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21. 目を覚ましたら
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目を覚ますと、部屋はカーテンを閉められ、明かりを落として付けてあった。
「ん…」
エラがいるかなと、声を出そうとするが長く寝ていたからか、掠れて出ない。
ベッドの際の椅子を見ると銀色の髪の人が、ベッドに顔をうずめていた。
(フォルス様…?)
私が体を動かすと、ベッドに顔をうずめていた人物が顔を上げた。
「ん?寝てしまった…あ!アンリエッタ!目が覚めたんだね、良かった…!」
フォルス様がそう言って下さったけれど、今朝の事を思い出して私はなんだか胸が締め付けられる気持ちになった。
「ん?どうした?どこか痛むか?」
「お医者様を呼んで参ります。」
扉の近くでエラが居てくれたのだろう。そう言って、部屋の外へ出て行った。
ゆっくりと私に手を伸ばしたフォルス様は、頭を撫でてくれた。
「倒れたと聞いて心配したんだ。生活が一気に変わって、疲れが出てしまったかな。」
久し振りに聞いた優しい声。
そんなに長く会っていなかったわけではないのに、なぜだかとても嬉しく感じた。
けれど、今朝の事があってモヤモヤとして…こんなに何かに悩んだ事は今まで無かった為、どうすればいいのか分からない。
だから結局、聞いてみる事にした。
「フォルス様…なんだか久し振りに会ったみたいです。」
「ん?そうか?…そうだな。済まないね。忙しかったから。でももう落ち着くから、また明日から…」
「ねぇ、あの裏手にある建物は、何ですか?」
「…!!!」
「あそこには、愛人がいるのですか?いつもあちらに行くのですか?私より…」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってくれ!ええと、建物を見たんだな?中は?中に入った?え、愛人!?」
フォルス様が明らかに慌てだし、口調もいつもより荒々しく感じてしまった。体調も回復していないのもあり、目頭が熱くなってきて、とうとう私は泣き出してしまった。
「フォルス様は…私より、愛人のがよろしいの…?ひっく、ひっく…だから、一緒に寝てくれないの?ウッウッ…一緒の部屋使ってくれないの?ウッウッ…」
「待って待って!僕に愛人ってどうして?いないよ、そんな人!!僕は、アンリエッタしか愛していないよ!アンリエッタと一緒になんて寝たら僕が持たないからだから!…あ。」
「え?」
今、フォルス様は何て…?
アンリエッタしか愛していないって聞こえたけれど…。
びっくりして、涙も止まったわ。
「ふぅ…ご、ごめん。や、あの、だから、何をどう誤解したのか分からないけれど、僕はアンリエッタが可愛くて仕方ないよ。結婚式の時のつぶやきも聞かれてしまって恥ずかしかったけれど。でも、アンリエッタはまだ十六歳だろ?だから、なんていうか、いきなりは嫌かなと部屋は分けたんだ。気が休まらないかと思って。本当はアンリエッタと四六時中一緒にいたいけれどね。」
「…本当?」
「あぁ。本当だ。僕は嘘なんて付かないよ。」
「じゃあ、今朝何で裏手にある建物に行ったの?あんな時間に…。」
「ん?んー…。」
コンコンコン
「旦那様。こうなったら全部お話された方がいいと思います。アンリエッタ様は、旦那様がお仕事されてる間淋しかったのです。わだかまりは無くされた方がよろしいかと。」
「エラ。いや、そうなんだが…。」
「とりあえず、奥様の診察をしてよろしいかな?私はその為に呼ばれたと聞きましたぞ。」
エラが扉を叩き、返事をする間もなくそう言ってお医者様と共に部屋に入ってきてくれた。
フォルス様はとても渋っているけれど、私には言いたくないのかしら。
お医者様は診察をすると言って私を診てくれ、『これなら大丈夫。ゆっくりと食事もしていきなさい。そして、気になる事は全部旦那様に質問してしまいなさい。心が病気になると、治すのは大変だからね。…聞いた後も、このままここに居てくれると私も、他の皆も、旦那様もとても嬉しい事だがね。それは奥様が決める事ではあるがな。旦那様は、それはもう本当に、奥様を心配されてましたぞ。』と言ってくれた。
「ん…」
エラがいるかなと、声を出そうとするが長く寝ていたからか、掠れて出ない。
ベッドの際の椅子を見ると銀色の髪の人が、ベッドに顔をうずめていた。
(フォルス様…?)
