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伯爵の陰謀
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「すみません、バートン家の奥様はこの件に大層お怒りでしばらくの間話がまとまる気配がありませんでした」
「何だと」
「恐らく今強引に話をまとめても向こうが納得せず話が漏れる可能性があるため、間を置くしかないと判断しました」
「くそ……」
戻って来た家臣の言葉を聞いてテイラー伯爵はため息をついた。この件が明らかになればパーシーは狂人の烙印を押され、テイラー家の評判も地に堕ちるだろう。パーシーは跡継ぎ候補であった以上、彼が勝手にやったことだ、という言い訳は通らない。
かといって力づくでこの件を隠滅、もしくは偽装してまでパーシーを守ってやろうという気も伯爵にはなかった。パーシーはパーシーでリリーが精霊を借りているということにも気づかずに勝手に攫ってきたことが許せなかったためだ。
だからここは先方にお金を積んででも穏便にことを収めようと思ったのだが、向こうはそういう気持ちではないらしい。
「くそ、どうすればいいんだ」
「父上、例の件どうなりました?」
そこへその悩みの種であったパーシーが現れた。
その顔を見て伯爵は苛立ちが込み上げてくるのを感じる。
「うるさい! お前のせいでもう事態はめちゃくちゃだ!」
が、そこでなぜかパーシーはすーっと覚悟を決めたような表情になる。
「なるほど、つまりどうせ僕はもう終わりということだな」
「おい、お前、一体何を考えている!?」
「僕はリリーを絶対に許せない、あいつのせいで僕の人生は終わったんだ……」
「何を言っている! 全部身から出た錆だろうが! 軽はずみなことはやめろ!」
連れてきてしまったリリーだが、現在は別室で寝かせている。すでに暴力を振るってしまった伯爵ではあるが、もしパーシーがリリーにさらに危害を加えればもっと取り返しのつかないことになる。
「違う、あいつが全て悪いんだ! こうなったらあいつの秘密を暴露してやる!」
そう言ってパーシーは屋敷を走り出ていく。
それを止めようとして伯爵はふと考える。
「そうだ、もういっそのことリリーがミアから精霊を奪っていたということにして、パーシーはそれを暴こうとしたが、揉めたためにやむなく連れてきたということにしよう」
やや無理がある筋書ではあるが、それならパーシーはそこまで悪くなかったことになるし、軽傷で済むかもしれない。いくら家族の間とはいえ、姉の精霊をリリーが勝手に奪っていたということにすればリリーが悪者になるだろう。
元々こちらからは和解案を提案したのにそれを拒否したのが悪いんだ。
そう思って伯爵はごくりと唾を飲み込むのだった。
「何だと」
「恐らく今強引に話をまとめても向こうが納得せず話が漏れる可能性があるため、間を置くしかないと判断しました」
「くそ……」
戻って来た家臣の言葉を聞いてテイラー伯爵はため息をついた。この件が明らかになればパーシーは狂人の烙印を押され、テイラー家の評判も地に堕ちるだろう。パーシーは跡継ぎ候補であった以上、彼が勝手にやったことだ、という言い訳は通らない。
かといって力づくでこの件を隠滅、もしくは偽装してまでパーシーを守ってやろうという気も伯爵にはなかった。パーシーはパーシーでリリーが精霊を借りているということにも気づかずに勝手に攫ってきたことが許せなかったためだ。
だからここは先方にお金を積んででも穏便にことを収めようと思ったのだが、向こうはそういう気持ちではないらしい。
「くそ、どうすればいいんだ」
「父上、例の件どうなりました?」
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その顔を見て伯爵は苛立ちが込み上げてくるのを感じる。
「うるさい! お前のせいでもう事態はめちゃくちゃだ!」
が、そこでなぜかパーシーはすーっと覚悟を決めたような表情になる。
「なるほど、つまりどうせ僕はもう終わりということだな」
「おい、お前、一体何を考えている!?」
「僕はリリーを絶対に許せない、あいつのせいで僕の人生は終わったんだ……」
「何を言っている! 全部身から出た錆だろうが! 軽はずみなことはやめろ!」
連れてきてしまったリリーだが、現在は別室で寝かせている。すでに暴力を振るってしまった伯爵ではあるが、もしパーシーがリリーにさらに危害を加えればもっと取り返しのつかないことになる。
「違う、あいつが全て悪いんだ! こうなったらあいつの秘密を暴露してやる!」
そう言ってパーシーは屋敷を走り出ていく。
それを止めようとして伯爵はふと考える。
「そうだ、もういっそのことリリーがミアから精霊を奪っていたということにして、パーシーはそれを暴こうとしたが、揉めたためにやむなく連れてきたということにしよう」
やや無理がある筋書ではあるが、それならパーシーはそこまで悪くなかったことになるし、軽傷で済むかもしれない。いくら家族の間とはいえ、姉の精霊をリリーが勝手に奪っていたということにすればリリーが悪者になるだろう。
元々こちらからは和解案を提案したのにそれを拒否したのが悪いんだ。
そう思って伯爵はごくりと唾を飲み込むのだった。
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