スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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ステージ!(LINK:primeira desejo 136)

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 最前列の観客とは触れることができそうな距離で前を横切り、ステージ横へとたどり着く。

 ヂレトールの合図で一旦音が止まる。
 すぐにステージへと登る段取りだが、一瞬の合間に各自給水を済ます。

 自分たちのパフォーマンス後もステージでサンバのリズムに合わせてフリーで踊って場を繋いでいてくれたチアダンサーたちがステージを降りてきて、口々に応援の声を掛けてくれる。
 私たちも、チアダンサーたちへ健闘を称える声を掛けた。

 入れ替わるようにバテリアはステージへと登り、隊列を組む。
 パレードには参加していないバンドメンバーは既に準備を終えてポジションについていた。その間に司会者が次の演目とサンバ隊の紹介をしている。

 司会者が話しながらサンバ隊の様子を窺っている。準備の状況に合わせ紹介の長さを調整しているのだろう。
 バテリアを指揮するヂレトール、メロディと歌を仕切るカントーラ、それぞれ準備完了を司会者に目で伝えた。

 
「迫力の音楽! 情熱のダンス! 本格サンバが今始まる! Vir! Pirei Corpo de samba!」

 司会者の煽るような呼びかけに応えるようにギターの旋律が響き、カントーラの「Peguei Um Ita No Norte」と叫ぶ声がとどろいた。
 最初の曲名だ。

 同時にパシスタ達が手を叩き、嬌声を上げながら舞台に登場する。

 その場に居る全員がスタートから一気に全力を出している。
 当然バテリアも。
 当然、私も。

 楽器は技術だから、体力や気合の多寡は演奏に影響はないかもしれない。譜面によって、体力を使う奏法が必要な場合はあるかもしれないが。
 けれど、楽器は情熱でもあるから。情熱を、感情を、心を、演奏に込めるとき。その音が激しくなくても、大きくなくても、そこにはエネルギーが掛かっている。
 
 むしろ難しいのは、ノってきてしまっているとき。
 ついつい演奏が走りがちになるのを抑えなくてはならない。
 音も大きければ良いと言うものではない。必要に応じ小さく音を鳴らす。

 あふれる情熱はそのままで。


 
 ああ、だけど。
 やっぱり演奏は楽しいなぁ。


 
 力を込めて叩いているわけではないのに、躍動する心に釣られ身体が熱を持ってしまっているのか、こめかみのあたりから汗が伝わってくる。
 笑みも自然と零れる。
 両手を使う楽器だからというのもあるが、流れる汗をぬぐう気なんてない。
 汗をも降り注ぐ陽光を弾く輝きの材料へと変えて、演奏を続ける。

 
 がんちゃんの叩く低音が身体の根源に届く。
 心の裡が奮える。
 叩くたびに放出されるエネルギーは、がんちゃんの音を聴くたびに奥底から湧き上がってくる。

 この音に相応しい応えを、私は放たなくては。
 
 パレードの時は私の前を進んでいたがんちゃんは、ステージでは横並びだ。
 本来はソータ、がんちゃん、チカ、私の並びだが、サンバパフォーマンス後、以降のコーナーの賑やかし要員として何名かはこの場に残る。
 私とがんちゃんも残り組に入れてもらっていた。残る都合上列はがんちゃんと私が隣同士になっている。
 捌けるメンバーの方が多く一斉に移動するので、隊列の維持を気にする必要は実際にはない。姉妹横並びになることを配慮してくれたのだと思う。

 
 がんちゃんの顔を窺う。
 真剣な表情だ。笑顔ではないが、これはこれで音の説得力が増し、見せるという観点でも高評価ではないだろうか。
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