喰らう羽目になる。 「私はレイナが好きなんだ!」 それなりの誠実さが売りだった彼は突如としてわたしを捨て、妹のレイナにぞっこんになっていく。 こうなったら仕方ないので、わたしも前から繋がりがあった大公様と付き合うことにします!

婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました

青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。 しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。 「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」 そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。 実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。 落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。 一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。 ※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております

妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。 それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。 リオーラは、姉である私のことを侮っていた。 彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。 ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。 そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

妹の婚約者自慢がウザいので、私の婚約者を紹介したいと思います~妹はただ私から大切な人を奪っただけ~

マルローネ
恋愛
侯爵令嬢のアメリア・リンバークは妹のカリファに婚約者のラニッツ・ポドールイ公爵を奪われた。 だが、アメリアはその後に第一王子殿下のゼラスト・ファーブセンと婚約することになる。 しかし、その事実を知らなかったカリファはアメリアに対して、ラニッツを自慢するようになり──。

処理中です...