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第二章:辺境伯は溺愛中
18茶番と推しの子
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パレードの噂を聞きつけた近隣の領地からは挨拶や手紙が毎日のように届き祝いのムード一色となった。
当日は伯爵領を通るのだからとノワール伯爵にも声をかけるようにアルベルトから言われていた。俺からすればあいさつにも来ないやつにこちらから声をかける気はなかった。だがアルベルトの言葉には逆らいたくない。仕方なく先に挨拶に来いと書いて送った。他領地よりもお前の領地が一番我が領に近いのだぞと。
そんな矢先、ノワール達が謁見にやってきたのだ。それもパレードの当日にだ。一番近い領なのに。今頃のこのこやってきたのか?
「いやあ。凄い出迎えだな。さすがは吾輩の婿殿だ。がははは」
なんだ?パレードが自分の出迎えだと思っているのか?そんなわけあるか。
「うふふ。ドレスを新調してよかったわ!」
ああマシンガントークが来たか。
「お二人とも、よく周りを見てくださいっ私たちが歓迎されてるわけではありませんよ」
青い顔をして後ろに控えている人物が二人を制している。あれが執事のブルーノか?
「何を言っているのだ。義父がこうやって参上したのだぞ」
「伯爵こそ何を言われるのです!どうしてあなたが上から目線なのですか!相手は貴方よりも爵位は上なのです。礼儀を先に正さないといけないのは貴方の方ですよ!」
ふむ、この執事となら話が通じそうだ。
「……俺が通達を出さなければ来ないつもりだったのか?」
「い……いやいや。そういうわけではないぞ。ただ順序としてまずは実家に挨拶に来るのが当たり前だろう」
「俺の伴侶の実家にはすでに挨拶は済んでいる」
「ん?それは小さい頃にうちに遊びに来た事か?あれは挨拶とは言わんだろうが」
「誰がお前のところと言ったのだ」
「伴侶とは婚約者の事じゃろう?婚約者はここいる……あ?」
伯爵がきょろきょろとアンジェリカをの姿を探す。
「まあ!素敵ぃ!カッコいいわ!スタイルも良いのね!私お友達になってさし上げるわ!」
マシンガントークの先には真っ白なジャケットにフリルのブラウス。金色の髪はゆるくカーブを描いていて、俺を見つけると光がこぼれる様にほほ笑んだ。ああ完璧だ。俺のアルベルトは素晴らしい。
しかしその周りできゃあきゃあとアルベルトにすり寄っているアンジェリカが見える。……排除しなければ!
「どけ!近寄るな!」
俺はアンジェリカの腕を掴んでアルベルトからべりっと引きはがした。ブルーノが目と顎が外れそうなくらい口をあけて固まっている。なんだこいつ?アルベルトの美しさにやられたのか?
「俺の正式な婚約者はこのアルベルトだ!」
「サム……?」
そのままつややかな可愛い唇を奪うとノワールたちを睨みつけた。アルベルトは照れたように頬を染める。可憐だな。
「ヒィッ。な、なによ。相手は男じゃないの」
「それがどうした!俺はアルベルトがいいのだ!それに女なぞ家督争いの火種にしかならない。俺は元から公爵ではない。この地の領主だ!辺境伯となったのだ!逆らうものは容赦はしない!」
「な、何を言うのじゃっ。そんな女のような男なぞ……」
「俺のアルを馬鹿にする気か!」
「この方を馬鹿にするつもりか!」
俺とほぼ同時にブルーノが叫んだ。……こいつ。まさかアルベルトに惚れたのではあるまいな。
「女のような男だって?それって僕の事?」
ぎりっと歯を食いしばる音がした。だめだ、アルベルト。そんなに食いしばったら顎が痛くなるじゃないか。ああでも怒った顔も美しいな。
アルベルトはツカツカツカと早足で伯爵の前まで来ると優雅にお辞儀をした。
「お初にお目にかかります。僕がサミュエルの婚約者のアルベルトです。これから僕たちの婚約のパレードを行うのです。邪魔ですのでそこをどいていただけますか?」
「なっ、なんだとぉ。誰がそんな事を認めるか!」
「義父上である公爵様の目の前で婚約式も済ませております。すなわち僕たちのことは公爵様が認めてくださった。貴方は公爵様に反論をされるというのですね」
