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どゆこと?
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「アイリーンと俺の結婚を許して下さい!」
キャスター様は、お父様に深々と腰を曲げ、いつまでも顔を上げないでいた。
若干放心していたお父様がやっと、気を持ち直して、
「やや!王太子殿下。顔を上げて下され!」
と声を掛けた。
やっと顔を上げたキャスター様は、今度は私に近づいてきて片膝を付いて、右手で私の右手を取って、おもむろに言った。
「リーン。俺は幼い頃よりずっと君を見ていたんだ。学院で話すようになってからはもっと一緒にいたくなった。俺と、生涯を共に生きてくれないか。」
ええ-!??そ、そんな…私も、お城での王妃様主催のお茶会などでは参加してましたし、幼い頃よりキャスター様を拝見しておりましたが。そして、学院でお話するようになって、確かに私の心は温かい気持ちを抱いた事もありますわ。
ガブリエル様は、声を掛けてくる時は決まって心無い誹謗中傷、暴言などを吐いてくるのですもの。少なからず悲しい気持ちになります。身に覚えのない物ばかりとはいっても。
帰りの馬車を待つ時にキャスター様とお会いして話した時には、悲しい気持ちが薄れていた事もしばしばでしたわ。
「リーン?」
とても優しい声で呼んでくれているわ。お返事をしなければ。
「ええ…。あ、でもお父様、婚約破棄された事で不利益は…。」
「あ…あぁ。娘の求婚される姿を見せつけるとは、王太子殿下も酷ですぞ。ううむ…仕方あるまい。では、今回の婚約について話させていただく。アイリーも座ろうか。」
「あ、リーン、こっちに座って!」
「むむむ…まぁよい。」
お父様も許可をして下さったので、キャスター様の隣に、少し間を空けて座った。しかし、キャスター様は腰を上げ私に少しくっ付いて座り直したから、お父様の前ですがドキドキしちゃいますわ。
「ウォッホン!それでは。」
お父様は、キャスター様の向かい側のソファに座って話し出しましたわ。
「先程、王太子殿が言われた事と概ね合っておるわ。ムッカスが負債に苦しんでいるのを知り、助けてあげたいと思ったのだ。それに、友人と親族になるというのもいいなと思ってしまっての。こちらから声を掛けてみたらムッカスはおいおいと泣いて喜んでくれたわ。持参金で負債を無しに出来るとな。対して私には、所有している馬を譲ってくれると言うから契約書を交わしたのだ。」
えーそんな内容でしたの…。
「オズワルト辺境伯…では不利益が発生するのはドミニク伯爵家だけですね?」
「ああそうじゃ。娘を幸せに出来ん奴に嫁にやりはせん!あの馬は確かに欲しかったが、アイリーには適わんよ。」
「リーン。これで憂いはなくなったかい?」
そう、キャスター様は私に顔を向け、手を握って言って下さった。
「え、ええ…。」
もっと不利益が生じるかと思ったので、拍子抜けしたのはあるけれど。馬と交換って…。
「じゃぁ、これで安心して結婚出来るね!ガブリエルの処分は任せてくれ。不貞を行ったのは向こうなんだからな!」
そう言って、ニヤニヤと笑っているわ。その顔、王太子としてどうなの。他の人には見せられないわね。
コンコンコンコン。と扉の叩く音がして、執事のセバスチャンが向こうから、
「お話中すみません。速達が届きまして、旦那様に至急見て欲しいと幾つか…。アイリーン様のご学友かと思います。」
え?お友だちがどうしてお父様にお手紙を?
