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第十四話 指輪は渡さない
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「ちょっと、あんたァァァ」
「っ!?」
ステラが、もはやヒロインとは思えない形相で掴みかかって来た。
しかも、あんた呼ばわり……
これがステラの“素”なのだと分かった。
ステラは随分と大きな猫を飼っていたらしい。
ヒロイン像が音を立てて崩れていく。……これ、運命の恋も一瞬で冷めると思うわ。
「その指輪ぁぁ! どういうつもりよぉぉぉ」
「どう? とは……?」
首を傾げる私にステラは睨みつけながら叫んだ。
「それは私のよ! 私がこれから身に付けるべき指輪! 何であんたが持ってるのよぉぉ!?」
「選ばれたからです!!」
私の言葉にステラは「はぁぁ?」と言って固まる。
美少女が完全に台無しになるような顔だった。
「バカ言ってんじゃないわよ! 返して!」
「嫌です!」
「嫌ってあんた、これが何か分かってて言っているの!?」
ステラの顔は怖いけど負けない! 負けたくない!!
「もちろんです! この指輪はヴィンセント様の花嫁に選ばれた証。これはあなたのじゃありません! 私のものです!!」
私は指輪をステラにしっかり見せる。
あなたも記憶があるならこの指輪に覚えがあるはず!
「ふざけないで!」
「ふざけてなどいません! 選ばれたのは私! だから、絶対に私はこの指輪をあなたには渡さない!!」
小説では、確かにこの指輪はステラのもの。
──でも、小説の展開なんて知らない! この世界でヴィンセント様の花嫁になるのは、私!
そんな思いで叫んだ。
ステラは、
「いいからそれは私のよ! 返して!」
と言って私の指にはまっている指輪を無理やり奪おうとした。
(嫌、触らないで!)
そう思ったまさにその時──
バシンッ
「きゃっ!」
「!?」
指輪を奪おうとしていたステラが突然弾け飛び、ドサッとした音と共に尻もちをつく。
「……いったぁい。何よ今の……」
「……」
──き、気のせいかしら?
指輪がステラを弾いた気がしたのだけど……??
「ちょっと今、私に何をしたのよ!?」
ステラが腰を押さえながら起き上がる。
当然だけど、ご立腹……
一方の私は何が何だか分からない。
でも間違いない。絶対に今のは指輪が弾いた。
(ちょっと待って? 小説の中で指輪にこんな設定は無かったわよ??)
ステラも驚いているのだから間違いない。
いったい何故こんな事が起きたのだろう?
「簡単な話だよ。指輪に拒否されただけ。この指輪は手にするに相応しくない者は触れられない」
今、起きた事についていけなくて呆然としている私達に後ろから声がかかる。
そこには急いで走って来たと思われる様子のヴィンセント様が居た。
「ヴィンセント様?」
「遅くなってごめん、アイリーン……大丈夫?」
「だ、大丈夫です……だけど、どうして?」
私の側までやって来たヴィンセント様は怪我は無い? と、私の全身をチェックしていく。
「御者がね……慌てて呼びに来た」
「あ!」
(馬車に乗ろうとしていた所だったんだもの。人がいて当然だったわ)
「何やら頭のおかしそうな女が暴れている……ってね」
そう言ってヴィンセント様はステラを睨む。
睨まれたステラはそれでも往生際が悪く叫ぶ。
「頭のおかしい女とか相応しくないって何!? 誰の事よ!」
「お前に決まってるだろう」
「私!?」
「おかしいだけではなく頭も悪そうだ」
「!?」
ヴィンセント様はステラを黙らせた後、とても冷たい笑顔を浮かべて言った。
「ところで? 君は、未来のアディルティス侯爵家の花嫁に何をしてくれたのかな?」
「……っ」
「それに、何故か君は我が家の秘匿情報まで知っている様子だ」
「秘匿……情報?」
顔を青くしたステラが聞き返す。
対するヴィンセント様の目は氷のように冷たい。
「指輪の事だ。アディルティス侯爵家の花嫁を選ぶ方法を知っている人間は限られているはずなんだけど?」
「ひっ!?」
ステラの顔が盛大に引き攣る。
「いったい君はどこでそれを知ったのかな?」
「っっっ!」
ステラは言葉を失っている。
「まぁ、いい。それはこれからゆっくり取り調べれば分かるだろう」
「と、と、取り調べ……?」
「……」
ヴィンセント様がにっこりと笑う。
その顔は“やっぱり君はバカなんだね”そう言っているみたいだった。
「……アイリーン」
覚えてなさいぃぃ!
