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第一章:塩対応の同室騎士は言葉が足らない
9言葉が足りない
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互いにきれいに体を拭きあって着替えを済ますとまたベットに潜り込んだ。
「……つらくないか?」
サミュエルが囁く。多分僕の身体のことを言ってるのだろう。
「ちょっとだけ、その。何かが後ろに挟まってる感じがする」
「そ、そうか」
「でも気持ちよかった。サミュエルのだと思うと凄い嬉しかったんだ」
「ぐぅうっ!」
サミュエルが口元を抑え天井を見上げている。どうした? やっぱり天井に何かあるのか?
「そ、そうか」
サミュエルのベットは規格外で大きかった。キングサイズというやつだ。部屋が広いので圧迫感はなく今まで気づかなかった。腰がちょっとだるいのでこのまま朝まで寝かせてもらう事にする。
事後のサミュエルはかなり甘くて普段と違った。僕を大事そうに抱えたまま髪を撫でてくる。口角が上がっているので喜んでくれてるのだろう。
ぽつりぽつりと寝物語に互いの幼少期の話や実家の状況などを話し合った。どうやらサミュエルは家督争いで微妙な立場になるみたいだ。うちみたいな貧乏子爵にはわからない事があるのだろう。
目じりにキスを数回されてるうちに僕はまた眠りについてしまった。僕ももっと身体を鍛えなきゃ。持久力をつけた方が良い気がしてきた。
次の日目覚めるとサミュエルはすでに着替え終えていた。
「嵐のあとは騎士団員達は周辺の地域の見回りに出るんだ。人員が足りていなければそちらに参加してくる」
「そうなんだ。もうサムは騎士団の一員なんだね」
「団には所属済だ」
「そうだったんだ」
「アルは騎士にならないのか?」
「なれたらいいなとは思っていた。だけどそれは騎士をやりたいんじゃなくて婚姻時期とかを遅らせたかっただけなんだと気づいたんだ。自分には細かな仕事ができる文官の方が向いてると思う」
「婚約の打診は聞いているのか?」
「多分、いくつかは来てるんだろうね。実家からの手紙にそれらしいことは書かれていたから」
「アル、今度の週末は外出届をだしてくれ」
「え? 良いけど、どこに行くの?」
「卒業前に俺の家に行ってくれないか?」
「サムの家って公爵家だろ? いきなり敷居が高いよ。僕は子爵の三男だし爵位が下過ぎるんじゃ」
「今は同じ学生だ。父上は学生に身分を強要する人ではない」
「それはそうかもしれないけど」
「一人で帰るよりアルが居てくれた方が良いんだ」
サミュエルが僕にお伺いを立てるなんて? ひょっとしたら義母達に会いづらいのかな? サミュエルが実家でどんな扱いを受けてるのかもわからないし僕がついていったほうが都合がいいのだろうか。
「わかった。届けをだしておくよ」
「ありがとう」
え? ありがとうだって? サミュエルが僕に? 驚いてるとチュっと軽く僕に口づけをして部屋を出て行った。
「へ? へ? 何あれ? 何?」
サミュエル? どうしたの? あま~い! 塩が砂糖になっちゃった?
◇◆◇
週末になり僕は公爵家にやってきた。めちゃくちゃ緊張する。
「あら? 久しぶりに帰ってきたかと思えばお友達連れなのね」
金髪でとても綺麗だが気位が高そうな女性が目の前にいる。おそらくこの人が義母なのだろう。
「ただいま戻りました」
「はじめまして。僕はサム……サミュエルくんと同部屋のアルベルト・ツイリーと言います」
僕は儀礼的な挨拶をした。すると奥からバタバタと足音がする。
「兄上! お戻りですか!」
金髪碧眼の利発そうな少年が駆けてきた。この子がサミュエルの弟なのだろう。物怖じしないようで僕にも話しかけてきた。
「こんにちは。兄上の大事な方ですよね?」
ニコニコと笑顔で僕を見上げる。友達は大事だということだろうか。
「ごほん。アル、父上に挨拶に行くぞ」
「は、はい」
僕はサミュエルに引きずられるように公爵家の奥へと入って行った。
広い応接室に金髪碧眼の威厳のある男性が座っていた。きっとサミュエルが歳を取るとこんな感じになるのだろう。
「父上ただいま戻りました。約束どおりアルを連れてまいりました」
「お初にお目にかかります。アルベルト・ツイリーと申します」
「なるほど儂に似てお前も面食いだったのだな」
「……」
「おっとすまないな。自己紹介が遅れた。儂はレイノルド・ブラッドリーだ。そこにいるのが妻のマイラとサミュエルの弟のカーネルだ」
「はい。さきほど玄関でお会いしました」
「愚息が世話になってるようですまないな」
「そんな。サミュエルは寡黙なだけで真面目で紳士的で何事も真摯に立ち向かうことが出来る。僕の方こそ彼に頼りっぱなしで。僕は彼を尊敬しています」
「ふむ。なんじゃ、まんざらでもなさそうじゃないか」
「といいますと?」
僕が聞き返すとサミュエルが僕の手を取った。
「父上。俺とアルベルトは婚姻しますのでご尽力をください」
「え? こ、婚姻?」
それって……。この国は嫡男以外は男性同士の婚姻も認められている。あえて世襲を騒がせないため子孫は作らないという態度を示すのだ。だけどプロポーズもされた覚えはない。いきなり婚約ではなく婚姻とは?
