彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。

ぱんだ

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「今日もイブリンの家に詫びに出向こう」

この期に及んで彼女に謝ったところで彼女の心は戻ってこない。僕のことを愛してくれていた大切な存在だったのに裏切っておいてなにが謝罪だ。ホークは自分自身が許せなくて情けなくなる。

彼女に会えなくても当然だよな?何のために会うのか?万に一つでも許してもらえても復縁は限りなく不可能に近いのに。

「人の道を外れた僕に彼女と話したいなんておこがましかったのかな……」

今日で謝罪を始めて20日経っている。彼女の家の使用人からしつこい野郎だと罵倒され、帰りにあざ笑って後ろ指を指されることにも慣れた。

それが彼の覚悟で彼女への誠心誠意の行動。しかし彼女は何時までたっても姿を見せてくれない。自分のような痩せこけたみすぼらしい身なりをした男とは喋りたくもないのか?


「ホーク」

今日も自分の謝罪は彼女に伝わらなかったと思い、意気消沈した顔でよろめきながら帰ろうとした時です。

後ろから彼女の声を聞こえました。久しぶりに突然耳の中に入ってくる音色に鼓膜が震える。彼女の可愛らしく親しみやすい声。

「イブリン……もう一度だけ会って謝りたかった。ごめん」

彼女の姿を確認した彼は膝をついて深く頭を下げ、真心を持って謝罪の言葉を述べました。しばらく沈黙があり彼女からの反応は直ぐにありません。

「うん」

あれ?ホークは彼女に手ひどく叱られるかもしれないという恐怖も少なからずありましたが、以外に妙に落ち着いた声で返されます。

「ホーク許してほしい?また私と婚約したい?」
「えっ?」

こんな最低な僕を許してくれるの?彼は信じられない気持ちでした。

それも許してくれるだけでなく夢にまで見て水の泡となった婚約という考えられないサービスまで付けてくれると彼女は問いかけるのです。

異常な興奮のために疲れが吹き飛び身体が軽くなる。彼は顔を上げて彼女を見ると自分に向けて微笑んでいます。

彼女の手を取り踊り出したいホーク。嬉しくなって舞い上がった気持ちになり、特に意識せずに白い歯を見せ目尻を下げる。


「でも条件があるの」
「条件?何でもするから教えてほしい」

私達が元の関係に戻るには条件がある。さばさばした様子で話を進める彼女に、彼はワラにもすがる心境で顔面に悲壮感を漂わせて条件を尋ねます。

彼女と復縁できるなら自分の命を捨てる覚悟で、やれる限りのことをしたい。

(早くイブリンと愛し合いたい)

彼女とまた恋人関係に戻れると思ったら、不意によこしまな感情を抱いてしまう恥ずべき彼でした。
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