【完結】こんな所で言う事!?まぁいいですけどね。私はあなたに気持ちはありませんもの。

まりぃべる

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これから

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翌日。このタウンハウスに、お父様がガブリエル様とそのお父様であるドレイク伯爵様をお呼びになったそうです。私も、参加した方がいいかとお聞きしたら【アイリーは部屋にいなさい。】と言ってくれた。自分の事だから、私も行った方が良いかと思ったのですが、確かにもう顔を合わせたくありませんわ。今まではほとんどお会いしてなかったのに、ここ1年、ソニア様が入学されてから幾度となく私に文句を言いに来ていたので、ガブリエル様のお顔を見ると嫌悪しか感じませんから。

私は、2階の自室におりました。とても気になるけれど、聞き耳を立てるのも如何なものかと思いましたので集中出来るよう扉から離れ、部屋の奥の窓際で書物を読むことにしました。

階下からざわざわと声が聞こえますが、私は書物に集中しようと思います。これは隣国の恋愛物語です。ずいぶん前に読んだ事があったけれど、また読みたくなって読んでおります。半分ほど読み進めた頃でしょうか。お父様の初めて耳にする大きな声が、階下から聞こえました。

「侮辱する気か!?………。」

あまりの声の大きさに、窓際の1人掛けのソファで読んでいた本を落としてしまいました。

「お父様…。」

私の為に、怒ってくれているのかしら。いつも穏やかな、気弱そうな優しいお父様があんなに大きな声を出されるなんて…不甲斐ない娘で本当に申し訳ないです。
落とした本を拾い上げ、1度窓の外を見ようと立ち上がりました。窓の外は、領地とは違って小さいですが中庭が見え、その咲いている季節の花を私はじっと見つめました。そうしていると、青い鳥が飛んできて、その花を啄んでいます。その様子をしばらく眺めていると、心もだんだん落ち着いてきました。気付けばお父様の声も聞こえなくなっておりました。
もう一度、本を読もうとソファに座るのですが、なかなか内容が頭に入ってきません。仕方なく、本を閉じ、表紙を触りつつ目を閉じました。

私はそんなに泥臭かったでしょうか。辺境に住んでいるからかよく、田舎臭いとか、土にまみれてとか、泥臭いとか言われました。ええ、主にガブリエル様にですけれど。
婚約者として、仲良く出来ればと思ってはおりましたがきっかけがありませんでしたので、入学してもお互いに話し掛ける事もしませんでした。クラスも違っていた為に校舎も離れており、見掛ける事もほとんどありませんでした。
それがなぜか、ソニア様が入学されてから、お2人が私の近くに来るようになり、心ない言葉を浴びせられたり、心当たりの全くない事を私がやったかのように言われたりしました。しかも一方的に言って、私が言い返そうかと思うと去って行く。それの繰り返しでしたのでいつしか私も、また言いに来たのねと思うだけで、言い返そうと思う事もしなくなりました。
それが、卒業式に婚約破棄だなんて…。本来でしたら、卒業して少ししたら、婚約発表会をし、1年後位に結婚式をして伯爵家へという流れだったはず。まぁ、それをしなくて良くなったという事で私は心が軽くなったのも事実です。最近は、こんな関係で果たして結婚できるのかしら、と考えると胃の辺りがキリキリと痛みだしていたので考えないようにしていたものです。ガブリエル様の事を考えると、嫌な思い出しかありませんね。だから、婚約破棄をされた時は正直申しますととても嬉しかったですわ。けれど、あんな大勢の前で言わなくても良かったと思いますけれど。


コンコンコンコン。

と、いろいろとものおもいに耽っていたら、部屋の扉を叩く音がしました。

「はい。」
「俺だよ。入っていいかい?」
「え!?な、なんで!?」
ええと、キャスター様?いらしてたのですか?お父様は、そんな事言っていたかしら。

「入るよ。」
と、言って一呼吸置いてから、入って来てくださったので、落ち着きを取り戻せました。

「キャスター様。来てくれていたのですか?話し合いにも参加されていましたか?」
そう言って、私は立ち上がりました。

「そりゃぁ、大事な人の為の話し合いだからね。俺も参加させてもらったよ。もう安心していいよ。終わったから。」
そう言ってキャスター様は、私の傍まで来ると、今まで私が座っていたソファに再び座るよう促して、自身も近くにあったスツールを近くに持って来て座った。

