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256話 「見つけてしまったもの2」
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「だいじょぶかなー……」
「どうだろうなあ……」
デーモン達が飛び込んだ穴の縁からそっと中を覗き込む八木と加賀の二人。
中からは時折翼のはためく音はするだけで、それ以外に争ったり大きな物音がしたりと言うことは無い。
なので恐らくは何ともないのだろう、だがその暗闇が二人の不安を煽るのだ。
「……特に何も居ないそう、降りてみましょうか」
そんな二人とは対象に落ち着いた様子のアイネ。
どうやら中にいるデーモン達とは連絡が取れる様で中に危険が無いと報せを受け取ると二人へと声を掛け穴の縁へと向かう。
「明かりは私が用意するね」
そう言って何事か唱えるとアイネは空中に浮かぶ光の玉を生み出し引っ摑む、そしてそのまま穴の中へと飛び降りた。
「わーほんとだ何かの建物かなこれ?」
「おう……まじだな」
アイネが光源を持って降りた事で内部が外からも見えるようになっていた。
二人は恐る恐るといった様子で穴の縁からひょこりと顔を出して中を覗き込んでいる。
「……降りないの?」
「加賀こそ降りないのか?」
中々降りようとしないお互いをじっと見つめ合う二人。やがて加賀がポツリと独り言のように話し始める。
「……ホラーゲームでさ。こんな感じの所を降りた瞬間襲われるとかあるじゃない」
梯子などを下りた先でゾンビ等が待ち構えている……ありがちではあるがやられると中々精神的なダメージが大きいものである。
加賀はそう良いながら立ち上がると穴の縁から離れるように歩いて行く。
「おう、何で背後に回り込もうとしてるんですかねえ?」
「ほら、八木は体大きいでしょ? 押してあげようかと思って」
「いやそこは中から引っ張ってくれれば良いじゃない? だからほら加賀先に入りなよ?」
「……何してるの?」
穴の縁でじりじりとお互いの距離はかる二人を穴から顔を出したアイネが呆れた様子で見つめる。
結局最後にはアイネに穴に引きずり込まれる二人であった。
「電気がついた?」
「急にどうして……?」
アイネに引きずり込まれ穴の中へと降り立った二人であるが、次の瞬間建物内全体の灯りが点灯する。
驚く二人をよそにアイネは落ち浮いた様子で灯りのついた天井をじっとみつめていた。
「何となく予想はついた……とりあえずここの建物はまだ生きている様ね」
なぜ灯りがついたのか何となくアイネにはその理由が分かったようである。
ただあくまで予想であるので特に口にすることはなく、二人を連れとりあえず先に進む事にしたようだ。
「先に入ったデーモンの情報によるとこの施設はドーナツ状の形状をしているそう」
「へー……」
「何の施設なんだろねー」
直径およそ100m程度それがこの施設の範囲であった。
壁沿いにいくつもの扉が存在し、大小様々な部屋があるようだ。
扉にはいくつか朽ちて中が見えるものもあり、興味深そうに二人が覗いているが今のところ目立った物は存在していない。精々椅子やテーブルといった程度のものだ。
「……人が住んで生活していた形跡があるそう。恐らく住居として使っていたのだと思う」
「隠れ家的な? 本当だ本棚とかあるなあ……あ、ベッドもあるじゃん」
すっとアイネが指さした部屋を覗き込む八木。
住居と使っているとの言葉の通り、覗いた部屋の中には本棚やベッドも存在していた。
「家として使って多のかな……でも街から結構離れてるよね?」
「あー……隠れ家的な?」
「二人とも、これ読める?」
八木と加賀の二人がざつだんをしている間に部屋に奥へと入ったアイネが部屋の中をあさりいくつかの書物を手に入れた様だ。
ただそれはアイネには読めない文字で書かれていたようでアイネは二人へと書物をすっと差し出す。
「う? あー英語苦手なんだよねー読め……英語!?」
「うお? あ、まじだ英語じゃん」
書物にはタイトルが書かれていた。
それはこの世界の文字では無く、加賀と八木が元いた世界の文字である英語で書かれていた。
「え、なに。ここもしかして過去の神の落とし子が住んでた所って事?」
「多分そうじゃないかな」
肯定するアイネの言葉を聞いて何となく納得する二人。
