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8 どうしてなのか
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シュラウドが静かに立ち上がる。僕はその後に続くように腰を上げた。無言のままシュラウドが飲料水に手を当てると湯が沸き、茶になった。魔力で水のコードを湯に書き換えたんだろう。
テーブルの上にカップが現れていた。シュラウドが茶を注いでいる。僕はその正面の椅子に座った。
少しの沈黙の後、シュラウドは重い口を開けた。
「俺は……無実の者を処罰してしまったのだ」
「え? それって……」
「処刑台に居たお前は、自分は無実だと叫んでいた。その澄んだ青い瞳を見たときに。俺はどうしても助けなくてはいけないと思ったのだ」
それは過去に自分が犯した過ちに対する想いから、僕を助けたかったってことなのか。
「でも最初に俺の剣が告げていると言ってませんでしたか?」
「そうだ。俺は中央に戻る途中だったが、俺の剣がお前のチカラに反響し、引き寄せられたんだ」
それは、僕に魔力が発現したときのことだろうか?確かにあの時、端末の光が僕の体を貫き、何かが僕の中で弾け出したような感覚があり、突然力があふれだした。それがシュラウドの剣に影響を与えたというのだろうか?
「俺の剣は魔剣だ」
「魔剣とはどのようなものですか?」
「この剣に切れないモノはない」
「凄いじゃないですか」
「だが、技を使えば使うほど使用者の命を削っていくのだ」
「え? そんな危ない剣を使っているのですか?」
「俺とこの剣は永久登録されているのだ」
「永久って、解除できないってことですか?」
「ああ。特殊な魔法コードで縛られている」
「じゃあ、このままだと剣を使うたびにシュラウドが…」
「俺は魔法も使える」
「使えても、シュラウドは騎士じゃないですか!剣で戦おうとするんじゃないのですか!」
「…………」
何もしゃべらないという事は僕の言うことが正しいのだろう。
「僕を助けたのは同情からだったんですね」
「それは違う!」
「いいのです。責めているんじゃありません。僕は助けてもらって感謝しているんです。シュラウドが連れ出してくれなかったら、きっと僕は生きていなかったでしょう」
「同情というよりは、共感だと思う」
「共感ですか?」
「俺はお前と同じく側室の子だ。正室の子は二人。俺は三人目となる。母は異国の民だった。褐色の肌に黒い髪。父はその物珍しい肌の色に興味を持ち、母を側室に迎えたらしい」
「シュラウドはお母さまに似たんですね」
「そうだ。俺は小さいころからこの肌のせいで、周りの目を引いた。更に魔力が多かったようで、勢力争いの種になりそうだったのだ。そのため、俺は忠誠を誓うために長兄の家臣へと下った」
「忠誠を誓うためって……まさかシュラウドのお兄さんって」
「俺の兄はこの国の皇太子だ」
じゃあ、僕がハッキングして得た情報はシュラウドにとっては有害だったというわけ?いや、主が皇太子なら僕とは敵同士になるのか?冷汗が流れる。先ほどまで僕の髪を撫でていた大きな手に、首を絞められたりしたら、僕は抵抗する間もなく命を落としてしまうだろう。
テーブルの上にカップが現れていた。シュラウドが茶を注いでいる。僕はその正面の椅子に座った。
少しの沈黙の後、シュラウドは重い口を開けた。
「俺は……無実の者を処罰してしまったのだ」
「え? それって……」
「処刑台に居たお前は、自分は無実だと叫んでいた。その澄んだ青い瞳を見たときに。俺はどうしても助けなくてはいけないと思ったのだ」
それは過去に自分が犯した過ちに対する想いから、僕を助けたかったってことなのか。
「でも最初に俺の剣が告げていると言ってませんでしたか?」
「そうだ。俺は中央に戻る途中だったが、俺の剣がお前のチカラに反響し、引き寄せられたんだ」
それは、僕に魔力が発現したときのことだろうか?確かにあの時、端末の光が僕の体を貫き、何かが僕の中で弾け出したような感覚があり、突然力があふれだした。それがシュラウドの剣に影響を与えたというのだろうか?
「俺の剣は魔剣だ」
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「この剣に切れないモノはない」
「凄いじゃないですか」
「だが、技を使えば使うほど使用者の命を削っていくのだ」
「え? そんな危ない剣を使っているのですか?」
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「永久って、解除できないってことですか?」
「ああ。特殊な魔法コードで縛られている」
「じゃあ、このままだと剣を使うたびにシュラウドが…」
「俺は魔法も使える」
「使えても、シュラウドは騎士じゃないですか!剣で戦おうとするんじゃないのですか!」
「…………」
何もしゃべらないという事は僕の言うことが正しいのだろう。
「僕を助けたのは同情からだったんですね」
「それは違う!」
「いいのです。責めているんじゃありません。僕は助けてもらって感謝しているんです。シュラウドが連れ出してくれなかったら、きっと僕は生きていなかったでしょう」
「同情というよりは、共感だと思う」
「共感ですか?」
「俺はお前と同じく側室の子だ。正室の子は二人。俺は三人目となる。母は異国の民だった。褐色の肌に黒い髪。父はその物珍しい肌の色に興味を持ち、母を側室に迎えたらしい」
「シュラウドはお母さまに似たんですね」
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