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255話 「見つけてしまったもの」
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森へと続く道を3人が雑談を交えゆったりと進んでいく。
八木の背で最初は大人しくしていた加賀であるが、時折人とすれ違うたびもぞもぞと身動ぎをする。
ちらちらと向けられる視線がどうも気になる様だ。
「むーんむーん」
「人の耳元で変な声だすなし」
顔をうずめ云々とうなる加賀に軽く文句を言う八木。
するとうなる事はなくなったが今度はもぞもぞと動き始める。
「もぞもぞするなし」
「今更だけどさ」
「ん?」
もぞもぞするなと注意され動きを止める加賀。
うつ向いたままぽつりと呟く。
「なんか恥ずかしいんですけど」
「今更だなあ……まあ、もう着くし降りとけ」
「おぅっ」
八木が加賀を背負ってから1時間近く経っている。
目的地である森まではあと数分程で到着するだろう、恥ずかしいと言うが確かに今更である。
八木が支えていた足から手を放すと加賀は八木の背からずりずりと落ちていく。
体をひねり調子を確かめると森へと向かい歩いて行く。
「それじゃ精霊さん、デーモンさん。護衛お願いするねー」
森の中へと入る前に精霊、それにデーモンに声を掛け護衛を依頼する。
その際にお菓子を渡しておく事も忘れない、こういった事があったとき用にカ□リーメイト的な物を作っておいて持ってきていたのだ。
精霊はぱくりとお菓子を咥えるとすっと姿を消し、デーモンもいくつか手荷物とこちらも同様にすっと姿を消す。
「おー、すげえいっぱい成ってんな」
「全部とっちゃだめよー?」
森は食材の宝庫であった。
二人がせっせと取っているのはびわに似た果物である。
大分暖かくなったこの時期、おそらく食べ頃だろう。
全部とっちゃダメという加賀であるが、どう見ても取り切れないだけの数が実っている。
そして二人は気が付いていなかったが不思議なことにいずれも虫や鳥に食われた形跡がない。
「加賀……これ」
「うん? 林檎……じゃないね、それ梨だ! どこになってたの?」
アイネが手にちょこんと乗せた果物、それは加賀が良く知る果物であった。
ぱっと見リンゴに見えなくもないが、よくよく見れば違う事が分かる。
「あっち」
「置いてかないでぇっ」
アイネが指示したほうへ駆けていく加賀、それにアイネ。
そしてそれを追う八木。
少し進んだところでそれは現れた、巨大な樹木の枝に大量に実った大量の梨。
それは1種類だけでは無い、二人が見慣れた梨以外にも縦に細長い、西洋梨と呼ばれる品種も存在していた。
「すげー、これ全部梨か。って西洋梨もあるじゃん……梨って春の果物だっけ?」
ふらふらと木々を見上げながら歩き回る八木。
時期的にあっていない気もするが、目の前に実っている果実はどう見ても梨である。
そしてそろそろ梨を取ろうかと八木が木に近づいたとき、八木は視界の端に移る異物に気が付く。
「おー……おー? ……なにこれ」
「どったの?」
「何か穴あいてる……」
八木の様子がおかしい事に気が付いた加賀がその場に立ち尽くす八木に向かい声をかける。
じっと一点を見つめ指さす八木。指先へと視線を向けた加賀。
二人の視線の先には森の中ぽっかりと空いた穴から深淵が覗いていた。
「ん……」
二人の様子に気が付いたアイネであるが、二人に近づかないよう声をかけ一人で穴の様子を確認しに行く。
「何の穴だろねーこれ」
「さー? 熊の巣か何か?」
「え゛っ!? そ、それはちょっと……」
冗談で熊の巣という八木であるが、猪であれだったのだ。もし熊が出たとしたらとんでもない化け物が出てきそうである。ちょっぴりトラウマを刺激された加賀は穴からつつっと距離を取る。
「誰かが作ったもの見たいね。中に人工物が見える」
「ほほー」
「こんな森の中で?」
穴の中に人工物があった事を二人へと伝えるアイネ。通常真っ暗であれば明りが無ければ中の様子など分からないが、人手はないアイネの目には真っ暗な穴の中も鮮明に映るようだ。
「なんだろね……すっごい気になるけど」
危ないよね、と言う加賀。
それに同調するように八木も頷く、がアイネは違ったようである。
「入ってみる?」
「いいんすか?」
あっさり言うアイネに驚き思わず聞き返す八木。
アイネは軽く頷くと魔法陣を展開させデーモンを追加で召喚しはじめる。
「デーモン先行させて危険が無いか探らせるよ」
とは言えいきなり全員で行くつもりは無いようだ。
デーモンを先行で行かせ危険がないのを確かめた上で3人が中にはいる。それであればと八木も安堵した様子を見せる。
「それじゃ、お前たち中の様子を見ておいで」
ダース単位で召喚したデーモン達へ支持を出すアイネであったが、デーモン達は動かない。
彼らは皆そろってある一点を見つめていた。それは加賀……ではなく、加賀が手に持った携帯食のはいった袋だ、
「……あ、はいこれ」
