『婚約破棄ありがとうございます。自由を求めて隣国へ行ったら、有能すぎて溺愛されました』

鷹 綾

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第19話 最終評議会、修羅場へ──アイラの暴走が止まらない

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◆第19話 最終評議会、修羅場へ──アイラの暴走が止まらない

王宮の最上階。
王太子廃位の最終審議日──。

重厚な扉が開くと、そこには国の重鎮たちが並び、
張り詰めた空気が肌を刺すようだった。

ウィッシュは蒼白な顔で席に座り、
震える手で書類を握りしめていた。

(今日で……俺の運命が決まる……)

一週間の猶予。
彼は必死で努力したつもりだった。

しかし、アイラがその全てを破壊した。

そして──今日は、その“最終日”。


---

◆議長が開会を告げる

「では、廃太子審議──最終審議を開始する」

誰もが息を潜める中、
最初に手を挙げたのは財務大臣。

「殿下の提出された“税軽減政策”ですが、
 財源が未定である以上、実行不可能と判断します。」

次に軍務大臣。

「魔物対策の遅延は、すでに死傷者を出しております。
 殿下の判断能力には疑問が残ります。」

さらに外交官。

「隣国ヴァルメルとの関係悪化は、
 殿下がアイラ様の暴走を止めなかったせいです。」

ウィッシュは震えた。

(全部……俺の責任……?)

だが議長は容赦なく告げる。

「本日の議題は“殿下の廃太子可否”について──」

その時。

バアアアアアアン!!!

扉が勢いよく開いた。


---

◆アイラ、最終審議に大乱入

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁーー!!!」

議場全員「……え?」

アイラがひらひらのドレスで乱入してきた。
まるでお茶会かと錯覚するほど場違いな服装で。

「ウィッシュ様の廃太子なんて許しません!!
 だってウィッシュ様は、
 王国でいちばんカッコよくて優しくて素敵なんです!!」

(((は??????)))

貴族たちは呆然。

アイラは続けた。

「それに! ウィッシュ様が失敗してるのは、
 エヴァントラとかいう地味で暗い令嬢のせいでしょ!?
 あの人が全部抱え込んで、殿下を甘やかして──
 そりゃ殿下だって苦労しますよ!!」

議場が一瞬で凍りついた。

国王の目に怒りが宿る。

(アイラ……お前は……)

議員長が静かに口を開く。

「……アイラ様。
 あなたの発言は、王家を侮辱し、
 さらには隣国をも侮辱する内容だと理解されていますか?」

アイラ「え?
 だって本当のこと言っただけですよ?
 わたし、正直者なんです♡」

(((致命的だ!!!!)))

評議会は騒然となり、
書記官たちは顔を覆い、
ウィッシュは首を振り続けた。

「違う……違うんだ……!
 アイラ! もう喋るな……頼むから……!」

だが彼女は止まらない。

「それに、ウィッシュ様はね!!
 “フェルメリアより、アイラのほうが百倍可愛い”って
 いつもわたしに言ってくれるんです!!
 だから、エヴァントラの代わりなんていくらでも──」

国王「よせ!!!」

雷のような怒声が議場に響いた。

アイラはビクリと震えた。

国王は重々しい声で告げる。

「ウィッシュ。
 お前は……国の未来より、
 個人的な恋慕を優先したのだな?」

ウィッシュの心臓が凍りつく。

議員長が静かに手を上げた。

「──それでは、
 “廃太子決議”に入る。」

ついに、その時が来た。

讃成の手が次々と──
次々と──
ゆっくり挙がっていく。

ウィッシュは目を見開いた。

(やめろ……誰か……俺を助けてくれ……
 フェルメリア……!
 戻ってきてくれ……!)

だが──彼女はもういない。

彼女は、もう王国を振り向かない。

その現実が、いよいよ王太子を呑み込もうとしていた。


---

◆同じ頃、隣国ヴァルメルの庭園

エヴァントラはアイオンと並んで歩いていた。

「今日あたり……決まるのでしょうね。
 王太子殿下の処遇が」

「ええ。ですが──あなたには関係のない話ですよ」

アイオンの言葉に、エヴァントラは微笑む。

「そうですわね。
 わたくしはいま──こちらで幸せに暮らせていますもの」

アイオンは静かに彼女の横顔を見る。

(あなたがもう悲しまなくて済むように……
 この国で守り続けたい)

夕陽の中、二人の影が寄り添うように重なり合った。

その頃王国では──
ウィッシュの“運命の瞬間”が、まさに訪れようとしていた。


---

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