私が体を動かすと、ベッドに顔をうずめていた人物が顔を上げた。
「ん?寝てしまった…あ!アンリエッタ!目が覚めたんだね、良かった…!」
フォルス様がそう言って下さったけれど、今朝の事を思い出して私はなんだか胸が締め付けられる気持ちになった。
「ん?どうした?どこか痛むか?」
「お医者様を呼んで参ります。」
扉の近くでエラが居てくれたのだろう。そう言って、部屋の外へ出て行った。
ゆっくりと私に手を伸ばしたフォルス様は、頭を撫でてくれた。
「倒れたと聞いて心配したんだ。生活が一気に変わって、疲れが出てしまったかな。」
久し振りに聞いた優しい声。
そんなに長く会っていなかったわけではないのに、なぜだかとても嬉しく感じた。
けれど、今朝の事があってモヤモヤとして…こんなに何かに悩んだ事は今まで無かった為、どうすればいいのか分からない。
だから結局、聞いてみる事にした。
「フォルス様…なんだか久し振りに会ったみたいです。」
「ん?そうか?…そうだな。済まないね。忙しかったから。でももう落ち着くから、また明日から…」
「ねぇ、あの裏手にある建物は、何ですか?」
「…!!!」
「あそこには、愛人がいるのですか?いつもあちらに行くのですか?私より…」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってくれ!ええと、建物を見たんだな?中は?中に入った?え、愛人!?」
フォルス様が明らかに慌てだし、口調もいつもより荒々しく感じてしまった。体調も回復していないのもあり、目頭が熱くなってきて、とうとう私は泣き出してしまった。
「フォルス様は…私より、愛人のがよろしいの…?ひっく、ひっく…だから、一緒に寝てくれないの?ウッウッ…一緒の部屋使ってくれないの?ウッウッ…」
「待って待って!僕に愛人ってどうして?いないよ、そんな人!!僕は、アンリエッタしか愛していないよ!アンリエッタと一緒になんて寝たら僕が持たないからだから!…あ。」
「え?」
今、フォルス様は何て…?
アンリエッタしか愛していないって聞こえたけれど…。
びっくりして、涙も止まったわ。
「ふぅ…ご、ごめん。や、あの、だから、何をどう誤解したのか分からないけれど、僕はアンリエッタが可愛くて仕方ないよ。結婚式の時のつぶやきも聞かれてしまって恥ずかしかったけれど。でも、アンリエッタはまだ十六歳だろ?だから、なんていうか、いきなりは嫌かなと部屋は分けたんだ。気が休まらないかと思って。本当はアンリエッタと四六時中一緒にいたいけれどね。」
「…本当?」
「あぁ。本当だ。僕は嘘なんて付かないよ。」
「じゃあ、今朝何で裏手にある建物に行ったの?あんな時間に…。」
「ん?んー…。」
コンコンコン
「旦那様。こうなったら全部お話された方がいいと思います。アンリエッタ様は、旦那様がお仕事されてる間淋しかったのです。わだかまりは無くされた方がよろしいかと。」
「エラ。いや、そうなんだが…。」
「とりあえず、奥様の診察をしてよろしいかな?私はその為に呼ばれたと聞きましたぞ。」
エラが扉を叩き、返事をする間もなくそう言ってお医者様と共に部屋に入ってきてくれた。
フォルス様はとても渋っているけれど、私には言いたくないのかしら。
お医者様は診察をすると言って私を診てくれ、『これなら大丈夫。ゆっくりと食事もしていきなさい。そして、気になる事は全部旦那様に質問してしまいなさい。心が病気になると、治すのは大変だからね。…聞いた後も、このままここに居てくれると私も、他の皆も、旦那様もとても嬉しい事だがね。それは奥様が決める事ではあるがな。旦那様は、それはもう本当に、奥様を心配されてましたぞ。』と言ってくれた。
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