「……全部をもらうと言っただろう?」
やはり彼は言葉が足りない。僕は赤面したまま頷いた。
「……つらくないか?」
サミュエルが囁く。多分僕の身体のことを言ってるのだろう。
「ちょっとだけ、その。何かが後ろに挟まってる感じがする」
「そ、そうか」
「でも気持ちよかった。サミュエルのだと思うと凄い嬉しかったんだ」
「ぐぅうっ!」
サミュエルが口元を抑え天井を見上げている。どうした? やっぱり天井に何かあるのか?
「そ、そうか」
サミュエルのベットは規格外で大きかった。キングサイズというやつだ。部屋が広いので圧迫感はなく今まで気づかなかった。腰がちょっとだるいのでこのまま朝まで寝かせてもらう事にする。
事後のサミュエルはかなり甘くて普段と違った。僕を大事そうに抱えたまま髪を撫でてくる。口角が上がっているので喜んでくれてるのだろう。
ぽつりぽつりと寝物語に互いの幼少期の話や実家の状況などを話し合った。どうやらサミュエルは家督争いで微妙な立場になるみたいだ。うちみたいな貧乏子爵にはわからない事があるのだろう。
目じりにキスを数回されてるうちに僕はまた眠りについてしまった。僕ももっと身体を鍛えなきゃ。持久力をつけた方が良い気がしてきた。
次の日目覚めるとサミュエルはすでに着替え終えていた。
「嵐のあとは騎士団員達は周辺の地域の見回りに出るんだ。人員が足りていなければそちらに参加してくる」
「そうなんだ。もうサムは騎士団の一員なんだね」
「団には所属済だ」
「そうだったんだ」
「アルは騎士にならないのか?」
「なれたらいいなとは思っていた。だけどそれは騎士をやりたいんじゃなくて婚姻時期とかを遅らせたかっただけなんだと気づいたんだ。自分には細かな仕事ができる文官の方が向いてると思う」
「婚約の打診は聞いているのか?」
「多分、いくつかは来てるんだろうね。実家からの手紙にそれらしいことは書かれていたから」
「アル、今度の週末は外出届をだしてくれ」
「え? 良いけど、どこに行くの?」
「卒業前に俺の家に行ってくれないか?」
「サムの家って公爵家だろ? いきなり敷居が高いよ。僕は子爵の三男だし爵位が下過ぎるんじゃ」
「今は同じ学生だ。父上は学生に身分を強要する人ではない」
「それはそうかもしれないけど」
「一人で帰るよりアルが居てくれた方が良いんだ」
サミュエルが僕にお伺いを立てるなんて? ひょっとしたら義母達に会いづらいのかな? サミュエルが実家でどんな扱いを受けてるのかもわからないし僕がついていったほうが都合がいいのだろうか。
「わかった。届けをだしておくよ」
「ありがとう」
え? ありがとうだって? サミュエルが僕に? 驚いてるとチュっと軽く僕に口づけをして部屋を出て行った。
「へ? へ? 何あれ? 何?」
サミュエル? どうしたの? あま~い! 塩が砂糖になっちゃった?
◇◆◇
週末になり僕は公爵家にやってきた。めちゃくちゃ緊張する。
「あら? 久しぶりに帰ってきたかと思えばお友達連れなのね」
金髪でとても綺麗だが気位が高そうな女性が目の前にいる。おそらくこの人が義母なのだろう。
「ただいま戻りました」
「はじめまして。僕はサム……サミュエルくんと同部屋のアルベルト・ツイリーと言います」
僕は儀礼的な挨拶をした。すると奥からバタバタと足音がする。
「兄上! お戻りですか!」
金髪碧眼の利発そうな少年が駆けてきた。この子がサミュエルの弟なのだろう。物怖じしないようで僕にも話しかけてきた。
「こんにちは。兄上の大事な方ですよね?」
ニコニコと笑顔で僕を見上げる。友達は大事だということだろうか。
「ごほん。アル、父上に挨拶に行くぞ」
「は、はい」
僕はサミュエルに引きずられるように公爵家の奥へと入って行った。
広い応接室に金髪碧眼の威厳のある男性が座っていた。きっとサミュエルが歳を取るとこんな感じになるのだろう。
「父上ただいま戻りました。約束どおりアルを連れてまいりました」
「お初にお目にかかります。アルベルト・ツイリーと申します」
「なるほど儂に似てお前も面食いだったのだな」
「……」
「おっとすまないな。自己紹介が遅れた。儂はレイノルド・ブラッドリーだ。そこにいるのが妻のマイラとサミュエルの弟のカーネルだ」
「はい。さきほど玄関でお会いしました」
「愚息が世話になってるようですまないな」
「そんな。サミュエルは寡黙なだけで真面目で紳士的で何事も真摯に立ち向かうことが出来る。僕の方こそ彼に頼りっぱなしで。僕は彼を尊敬しています」
「ふむ。なんじゃ、まんざらでもなさそうじゃないか」
「といいますと?」
僕が聞き返すとサミュエルが僕の手を取った。
「父上。俺とアルベルトは婚姻しますのでご尽力をください」
「え? こ、婚姻?」
それって……。この国は嫡男以外は男性同士の婚姻も認められている。あえて世襲を騒がせないため子孫は作らないという態度を示すのだ。だけどプロポーズもされた覚えはない。いきなり婚約ではなく婚姻とは?
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やはり彼は言葉が足りない。僕は赤面したまま頷いた。
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