過去の神の落とし子は色々と悲惨な目にあった者も少なくない、中にはこうして隠れ家に住む者が居たとしてもおかしくは無いだろう。
それはそれとしてそんな神の落とし子が残した書物を読もうとして……加賀はしかめっ面ですっと書物を八木に差し出す。
「はい。八木ぱすぱす」
「え゛!? ……俺英語苦手なんだよ……あ、普通に読めるわこれ」
加賀もだが八木も英語は得意じゃ無いらしい。
だが神の落とし子である二人にそんな事は関係ない、英語だろうが何だろうが読めてしまうのだ。
加賀が読むのを諦めたのは先入観か何かだろう。
「ほんとに隠れ家だったのねー」
「ここで寝泊まりして外で農作物作ってたまに街に売りに行ってたと、んでここいらの土地はそいつが改良済みとな」
「土関係の魔法が相当得意だったようね」
書物にはこの建物の主。その人の日記が書かれていた。
農作物を作ってはたまに街に行き普段は趣味の土いじりをする、と中々悠々自適に過ごしていたようである。
「ここもその魔法で作ったと……なるほどね、通りで季節外れのもんが成ってると思ったわ」
「虫とかに食われた跡もないからこれも恐らくその人がやった事でしょうね」
明らかに季節外れの物が実っていた理由はここの主が原因であったようだ。
彼はギフトとしてもらった力を作物を作ることにかなり注ぎ込んでいたらしい。
比較的他と比べて状態が良かった部屋の中に大勢の人影が座り込んでいる。
部屋全体にシャリシャリという音が鳴り響き一見すると中々怪しい雰囲気ばっちりである。
「他は特にめぼしい物は無し……どうすっかね? なんかこう真ん中がいかにも怪しそうなんだけどさ」
「んっ……ふぉーふぁね」
シャリシャリ音の正体は先ほど取った梨をデーモン達も含め皆で食べている音であった。
「食べてから喋りんさい」
取れたての梨は瑞々しくとても美味であった。
大量に取ったはずの梨もそろそろ無くなりそうな勢いで消費されていく。
「2個目いくんかいっ」
……とりあえず梨が無くなるまでは落ち着いて話せなさそうな感じである。
「そんじゃまー壁を注意しながら一周して見るって事でいいかな」
「おー」
そんな感じで梨を食べ終えた一同は何となく怪しい施設の中心部分、そこに続くであろう道を探して施設内を歩き回る事になる。
そして程なくして彼らは中心部分へと続く隠し扉を開き、その先でお宝らしき箱とそれを守るためだろう、守護者を見付ける事になるのであった。
「どうだろうなあ……」
デーモン達が飛び込んだ穴の縁からそっと中を覗き込む八木と加賀の二人。
中からは時折翼のはためく音はするだけで、それ以外に争ったり大きな物音がしたりと言うことは無い。
なので恐らくは何ともないのだろう、だがその暗闇が二人の不安を煽るのだ。
「……特に何も居ないそう、降りてみましょうか」
そんな二人とは対象に落ち着いた様子のアイネ。
どうやら中にいるデーモン達とは連絡が取れる様で中に危険が無いと報せを受け取ると二人へと声を掛け穴の縁へと向かう。
「明かりは私が用意するね」
そう言って何事か唱えるとアイネは空中に浮かぶ光の玉を生み出し引っ摑む、そしてそのまま穴の中へと飛び降りた。
「わーほんとだ何かの建物かなこれ?」
「おう……まじだな」
アイネが光源を持って降りた事で内部が外からも見えるようになっていた。
二人は恐る恐るといった様子で穴の縁からひょこりと顔を出して中を覗き込んでいる。
「……降りないの?」
「加賀こそ降りないのか?」
中々降りようとしないお互いをじっと見つめ合う二人。やがて加賀がポツリと独り言のように話し始める。
「……ホラーゲームでさ。こんな感じの所を降りた瞬間襲われるとかあるじゃない」
梯子などを下りた先でゾンビ等が待ち構えている……ありがちではあるがやられると中々精神的なダメージが大きいものである。
加賀はそう良いながら立ち上がると穴の縁から離れるように歩いて行く。
「おう、何で背後に回り込もうとしてるんですかねえ?」
「ほら、八木は体大きいでしょ? 押してあげようかと思って」
「いやそこは中から引っ張ってくれれば良いじゃない? だからほら加賀先に入りなよ?」
「……何してるの?」
穴の縁でじりじりとお互いの距離はかる二人を穴から顔を出したアイネが呆れた様子で見つめる。
結局最後にはアイネに穴に引きずり込まれる二人であった。
「電気がついた?」
「急にどうして……?」
アイネに引きずり込まれ穴の中へと降り立った二人であるが、次の瞬間建物内全体の灯りが点灯する。
