彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。

ぱんだ

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「お兄様」
「なんだフランソワ」
「私達はこんな謝罪をいつまで続けなければいけないのですか?」
「イブリンが言った通り婚約を祝福してくれた全員に謝るまでやる!」
「正直しんどいのですが……」

謝罪行脚を始めて3ヶ月。妹は疲れてヘトヘトの容態さ兄に尋ねる。これ、思ったよりも苦しすぎませんか?

まだ予定している2割程度しか謝罪を終えていないという辛い状況。かなりの苦行を命じられたが、彼女との復縁と婚約のために兄と妹は全身全霊で頑張るしか選択はない。

イブリンの出した条件は、兄と妹が一緒に謝罪行脚しろということなので、どちらかがギブアップしたらおしまいで今までの謝罪が無駄になる。言うなれば運命共同体。


「お兄様もう動けません……足が棒のようです」

妹は足の筋肉がこわばって体も限界で、壮大な疲労感が重くのしかかる。

「フランソワ弱音を吐くことは許さない。僕だってとっくに体が悲鳴を上げてる」

兄も体力が尽きてボロ雑巾のような状態。二人は邪魔にならないように道の隅で倒れてそのまま休息の時間を取った。

謝罪が完了するまでは彼女から会えないと告げられた。二人は従うしかないと思っていますが、生きているのか死んでいるのか分からない半死半生の生活に耐えられそうにない。

出口が見えなく逃れられない迷宮に突然放り込まれたよう。可愛らしさが消えて、げっそりとやつれた姿になった廃人と変わらない顔の妹が喋り始める。

「ホークお兄様」
「なんだ?」
「私はお兄様との不適切な関係を、謝罪先で告白して後ろ指を指され、最初のうちは恥ずかしかったのですが……今はそれよりも途方もない謝罪行脚が精神的に辛いです」
「フランソワ僕もだよ。まだ謝罪は半分も終わっていないからね」

謝罪に行った人達からは、激しく非難され怒鳴り散らされ兄と妹は恥さらしと吐き捨てられる日々。

両親からもお前達のせいで惨めで情けない思いをしていると、小言をしつこく言われる。

それに対して妹は最初の頃は、顔が上げられないほどの羞恥心を感じていた。けれど最近では、もう身も心もくたくたで死にそう。

兄の彼女に誠意を見せる気持ちはありますが、体がついてこない。二人の現在の住まいは、兄は安い宿で一人暮らしに妹は縁切りが解けて実家の出入りを許されたが、戻らず兄と同棲してる状態。


「はぁ……お兄様もうイブリン様との婚約は諦めませんか?」

横たわっている妹が深いため息をついて、もう彼女との結婚は見切りをつけるべきだと兄に説得しようと試みる。
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