と、つい最近も別の人が口にしていたセリフを残して取り調べに連れて行かれるステラを見ていたら、ヴィンセント様がそっと私を抱き寄せる。
「怪我が無くて本当に良かった……」
「し、心配をおかけしました」
「何だか笑顔の胡散臭い女だと思っていたけど、あそこまでの危険人物だとは思わなかった。ごめん」
ヴィンセント様、ステラの事をそんな風に思っていたの?
ヒロインなのに不思議。でも、本当に小説の話はもうめちゃくちゃだわ。
「あ、あのさ、アイリーン」
「はい?」
何故かヴィンセント様が口ごもる。
「か、駆け付けた時に……聞こえたんだ」
「聞こえた?」
「“この指輪は渡さない”って言っているのを」
「!!」
言った! 言ったわ、私……
「それって……アイリーンは僕の花嫁になる決意をしてくれたと思ってもよいだろうか?」
「だって、どうしても彼女には渡したくなかったんです」
冷静に考えれば、これまで指輪は何をしても外れなかった。
だから、無理やり奪おうとしても外れなかった、と思う。
(でも、思ってしまったの。ヒロインが触れたらもしかするかもって)
ヒロインのステラが指輪に触れたら、ステラの元に指輪が行ってしまうのでは?
そう思うと怖かった。
そして、やっぱり指輪が外れてしまうのは嫌だと思った。
このままヴィンセント様の花嫁になるのは私でありたいって改めて思ったから。
「……」
何故かヴィンセント様が黙り込む。
「ヴィンセント様?」
「アイリーン」
私の名前を呼ぶなり、ギューッと抱き締めてくる。
そして、身体を離すとおそるおそる訪ねてくる。
「アイリーン。僕の花嫁に……なって、くれますか?」
「…………はい」
「!」
私は小さくだけどそう答えた。だけど、恥ずかしくてヴィンセント様の顔が見れず俯いてしまう。
「……」
「……」
「……」
「……ヴィンセント、様?」
ヴィンセント様の反応が無いのでおかしいなと思って顔を上げたら、ヴィンセント様は顔を覆ってプルプルと震えていた。
「あ、ごめ……えっと、アイリーン! ……約束するよ。この間も言ったように絶対に絶対に僕が君を幸せにする!」
「はい」
「…………僕を選んでくれて……ありがとう」
そう口にするヴィンセント様の声はどこか震えていた。まるで涙を堪えているかのように。
✧✧✧✧✧✧
「……何でこんな事になったのよ」
何故か私の指輪を図々しくも指にはめていたモブ女から、指輪を取り返そうとしただけなのに……連行されて取り調べを受ける羽目になった。
──将来は、ある日偶然拾った指輪に導かれて侯爵夫人になれる!
前世を思い出して自分がこの世界のヒロインだと気付いた時、運命と神様に感謝した。
“いい子”のヒロインを演じていれば、幸せがやって来ると信じて。
「なのに……モブが……っ!」
あの日、街で見かけた。
私の未来の夫が他の女と仲睦まじくしている様子を。
だから、ちょっと早かったけど無理を言って配達と称して会いに行った。
物語の開始前は何をしてもダメみたいだと分かり、ようやく時が来たからそろそろかと今回も様子を見に来てみれば! またあのモブ女!
「……そうよ! きっとモブ女のアレは偽物……! そうに違いないわ」
あのモブ女が私の未来の夫を騙しているんだわ!
許せない。
絶対、あの女の嘘を暴いてやる!
「その為には……まず、ここから出て私に協力してくれる味方が欲しいわね……」
待っててね、未来の旦那様!
