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パレード(LINK:primeira desejo 135)
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チアダンサーが終わると同時にサンバ隊が出る。ダンサーが先導し打楽器隊が後に続くパレード形式で外周を回り、ステージに登っていく流れだ。
スタンバイエリアから見えるステージ上では、チアダンサーたちが終わりへと向かう熱量の高いパフォーマンスを披露している。
ステージから客席へと伝播する高揚感は、スタンバイエリアにも拡がっていた。増す緊張感の影響も加味すれば、まさに出陣前の様相だ。
スタンバイエリアで自然と隊列が組まれていく。
ガフィエイラという男女のペアダンスを踊るダンサーが先頭。地元のサンビスタだ。比較的年配のダンサーだが、男女とも風格と色気がある。
続いて『ソルエス』のマランドロ。なんと今回はみこともマランドロに挑戦したいということで、ホワイトのスーツに身を包んでいる。長身なので格好良い。一昔前の女子校が舞台の少女マンガの登場人物なら、さぞ女の子にモテるキャラだろう。
うちの男性陣も比較的スマートなタイプだが、みことに人気総取りされないようがんばれ! なんて思ってしまう。
さらにバイアーナ、パシスタと続く。バイアーナもパシスタも『ソルエス』と地元サンビスタたちとの混成チームとなっている。
バテリアの指揮者ヂレトールが間に挟まり、以降はバテリア隊だ。
四列縦隊で、アゴゴ、クイーカ、タンボリン、ショカーリョ、カイシャ、ヘピニキ、スルドと続く。
大編成と言えるほどの人数はいなく、どちらかと言えば最低限に近いが、主要楽器については一列からニ列に渡る程度の人数は揃っている。
ステージでのパフォーマンスが終わると同時に間髪入れずに響くヂレトールのカウント。
心の準備はできているはずだが、「え、もう?」という意識は心の片隅に残っていた。即スイッチを切り替える。さあ、集中だ。
パレードは打楽器だけの演奏『バツカーダ』でおこなう。
メロディや歌はないが、パターンは決められている。打楽器のみの演奏ならではの、集団で出す揃った一音の迫力、複数種類の音が織りなす多彩なリズムは、奏者ひとりひとりに精度が求められる。
ミスれば目立つ。ミスは無くて当たり前。
そのうえでダンサーを躍らせ、座っている観客をも躍動させる音を放たなければならない。
奏者もまた、パフォーマーのひとりだ。
演奏が完璧ならばそれで良いか? と問われれば、「観客に見られる存在である」要素も求められていることを前提とした回答が必要だろう。
パレードするバテリアメンバーの中には、マレットを叩くたびにくるくる回転させている者。両手の撥と身体を、さながら殺陣のような雰囲気で操りカイシャを奏でている者。両手で持つショカーリョを振る際、右腕と左腕を交互に挙げ、そのリズムに合わせステップを踏むように身体をターンさせながら楽器を鳴らしている者。ジャンプしながらタンボリンを鳴らしている者などがいる。
後方からは、テルセイラがハードロックのドラムのような速いピッチを刻む合いの手の音が聴こえる。それ単体でもショーになるような演奏だ。
大編成で、浅草やリオのような様式に則ったコンテスト形式のカーニバルでのパレードの場合は、マーチングバンドのように全奏者が動きまでビシッと揃っている方が良いのかもしれないが、小編成の今回は、ひとりひとりがパフォーマーとしての意識を持っている方が楽しげで良いと思った。客席の近くを通るので、目線や笑顔なども含めたアピールや観客へのレスポンスなども観客を盛り上げる要素となるだろう。
サンバは観て聴いて、体感して楽しむ音楽だ。バテリアもまた、聴かせるだけではなく見た目にも魅せられた方が良い。
私もいつかは曲芸じみた打ち方ができるようになりたいが、今は基本に忠実に。但し、見られてることは意識して。
