【完結】婚約破棄された彼女は領地を離れて王都で生きていこうとしていたが、止める事にしました。

まりぃべる

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〈10. 働き口はここに決める〉

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 たくさん貼り付けられているせいで、全ての求人を見る事は骨の折れる作業だった為、上の方に貼ってあるものをチラチラと見ていく。
エステルは、自分が出来る事を考えた結果、これはと思ったものをレーヴィに言った。

 すると、レーヴィはブツブツと何か言っていたが、先ほどのカウンターへと共に向かってくれ、詳細番号を言って詳しい内容を見せてくれた。

「ここなら、まぁ…治安は悪くはないかもね。学校だから。でも、どうだい?本当にここにするのかい?」

 そう言われ、詳細を聞いたエステルは、

「がっこう、ですか?」

「あぁ、ここはね、庶民学校と言って最近出来たんだよ。庶民の子供達がそこへ通い、学問を教わるんだよ。」

「学問…難しいですか?私、読み書きと足し引き、掛け割りの基本的なものなら教えられると思いますけど……。」

「あぁ、充分だと思うよ。庶民を対象にしているから、そこまで高等な知識を教え込むわけではないみたいでね。じゃあ、これから行ってみるかい?」

「え!こ、これから…?」

 エステルは急だと思ったが、生活の基盤をたてる為には早い方がいいと思ったので、お願いする事にした。

「はい!」

「じゃあ、紹介状を書くから持って行っておくれ。場所も、すぐ近くだから迷わないとは思うけれど地図を書くからね。おわったら一度報告へ来てもらえるかい?その荷物はここに置いておきな。」

 受付の人は、そう言ってサラサラと紹介状と地図を書くと、エステルへと渡した。
 その庶民学校はどうやらすぐ近くのようだ。


 エステルはお礼を言うと、レーヴィへと振り返った。

「レーヴィ、ここまで本当にありがとう。行ってみるわ!」

「はい、分かりました。大丈夫そうですかね。では、近いうちに教会に遊びに来て下さいね。」

「ええ。絶対に行くわ!」


 エステルとレーヴィは、建物を出るとそこで分かれた。




☆★

 建物を出てレーヴィとは逆の方向へ少し歩くと目の前にそこだけ、開けた場所が出てきた。そこがどうやら地図によると学校だった。


 開け放たれた門を入ると、すぐに男性と思われる人の上半身が形取られた銅像があった。
それを横目に正面を見ると広場になっていて、子供達が数人長い棒を持って振り回している。
えい、やー!と棒を当て合っている子や、一人で素振りをしている子もいた。

 その中の数人がこちらへ気づいて、エステルへと近づいてきた。


「こんにちは-!」
「こんにちは-!何か御用ですか?」
「こんにちは-!」

 エステルは、その子たちに微笑んだ。

「こんにちは。ええと…校長先生とお話したいのだけれど。」

 エステルは学校へと通った事が無い為、学校と言う言葉だけでなく、校長先生と言う言葉も言い慣れていない為に少し照れながら言った。

「そうなんだ!校長先生は今は校長室かなぁ?」
「きっとそうだよ!こっちだよ!」
「ついて来て-!」

 エステルの手をひっぱり、その子たちは広場を抜け校舎へと連れて行く。

 校舎を入ってすぐの部屋の前へと着いた子たちは、一斉に口を閉じて目でお互いに誰が部屋を叩くかを押し付け合い、緊張しているようにエステルは見えた。

 やがて一番背の高い男の子が、意を決したように手を上げて部屋を叩いて訪問を知らせた。

「校長先生!お客様です!お連れしました!」

 その子は、先ほどエステルへ話しかけた言葉とは違い、ずいぶんと丁寧に呼び掛けた。

「ありがとう。すぐ伺うよ。」

 中から少し遅れて返事をした人物は、その後すぐに部屋を出て来た。


「君たち、ありがとう。こちらがお客様だね?さあ、君たちは授業に戻りなさい。」

「「「はい!!」」」

 そう答えた彼らは、すぐに廊下を戻って行く。


「さぁ、いらっしゃい。まずは、こちらへどうぞ。」




☆★

 エステルは校長室へと促され、部屋の扉側にあるソファへ腰掛けると、早速紹介状を手渡した。

「ふむ。読み書き、足し引き、掛け割りは出来ると。なるほど…。では、子供達にそれを教えてもらおうか。明日から。いいかな?」

「え!は、はい。」

 エステルは、呆気なく決まったので驚くが、彼は笑いながら言葉を続ける。

「ははは。とりあえず採用だよ。すぐに決まって驚いたかい?まぁ、子供達に知恵を授けるのは大変だからね。本当に出来るのかは、やってみないと分からないものなのだよ。続かない人もいてね。だから常に求人募集をしているのだ。
あなたも、続いてくれると嬉しいがね、どうなるのかはやってみないと分からない。
さ!私は、校長のミエスと言うよ。エステル明日からよろしく頼むよ。」

 そう男性の五十代位のミエスに言われ、エステルは、

(言われてみれば確かにそうだわ……続くかしら。でも、〝先生〟って言われちゃった!)

 と、少し頬を赤くしながら頷いた。
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