ヒロインの私があなたの目を覚まさせてあげるから!!
「っ!?」
ステラが、もはやヒロインとは思えない形相で掴みかかって来た。
しかも、あんた呼ばわり……
これがステラの“素”なのだと分かった。
ステラは随分と大きな猫を飼っていたらしい。
ヒロイン像が音を立てて崩れていく。……これ、運命の恋も一瞬で冷めると思うわ。
「その指輪ぁぁ! どういうつもりよぉぉぉ」
「どう? とは……?」
首を傾げる私にステラは睨みつけながら叫んだ。
「それは私のよ! 私がこれから身に付けるべき指輪! 何であんたが持ってるのよぉぉ!?」
「選ばれたからです!!」
私の言葉にステラは「はぁぁ?」と言って固まる。
美少女が完全に台無しになるような顔だった。
「バカ言ってんじゃないわよ! 返して!」
「嫌です!」
「嫌ってあんた、これが何か分かってて言っているの!?」
ステラの顔は怖いけど負けない! 負けたくない!!
「もちろんです! この指輪はヴィンセント様の花嫁に選ばれた証。これはあなたのじゃありません! 私のものです!!」
私は指輪をステラにしっかり見せる。
あなたも記憶があるならこの指輪に覚えがあるはず!
「ふざけないで!」
「ふざけてなどいません! 選ばれたのは私! だから、絶対に私はこの指輪をあなたには渡さない!!」
小説では、確かにこの指輪はステラのもの。
──でも、小説の展開なんて知らない! この世界でヴィンセント様の花嫁になるのは、私!
そんな思いで叫んだ。
ステラは、
「いいからそれは私のよ! 返して!」
と言って私の指にはまっている指輪を無理やり奪おうとした。
(嫌、触らないで!)
そう思ったまさにその時──
バシンッ
「きゃっ!」
「!?」
指輪を奪おうとしていたステラが突然弾け飛び、ドサッとした音と共に尻もちをつく。
「……いったぁい。何よ今の……」
「……」
──き、気のせいかしら?
指輪がステラを弾いた気がしたのだけど……??
「ちょっと今、私に何をしたのよ!?」
ステラが腰を押さえながら起き上がる。
当然だけど、ご立腹……
一方の私は何が何だか分からない。
でも間違いない。絶対に今のは指輪が弾いた。
(ちょっと待って? 小説の中で指輪にこんな設定は無かったわよ??)
ステラも驚いているのだから間違いない。
いったい何故こんな事が起きたのだろう?
「簡単な話だよ。指輪に拒否されただけ。この指輪は手にするに相応しくない者は触れられない」
今、起きた事についていけなくて呆然としている私達に後ろから声がかかる。
そこには急いで走って来たと思われる様子のヴィンセント様が居た。
「ヴィンセント様?」
「遅くなってごめん、アイリーン……大丈夫?」
「だ、大丈夫です……だけど、どうして?」
私の側までやって来たヴィンセント様は怪我は無い? と、私の全身をチェックしていく。
「御者がね……慌てて呼びに来た」
「あ!」
(馬車に乗ろうとしていた所だったんだもの。人がいて当然だったわ)
「何やら頭のおかしそうな女が暴れている……ってね」
そう言ってヴィンセント様はステラを睨む。
睨まれたステラはそれでも往生際が悪く叫ぶ。
「頭のおかしい女とか相応しくないって何!? 誰の事よ!」
「お前に決まってるだろう」
「私!?」
「おかしいだけではなく頭も悪そうだ」
「!?」
ヴィンセント様はステラを黙らせた後、とても冷たい笑顔を浮かべて言った。
「ところで? 君は、未来のアディルティス侯爵家の花嫁に何をしてくれたのかな?」
「……っ」
「それに、何故か君は我が家の秘匿情報まで知っている様子だ」
「秘匿……情報?」
顔を青くしたステラが聞き返す。
対するヴィンセント様の目は氷のように冷たい。
「指輪の事だ。アディルティス侯爵家の花嫁を選ぶ方法を知っている人間は限られているはずなんだけど?」
「ひっ!?」
ステラの顔が盛大に引き攣る。
「いったい君はどこでそれを知ったのかな?」
「っっっ!」
ステラは言葉を失っている。
「まぁ、いい。それはこれからゆっくり取り調べれば分かるだろう」
「と、と、取り調べ……?」
「……」
ヴィンセント様がにっこりと笑う。
その顔は“やっぱり君はバカなんだね”そう言っているみたいだった。
「……アイリーン」
覚えてなさいぃぃ!