「こっ公爵殿に……そんな滅相もない……」
「勝手にわが物顔でこの領地を縮小しようとしたり自分の言葉は領主の言葉など、聞くも呆れるような内容ばかり!貴方には伯爵としての才覚が乏しいように思われます。サミュエルへの態度も馬鹿にしてるとしか思えない!違いますか?」
「何を言うか。サミュエル様はうちの娘の婿だ!馬鹿になど……」
「それが馬鹿にしてるというのだ!格上の相手に対して婿と呼ぶこと自体がおこがましい!」
「くっ……だ、黙れ!」
「黙るのは貴様だ!アルは俺の婚約者。お前よりも格上になるのだ」
「こ……こんなこと……って」
「ノワール伯爵。ここは丁寧に謝罪されるのが身のためでございます」
「ブルーノお前まで…………も、申し訳ございませんでした」
渋々と言った感じでノワールが頭を下げる。その隣でアンジェリカが唖然としていた。
「失礼いたしました。私めはブルーノと申します」
ブルーノは深くお辞儀をした後に真直ぐに背筋を伸ばしアルベルトを見つめる。それ以上見つめるな。アルベルトが減るではないか!
「……何?どうして?私が婚約者じゃないの?お父様どういうこと?」
「うるさいっ。帰るぞ!」
「ちょっと待ってよ!ひっぱらないで!せっかくのドレスが汚れちゃうでしょ!」
「うるさいっ!うるさい!どいつもこいつも!」
ノワールはアンジェリカを引きずり気味に退場していく。
「……今、私が仕えてる伯爵家の方々が無礼な発言を繰り返し誠に申し訳ございません」
ブルーノが目に涙を溜めてアルベルトを見つめる。
「……?どこかでお会いしましたか?」
アルベルトが不思議そうに尋ねた。
「誠に失礼とは存じますが……お尋ねしたいのですが、貴方様はひょっとしてアレーニア様のご親族では?」
はあ?……この男何を言いだすのだ!
「母さまを知っているのですか?」
「ああっ……やはり。その凛としたお顔立ちに気の強いところまでそっくりでございます」
感極まったようにブルーノが涙を流す。
「私は以前アレーニア様の従者でありました」
「え!そうだったの?母さまに従者が居たって言うのは初めて聞いたよ」
キョトンとするアルベルトは可愛いがこれ以上コイツと一緒に居たくはない。
「アル!そろそろはじめないと。さあ馬車まで行こう」
「ああ。そうだね。ブルーノさんまたね」
オレはアルベルトの肩を抱いてその場を後にした。デセルトに視線を投げかけておく。頷いてくれたからブルーノとやらのことは後で聞くことにしよう。
◇◆◇
四頭立ての馬車に乗り、手を振りながら挨拶をする。その後ろには自警団の皆が整列をし行進をしてくれていた。街頭には農家の方たちが集まってきてくれ、皆手をふってくれている。
「サミュエル様!婚約者のアルベルト様!おめでとうございます!」
ライナスが大きな声でかけ声をかけると自警団の皆が「おめでとうございます」と返してくれる。それにつられて見物客たちも「おめでとう」と口々に祝いの言葉を投げかけてくれた。
「ふふふ。皆盛り上げてくれてるね」
「ああ。ありがたいな」
「ふええ。サミュエル様が笑われておるぞ」
「本当だ。あの方も人間だったんだな」
「何言ってるんだい!それよりも隣の方を見ろよ。本当に美しいな」
「この地を治める新しい領主様とそのご伴侶様だ!」
「王都の騎士団の支部が出来るらしいぞ」
「なんと、この辺境地にか!すげえぞ!」
近隣の貴族領地にも伝令は飛ばしていたので何箇所かで馬車を止め挨拶を交わすことも忘れなかった。やはり王都からの騎士団派遣やこれからできる支部への関心が高いようだった。
当日は伯爵領を通るのだからとノワール伯爵にも声をかけるようにアルベルトから言われていた。俺からすればあいさつにも来ないやつにこちらから声をかける気はなかった。だがアルベルトの言葉には逆らいたくない。仕方なく先に挨拶に来いと書いて送った。他領地よりもお前の領地が一番我が領に近いのだぞと。
そんな矢先、ノワール達が謁見にやってきたのだ。それもパレードの当日にだ。一番近い領なのに。今頃のこのこやってきたのか?
