実家に帰ったら平民の子供に家を乗っ取られていた！両親も言いなりで欲しい物を何でも買い与える。

4.

お母様と買いに足を運び一緒に見立てた愛用しているパジャマまで着られては、言いようのない怒りで体が震える。リディアは感情を爆発させて絹を引き裂くような声を響き渡らせる。

周りにいるメイド達は、よくぞひと泡吹かして言ってくれましたリディアお嬢様と、心の底から身にしみて思う。

両親からお客さま待遇を約束されたエマは、この家で誰にも怒られたことがないのだろう。突然の予期しない怒声に驚いてぎょっとした顔。

「あなた誰？」
「私はリディアこの家の……公爵家の娘です」

あなたは誰……というエマから失礼極まりない言葉が飛んできました。無意識に目くじらを立てますが、その気持ちを静めて冷静な口調で言い返しました。

「あっそう」

相手からは何ともそっけない返事で愛想の欠片もない顔。おのれ、平民の分際でとまたそんな言葉が脳を勢いよく駆け巡る。

「あなた本当に失礼ね。怒りを通り越して呆れるわ……私が名乗ったのだから名前を言って挨拶くらいしたらどうなの？」
「エマよろしく」
「は？」
「だからエマ。私の名前が聞きたかったんでしょ？」

リディアは思わず間抜けな声を出す。名前は先ほどメイドに聞いて知っているわと絶叫したい気分になりました。

そう言うのではなくてリディアが望んでいた挨拶は、この家でお世話になっていますというそんな常識的な感謝の言葉。

「随分とナメた口を利きますね。礼儀知らずな平民にも限度がありますよ」
「え？なんで？」
「どれほど失礼か分からないの？」
「うん」
「最低限の礼儀すら知らないようね」

平民のエマには意味がわからなかった。名前を答えて挨拶をしろと言われたのでその通りにした。

それなのに目の前にいるリディアと名乗ったこの家の子は、どうしてだろうか？怒っている感じで頭の中が混乱する。

「ここは託児所ではありません。あなたの家に帰りなさい」
「やだ！」
「エマを特別扱いするのはもう終わりました……少しの間でも、お姫様みたいな生活ができて夢を見られて幸せだったでしょう？」