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24. ベルトルドの呟き
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僕は、ベルトルド=サンドレッリ。
父は公爵家の人間であり、僕も嫡男として跡目を継ぐ為に少しずつ経験を積んでいる。
けれど今はまだ領地には父がいるし、王宮でピエトロ国王陛下を支える側近達の仲間入りをさせてもらいながら、勉強中だ。
父は、前国王の弟の子であった為、王宮で働く事はしなかった。余計な争いになる事を避けたのだ。
王宮では特に、妻のカンディダの父であるバジーリオ伯爵から、学ぶ事が多い。やはり昔はこの国を統治していた血を受け継いでいるからなのか、決断力もあり、先見の明もあって理想の上司なのだ。
だが、一度怒らせるととんでもない事となってしまう為に、毎日気を張って仕事に集中している。きちんと筋は通った人物である為、見極めて仕事をすれば、どんどん仕事を任せてくれ、短くはあるが褒め言葉もくれるのだ。僕が若いからと仕事を回そうとしない老害とは雲泥の差だ。
この前も大変だったなぁ。
フィラハ国から二人の王子が来た時の事だ。
歓迎の意を込めて舞踏会を開いたのに、そこで弟のパルミーロ王子がやらかしてしまうもんだから、義父上がキレて領地に引っ込むと言って王宮を去ってしまったからだ。あれは僕達ピエトロ国王の側近達ーーー主に義父上と同じくらいの年代の重鎮達も慌てふためいたな。
でも、一応束になれば、義父上の仕事量を捌けるから皆で分担したのだ。
しかしピエトロ国王には義父上から出された宿題を解かせる為に部屋に一時間ほど籠もらせたのが間違いだった。
「部屋にいない!?」
幸いにも、門番もどこに行くのか聞いてくれていたから僕はすぐさま追いかけた。やはりというか、只でさえご立腹だったのに、ピエトロ国王が押しかけるもんだから余計に怒ってしまっていて、どうピエトロ国王を帰らせようか頭をフル回転させたよな。
そこに、正装した国防軍長官と、その子息のヴァルフレードがいたから、なんとなく察したよ。
あぁ、やっとそうなったんだなと。
妻のカンディダからもよく話を聞いていたからだ。
出会った頃からカンディダはヴァルフレードとやたらと距離が近かった。社交界でもよく話しているのを見かけていた。
ふとしたきっかけがあり、カンディダへ話しかけるととても話しやすくて。元から綺麗だと思っていたが、余計に心惹かれたのだ。
だから、ヴァルフレードとどういう仲なんだと聞いたらそれはもう妖艶に微笑んでいったんだ。
「なぜお知りになりたいのですか?それ相応の理由が無ければ、お教えする事は出来ませんわ。」
いやもう、あの魅惑の微笑みにやられたね。
即、告白したね。好きだから心配なのだ、好きだからあなたを知りたいのだと。
そうしたら、カンディダは一瞬嬉しそうに、でもその後すぐに憂いの顔をしてこう言ったんだ。
「私の父をどういう人かご存じ?ベルトルド様との事、許して下さるかしら。」
その時は、僕は王宮で見習いではあったが事務方の仕事をしていたから、噂では聞いていたし、仕事ぶりも間接的に知っていたが、やはり恐ろしい人物で近づきにくいと思った。けれど、カンディダの美しさにやられた僕は、認めてもらう為に仕事を前にも増して努力した。そして、屋敷に挨拶へ行ったんだ。やはり一回目は渋い顔をされた。
「カンディダを本当に心から愛しているか?上辺だけを見ていないか、もう一度しっかり考えてこい。」
でもどう考えても、その時にはもうカンディダ以外あり得なかったから、しばらくしてもう一度挨拶へ行ったんだ。そうしたら、普段の仕事ぶりを見られていたのか自分の下で学ぶ気はあるかと言われたから、是非とも行ってみたいと言った。
バジーリオ伯爵はニヤリと笑って、私は厳しいぞ、とだけ言って、その後カンディダの事も大切にしなければどうなるか知らんぞ、と言われた。
その後、僕は配属先がバジーリオ伯爵の下に変わり、カンディダも認めてもらえて嬉しいと腕にしがみついてくれた。
「ヴァルフレードとの事、知りたいのよね?フフフ。あれはね、私をもう何年も義姉として見てくれているのよ?それってどういう事か分かる?」
「いや、分からないよ。どうしてだい?」
だって、同じ年齢だったろう?なぜ義理の妹なのだ?