「書類は、今国王の元に届けさせた。今日中には受理されるだろう。リーン。改めて言うよ。結婚して欲しい。」
私の目を見つめ、そう言ってくれたので恥ずかしくはあったけれど、私もキャスター様の目を見つめ、答える事にした。
「はい。こんな私で良ければ。」
「いやいや、リーンじゃなきゃ嫌だよ!」
そう言って、私の手を握ってくれる。キャスター様は、いつも私の心をポカポカと温かくしてくれる。でも今はとてもドキドキしているわ。これからも一緒にいられるのね。キャスター様はこの国の王太子だから、私もこれからは妃教育をやっていかないといけないけれど、今までと同じように学んで行けばきっと大丈夫でしょう。だってこれからは、気持ちの通い合ったキャスター様と一緒にいられるんですもの。


「あ、それから…。今言う事じゃないかもだけど、気になるだろうから言うよ。オブァンス男爵令嬢は北の修道院に行くと思うよ。学院を辞めてね。」
「え…そうなのですか?」
「うん。だって、リーンに酷い事をされたとかって嘘を言い過ぎたからね。学院の生徒達にも変な影響があってもいけないし。それで、しっかりと反省をしてくれれば出てきて、ガブリエルといつかは念願の結婚出来るかもね。ま、ガブリエルは平民となるから、生活の基盤を立てられたらの話だけどね。」
「あ、あら…。」
まぁ、仕方ないですわね。じゃあ伯爵家はどうなるのかしら。確か、カルロスと同じ年齢の弟さんがいらしたんじゃなかったかしら?

「伯爵家はだって、ガブリエルの弟の
グレイグが継ぐからね。恥をさらしたガブリエルの居場所はないよね。」
「そうですね…。」
貴族ですものね。家に恥となる事をしてしまったら、出て行くしか…。
「リーン。君は優しいね。心を痛めているのかい?」
「いいえ。でも、私にも悪い所があったかなと…。」
「ないよ。リーンに非は、一切無かった。今まで辛かったよね。だから、これからは俺と幸せになろう!」
「ええ、ありがとうございます。キャスター様。」


私は婚約破棄されたけれど、ガブリエル様に気持ちはありませんでしたもの。キャスター様と一緒に、幸せになりますわ!











☆★☆★☆★☆★
数ある作品の中から、この作品を読んで下さってありがとうございます。
これで完結です。
また次も読んでもらえたら嬉しいです。

☆★☆★☆★☆★☆★
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感想 3

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みんなの感想(3件)

mnm
2025.12.16 mnm

「成敗」って、なんか、時代背景?ニュアンス?イメージ?が微妙。
せめて「粛清」って表現にして欲しかったかな。

2025.12.18 まりぃべる

mnm様、感想ありがとうございます。

そうでしたか(^^;)mnm様にとってお気に召す表現でなかったとのこと、申し訳ありません。
それでも、読んで下さり感想まで下さいましてありがとうございましたm(_ _)m

解除
penpen
2021.09.22 penpen

王子無双σ(*´∀`*)

2021.09.22 まりぃべる

penpen様、いつもありがとうございます。
ふふふ。感想いただきありがとうございます。

お読みいただきまして、ありがとうございます!

解除
なみ
2021.07.27 なみ

サクッと楽しめる作品でした〜
ガブリエルのざまぁ、ちょい足しして欲しかった気もするけど
ハッピーエンドなので、後は妄想します〜

2021.07.27 まりぃべる

なみ様、感想ありがとうございます!
サラッとさせちゃいましたからね☆なるほどですね、また参考にさせていただきます。ありがとうございます。

解除

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