と、つい最近も別の人が口にしていたセリフを残して取り調べに連れて行かれるステラを見ていたら、ヴィンセント様がそっと私を抱き寄せる。
「怪我が無くて本当に良かった……」
「し、心配をおかけしました」
「何だか笑顔の胡散臭い女だと思っていたけど、あそこまでの危険人物だとは思わなかった。ごめん」
ヴィンセント様、ステラの事をそんな風に思っていたの?
ヒロインなのに不思議。でも、本当に小説の話はもうめちゃくちゃだわ。
「あ、あのさ、アイリーン」
「はい?」
何故かヴィンセント様が口ごもる。
「か、駆け付けた時に……聞こえたんだ」
「聞こえた?」
「“この指輪は渡さない”って言っているのを」
「!!」
言った! 言ったわ、私……
「それって……アイリーンは僕の花嫁になる決意をしてくれたと思ってもよいだろうか?」
「だって、どうしても彼女には渡したくなかったんです」
冷静に考えれば、これまで指輪は何をしても外れなかった。
だから、無理やり奪おうとしても外れなかった、と思う。
(でも、思ってしまったの。ヒロインが触れたらもしかするかもって)
ヒロインのステラが指輪に触れたら、ステラの元に指輪が行ってしまうのでは?
そう思うと怖かった。
そして、やっぱり指輪が外れてしまうのは嫌だと思った。
このままヴィンセント様の花嫁になるのは私でありたいって改めて思ったから。
「……」
何故かヴィンセント様が黙り込む。
「ヴィンセント様?」
「アイリーン」
私の名前を呼ぶなり、ギューッと抱き締めてくる。
そして、身体を離すとおそるおそる訪ねてくる。
「アイリーン。僕の花嫁に……なって、くれますか?」
「…………はい」
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私は小さくだけどそう答えた。だけど、恥ずかしくてヴィンセント様の顔が見れず俯いてしまう。
「……」
「……」
「……」
「……ヴィンセント、様?」
ヴィンセント様の反応が無いのでおかしいなと思って顔を上げたら、ヴィンセント様は顔を覆ってプルプルと震えていた。
「あ、ごめ……えっと、アイリーン! ……約束するよ。この間も言ったように絶対に絶対に僕が君を幸せにする!」
「はい」
「…………僕を選んでくれて……ありがとう」
そう口にするヴィンセント様の声はどこか震えていた。まるで涙を堪えているかのように。
✧✧✧✧✧✧
「……何でこんな事になったのよ」
何故か私の指輪を図々しくも指にはめていたモブ女から、指輪を取り返そうとしただけなのに……連行されて取り調べを受ける羽目になった。
──将来は、ある日偶然拾った指輪に導かれて侯爵夫人になれる!
前世を思い出して自分がこの世界のヒロインだと気付いた時、運命と神様に感謝した。
“いい子”のヒロインを演じていれば、幸せがやって来ると信じて。
「なのに……モブが……っ!」
あの日、街で見かけた。
私の未来の夫が他の女と仲睦まじくしている様子を。
だから、ちょっと早かったけど無理を言って配達と称して会いに行った。
物語の開始前は何をしてもダメみたいだと分かり、ようやく時が来たからそろそろかと今回も様子を見に来てみれば! またあのモブ女!
「……そうよ! きっとモブ女のアレは偽物……! そうに違いないわ」
あのモブ女が私の未来の夫を騙しているんだわ!
許せない。
絶対、あの女の嘘を暴いてやる!
「その為には……まず、ここから出て私に協力してくれる味方が欲しいわね……」
待っててね、未来の旦那様!
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