驚く二人をよそにアイネは落ち浮いた様子で灯りのついた天井をじっとみつめていた。
「何となく予想はついた……とりあえずここの建物はまだ生きている様ね」
なぜ灯りがついたのか何となくアイネにはその理由が分かったようである。
ただあくまで予想であるので特に口にすることはなく、二人を連れとりあえず先に進む事にしたようだ。
「先に入ったデーモンの情報によるとこの施設はドーナツ状の形状をしているそう」
「へー……」
「何の施設なんだろねー」
直径およそ100m程度それがこの施設の範囲であった。
壁沿いにいくつもの扉が存在し、大小様々な部屋があるようだ。
扉にはいくつか朽ちて中が見えるものもあり、興味深そうに二人が覗いているが今のところ目立った物は存在していない。精々椅子やテーブルといった程度のものだ。
「……人が住んで生活していた形跡があるそう。恐らく住居として使っていたのだと思う」
「隠れ家的な? 本当だ本棚とかあるなあ……あ、ベッドもあるじゃん」
すっとアイネが指さした部屋を覗き込む八木。
住居と使っているとの言葉の通り、覗いた部屋の中には本棚やベッドも存在していた。
「家として使って多のかな……でも街から結構離れてるよね?」
「あー……隠れ家的な?」
「二人とも、これ読める?」
八木と加賀の二人がざつだんをしている間に部屋に奥へと入ったアイネが部屋の中をあさりいくつかの書物を手に入れた様だ。
ただそれはアイネには読めない文字で書かれていたようでアイネは二人へと書物をすっと差し出す。
「う? あー英語苦手なんだよねー読め……英語!?」
「うお? あ、まじだ英語じゃん」
書物にはタイトルが書かれていた。
それはこの世界の文字では無く、加賀と八木が元いた世界の文字である英語で書かれていた。
「え、なに。ここもしかして過去の神の落とし子が住んでた所って事?」
「多分そうじゃないかな」
肯定するアイネの言葉を聞いて何となく納得する二人。
過去の神の落とし子は色々と悲惨な目にあった者も少なくない、中にはこうして隠れ家に住む者が居たとしてもおかしくは無いだろう。
それはそれとしてそんな神の落とし子が残した書物を読もうとして……加賀はしかめっ面ですっと書物を八木に差し出す。
「はい。八木ぱすぱす」
「え゛!? ……俺英語苦手なんだよ……あ、普通に読めるわこれ」
加賀もだが八木も英語は得意じゃ無いらしい。
だが神の落とし子である二人にそんな事は関係ない、英語だろうが何だろうが読めてしまうのだ。
加賀が読むのを諦めたのは先入観か何かだろう。
「ほんとに隠れ家だったのねー」
「ここで寝泊まりして外で農作物作ってたまに街に売りに行ってたと、んでここいらの土地はそいつが改良済みとな」
「土関係の魔法が相当得意だったようね」
書物にはこの建物の主。その人の日記が書かれていた。
農作物を作ってはたまに街に行き普段は趣味の土いじりをする、と中々悠々自適に過ごしていたようである。
「ここもその魔法で作ったと……なるほどね、通りで季節外れのもんが成ってると思ったわ」
「虫とかに食われた跡もないからこれも恐らくその人がやった事でしょうね」
明らかに季節外れの物が実っていた理由はここの主が原因であったようだ。
彼はギフトとしてもらった力を作物を作ることにかなり注ぎ込んでいたらしい。
比較的他と比べて状態が良かった部屋の中に大勢の人影が座り込んでいる。
部屋全体にシャリシャリという音が鳴り響き一見すると中々怪しい雰囲気ばっちりである。
「他は特にめぼしい物は無し……どうすっかね? なんかこう真ん中がいかにも怪しそうなんだけどさ」
「んっ……ふぉーふぁね」
シャリシャリ音の正体は先ほど取った梨をデーモン達も含め皆で食べている音であった。
「食べてから喋りんさい」
取れたての梨は瑞々しくとても美味であった。
大量に取ったはずの梨もそろそろ無くなりそうな勢いで消費されていく。
「2個目いくんかいっ」
……とりあえず梨が無くなるまでは落ち着いて話せなさそうな感じである。
「そんじゃまー壁を注意しながら一周して見るって事でいいかな」
「おー」
そんな感じで梨を食べ終えた一同は何となく怪しい施設の中心部分、そこに続くであろう道を探して施設内を歩き回る事になる。
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