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第一部:第七章 部隊演習
(四)宴と戦慄の記憶②
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寮に戻ってきた時には、すっかり日も沈んでいた。
皆、慌ただしく風呂に駆け込み汚れを落とすと、すぐに食堂へと急いだ。おかげでラーソルバールの希望だった「ゆっくり風呂に」という願いは叶わなかった。
食堂でエフィアナやアルディスと待ち合わせをしていたため、時間をかけている訳にはいかなかったからだ。
帰りの馬車で眠っているラーソルバールを支えていたエフィアナは、疲れているにかとのかと思いきや、意外にもご機嫌な様子だった。演習で勝ったからではなく、久し振りにラーソルバールと一緒に居た事が楽しかったらしい。
夕食のプレートを揃え、テーブルの一角を陣取ると、小さな宴が催された。
宴といっても、当然酒が出るわけでは無い。シェラ、フォルテシアを含めた五人の食卓だった。
エミーナは一班だったので、別のグループと一緒に食事をしている。
「無理言ってごめんなさい。本当は班での食事予定だったんじゃない?」
ラーソルバールはテーブルに額がつきそうな程頭を下げた。
「負けた側は結構険悪になる事が多いから、一緒にって感じにはなる事は少ないんだ」
「その代わり、我々の横にいつの間にか二班の連中が居るだろ」
エフィアナが苦笑した。
「当たり前だ、今日の勝利の立役者が居なくてどうする」
上機嫌で一人の学生が立ち上がった。二班の班長だったドラッセだった。
「負けた人間もここに居るんだぞ、ちょっとは配慮してくれよ……」
アルディスが無表情でパンを千切った。
「たまには負けるのもいいもんだろ?」
「俺はいいさ、けどこの娘たち二人は違う」
冷たい視線がドラッセを襲う。
「ごめんね、無神経な奴で」
エフィアナが追い討ちをかける。
シェラが微妙な雰囲気にオロオロした様子を見せたが、フォルテシアの表情は変わらないように見えた。
親友の素振りを見かねたラーソルバールが口を開く。
「周りは気にしないで、食べようよ」
無難な言い方しか出来なかった。
ラーソルバールはもともと人付き合いが上手な方ではないので、こういう場には弱い。少しはエラゼルのように堂々としていれば良いのだろうか、と一瞬考えた。
だが、この一言でようやく皆が落ち着いて食事を始めることができた。
「そういえばラーソルの見たという、オーガなんだが、この近辺での目撃例はほとんど無いよな」
隣の席の騒々しさを無視して、アルディスが切り出した。
「そうですね、常闇の森近辺ならそうでも無いのでしょうが」
スープを飲んで少し落ち着いたのか、シェラがアルディスの言葉に同意する。生物学を得意とする、彼女らしい言葉だった。
「常闇の森から迷い出た、と言うには遠すぎるしね」
エフィアナの言葉にラーソルバールは引っかかるものを感じた。
迷い出たのではなく、連れて来られたのだとしたら。
誰が、何のために……。
嫌な予感がした。
皆、慌ただしく風呂に駆け込み汚れを落とすと、すぐに食堂へと急いだ。おかげでラーソルバールの希望だった「ゆっくり風呂に」という願いは叶わなかった。
食堂でエフィアナやアルディスと待ち合わせをしていたため、時間をかけている訳にはいかなかったからだ。
帰りの馬車で眠っているラーソルバールを支えていたエフィアナは、疲れているにかとのかと思いきや、意外にもご機嫌な様子だった。演習で勝ったからではなく、久し振りにラーソルバールと一緒に居た事が楽しかったらしい。
夕食のプレートを揃え、テーブルの一角を陣取ると、小さな宴が催された。
宴といっても、当然酒が出るわけでは無い。シェラ、フォルテシアを含めた五人の食卓だった。
エミーナは一班だったので、別のグループと一緒に食事をしている。
「無理言ってごめんなさい。本当は班での食事予定だったんじゃない?」
ラーソルバールはテーブルに額がつきそうな程頭を下げた。
「負けた側は結構険悪になる事が多いから、一緒にって感じにはなる事は少ないんだ」
「その代わり、我々の横にいつの間にか二班の連中が居るだろ」
エフィアナが苦笑した。
「当たり前だ、今日の勝利の立役者が居なくてどうする」
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「負けた人間もここに居るんだぞ、ちょっとは配慮してくれよ……」
アルディスが無表情でパンを千切った。
「たまには負けるのもいいもんだろ?」
「俺はいいさ、けどこの娘たち二人は違う」
冷たい視線がドラッセを襲う。
「ごめんね、無神経な奴で」
エフィアナが追い討ちをかける。
シェラが微妙な雰囲気にオロオロした様子を見せたが、フォルテシアの表情は変わらないように見えた。
親友の素振りを見かねたラーソルバールが口を開く。
「周りは気にしないで、食べようよ」
無難な言い方しか出来なかった。
ラーソルバールはもともと人付き合いが上手な方ではないので、こういう場には弱い。少しはエラゼルのように堂々としていれば良いのだろうか、と一瞬考えた。
だが、この一言でようやく皆が落ち着いて食事を始めることができた。
「そういえばラーソルの見たという、オーガなんだが、この近辺での目撃例はほとんど無いよな」
隣の席の騒々しさを無視して、アルディスが切り出した。
「そうですね、常闇の森近辺ならそうでも無いのでしょうが」
スープを飲んで少し落ち着いたのか、シェラがアルディスの言葉に同意する。生物学を得意とする、彼女らしい言葉だった。
「常闇の森から迷い出た、と言うには遠すぎるしね」
エフィアナの言葉にラーソルバールは引っかかるものを感じた。
迷い出たのではなく、連れて来られたのだとしたら。
誰が、何のために……。
嫌な予感がした。
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