「ほう。入って参れ。セバス、なんと?」
「それが、意見書のようです。」
「ふむ。なに?沢山あるな。」
「ええ。まだ届くかもしれません。」
「それは?」
キャスター様は、10通以上ある封筒を見て言われた。
「うむ…どうやら、学校のアイリーの生活の様子じゃ。そして、どれも噂は事実無根だと書いておるぞ。しかし、どうしてだ?噂?」
「なるほど…。おそらく、噂とはガブリエルの不貞相手のソニアをいじめたとか罵ったとか、そういう類のものでしょう。むしろ、ガブリエルの方がソニアとかいう奴の戯言を聞き、リーンに酷い言葉を掛けていたよな。」
「ほう…だから、アイリーは悪くないと言う事で手紙をくれたのじゃな?いい友を持ったな。さすが私の可愛い娘!」
「お父様…そうですか。では、お礼のお手紙を書かなくては。」
そんな事をみなさんしてくれたの…ありがたいわ。
「そうじゃな。またあとで書いてやりなさい。この手紙はどれも心がこもっておるものばかりじゃ。アイリーン、良い学院生活を送ったんじゃな。」
「はい!」
「では、粗方話しはよろしいですね。して、オズワルト辺境伯、リーンと出掛けてきます。」
と言うと、キャスター様は立ち上がって、私の手を取り扉へ向かう。
「ま、まて!まだ向こうは書類を送ってこんのじゃ。だから婚約破棄は成立しておらん。二人だけで人目のあるところに出掛けるのはまだ止めておきなさい。テラスでお茶をいかがかな?おいセバス!」
お父様、とても慌てておりますわね。まぁ、確かに婚約破棄って言い募ったのはガブリエル様ですし、不貞をされていたのもあちら側ですが、だからって婚約破棄の書類処理を完了する前に、私も他の男性と二人で会っていたらあらぬ疑いを掛けられても困るものね。
「うぬぬ…。仕方ない。リーンに変な噂がたってもいけないし。あーあ!指輪でも買って渡したかったのにな~。」
と、キャスター様が駄々をこね始めました。王太子の仮面を完全に外しておりますわね。いじけている姿も、私しか知らないのかと思うと、なんだかくすぐったい気持ちですけれどもね。
「キャスター様。次回ぜひとも、お出かけしましょう?よろしくお願いしますね?」
キャスター様は、お父様に深々と腰を曲げ、いつまでも顔を上げないでいた。
若干放心していたお父様がやっと、気を持ち直して、
「やや!王太子殿下。顔を上げて下され!」
と声を掛けた。
やっと顔を上げたキャスター様は、今度は私に近づいてきて片膝を付いて、右手で私の右手を取って、おもむろに言った。
「リーン。俺は幼い頃よりずっと君を見ていたんだ。学院で話すようになってからはもっと一緒にいたくなった。俺と、生涯を共に生きてくれないか。」
ええ-!??そ、そんな…私も、お城での王妃様主催のお茶会などでは参加してましたし、幼い頃よりキャスター様を拝見しておりましたが。そして、学院でお話するようになって、確かに私の心は温かい気持ちを抱いた事もありますわ。
ガブリエル様は、声を掛けてくる時は決まって心無い誹謗中傷、暴言などを吐いてくるのですもの。少なからず悲しい気持ちになります。身に覚えのない物ばかりとはいっても。
帰りの馬車を待つ時にキャスター様とお会いして話した時には、悲しい気持ちが薄れていた事もしばしばでしたわ。
「リーン?」
とても優しい声で呼んでくれているわ。お返事をしなければ。
「ええ…。あ、でもお父様、婚約破棄された事で不利益は…。」
「あ…あぁ。娘の求婚される姿を見せつけるとは、王太子殿下も酷ですぞ。ううむ…仕方あるまい。では、今回の婚約について話させていただく。アイリーも座ろうか。」
「あ、リーン、こっちに座って!」
「むむむ…まぁよい。」
お父様も許可をして下さったので、キャスター様の隣に、少し間を空けて座った。しかし、キャスター様は腰を上げ私に少しくっ付いて座り直したから、お父様の前ですがドキドキしちゃいますわ。
