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〈11. 新しい住処へ行くと〉
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その後もミエスと明日からの出勤時間の事などを少し話し、エステルは再び仕事案内所へと戻った。
先ほどのカウンターへ行くと、先ほどの受付の人が向こうから声を掛けてきた。
「さっきの!採用されたって?まぁそうだろうと思ってたけど良かったねぇ!
では労働アパートメントへ案内するから。ちょっとそこで待ってておくれ。あ、ちゃんと荷物は持って行きなさいよ。」
そう言うと、受付の人は傍に置いてあるベルを鳴らした。
カランカランと、よく通る音がそこに響くと奥から十歳前後の女の子が出て来た。
「こちらの方に、労働アパートメントへご案内しておくれ。そうだねぇ…六番街の三番がいいかな。職場にも近いからね。」
「はい分かりました。では、こちらへ。」
その女の子はエステルへとペコリと頭を下げ、前へと進み始める。
☆★
仕事案内所を出て、学校がある道とは逆の方向へと歩いてすぐの路地を入った所へ案内された。
そこは三階建ての建物で、ここが労働者向けのアパートだった。
「こちらは、仕事案内所から仕事を紹介した方達が無料で住む事の出来る素晴らしい場所です。」
そう女の子は言って、一階の玄関を入って行く。
玄関は、少しだけ広く取ってあり、正面には階段があり、その階段の下側には小窓がついていて、女の子はそこへ話しかけた。
「お連れしました。お願いします。」
「はい、ただ今!」
すぐに声がして、奥の扉から人が出てくる。
「ありがとうございます。承ります。」
そう言われると、今まで案内してくれた女の子はペコリとお辞儀をしてすぐに帰っていった。
(なんだか、淡々としているのね。)
エステルはお礼も言う間もなかったのでそう思った。
「では、今日からこちらに住まわれるという事で宜しいですか?」
そう聞いた子は、先ほどのように十歳前後の女の子だった。
(この辺りでは、小さな子も仕事をするのね。家の手伝いとかではなくて、もう勤めているのかしら。しかも、言葉遣いもしっかりしているわ。)
エステルは、感心しながらもその問いに答える。
「はい。勝手が全く分からないのだけれど、住めるならありがたいわ。」
「分かりました。ではご説明します。仕事案内所から来られたので、仕事は見つかったという事で宜しいですか?」
そう言いながら、その女の子は階段を上って行くのでエステルもそれについていく。
「ええ。庶民学校に。」
「あぁ、だからこちらなのですね。そこへはわりと近いですから。
ここはそのような働き口がある人達が住んでいます。料金はもちろん無料です。食事も三食ついています。必要があれば、お弁当をお作りする事も出来ますが、学校でしたらそちらで摂れますから必要ありませんね。使いたい時はいつでも食堂で摂れます。もちろんこちらも料金は無料です。
一階に食堂と、談話室と、浴場があります。では、こちらへ。」
と、三階の一室へと案内されたエステルは、部屋に入るとずいぶんとすっきりした部屋だと思った。
それに、部屋の横の壁だけ明らかに色が違う。まるで、広い部屋を板で仕切りを付けたようだ。
自分が今まで過ごしてきた部屋と比べると、こんなに小さな部屋は初めてだと驚いたのだ。
それでも、生活するには充分だ。
人一人寝られるほどのベッド、正面には小窓、そこに小さな机と椅子があり、ベッドの向かいの壁際には腰の高さほどのチェストがあるので生活には特に困らないだろうと納得する。
(今まで使っていたシストネン家の部屋よりかなり…でも、寝泊まり出来る場所があるだけマシだと思わないといけないわね。だって私は、もうシストネン家には帰れないもの。不本意ではあるけれど、あんな思考のお父様の元へは帰りたくないわ。あ、でも…レーヴィとはお別れになっちゃったな。)
「服は支給品です。洗濯も、階下の洗濯室へ出して頂ければ我々が洗います。洗濯室には洗った服が棚にサイズ毎に分けて置いてあるので、それをご自分で持って行って下さいね。
以上です。
何かあれば階下の私達がいる部屋にお申し付け下さい。それでは。」
考えていたエステルは、そう女の子に言われた声で意識を浮上させたが、もう出て行ったあとだった。
☆★
次の日。
エステルは、初出勤。
朝食も、昨日夕食で一緒になったヘルミという明るい茶色の髪を三つ編みにした同じ年齢の子と摂る。
ヘルミは、近くの雑貨店で雇われているらしく、朝昼夕と食事はここですると言った。
「私、出稼ぎに来たのよ。大変だけどでも、お給金もらえると『働いていてよかった!』と思うのよね!」
「小さなアパートメントだし、なかなか時間が合わない人達がほとんどなの。でも、エステルは同じ十八歳だと聞いて嬉しい!あ、エステルって呼んでよかった?」
ヘルミは快活で、エステルを見かけると初めて見る顔だと話しかけてくれたのだ。
エステルも、心細かったのもあり、またよく話題をふってくれる為ヘルミとはすぐに打ち解けた。
そんなヘルミと別れ、エステルは早速学校へと向かった。
先ほどのカウンターへ行くと、先ほどの受付の人が向こうから声を掛けてきた。
「さっきの!採用されたって?まぁそうだろうと思ってたけど良かったねぇ!