「あら。
じゃあ、お父様に挨拶してくれたって事は、私を妻として迎えてくれるのよね?」
「え?うん、当たり前だよ。今すぐにでも連れ去って、一緒に暮らしたいくらいさ。」
「嬉しい!!
だったら教えてあげるわ。ヴァルフレードはね、私の可愛い妹のアルフォンシーナの事が、昔から大好きなのですって!だから、義姉としていろいろと面倒みてあげているのよ!」
それを聞いた時は心底ホッとしたね。それからは僕も、ヴァルフレードに優しく接する事が出来たさ。
それがやっと、本当に義弟となれるなんてな。
パルミーロ王子はすぐさま国へ帰らせる事が出来たが、テレンツィオ王子が今度は謝りたいと言い出した。怪しいと睨んで、でも全て拒絶するのもよくないと思い、舞踏会でならと言えば案の定、パルミーロ王子は義妹へ向かってもっと早く出会えていれば、なんて呟いた。
新たな不穏な動きが出てきて、本当に止めてくれ、と思った。余計な仕事を増やさないで欲しいとため息をついた。
裸馬競争祭りの準備で忙しいのに、前日にパルミーロ王子がまた、無理難題を言い出した。
「私も、参加出来ないだろうか。」
冗談は止めてくれ!!もし落馬して怪我でもされたら、国際問題に発展してしまうではないか。
けれど、バジーリオ伯爵はニヤリと笑って、何を思ったかこう言ったんだ。
「やりたいなら好きにすればいい。だが、どんな事が起こっても、我が国は関係ないからな。書面にでも残すか。」
と。
冷や汗が垂れた。何かが起こるのではないかと。
…まぁ、結果何もなかったから杞憂だったみたいだ。
それもそうだ。バジーリオ伯爵は、そんないつまでも根に持つタイプではないからな、余計な心配だったから本当に良かった。
ま、落馬してしまった奴がいたけれどそれは自分の力を過信した国防軍の中堅騎士だったらしい。骨折で済んで本当に良かった。
はぁ…僕、心配のし過ぎで禿げたりしないよね?最近過酷だと思うんだよね。
けれど、愛するカンディダとの子供がいるしこれからも頑張るけれどね。カンディダと、子供達の笑顔があれば何でもやってやると思えるんだよね。
父は公爵家の人間であり、僕も嫡男として跡目を継ぐ為に少しずつ経験を積んでいる。
けれど今はまだ領地には父がいるし、王宮でピエトロ国王陛下を支える側近達の仲間入りをさせてもらいながら、勉強中だ。
父は、前国王の弟の子であった為、王宮で働く事はしなかった。余計な争いになる事を避けたのだ。
王宮では特に、妻のカンディダの父であるバジーリオ伯爵から、学ぶ事が多い。やはり昔はこの国を統治していた血を受け継いでいるからなのか、決断力もあり、先見の明もあって理想の上司なのだ。
だが、一度怒らせるととんでもない事となってしまう為に、毎日気を張って仕事に集中している。きちんと筋は通った人物である為、見極めて仕事をすれば、どんどん仕事を任せてくれ、短くはあるが褒め言葉もくれるのだ。僕が若いからと仕事を回そうとしない老害とは雲泥の差だ。
この前も大変だったなぁ。
フィラハ国から二人の王子が来た時の事だ。
歓迎の意を込めて舞踏会を開いたのに、そこで弟のパルミーロ王子がやらかしてしまうもんだから、義父上がキレて領地に引っ込むと言って王宮を去ってしまったからだ。あれは僕達ピエトロ国王の側近達ーーー主に義父上と同じくらいの年代の重鎮達も慌てふためいたな。
でも、一応束になれば、義父上の仕事量を捌けるから皆で分担したのだ。
しかしピエトロ国王には義父上から出された宿題を解かせる為に部屋に一時間ほど籠もらせたのが間違いだった。
「部屋にいない!?」
幸いにも、門番もどこに行くのか聞いてくれていたから僕はすぐさま追いかけた。やはりというか、只でさえご立腹だったのに、ピエトロ国王が押しかけるもんだから余計に怒ってしまっていて、どうピエトロ国王を帰らせようか頭をフル回転させたよな。
そこに、正装した国防軍長官と、その子息のヴァルフレードがいたから、なんとなく察したよ。
あぁ、やっとそうなったんだなと。
妻のカンディダからもよく話を聞いていたからだ。