「いやあ。凄い出迎えだな。さすがは吾輩の婿殿だ。がははは」
なんだ?パレードが自分の出迎えだと思っているのか?そんなわけあるか。
「うふふ。ドレスを新調してよかったわ!」
ああマシンガントークが来たか。
「お二人とも、よく周りを見てくださいっ私たちが歓迎されてるわけではありませんよ」
青い顔をして後ろに控えている人物が二人を制している。あれが執事のブルーノか?
「何を言っているのだ。義父がこうやって参上したのだぞ」
「伯爵こそ何を言われるのです!どうしてあなたが上から目線なのですか!相手は貴方よりも爵位は上なのです。礼儀を先に正さないといけないのは貴方の方ですよ!」
ふむ、この執事となら話が通じそうだ。
「……俺が通達を出さなければ来ないつもりだったのか?」
「い……いやいや。そういうわけではないぞ。ただ順序としてまずは実家に挨拶に来るのが当たり前だろう」
「俺の伴侶の実家にはすでに挨拶は済んでいる」
「ん?それは小さい頃にうちに遊びに来た事か?あれは挨拶とは言わんだろうが」
「誰がお前のところと言ったのだ」
「伴侶とは婚約者の事じゃろう?婚約者はここいる……あ?」
伯爵がきょろきょろとアンジェリカをの姿を探す。
「まあ!素敵ぃ!カッコいいわ!スタイルも良いのね!私お友達になってさし上げるわ!」
マシンガントークの先には真っ白なジャケットにフリルのブラウス。金色の髪はゆるくカーブを描いていて、俺を見つけると光がこぼれる様にほほ笑んだ。ああ完璧だ。俺のアルベルトは素晴らしい。
しかしその周りできゃあきゃあとアルベルトにすり寄っているアンジェリカが見える。……排除しなければ!
「どけ!近寄るな!」
俺はアンジェリカの腕を掴んでアルベルトからべりっと引きはがした。ブルーノが目と顎が外れそうなくらい口をあけて固まっている。なんだこいつ?アルベルトの美しさにやられたのか?