「ウォッホン!それでは。」
お父様は、キャスター様の向かい側のソファに座って話し出しましたわ。
「先程、王太子殿が言われた事と概ね合っておるわ。ムッカスが負債に苦しんでいるのを知り、助けてあげたいと思ったのだ。それに、友人と親族になるというのもいいなと思ってしまっての。こちらから声を掛けてみたらムッカスはおいおいと泣いて喜んでくれたわ。持参金で負債を無しに出来るとな。対して私には、所有している馬を譲ってくれると言うから契約書を交わしたのだ。」
えーそんな内容でしたの…。
「オズワルト辺境伯…では不利益が発生するのはドミニク伯爵家だけですね?」
「ああそうじゃ。娘を幸せに出来ん奴に嫁にやりはせん!あの馬は確かに欲しかったが、アイリーには適わんよ。」
「リーン。これで憂いはなくなったかい?」
そう、キャスター様は私に顔を向け、手を握って言って下さった。
「え、ええ…。」
もっと不利益が生じるかと思ったので、拍子抜けしたのはあるけれど。馬と交換って…。
「じゃぁ、これで安心して結婚出来るね!ガブリエルの処分は任せてくれ。不貞を行ったのは向こうなんだからな!」
そう言って、ニヤニヤと笑っているわ。その顔、王太子としてどうなの。他の人には見せられないわね。
コンコンコンコン。と扉の叩く音がして、執事のセバスチャンが向こうから、
「お話中すみません。速達が届きまして、旦那様に至急見て欲しいと幾つか…。アイリーン様のご学友かと思います。」
え?お友だちがどうしてお父様にお手紙を?
「ほう。入って参れ。セバス、なんと?」
「それが、意見書のようです。」
「ふむ。なに?沢山あるな。」
「ええ。まだ届くかもしれません。」
「それは?」
キャスター様は、10通以上ある封筒を見て言われた。
「うむ…どうやら、学校のアイリーの生活の様子じゃ。そして、どれも噂は事実無根だと書いておるぞ。しかし、どうしてだ?噂?」
「なるほど…。おそらく、噂とはガブリエルの不貞相手のソニアをいじめたとか罵ったとか、そういう類のものでしょう。むしろ、ガブリエルの方がソニアとかいう奴の戯言を聞き、リーンに酷い言葉を掛けていたよな。」
「ほう…だから、アイリーは悪くないと言う事で手紙をくれたのじゃな?いい友を持ったな。さすが私の可愛い娘!」
「お父様…そうですか。では、お礼のお手紙を書かなくては。」
そんな事をみなさんしてくれたの…ありがたいわ。
「そうじゃな。またあとで書いてやりなさい。この手紙はどれも心がこもっておるものばかりじゃ。アイリーン、良い学院生活を送ったんじゃな。」
「はい!」
「では、粗方話しはよろしいですね。して、オズワルト辺境伯、リーンと出掛けてきます。」
と言うと、キャスター様は立ち上がって、私の手を取り扉へ向かう。
「ま、まて!まだ向こうは書類を送ってこんのじゃ。だから婚約破棄は成立しておらん。二人だけで人目のあるところに出掛けるのはまだ止めておきなさい。テラスでお茶をいかがかな?おいセバス!」
お父様、とても慌てておりますわね。まぁ、確かに婚約破棄って言い募ったのはガブリエル様ですし、不貞をされていたのもあちら側ですが、だからって婚約破棄の書類処理を完了する前に、私も他の男性と二人で会っていたらあらぬ疑いを掛けられても困るものね。
「うぬぬ…。仕方ない。リーンに変な噂がたってもいけないし。あーあ!指輪でも買って渡したかったのにな~。」
と、キャスター様が駄々をこね始めました。王太子の仮面を完全に外しておりますわね。いじけている姿も、私しか知らないのかと思うと、なんだかくすぐったい気持ちですけれどもね。
「キャスター様。次回ぜひとも、お出かけしましょう?よろしくお願いしますね?」
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