【完結】いつも微笑んでいる侯爵様とニコリともしない伯爵令嬢のお話

まりぃべる

文字の大きさ
25 / 31

25. バジーリオの嘆き

しおりを挟む
 私はバジーリオ=ソルディーニ。


 私の祖先はコネリアーノ国を建国し、統治していたそうだ。けれども、百年ほど前の大地震により、このウディネの辺りにあった建物が倒壊してしまった為に思い切って今の王宮がある地に宮を移そうという事になったらしい。
 その時に、今のピエトロ国王の祖先に国王の地位を譲り、私の祖先はこのウディネの地で伯爵として陰から国を支える事としたのだそうだ。


 まぁ、その考えがあっているのかどうかは私には分からない。


 今のピエトロ国王は残念ながら頼りないのだ。私と同じ世代であるのに、まるで若造の考えしか出てこない。
 だから、その子供であるプリーニオ王子には幅広く物事を、着々と学ばせている最中だ。
今は隣国でボーナ妃と一緒に滞在中で、他国を学んできてもらっているが、ちゃんと吸収してくれて、成長して帰って来るといいのだが…。



 私には三人の自慢の娘がいる。
三人共に皆性格はちがってとても可愛いのだ。美しい、ともいうな。


 九年前。

 代々国防軍に勤める事が多いアンドレイニ侯爵家のボニート国防軍長官兼侯爵家当主が、相談してきた。


「バジーリオ伯爵。そちらの娘さんと、うちが縁続きになるのはどうだろう。」


 ボニート侯爵か。悪くないな。うちは三人共娘であるから、三人の内誰かが婿を取ってくれれば、それに越した事はない。が、三人共もし、外へ嫁いで行ってしまったのなら、娘達の子供の内誰か一人を養子に取って跡を継がせてもいい。

 ボニート侯爵の息子と結婚させるのであれば、嫁がせるという事になる。年齢的に見れば、同じ年齢のカンディダとなるか?ブルニルタになるかもしれんが、さすがにアルフォンシーナにはならんだろうな。
まぁ、でも誰と性格が合うか分からん。三人直接会わせて相性を見る事にするか。


 だが、予想に反して、一番楽しんだのはアルフォンシーナだと聞く。
 カンディダとブルニルタは、学校に通っていた事もあり、貴族とはなにかを理解していたのだろう。未来の結婚相手になるかもしれないと会う理由を理解して会うから緊張もあり、貴族として家柄同士の結婚相手として接するから、楽しいなどという感情は持たなかったのかもしれない。
 対してアルフォンシーナにも、なんとなく伝えてはいたが良く分かっていなかったのかもしれない。良く見せようとかそんな素振りは一切無く、ありのまま接していたようだった。


 ボニート侯爵からも、息子が言っていたと、なんとそのような話を聞いた。

 だが、二回目の交流会のあとから、アルフォンシーナは、どうも雰囲気ががらりと変わってしまう。ベルティーナが気を効かせてアルフォンシーナへ尋ねたが、首を振るばかりで何があったのか教えてくれなかったと言った。


 アルフォンシーナには、まだ早かったのか?


 アルフォンシーナの気持ちを尊重し、交流会は以降参加しない事にしたが、それだけではなく部屋からあまり出なくなってしまう。出かけるのも、図書館や友達と出掛けるのには行きたいというが、それ以外には理由をつけて出かけなくなった。


 そればかりでなく、可愛い笑顔が見られなくなってしまった。


 何があった!?ボニート侯爵の息子のせいか!?


 いや、でもまぁ、アルフォンシーナには少し早かったのかもしれないな…まだ学校にも通っていない七歳で交流会に参加させてしまったものな。

 もう少し、アルフォンシーナの好きにさせてやるか。



 しかし、ボニート侯爵の息子が適齢期になってくると、アルフォンシーナへ婚約の打診が来るようになった。

 うーん、そっちの都合でそうでも、アルフォンシーナはまだ早いのだ。だからそれとなく交わしていた。




 だが、どうにもならなくなってしまう。


 隣国のそのまた隣の国のフィラハ国は、まだあまり他国と交流をしていなかった為に、このコネリアーノ国に来て早速やらかしたのだ。
 フィラハ国では常識な事であったとしても、コネリアーノ国の常識に合わせなければならない。それが出来なかったフィラハ国の落ち度ではあるが、万が一アルフォンシーナが目をつけられて、婚姻を望まれたらそれを断れきれるかどうか。国際問題になっては困る。


 それならばボニート侯爵の息子と先に婚約を結んだ方がいいと早速ボニート侯爵へ返事をする。


 そして、良い機会だからと私は怒りに乗じて領地へ引きこもると言って仕事を同僚に任せた。
ピエトロ国王に、深刻さを肌で感じて欲しいからだ。コネリアーノ国が舐められたんだぞ、と。そしてこれを機に成長してくれれば…。