「俺の正式な婚約者はこのアルベルトだ!」
「サム……?」
そのままつややかな可愛い唇を奪うとノワールたちを睨みつけた。アルベルトは照れたように頬を染める。可憐だな。
「ヒィッ。な、なによ。相手は男じゃないの」
「それがどうした!俺はアルベルトがいいのだ!それに女なぞ家督争いの火種にしかならない。俺は元から公爵ではない。この地の領主だ!辺境伯となったのだ!逆らうものは容赦はしない!」
「な、何を言うのじゃっ。そんな女のような男なぞ……」
「俺のアルを馬鹿にする気か!」
「この方を馬鹿にするつもりか!」
俺とほぼ同時にブルーノが叫んだ。……こいつ。まさかアルベルトに惚れたのではあるまいな。
「女のような男だって?それって僕の事?」
ぎりっと歯を食いしばる音がした。だめだ、アルベルト。そんなに食いしばったら顎が痛くなるじゃないか。ああでも怒った顔も美しいな。
アルベルトはツカツカツカと早足で伯爵の前まで来ると優雅にお辞儀をした。
「お初にお目にかかります。僕がサミュエルの婚約者のアルベルトです。これから僕たちの婚約のパレードを行うのです。邪魔ですのでそこをどいていただけますか?」
「なっ、なんだとぉ。誰がそんな事を認めるか!」
「義父上である公爵様の目の前で婚約式も済ませております。すなわち僕たちのことは公爵様が認めてくださった。貴方は公爵様に反論をされるというのですね」
「こっ公爵殿に……そんな滅相もない……」
「勝手にわが物顔でこの領地を縮小しようとしたり自分の言葉は領主の言葉など、聞くも呆れるような内容ばかり!貴方には伯爵としての才覚が乏しいように思われます。サミュエルへの態度も馬鹿にしてるとしか思えない!違いますか?」
「何を言うか。サミュエル様はうちの娘の婿だ!馬鹿になど……」
「それが馬鹿にしてるというのだ!格上の相手に対して婿と呼ぶこと自体がおこがましい!」
「くっ……だ、黙れ!」
「黙るのは貴様だ!アルは俺の婚約者。お前よりも格上になるのだ」
「こ……こんなこと……って」
「ノワール伯爵。ここは丁寧に謝罪されるのが身のためでございます」
「ブルーノお前まで…………も、申し訳ございませんでした」
渋々と言った感じでノワールが頭を下げる。その隣でアンジェリカが唖然としていた。
「失礼いたしました。私めはブルーノと申します」
ブルーノは深くお辞儀をした後に真直ぐに背筋を伸ばしアルベルトを見つめる。それ以上見つめるな。アルベルトが減るではないか!
「……何?どうして?私が婚約者じゃないの?お父様どういうこと?」
「うるさいっ。帰るぞ!」
「ちょっと待ってよ!ひっぱらないで!せっかくのドレスが汚れちゃうでしょ!」
「うるさいっ!うるさい!どいつもこいつも!」
ノワールはアンジェリカを引きずり気味に退場していく。
「……今、私が仕えてる伯爵家の方々が無礼な発言を繰り返し誠に申し訳ございません」
ブルーノが目に涙を溜めてアルベルトを見つめる。
「……?どこかでお会いしましたか?」
アルベルトが不思議そうに尋ねた。
「誠に失礼とは存じますが……お尋ねしたいのですが、貴方様はひょっとしてアレーニア様のご親族では?」
はあ?……この男何を言いだすのだ!
「母さまを知っているのですか?」
「ああっ……やはり。その凛としたお顔立ちに気の強いところまでそっくりでございます」
感極まったようにブルーノが涙を流す。
「私は以前アレーニア様の従者でありました」
「え!そうだったの?母さまに従者が居たって言うのは初めて聞いたよ」
キョトンとするアルベルトは可愛いがこれ以上コイツと一緒に居たくはない。
「アル!そろそろはじめないと。さあ馬車まで行こう」
「ああ。そうだね。ブルーノさんまたね」
オレはアルベルトの肩を抱いてその場を後にした。デセルトに視線を投げかけておく。頷いてくれたからブルーノとやらのことは後で聞くことにしよう。
◇◆◇
四頭立ての馬車に乗り、手を振りながら挨拶をする。その後ろには自警団の皆が整列をし行進をしてくれていた。街頭には農家の方たちが集まってきてくれ、皆手をふってくれている。
「サミュエル様!婚約者のアルベルト様!おめでとうございます!」
ライナスが大きな声でかけ声をかけると自警団の皆が「おめでとうございます」と返してくれる。それにつられて見物客たちも「おめでとう」と口々に祝いの言葉を投げかけてくれた。
「ふふふ。皆盛り上げてくれてるね」
「ああ。ありがたいな」
「ふええ。サミュエル様が笑われておるぞ」
「本当だ。あの方も人間だったんだな」
「何言ってるんだい!それよりも隣の方を見ろよ。本当に美しいな」
「この地を治める新しい領主様とそのご伴侶様だ!」
「王都の騎士団の支部が出来るらしいぞ」
「なんと、この辺境地にか!すげえぞ!」
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