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22. 疑問が解けた
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時間も時間だからと、フォルス様と久し振りに一緒に食事をする事になった。
そして食事をしたあと、時間を取ってくれた。
私の部屋で、三人掛けのソファに少し間を開けて隣同士で座った。
「何から話せばいいかな。アンリエッタに、あの建物の事を言わなかったのは、怖かったのもあるんだ。」
「怖かった、ですか?」
「うん。知っての通り僕は、結婚が十回目なんだ。一度目は、父親が決めた人。でも結婚して一ヶ月もしない内に、『もう、無理ですわ!』って泣きながら言われてね。何が無理なのか聞いても、『ここの生活が無理なのです!』としか言わなかったから、合わないのかなと離婚した。それからは、あの結婚案内所でお世話になるんだけど、誰でもいいからと思っていたんだ。」
「誰でも…。」
「でも、アンリエッタと初めて会って話した日、なんて家族思いな子なんだと思ったよ。そして話す内に、だんだんと惹かれていったんだ。無事に結婚出来たけれど、そうしたらアンリエッタと離れたくない自分がいて。でも、自分をさらけ出したら、また離婚を切り出されるんじゃないかと怖くて。」
「自分をさらけ出すって、私だってフォルス様に全て知られたら幻滅されるかもって思っています。でも…。」
「うん、僕はどんなアンリエッタでももう、離れたくないんだ。だから、大丈夫!…僕の母、僕が幼い頃に亡くなったって言ったよね?」
「はい。」
「それって、中身はちょっと壮絶でね…。アンリエッタにここまで話していいのか迷うんだけど…。」
「私も、フォルス様の全てが知りたいです!」
「ありがとう。じゃあ、言うね。ヴェーバー侯爵家は、絹織物が特産品なのは知っているよね?」
「はい。」
「それで、絹ってどうやってできるか知っている?」
「はい、教えていただきました。」
「それを、あの建物で飼っているんだ。」
「そう…え!?」
「絹は、蚕が紡いでくれる繭から取るんだ。その蚕を、あの建物でね。で、最近は繭を作る時期だったから、世話をしていたんだ。で、僕の母は、虫が嫌いだった。蚕ももちろん。だから、目に入らないように、裏手の陰に屋敷を作り直し、あちらへ目を向けなければ存在も感じられないようになっていた。」
「そうだったのですか。」
「けれどある時、どうしてそうなったのかは分からないけれど、蚕が本邸に来てしまった。多分、誰かのエプロンのポケットに入ってしまったのだろう。当時は使用人も忙しい時期はあっちとこっちを行き来して仕事をしていたから。それを僕の母が目にしてしまった。気持ち悪いと言って、半狂乱になってしまって、窓から落ちたらしいんだ。」
「え…!」
「不幸な事がまた起きないように、それからは女性はあの建物に極力近づけさせないようになった。君にもね。エラも苦手だよ。だからその手の話になると顔を顰める。フェリックスは昔から忙しい時期に手伝いに来てもらってるよ。あの家には、うちでできた絹を使っての仕立てを代々依頼していてね。共同でやっているんだ。」
そうだったの…てっきりあの大きな建物には、愛人が住んでいるのかって勝手に勘違いしてしまったわ。
「き、気持ち悪いかい?でも、あの建物に入らなければ…」
「すごいですわ!私にもお手伝いさせて下さればよかったですのに。そうすれば、フォルス様も朝早くから夜遅くまでお仕事されなくて済んだんではないですか?」
「気持ち悪く、ないのか?」
うーん…どの辺りがかしら?
育てているのが?
そんな事言ったら、私、ボウマン家の食卓でいろいろな食べ物が出てきて、美味しくいただいていたのよ。私の体は、恵みの森にある、命で出来ていると言っても過言ではないわ。
私の方がよっぽど…
「だって、私食べていたもの!…あ。」
「え!?」
そして食事をしたあと、時間を取ってくれた。
私の部屋で、三人掛けのソファに少し間を開けて隣同士で座った。
「何から話せばいいかな。アンリエッタに、あの建物の事を言わなかったのは、怖かったのもあるんだ。」
「怖かった、ですか?」
「うん。知っての通り僕は、結婚が十回目なんだ。一度目は、父親が決めた人。でも結婚して一ヶ月もしない内に、『もう、無理ですわ!』って泣きながら言われてね。何が無理なのか聞いても、『ここの生活が無理なのです!』としか言わなかったから、合わないのかなと離婚した。それからは、あの結婚案内所でお世話になるんだけど、誰でもいいからと思っていたんだ。」
「誰でも…。」
「でも、アンリエッタと初めて会って話した日、なんて家族思いな子なんだと思ったよ。そして話す内に、だんだんと惹かれていったんだ。無事に結婚出来たけれど、そうしたらアンリエッタと離れたくない自分がいて。でも、自分をさらけ出したら、また離婚を切り出されるんじゃないかと怖くて。」
「自分をさらけ出すって、私だってフォルス様に全て知られたら幻滅されるかもって思っています。でも…。」
「うん、僕はどんなアンリエッタでももう、離れたくないんだ。だから、大丈夫!…僕の母、僕が幼い頃に亡くなったって言ったよね?」
「はい。」
「それって、中身はちょっと壮絶でね…。アンリエッタにここまで話していいのか迷うんだけど…。」
「私も、フォルス様の全てが知りたいです!」
「ありがとう。じゃあ、言うね。ヴェーバー侯爵家は、絹織物が特産品なのは知っているよね?」
「はい。」
「それで、絹ってどうやってできるか知っている?」
「はい、教えていただきました。」
「それを、あの建物で飼っているんだ。」
「そう…え!?」
「絹は、蚕が紡いでくれる繭から取るんだ。その蚕を、あの建物でね。で、最近は繭を作る時期だったから、世話をしていたんだ。で、僕の母は、虫が嫌いだった。蚕ももちろん。だから、目に入らないように、裏手の陰に屋敷を作り直し、あちらへ目を向けなければ存在も感じられないようになっていた。」
「そうだったのですか。」
「けれどある時、どうしてそうなったのかは分からないけれど、蚕が本邸に来てしまった。多分、誰かのエプロンのポケットに入ってしまったのだろう。当時は使用人も忙しい時期はあっちとこっちを行き来して仕事をしていたから。それを僕の母が目にしてしまった。気持ち悪いと言って、半狂乱になってしまって、窓から落ちたらしいんだ。」
「え…!」
「不幸な事がまた起きないように、それからは女性はあの建物に極力近づけさせないようになった。君にもね。エラも苦手だよ。だからその手の話になると顔を顰める。フェリックスは昔から忙しい時期に手伝いに来てもらってるよ。あの家には、うちでできた絹を使っての仕立てを代々依頼していてね。共同でやっているんだ。」
そうだったの…てっきりあの大きな建物には、愛人が住んでいるのかって勝手に勘違いしてしまったわ。
「き、気持ち悪いかい?でも、あの建物に入らなければ…」
「すごいですわ!私にもお手伝いさせて下さればよかったですのに。そうすれば、フォルス様も朝早くから夜遅くまでお仕事されなくて済んだんではないですか?」
「気持ち悪く、ないのか?」
うーん…どの辺りがかしら?
育てているのが?
そんな事言ったら、私、ボウマン家の食卓でいろいろな食べ物が出てきて、美味しくいただいていたのよ。私の体は、恵みの森にある、命で出来ていると言っても過言ではないわ。
私の方がよっぽど…
「だって、私食べていたもの!…あ。」
「え!?」
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