出会った頃からカンディダはヴァルフレードとやたらと距離が近かった。社交界でもよく話しているのを見かけていた。
ふとしたきっかけがあり、カンディダへ話しかけるととても話しやすくて。元から綺麗だと思っていたが、余計に心惹かれたのだ。
だから、ヴァルフレードとどういう仲なんだと聞いたらそれはもう妖艶に微笑んでいったんだ。
「なぜお知りになりたいのですか?それ相応の理由が無ければ、お教えする事は出来ませんわ。」
いやもう、あの魅惑の微笑みにやられたね。
即、告白したね。好きだから心配なのだ、好きだからあなたを知りたいのだと。
そうしたら、カンディダは一瞬嬉しそうに、でもその後すぐに憂いの顔をしてこう言ったんだ。
「私の父をどういう人かご存じ?ベルトルド様との事、許して下さるかしら。」
その時は、僕は王宮で見習いではあったが事務方の仕事をしていたから、噂では聞いていたし、仕事ぶりも間接的に知っていたが、やはり恐ろしい人物で近づきにくいと思った。けれど、カンディダの美しさにやられた僕は、認めてもらう為に仕事を前にも増して努力した。そして、屋敷に挨拶へ行ったんだ。やはり一回目は渋い顔をされた。
「カンディダを本当に心から愛しているか?上辺だけを見ていないか、もう一度しっかり考えてこい。」
でもどう考えても、その時にはもうカンディダ以外あり得なかったから、しばらくしてもう一度挨拶へ行ったんだ。そうしたら、普段の仕事ぶりを見られていたのか自分の下で学ぶ気はあるかと言われたから、是非とも行ってみたいと言った。
バジーリオ伯爵はニヤリと笑って、私は厳しいぞ、とだけ言って、その後カンディダの事も大切にしなければどうなるか知らんぞ、と言われた。
その後、僕は配属先がバジーリオ伯爵の下に変わり、カンディダも認めてもらえて嬉しいと腕にしがみついてくれた。
「ヴァルフレードとの事、知りたいのよね?フフフ。あれはね、私をもう何年も義姉として見てくれているのよ?それってどういう事か分かる?」
「いや、分からないよ。どうしてだい?」
だって、同じ年齢だったろう?なぜ義理の妹なのだ?
「あら。
じゃあ、お父様に挨拶してくれたって事は、私を妻として迎えてくれるのよね?」
「え?うん、当たり前だよ。今すぐにでも連れ去って、一緒に暮らしたいくらいさ。」
「嬉しい!!
だったら教えてあげるわ。ヴァルフレードはね、私の可愛い妹のアルフォンシーナの事が、昔から大好きなのですって!だから、義姉としていろいろと面倒みてあげているのよ!」
それを聞いた時は心底ホッとしたね。それからは僕も、ヴァルフレードに優しく接する事が出来たさ。
それがやっと、本当に義弟となれるなんてな。
パルミーロ王子はすぐさま国へ帰らせる事が出来たが、テレンツィオ王子が今度は謝りたいと言い出した。怪しいと睨んで、でも全て拒絶するのもよくないと思い、舞踏会でならと言えば案の定、パルミーロ王子は義妹へ向かってもっと早く出会えていれば、なんて呟いた。
新たな不穏な動きが出てきて、本当に止めてくれ、と思った。余計な仕事を増やさないで欲しいとため息をついた。
裸馬競争祭りの準備で忙しいのに、前日にパルミーロ王子がまた、無理難題を言い出した。
「私も、参加出来ないだろうか。」
冗談は止めてくれ!!もし落馬して怪我でもされたら、国際問題に発展してしまうではないか。
けれど、バジーリオ伯爵はニヤリと笑って、何を思ったかこう言ったんだ。
「やりたいなら好きにすればいい。だが、どんな事が起こっても、我が国は関係ないからな。書面にでも残すか。」
と。
冷や汗が垂れた。何かが起こるのではないかと。
…まぁ、結果何もなかったから杞憂だったみたいだ。
それもそうだ。バジーリオ伯爵は、そんないつまでも根に持つタイプではないからな、余計な心配だったから本当に良かった。
ま、落馬してしまった奴がいたけれどそれは自分の力を過信した国防軍の中堅騎士だったらしい。骨折で済んで本当に良かった。
はぁ…僕、心配のし過ぎで禿げたりしないよね?最近過酷だと思うんだよね。
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