 しかし事もあろうか、我が家に連絡も無しに押しかけて来た!しかもピエトロ国王の考えは先を見越してない。金なんて、その場しか旨みが無い。
 私が今まで傍で仕事をしてきたのに、それを学んでくれていなかったのかと思ったら大きなため息が出た。


 やはりピエトロ国王はダメだな。


 まぁ、迎えに来たのがベルトルドであったから、ベルトルドにもその後処理を指示してやっと安心できたわ。

 ベルトルドは、仕事も出来る。私の大事な娘のカンディダの夫でもあるし、信頼も出来る。一を教えたら十を知るような男だから、私が引退しても心配いらないだろうな。



 アルフォンシーナもいろいろとあったが、いつの間にか昔のように溢れんばかりの笑顔を向けてくれるようになったから本当に良かった。珍しくアルフォンシーナに怒られてしまったからな。あまりケチをつけないようにしないとな。思う事はあれど、娘の為だと思っていたのに嫌われてしまってはいけないからな。


 でもこれでやっと、心残りも無くなった。


 そろそろサムエレに家督を譲ってウディネの領地を任せよう。そして愛するベルティーナとゆっくり過ごすとしよう。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!

さら
恋愛
 王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。  ――でも、リリアナは泣き崩れなかった。  「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」  庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。  「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」  絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。  「俺は、君を守るために剣を振るう」  寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。  灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

病弱令嬢ですが愛されなくとも生き抜きます〜そう思ってたのに甘い日々?〜

白川
恋愛
病弱に生まれてきたことで数多くのことを諦めてきたアイリスは、無慈悲と噂される騎士イザークの元に政略結婚で嫁ぐこととなる。 たとえ私のことを愛してくださらなくても、この世に生まれたのだから生き抜くのよ────。 そう意気込んで嫁いだが、果たして本当のイザークは…? 傷ついた不器用な二人がすれ違いながらも恋をして、溺愛されるまでのお話。

勘違い令嬢の離縁大作戦!~旦那様、愛する人(♂)とどうかお幸せに~

藤 ゆみ子
恋愛
 グラーツ公爵家に嫁いたティアは、夫のシオンとは白い結婚を貫いてきた。  それは、シオンには幼馴染で騎士団長であるクラウドという愛する人がいるから。  二人の尊い関係を眺めることが生きがいになっていたティアは、この結婚生活に満足していた。  けれど、シオンの父が亡くなり、公爵家を継いだことをきっかけに離縁することを決意する。  親に決められた好きでもない相手ではなく、愛する人と一緒になったほうがいいと。  だが、それはティアの大きな勘違いだった。  シオンは、ティアを溺愛していた。  溺愛するあまり、手を出すこともできず、距離があった。  そしてシオンもまた、勘違いをしていた。  ティアは、自分ではなくクラウドが好きなのだと。  絶対に振り向かせると決意しながらも、好きになってもらうまでは手を出さないと決めている。  紳士的に振舞おうとするあまり、ティアの勘違いを助長させていた。    そして、ティアの離縁大作戦によって、二人の関係は少しずつ変化していく。

婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ

鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。 平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」 婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。 彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。 二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。 ……はずなのに。 邸内で起きる不可解な襲撃。 操られた侍女が放つ言葉。 浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。 「白の娘よ。いずれ迎えに行く」 影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。 守るために剣を握る公爵。 守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。 契約から始まったはずの二人の関係は、 いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。 「君を奪わせはしない」 「わたくしも……あなたを守りたいのです」 これは―― 白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、 覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。 ---

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました

海咲雪
恋愛
「ロイド様、今回も愛しては下さらないのですね」 「聖女」と呼ばれている私の妹リアーナ・フィオールの能力は、「モノの時間を戻せる」というもの。 姉の私ティアナ・フィオールには、何の能力もない・・・そう皆に思われている。 しかし、実際は違う。 私の能力は、「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」。 つまり、過去にのみタイムリープ出来るのだ。 その能力を振り絞って、最後に10年前に戻った。 今度は婚約者の愛を求めずに、自分自身の幸せを掴むために。 「ティアナ、何度も言うが私は君の妹には興味がない。私が興味があるのは、君だけだ」 「ティアナ、いつまでも愛しているよ」 「君は私の秘密など知らなくていい」 何故、急に私を愛するのですか? 【登場人物】 ティアナ・フィオール・・・フィオール公爵家の長女。リアーナの姉。「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」能力を持つが六回目のタイムリープで全ての力を使い切る。 ロイド・エルホルム・・・ヴィルナード国の第一王子。能力は「---------------」。 リアーナ・フィオール・・・フィオール公爵家の次女。ティアナの妹。「モノの時間を戻せる」能力を持つが力が弱く、数時間程しか戻せない。 ヴィーク・アルレイド・・・アルレイド公爵家の長男。ティアナに自身の能力を明かす。しかし、実の能力は・・・?

処理中です...