彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。

佐藤 美奈

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彼はお風呂で体を綺麗にした後に、メイドが用意してくれた清潔な肌着と服に着替えて彼女の元へ向かいました。

「イブリン……会いたかった……」
「ホーク何か用?」

彼女の顔を見た途端に泣き声を漏らし、彼女にすがるような顔を向ける彼と違って、不機嫌な表情でそっけない態度の彼女。

「あ、あの……」
「なに?ハッキリ喋って」
「まだ謝罪が終わってないんだ」

口をもごもごさせて何か言いにくそうに困っている彼に、彼女は言いたいことがあるなら率直に話しなさいと咎めるような厳しい視線で言う。

すると彼はビクビク震えながら語り始めます。まだ謝罪行脚を終わらせていない事。実際はまだ半分もやり遂げていない。

彼の話を聞いた彼女は目を光らせ鋭い目で睨む。自分の出した条件は、婚約を祝福してくれた人達への謝罪。彼と妹の道ならぬ恋を告白して婚約が駄目になった原因をきちんと伝えること。

それを完遂できたら再び付き合って婚約できるというそんな条件。しかし落とし穴があって例え苦労して達成したとしても彼女の中では既に彼に愛情はなく見捨てているので、結婚することは決してない。


「私の条件を達成してないのに会いに来たの?」
「う、うん……ごめんなさい」
「じゃあホーク謝罪の続きに行ってきなさい」
「それが無理なんだ……フランソワがもう謝罪はしたくないって……僕のいう事を何も聞いてくれないんだ」

しばらく無言のまま緊張感が漂う部屋の中で彼女が切り出す。謝罪を終えるまでは会わないというのも条件だった。それなのになぜ会いに来たの?彼女は尋ねました。

彼は涙のしずくを落としながら泣き声で理由を話し出す。妹が兄である自分に情け容赦なく逆らい、反旗をひるがえしたそう。二度と謝罪行脚には付き添わないと叱り飛ばされたという。

「だから?」
「えっ?」
「それが私に関係あるの?」
「い、いや、その……」

本気で軽蔑した視線を向けた彼女は冷酷な表情で言い返すと、切羽詰まった顔でひどく慌てる。浅はかな彼は甘く考えていました。

彼女に正直に謝れば許してくれると思っていたのです。彼が頭の中で思い描いていた事は、もういいよ。ホーク大変だったね……辛かったのによくここまで頑張ったね……と彼女から優しい言葉をかけられると想像を広げていた。

「ホーク、あなたがフランソワを説得するって言ったよね?」
「そうだけど……状況が変わって……」

逆に、彼女は手を抜かずに彼を責め続ける。あなたが妹をなだめる事ができると言って謝罪行脚を受け入れたのでしょう?

彼は目を泳がせて寂しそうに切実な声で答えました。
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