そう言ってすっと袋をデーモン達に差し出す加賀。
デーモン達は口をもごもごさせながら穴へと飛び込んで行く。
八木の背で最初は大人しくしていた加賀であるが、時折人とすれ違うたびもぞもぞと身動ぎをする。
ちらちらと向けられる視線がどうも気になる様だ。
「むーんむーん」
「人の耳元で変な声だすなし」
顔をうずめ云々とうなる加賀に軽く文句を言う八木。
するとうなる事はなくなったが今度はもぞもぞと動き始める。
「もぞもぞするなし」
「今更だけどさ」
「ん?」
もぞもぞするなと注意され動きを止める加賀。
うつ向いたままぽつりと呟く。
「なんか恥ずかしいんですけど」
「今更だなあ……まあ、もう着くし降りとけ」
「おぅっ」
八木が加賀を背負ってから1時間近く経っている。
目的地である森まではあと数分程で到着するだろう、恥ずかしいと言うが確かに今更である。
八木が支えていた足から手を放すと加賀は八木の背からずりずりと落ちていく。
体をひねり調子を確かめると森へと向かい歩いて行く。
「それじゃ精霊さん、デーモンさん。護衛お願いするねー」
森の中へと入る前に精霊、それにデーモンに声を掛け護衛を依頼する。
その際にお菓子を渡しておく事も忘れない、こういった事があったとき用にカ□リーメイト的な物を作っておいて持ってきていたのだ。
精霊はぱくりとお菓子を咥えるとすっと姿を消し、デーモンもいくつか手荷物とこちらも同様にすっと姿を消す。
「おー、すげえいっぱい成ってんな」
「全部とっちゃだめよー?」
森は食材の宝庫であった。
二人がせっせと取っているのはびわに似た果物である。
大分暖かくなったこの時期、おそらく食べ頃だろう。
全部とっちゃダメという加賀であるが、どう見ても取り切れないだけの数が実っている。
そして二人は気が付いていなかったが不思議なことにいずれも虫や鳥に食われた形跡がない。
「加賀……これ」
「うん? 林檎……じゃないね、それ梨だ! どこになってたの?」
アイネが手にちょこんと乗せた果物、それは加賀が良く知る果物であった。
ぱっと見リンゴに見えなくもないが、よくよく見れば違う事が分かる。
「あっち」
「置いてかないでぇっ」
アイネが指示したほうへ駆けていく加賀、それにアイネ。
そしてそれを追う八木。
少し進んだところでそれは現れた、巨大な樹木の枝に大量に実った大量の梨。
それは1種類だけでは無い、二人が見慣れた梨以外にも縦に細長い、西洋梨と呼ばれる品種も存在していた。
「すげー、これ全部梨か。って西洋梨もあるじゃん……梨って春の果物だっけ?」
ふらふらと木々を見上げながら歩き回る八木。
時期的にあっていない気もするが、目の前に実っている果実はどう見ても梨である。
そしてそろそろ梨を取ろうかと八木が木に近づいたとき、八木は視界の端に移る異物に気が付く。
「おー……おー? ……なにこれ」
「どったの?」
「何か穴あいてる……」
八木の様子がおかしい事に気が付いた加賀がその場に立ち尽くす八木に向かい声をかける。
じっと一点を見つめ指さす八木。指先へと視線を向けた加賀。
二人の視線の先には森の中ぽっかりと空いた穴から深淵が覗いていた。
「ん……」
二人の様子に気が付いたアイネであるが、二人に近づかないよう声をかけ一人で穴の様子を確認しに行く。
「何の穴だろねーこれ」
「さー? 熊の巣か何か?」
「え゛っ!? そ、それはちょっと……」
冗談で熊の巣という八木であるが、猪であれだったのだ。もし熊が出たとしたらとんでもない化け物が出てきそうである。ちょっぴりトラウマを刺激された加賀は穴からつつっと距離を取る。
「誰かが作ったもの見たいね。中に人工物が見える」
「ほほー」
「こんな森の中で?」
穴の中に人工物があった事を二人へと伝えるアイネ。通常真っ暗であれば明りが無ければ中の様子など分からないが、人手はないアイネの目には真っ暗な穴の中も鮮明に映るようだ。
「なんだろね……すっごい気になるけど」
危ないよね、と言う加賀。
それに同調するように八木も頷く、がアイネは違ったようである。
「入ってみる?」
「いいんすか?」
あっさり言うアイネに驚き思わず聞き返す八木。
アイネは軽く頷くと魔法陣を展開させデーモンを追加で召喚しはじめる。
「デーモン先行させて危険が無いか探らせるよ」
とは言えいきなり全員で行くつもりは無いようだ。
デーモンを先行で行かせ危険がないのを確かめた上で3人が中にはいる。それであればと八木も安堵した様子を見せる。
「それじゃ、お前たち中の様子を見ておいで」
ダース単位で召喚したデーモン達へ支持を出すアイネであったが、デーモン達は動かない。
彼らは皆そろってある一点を見つめていた。それは加賀……ではなく、加賀が手に持った携帯食のはいった袋だ、
「……あ、はいこれ」
そう言ってすっと袋をデーモン達に差し出す加賀。
デーモン達は口をもごもごさせながら穴へと飛び込んで行く。
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