では労働アパートメントへ案内するから。ちょっとそこで待ってておくれ。あ、ちゃんと荷物は持って行きなさいよ。」
そう言うと、受付の人は傍に置いてあるベルを鳴らした。
カランカランと、よく通る音がそこに響くと奥から十歳前後の女の子が出て来た。
「こちらの方に、労働アパートメントへご案内しておくれ。そうだねぇ…六番街の三番がいいかな。職場にも近いからね。」
「はい分かりました。では、こちらへ。」
その女の子はエステルへとペコリと頭を下げ、前へと進み始める。
☆★
仕事案内所を出て、学校がある道とは逆の方向へと歩いてすぐの路地を入った所へ案内された。
そこは三階建ての建物で、ここが労働者向けのアパートだった。
「こちらは、仕事案内所から仕事を紹介した方達が無料で住む事の出来る素晴らしい場所です。」
そう女の子は言って、一階の玄関を入って行く。
玄関は、少しだけ広く取ってあり、正面には階段があり、その階段の下側には小窓がついていて、女の子はそこへ話しかけた。
「お連れしました。お願いします。」
「はい、ただ今!」
すぐに声がして、奥の扉から人が出てくる。
「ありがとうございます。承ります。」
そう言われると、今まで案内してくれた女の子はペコリとお辞儀をしてすぐに帰っていった。
(なんだか、淡々としているのね。)
エステルはお礼も言う間もなかったのでそう思った。
「では、今日からこちらに住まわれるという事で宜しいですか?」
そう聞いた子は、先ほどのように十歳前後の女の子だった。
(この辺りでは、小さな子も仕事をするのね。家の手伝いとかではなくて、もう勤めているのかしら。しかも、言葉遣いもしっかりしているわ。)
エステルは、感心しながらもその問いに答える。
「はい。勝手が全く分からないのだけれど、住めるならありがたいわ。」
「分かりました。ではご説明します。仕事案内所から来られたので、仕事は見つかったという事で宜しいですか?」
そう言いながら、その女の子は階段を上って行くのでエステルもそれについていく。
「ええ。庶民学校に。」
「あぁ、だからこちらなのですね。そこへはわりと近いですから。
ここはそのような働き口がある人達が住んでいます。料金はもちろん無料です。食事も三食ついています。必要があれば、お弁当をお作りする事も出来ますが、学校でしたらそちらで摂れますから必要ありませんね。使いたい時はいつでも食堂で摂れます。もちろんこちらも料金は無料です。
一階に食堂と、談話室と、浴場があります。では、こちらへ。」
と、三階の一室へと案内されたエステルは、部屋に入るとずいぶんとすっきりした部屋だと思った。
それに、部屋の横の壁だけ明らかに色が違う。まるで、広い部屋を板で仕切りを付けたようだ。
自分が今まで過ごしてきた部屋と比べると、こんなに小さな部屋は初めてだと驚いたのだ。
それでも、生活するには充分だ。
人一人寝られるほどのベッド、正面には小窓、そこに小さな机と椅子があり、ベッドの向かいの壁際には腰の高さほどのチェストがあるので生活には特に困らないだろうと納得する。
(今まで使っていたシストネン家の部屋よりかなり…でも、寝泊まり出来る場所があるだけマシだと思わないといけないわね。だって私は、もうシストネン家には帰れないもの。不本意ではあるけれど、あんな思考のお父様の元へは帰りたくないわ。あ、でも…レーヴィとはお別れになっちゃったな。)
「服は支給品です。洗濯も、階下の洗濯室へ出して頂ければ我々が洗います。洗濯室には洗った服が棚にサイズ毎に分けて置いてあるので、それをご自分で持って行って下さいね。
以上です。
何かあれば階下の私達がいる部屋にお申し付け下さい。それでは。」
考えていたエステルは、そう女の子に言われた声で意識を浮上させたが、もう出て行ったあとだった。
☆★
次の日。
エステルは、初出勤。
朝食も、昨日夕食で一緒になったヘルミという明るい茶色の髪を三つ編みにした同じ年齢の子と摂る。
ヘルミは、近くの雑貨店で雇われているらしく、朝昼夕と食事はここですると言った。
「私、出稼ぎに来たのよ。大変だけどでも、お給金もらえると『働いていてよかった!』と思うのよね!」
「小さなアパートメントだし、なかなか時間が合わない人達がほとんどなの。でも、エステルは同じ十八歳だと聞いて嬉しい!あ、エステルって呼んでよかった?」
ヘルミは快活で、エステルを見かけると初めて見る顔だと話しかけてくれたのだ。
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