笑顔で楽しそうに演奏する。
楽しそうに演奏することで、打ち方にも歩き方にも躍動感は付随されていそうだ。観客にもそう見えていれば良いのだけど。
スタンバイエリアから見えるステージ上では、チアダンサーたちが終わりへと向かう熱量の高いパフォーマンスを披露している。
ステージから客席へと伝播する高揚感は、スタンバイエリアにも拡がっていた。増す緊張感の影響も加味すれば、まさに出陣前の様相だ。
スタンバイエリアで自然と隊列が組まれていく。
ガフィエイラという男女のペアダンスを踊るダンサーが先頭。地元のサンビスタだ。比較的年配のダンサーだが、男女とも風格と色気がある。
続いて『ソルエス』のマランドロ。なんと今回はみこともマランドロに挑戦したいということで、ホワイトのスーツに身を包んでいる。長身なので格好良い。一昔前の女子校が舞台の少女マンガの登場人物なら、さぞ女の子にモテるキャラだろう。
うちの男性陣も比較的スマートなタイプだが、みことに人気総取りされないようがんばれ! なんて思ってしまう。
さらにバイアーナ、パシスタと続く。バイアーナもパシスタも『ソルエス』と地元サンビスタたちとの混成チームとなっている。
バテリアの指揮者ヂレトールが間に挟まり、以降はバテリア隊だ。
四列縦隊で、アゴゴ、クイーカ、タンボリン、ショカーリョ、カイシャ、ヘピニキ、スルドと続く。
大編成と言えるほどの人数はいなく、どちらかと言えば最低限に近いが、主要楽器については一列からニ列に渡る程度の人数は揃っている。
ステージでのパフォーマンスが終わると同時に間髪入れずに響くヂレトールのカウント。
心の準備はできているはずだが、「え、もう?」という意識は心の片隅に残っていた。即スイッチを切り替える。さあ、集中だ。
パレードは打楽器だけの演奏『バツカーダ』でおこなう。
メロディや歌はないが、パターンは決められている。打楽器のみの演奏ならではの、集団で出す揃った一音の迫力、複数種類の音が織りなす多彩なリズムは、奏者ひとりひとりに精度が求められる。
ミスれば目立つ。ミスは無くて当たり前。
そのうえでダンサーを躍らせ、座っている観客をも躍動させる音を放たなければならない。
奏者もまた、パフォーマーのひとりだ。
演奏が完璧ならばそれで良いか? と問われれば、「観客に見られる存在である」要素も求められていることを前提とした回答が必要だろう。
パレードするバテリアメンバーの中には、マレットを叩くたびにくるくる回転させている者。両手の撥と身体を、さながら殺陣のような雰囲気で操りカイシャを奏でている者。両手で持つショカーリョを振る際、右腕と左腕を交互に挙げ、そのリズムに合わせステップを踏むように身体をターンさせながら楽器を鳴らしている者。ジャンプしながらタンボリンを鳴らしている者などがいる。
後方からは、テルセイラがハードロックのドラムのような速いピッチを刻む合いの手の音が聴こえる。それ単体でもショーになるような演奏だ。
大編成で、浅草やリオのような様式に則ったコンテスト形式のカーニバルでのパレードの場合は、マーチングバンドのように全奏者が動きまでビシッと揃っている方が良いのかもしれないが、小編成の今回は、ひとりひとりがパフォーマーとしての意識を持っている方が楽しげで良いと思った。客席の近くを通るので、目線や笑顔なども含めたアピールや観客へのレスポンスなども観客を盛り上げる要素となるだろう。
サンバは観て聴いて、体感して楽しむ音楽だ。バテリアもまた、聴かせるだけではなく見た目にも魅せられた方が良い。
私もいつかは曲芸じみた打ち方ができるようになりたいが、今は基本に忠実に。但し、見られてることは意識して。
笑顔で楽しそうに演奏する。
楽しそうに演奏することで、打ち方にも歩き方にも躍動感は付随されていそうだ。観客にもそう見えていれば良いのだけど。
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